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全てを無に返す魔女
しおりを挟む炎の花弁が舞い散る、まるで桜吹雪のように美しいそれは一枚一枚がマグマと同等の熱を持つフレテリアの魔法。
美しさを信条とする彼らしい魔法に見惚れるものは多い。
美しく、残虐な魔法、それが彼だ。
ヘリコプターや戦闘機、戦車は次々と花弁の熱で溶かされ沈んでいく、響き渡る。
ここ一週間世界政府は態度を改めることなく、彼に対する攻撃を続けている。
古参の魔女・魔導士達は世界政府から離れ、大いなる父の計画に対する協力体制を取ることにしたようだ。
そこで、残された手段であるものを作り出した。
それは、「フェアリーテイルウィッチ計画」
というものだ。
人の想像や感情を人間することができるフェアリーテイルウイッチマシーンを用いて、人工の魔女を使いフレテリアを攻撃するというものだ。
これで勝機は見えた、そうたかを括っていた人間側だったが…。
彼はその装置から生み出された人工魔女{ガリバー]を見てケラケラと笑った、今彼の姿は[一寸法師]により小さくなっている、にも関わらず彼はケタケタ笑うばかり。
恐怖など微塵も感じられない。
傍にいた魔女[ネロ]は声高らかに嘲笑う。
「愚か、愚かなりぃ!我らが至高の父君が人工の愚鈍な人間どもに作られた魔女如きに敗北するなどありえぬわぁ!」
「すこーし、お口を閉じるんだ。ネロ?戦いに口出しも手出しも美しくない、いいね。」
それを聞いてネロは顔を青ざめた。
「ぬぅ、すまぬ。偉大なりし父よ。」
金髪の美女は萎縮したように謝罪するとフレテリアは優しく微笑んだ、浅葱色の髪の先が金色に輝く。
「生き物っていうのはさ、中身が一番弱いんだよ。」
小さくなったフレテリアがパチン、と指を鳴らすと美しい蝶が羽ばたきながら一寸法師の近くまで飛翔しその鼻に入り込んだ。
「Bonn!」
一寸法師の体から汗が吹き出し、穴という穴から煙が出てきた、後は無惨に倒れ骨も残さず焼き尽くされる。
「おお、素晴らしいぞ、美しく、残虐、流石は始まりの魔女。感服する。」
ネロは幼子のように嬉々とはしゃいだ。
「さぁて、お次は君だ。巨大化の魔法しか使えないようだが全てを燃やすこの炎にどう抗うか見せておくれ」
ガリバーは顔を青くし、近くにいた親子を踏み潰す仕草をする、おそらく人質という意味か。
「許されよ父、『死を招く狂想曲デッドラプソディー」
ネロはヴァイオリンを取り出し奏でる、旋律は鋼の糸となりガリバーの四肢に絡まり切り裂く。
その瞬間を見計らいジャンヌが親子を救出した、親子は間一髪無事だったようだ。
「いい子だね、ネロ。よくやった。」
フレテリアはにっこり笑うとガリバーに向かって炎の蝶を大群で放つ。
もう体は元の大きさに戻っている、今の彼に勝つのは不可能。
「他人を巻き込むなと、言ったはずだが。
大丈夫…、怖がることなどない。痛みはいずれ、慣れる」
一羽ずつ皮膚に張り付き時間をかけて燃やしていく、何度も何度も焼きながらガリバーは悲鳴をあげる、それは卑怯な手段で勝とうとしたその代償なのだ。
第二の刺客ガリバー、第三の刺客一寸法師vs始原の魔女フレテリア・音響の魔女ネロの戦いはフレテリア達の圧勝に終わった。
ー世界滅亡まで350日ー
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