3 / 5
人間達よ、今こそその罪を見るがいい
しおりを挟む
「謝罪が先であろう」
そう、重い口を開けたのはエジプトの魔導士[オジマンディアス]である。
それを聞いてジャンヌは「数日前に謝罪をしました」と答えた。
「して、親父殿はなんと?」
「はい、」
…
例の事件が明るみに出る前にいち早く情報を手にしたジャンヌは偉大なる父[始原の焔・フレテリア]に会いに行ったのだ。
人々と魔女・魔導士の架け橋になるべく奮闘してきた彼女にとってこの事態は避けねばならない。
そこには無残な姿の愛妻を抱くフレテリアがいた、美しかった七色の翼は焼かれ、顔も焼け爛れている。
「お父様、この度は誠に申し訳ありません。どうか、どうか、この不肖、ジャンヌ・ダルクの首で許していただけませんか、お願いします!」
「駄目だよ、そんなことをしたらドランシーヌが悲しむだろう。それに、お前達古参の魔女・魔導士達を責める気はないよ。人類と彼らに調教され腑抜けになった同胞達の謝罪でなければ意味はない」
彼は静かに微笑む、目が一切笑ってない。
「仕方ないチャンスを一度だけ、あげようね。タイムリミットまでに人間達が謝罪できたら、助けてあげよう。ただし、お前が自発的にそれを喋ってはいけない。」
…
「というわけです」
ジャンヌから話を聞いてオジマンディアスは、ため息を吐いた。
「なるほど、親父殿にしては苛烈なことをすると思ったが、彼は今命の選別をしている」
「おそらく、人類全てを殺すわけではなく心清き者や幼子、古参の魔女・魔導士、を方舟に乗せる気ですね」
[卑弥呼]
卑弥呼が感心したように呟いた。
「親父殿なら人の心を読むのは容易いからな、人類で船に乗れるのは何人になるか。ジャンヌよ、どうするのだ。」
ジャンヌはそう問われ青ざめた顔で無言を貫く、これは即ち「中立」を意味する。
「少なくともこのクソ政府の見方はしないわよ、ねぇ?」
「確かに今回の一件で呆れ返りましたわ。この百年の努力はなんだったのかしら?」
[クレオパトラ]
エルジェベートの言葉にクレオパトラは盛大なため息を吐き同意した。
「わ、私はお父様を裏切ることはできません。」
「辛いならば寝るといい、それすらあの方は許してくださる。」
道満は優しくジャンヌを諭した。
…
「最初の刺客はキミか、メアリー。」
「あはっ、悪く思わないでね。それじゃあバイバイ!」
メアリーの放つ血の槍がフレテリアに向かって突き刺さる、はずだった。
フレテリアはそれを片手で掴みへし折った、メアリーは少し怯んだが次の魔法を使う。
「流石のあんたもこれは無理でしょう、
【ブラッディ・ハンマー】!」
無数の血で出来た巨大な拳がフレテリアに向かって振り下ろされる、普通の魔女ならばきっと殴り殺されていただろう。
そもそも、そうしてきたのだ。
他者の命を奪い、その血で魔法を行使し贅沢を貪った魔女、それが【メアリー・ハスキン】である。
「蒸発してしまえ。」
舞い散る炎の花弁が拳にまとわりつくと、グツグツと煮え始める。まるで水が沸騰するように。
メアリーの頭の中で、あの時代遅れの魔女の言葉が蘇る。
ー彼の炎は始まりの炎、如何なるものをも溶かし、如何なる存在をも導く篝火。
彼の炎に触れたならば無に帰すだけよ、そこに例外なんてないわー
「この程度とはがっかりだ、弱くなったものだね魔女も、エルジェベートならもう少し戦える。」
炎の薔薇に抱き付かれメアリーの体は燃えていった、肉の焼ける匂いが漂う。
「さよなら、次はもっと賢く生まれておいで」
ー世界滅亡まで、あと359日ー
