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とある廃墟ビルディングにて 〜天国と地獄編〜
第六話
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「五階まで来たけど・・・」
「うん・・・」
他の階と特に変わらないのだが、この五階で撮影されたという謎の怪奇動画を見た後では、気味悪さは倍増していた。
レイカの表情には若干の怯えが伺える。レイカはやはり気が進まない様子だがためらいながらもヨウコの後に続いた。
ヨウコは腰を落としながら用心深く進みメインの廊下まで進み出た。
ヨウコとレイカは、五階の真ん中を貫く長い廊下を慎重に歩いていった。この階も、他の階と同様、廃墟と化した寂れた空間が広がっている。天井からは断片的に光が差し込み、床には埃が積もり、壁には剥げ落ちた塗装が目立つ。
「ほんと、このビルはホラー映画のセットみたいだよね」とレイカが小さな声で呟く。
「気をつけないと、何か危ないことになりそうだね」とヨウコは少し警戒しながら言った。
二人は、この廃墟のような雰囲気の中を歩を進めていく。すると、やがて廊下の突き当りに、エレベーターの入り口が見えてきた。
「あ、あそこにエレベーターがあるよ」
「やっぱり、あの動画の舞台ってここなのかな」
二人は少し緊張しながらも、エレベーターに近づいていった。
「なんか、おかしいよね」
「そうかな?でも中を見てみないと分からないよね」
そう言って、ヨウコがゆっくりとエレベーター扉に手を触れた瞬間、扉が突然スルスルと開いた。
「え!?」
二人は思わず声を上げた。扉の向こうには薄暗い空間が広がっている。しかし、そこには普通のエレベーターのゴンドラがあるわけではない。エレベータールームではなく、奥へと続く暗い通路だった。
「な、なんで開いたの!?」とレイカが戸惑う。
「わかんない・・・でも、中を見てみようか」とヨウコが前に出る。
「ちょっと、待って!危ないんじゃ・・・」
レイカは両手を上げて制止しようとする。
「大丈夫、一緒に行けば大丈夫だよ。私はさっきの動画の真相が気になるんだ。見てみない?」
ヨウコは優しく言葉をかけ、レイカの手を握った。
「でも...本当に大丈夫なの?何か危険なことが待っているかもしれないよ」レイカは少し不安そうに尋ねる。
「老人のほかに動画で倒れてた少女がいたでしょ?もしあれがマジだったら見つけ出してあげないと。特に何もなければすぐに帰ればいいわけだし」
レイカは少し怯えた表情だったが、ヨウコの言葉に後押しされるように、ゆっくりとうなずいた。
「・・・わかった。一緒に行くから」
そうして二人は、エレベーターの奥に続く暗い通路へと足を踏み入れていった。
二人が歩を進めると、エレベーターの奥の通路は徐々に様相を変えていった。瓦礫やホコリは一切なく、美しくも神秘的な白い壁が延々と続いている。まるで、ある高度な知性によって創り出された空間のようだ。
「わあ...ここ、すごい綺麗だね」とレイカが呟く。
「ねえ、この通路って一体何者なのかしら」とヨウコは不思議そうに目を細めながら、その造りの精巧さに感嘆の声を上げる。
二人の足音が淡々と響き渡る中、次第に通路の奥が見えてきた。そこには、微かな光が差し込んでいる。
「あそこに何か光っているよ。行ってみよう」
ヨウコがそう言うと、レイカも少しずつ緊張感を和らげながら、二人で光の方へと歩を進めていった。
まるで、この世界とは一線を画した別の次元へと導かれるような、不思議な感覚に包まれながら。
この先に一体何が待っているのだろうか。二人の探求心は尽きることを知らない。
つづく
「うん・・・」
他の階と特に変わらないのだが、この五階で撮影されたという謎の怪奇動画を見た後では、気味悪さは倍増していた。
レイカの表情には若干の怯えが伺える。レイカはやはり気が進まない様子だがためらいながらもヨウコの後に続いた。
ヨウコは腰を落としながら用心深く進みメインの廊下まで進み出た。
ヨウコとレイカは、五階の真ん中を貫く長い廊下を慎重に歩いていった。この階も、他の階と同様、廃墟と化した寂れた空間が広がっている。天井からは断片的に光が差し込み、床には埃が積もり、壁には剥げ落ちた塗装が目立つ。
「ほんと、このビルはホラー映画のセットみたいだよね」とレイカが小さな声で呟く。
「気をつけないと、何か危ないことになりそうだね」とヨウコは少し警戒しながら言った。
二人は、この廃墟のような雰囲気の中を歩を進めていく。すると、やがて廊下の突き当りに、エレベーターの入り口が見えてきた。
「あ、あそこにエレベーターがあるよ」
「やっぱり、あの動画の舞台ってここなのかな」
二人は少し緊張しながらも、エレベーターに近づいていった。
「なんか、おかしいよね」
「そうかな?でも中を見てみないと分からないよね」
そう言って、ヨウコがゆっくりとエレベーター扉に手を触れた瞬間、扉が突然スルスルと開いた。
「え!?」
二人は思わず声を上げた。扉の向こうには薄暗い空間が広がっている。しかし、そこには普通のエレベーターのゴンドラがあるわけではない。エレベータールームではなく、奥へと続く暗い通路だった。
「な、なんで開いたの!?」とレイカが戸惑う。
「わかんない・・・でも、中を見てみようか」とヨウコが前に出る。
「ちょっと、待って!危ないんじゃ・・・」
レイカは両手を上げて制止しようとする。
「大丈夫、一緒に行けば大丈夫だよ。私はさっきの動画の真相が気になるんだ。見てみない?」
ヨウコは優しく言葉をかけ、レイカの手を握った。
「でも...本当に大丈夫なの?何か危険なことが待っているかもしれないよ」レイカは少し不安そうに尋ねる。
「老人のほかに動画で倒れてた少女がいたでしょ?もしあれがマジだったら見つけ出してあげないと。特に何もなければすぐに帰ればいいわけだし」
レイカは少し怯えた表情だったが、ヨウコの言葉に後押しされるように、ゆっくりとうなずいた。
「・・・わかった。一緒に行くから」
そうして二人は、エレベーターの奥に続く暗い通路へと足を踏み入れていった。
二人が歩を進めると、エレベーターの奥の通路は徐々に様相を変えていった。瓦礫やホコリは一切なく、美しくも神秘的な白い壁が延々と続いている。まるで、ある高度な知性によって創り出された空間のようだ。
「わあ...ここ、すごい綺麗だね」とレイカが呟く。
「ねえ、この通路って一体何者なのかしら」とヨウコは不思議そうに目を細めながら、その造りの精巧さに感嘆の声を上げる。
二人の足音が淡々と響き渡る中、次第に通路の奥が見えてきた。そこには、微かな光が差し込んでいる。
「あそこに何か光っているよ。行ってみよう」
ヨウコがそう言うと、レイカも少しずつ緊張感を和らげながら、二人で光の方へと歩を進めていった。
まるで、この世界とは一線を画した別の次元へと導かれるような、不思議な感覚に包まれながら。
この先に一体何が待っているのだろうか。二人の探求心は尽きることを知らない。
つづく
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