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しおりを挟む男爵令嬢ホリーの母は、元公爵令嬢。
なぜ、公爵令嬢であった母が男爵令息と結婚したかというと……婚約破棄されたから。
当時、母は公爵令息と婚約していたらしい。
だけど、婚約者が他の令嬢とベタベタイチャイチャしているから何度も注意したらしい。
そうしたら、その令嬢が母にいじめられてるって噂になって。
卒業パーティーで、婚約破棄をされたということ。
証拠もなく、注意を暴言だと言い、自分の浮気を棚に上げて。
母は婚約者に見切りをつけていたから、婚約破棄に応じた。その瞬間、婚約者ではなくなった。
この国では、正式な婚約を聖堂で行った場合、署名に自分たちの魔力を流す。
そして、お互いが心から婚約解消を望み、言葉にすると婚約証明書での繋がりが切ることが可能。
母はすぐに繋がりが切れたことを感じたそうだ。
冤罪を晴らすことよりも、逃げることを選んだ。それには理由があった。
慌てて、しかし令嬢の精一杯の早歩きで馬車に向かおうとした時、前方で待ち伏せされている気がした。
その時に横から声をかけて近くの馬車にこっそり乗せたのが父と祖父だったらしい。
父は母に今後の行動を確認すると、公爵家に帰ったら絶縁して逃げると言ったそうだ。
母は、留学中の王子から第3王妃にと願われており、今までは婚約者がいるということを盾に断っていた。
だけど婚約破棄した今は、強硬手段に出られたら父も自分も逃げられない。だから縁を切る。
そう言った母に、父は今すぐ自分と結婚しようと言った。
司祭様の前で正式に結婚すれば、他国の王子でも自国の王でも強制離婚はできない。
婚姻証明書は司祭様の魔力によって補完されるから。
当時の婚約は簡単に解消できたけど、この母たちの婚約破棄事件から、婚約証明書にも司祭様の魔力で補完されるようになった。
子供たちが簡単に解消してしまうと、事業の繋がりや援助などに影響が出るから。
既に成人している母と父は結婚できる。
しかし、より確実にするためには両家の親が必要だった。
両家祝福の上での結婚だと証明できるから。
母の父親を迎えに行くかどうするか、そう考えていた時に公爵夫妻が乗った馬車が追いかけてきた。
事情を説明し、聖堂へと向かい、みんなの署名と司祭様の魔力の補完であっという間に結婚が認められた。
ホッとしたのも束の間、次は急いで男爵領へと向かうように指示された。
王都を出て次の街で夜になる頃だから、そこのホテルで初夜を迎えるようにとの指示だった。
偽装結婚ではない。今度はその証明だった。
こうして父と母は結婚を完全なものにしてから、男爵領へと向かっていった。
二人の父親、公爵と男爵はその晩は公爵家で飲み明かしたらしい。
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