そう、重い口を開けたのはエジプトの魔導士[オジマンディアス]である。
それを聞いてジャンヌは「数日前に謝罪をしました」と答えた。
「して、親父殿はなんと?」
「はい、」
…
例の事件が明るみに出る前にいち早く情報を手にしたジャンヌは偉大なる父[始原の焔・フレテリア]に会いに行ったのだ。
人々と魔女・魔導士の架け橋になるべく奮闘してきた彼女にとってこの事態は避けねばならない。
そこには無残な姿の愛妻を抱くフレテリアがいた、美しかった七色の翼は焼かれ、顔も焼け爛れている。
「お父様、この度は誠に申し訳ありません。どうか、どうか、この不肖、ジャンヌ・ダルクの首で許していただけませんか、お願いします!」
「駄目だよ、そんなことをしたらドランシーヌが悲しむだろう。それに、お前達古参の魔女・魔導士達を責める気はないよ。人類と彼らに調教され腑抜けになった同胞達の謝罪でなければ意味はない」
彼は静かに微笑む、目が一切笑ってない。
「仕方ないチャンスを一度だけ、あげようね。タイムリミットまでに人間達が謝罪できたら、助けてあげよう。ただし、お前が自発的にそれを喋ってはいけない。」
…
「というわけです」
ジャンヌから話を聞いてオジマンディアスは、ため息を吐いた。
「なるほど、親父殿にしては苛烈なことをすると思ったが、彼は今命の選別をしている」
「おそらく、人類全てを殺すわけではなく心清き者や幼子、古参の魔女・魔導士、を方舟に乗せる気ですね」
[卑弥呼]
卑弥呼が感心したように呟いた。
「親父殿なら人の心を読むのは容易いからな、人類で船に乗れるのは何人になるか。ジャンヌよ、どうするのだ。」
ジャンヌはそう問われ青ざめた顔で無言を貫く、これは即ち「中立」を意味する。
「少なくともこのクソ政府の見方はしないわよ、ねぇ?」
「確かに今回の一件で呆れ返りましたわ。この百年の努力はなんだったのかしら?」
[クレオパトラ]
エルジェベートの言葉にクレオパトラは盛大なため息を吐き同意した。
「わ、私はお父様を裏切ることはできません。」
「辛いならば寝るといい、それすらあの方は許してくださる。」
道満は優しくジャンヌを諭した。
…
「最初の刺客はキミか、メアリー。」
「あはっ、悪く思わないでね。それじゃあバイバイ!」
メアリーの放つ血の槍がフレテリアに向かって突き刺さる、はずだった。
フレテリアはそれを片手で掴みへし折った、メアリーは少し怯んだが次の魔法を使う。
「流石のあんたもこれは無理でしょう、
【ブラッディ・ハンマー】!」
無数の血で出来た巨大な拳がフレテリアに向かって振り下ろされる、普通の魔女ならばきっと殴り殺されていただろう。
そもそも、そうしてきたのだ。
他者の命を奪い、その血で魔法を行使し贅沢を貪った魔女、それが【メアリー・ハスキン】である。
「蒸発してしまえ。」
舞い散る炎の花弁が拳にまとわりつくと、グツグツと煮え始める。まるで水が沸騰するように。
メアリーの頭の中で、あの時代遅れの魔女の言葉が蘇る。
ー彼の炎は始まりの炎、如何なるものをも溶かし、如何なる存在をも導く篝火。
彼の炎に触れたならば無に帰すだけよ、そこに例外なんてないわー
「この程度とはがっかりだ、弱くなったものだね魔女も、エルジェベートならもう少し戦える。」
炎の薔薇に抱き付かれメアリーの体は燃えていった、肉の焼ける匂いが漂う。
「さよなら、次はもっと賢く生まれておいで」
ー世界滅亡まで、あと359日ー
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる