魔女狩り

ムーンΩ

文字の大きさ
上 下
4 / 5

全てを無に返す魔女

しおりを挟む

炎の花弁が舞い散る、まるで桜吹雪のように美しいそれは一枚一枚がマグマと同等の熱を持つフレテリアの魔法。
美しさを信条とする彼らしい魔法に見惚れるものは多い。
美しく、残虐な魔法、それが彼だ。
ヘリコプターや戦闘機、戦車は次々と花弁の熱で溶かされ沈んでいく、響き渡る。
ここ一週間世界政府は態度を改めることなく、彼に対する攻撃を続けている。
古参の魔女・魔導士達は世界政府から離れ、大いなる父の計画に対する協力体制を取ることにしたようだ。
そこで、残された手段であるものを作り出した。
それは、「フェアリーテイルウィッチ計画」
というものだ。
人の想像や感情を人間することができるフェアリーテイルウイッチマシーンを用いて、人工の魔女を使いフレテリアを攻撃するというものだ。
これで勝機は見えた、そうたかを括っていた人間側だったが…。
彼はその装置から生み出された人工魔女{ガリバー]を見てケラケラと笑った、今彼の姿は[一寸法師]により小さくなっている、にも関わらず彼はケタケタ笑うばかり。
恐怖など微塵も感じられない。
傍にいた魔女[ネロ]は声高らかに嘲笑う。
「愚か、愚かなりぃ!我らが至高の父君が人工の愚鈍な人間どもに作られた魔女如きに敗北するなどありえぬわぁ!」
「すこーし、お口を閉じるんだ。ネロ?戦いに口出しも手出しも美しくない、いいね。」
それを聞いてネロは顔を青ざめた。
「ぬぅ、すまぬ。偉大なりし父よ。」
金髪の美女は萎縮したように謝罪するとフレテリアは優しく微笑んだ、浅葱色の髪の先が金色に輝く。
「生き物っていうのはさ、中身が一番弱いんだよ。」
小さくなったフレテリアがパチン、と指を鳴らすと美しい蝶が羽ばたきながら一寸法師の近くまで飛翔しその鼻に入り込んだ。
「Bonn!」
一寸法師の体から汗が吹き出し、穴という穴から煙が出てきた、後は無惨に倒れ骨も残さず焼き尽くされる。
「おお、素晴らしいぞ、美しく、残虐、流石は始まりの魔女。感服する。」
ネロは幼子のように嬉々とはしゃいだ。
「さぁて、お次は君だ。巨大化の魔法しか使えないようだが全てを燃やすこの炎にどう抗うか見せておくれ」
ガリバーは顔を青くし、近くにいた親子を踏み潰す仕草をする、おそらく人質という意味か。
「許されよ父、『死を招く狂想曲デッドラプソディー」
ネロはヴァイオリンを取り出し奏でる、旋律は鋼の糸となりガリバーの四肢に絡まり切り裂く。
その瞬間を見計らいジャンヌが親子を救出した、親子は間一髪無事だったようだ。
「いい子だね、ネロ。よくやった。」
フレテリアはにっこり笑うとガリバーに向かって炎の蝶を大群で放つ。
もう体は元の大きさに戻っている、今の彼に勝つのは不可能。
「他人を巻き込むなと、言ったはずだが。
大丈夫…、怖がることなどない。痛みはいずれ、慣れる」
一羽ずつ皮膚に張り付き時間をかけて燃やしていく、何度も何度も焼きながらガリバーは悲鳴をあげる、それは卑怯な手段で勝とうとしたその代償なのだ。

第二の刺客ガリバー、第三の刺客一寸法師vs始原の魔女フレテリア・音響の魔女ネロの戦いはフレテリア達の圧勝に終わった。

ー世界滅亡まで350日ー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...