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しおりを挟むサーキュラ公爵令嬢ベルーナは、とても美しい令嬢。
しかし、病弱であることが貴族令嬢としては致命的である。
なぜなら、貴族の結婚には跡継ぎを産むことが必要とされるから。
病弱な令嬢は出産に耐えられない。もしくは、産後の肥立ちが悪くなりやすいのだ。
そんな嫁は最初から選ぶ必要はない。それが常識だ。
ところが、この国の王太子殿下であるラミレスは一目惚れしたベルーナを妃に迎えたいと言い出した。
10歳の頃に……
この国では、王太子は17歳で婚約者を正式に決める。
それまでに最大5人の令嬢と婚約者候補として交流を図ることになっている。
ベルーナはその婚約者候補の1人目に選ばれたということだ。
いや、この王太子ラミレスはベルーナ以外の候補は必要ないと言い出した。
しかし、ベルーナの親である公爵が病弱を理由に辞退を申し出た。
ラミレスの親である国王陛下は公爵の言い分を認め、辞退を受け入れようとしたが、ラミレスは頑なに拒否をしているため、ベルーナは婚約者候補のままとなっている。
だが、さすがにベルーナ1人が候補ということを国王陛下が許さず、ラミレスが選ばないのであればこちらで選ぶと高位貴族令嬢を4人選び、ベルーナと合わせて5人の婚約者候補とした。
年齢はラミレスの1歳上から2歳下までの令嬢5人。
それぞれが、週に1度ほど王太子妃教育に通い始めた。
しかし、ベルーナは病弱のため領地で静養しているため教育を受けられない。
そんな状況でもラミレスは候補から外さなかった。
教育に通い始めた令嬢たちと交流を図ることを命じられ、不本意ながらもお茶を飲みながら1人ずつ、時にはベルーナを除いた4人纏めて交流をする。
「ラミレス殿下、もうすぐ学園に入学ですね。同じクラスになれたら嬉しいです。」
これは、公爵令嬢パンジーの言葉。ラミレスと同い年である。
「ラミレス殿下、学園の案内はお任せくださいませ。」
これは、侯爵令嬢アネモネの言葉。ラミレスより1歳上である。
「ラミレス殿下、来年は案内してくださいね。」
これは、伯爵令嬢アゼリアの言葉。ラミレスより1歳下である。
「羨ましいです。私も早く学園に通いたい。」
これは、侯爵令嬢カシアの言葉。ラミレスより2歳下である。
「そうだね。学園にはベルーナも入学する。ようやく会えるよ。皆も仲良くしてくれ。」
「「「「………はい。」」」」
10歳で1人目の婚約者候補になったベルーナ。
誰も会ったことはないけれど、ラミレスが唯一自ら選んだ令嬢だという。
交流を始めた頃に比べれば、ラミレスは会話をしてくれるようになった。
しかし、将来の結婚相手として見てくれているとは誰も感じていなかった。
ラミレスの心にいるのは、ベルーナだけ。
だけど、本人も両親も辞退したいと言っているらしい。
ベルーナが王太子妃に相応しくないとラミレスが理解すれば、この4人の中の誰かが選ばれるのだ。
いつまでもベルーナを思うラミレスに現実を見せるには、ベルーナの入学は丁度よかった。
なんとしてでも、ベルーナを排除しなければならないと考える者。
自分でもベルーナでも誰でも構わないと思う者。
ベルーナに会ってから考えたい者。
他に好きな人ができた者。
4人それぞれが別々の思惑でベルーナとの対面を望んでいた。
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