魔女狩り

ムーンΩ

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人間達よ、今こそその罪を見るがいい

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「謝罪が先であろう」
そう、重い口を開けたのはエジプトの魔導士[オジマンディアス]である。
それを聞いてジャンヌは「数日前に謝罪をしました」と答えた。
「して、親父殿はなんと?」
「はい、」

例の事件が明るみに出る前にいち早く情報を手にしたジャンヌは偉大なる父[始原の焔・フレテリア]に会いに行ったのだ。
人々と魔女・魔導士の架け橋になるべく奮闘してきた彼女にとってこの事態は避けねばならない。
そこには無残な姿の愛妻を抱くフレテリアがいた、美しかった七色の翼は焼かれ、顔も焼け爛れている。
「お父様、この度は誠に申し訳ありません。どうか、どうか、この不肖、ジャンヌ・ダルクの首で許していただけませんか、お願いします!」
「駄目だよ、そんなことをしたらドランシーヌが悲しむだろう。それに、お前達古参の魔女・魔導士達を責める気はないよ。人類と彼らに調教され腑抜けになった同胞達の謝罪でなければ意味はない」
彼は静かに微笑む、目が一切笑ってない。
「仕方ないチャンスを一度だけ、あげようね。タイムリミットまでに人間達が謝罪できたら、助けてあげよう。ただし、お前が自発的にそれを喋ってはいけない。」

「というわけです」
ジャンヌから話を聞いてオジマンディアスは、ため息を吐いた。
「なるほど、親父殿にしては苛烈なことをすると思ったが、彼は今命の選別をしている」
「おそらく、人類全てを殺すわけではなく心清き者や幼子、古参の魔女・魔導士、を方舟に乗せる気ですね」
[卑弥呼]
卑弥呼が感心したように呟いた。
「親父殿なら人の心を読むのは容易いからな、人類で船に乗れるのは何人になるか。ジャンヌよ、どうするのだ。」
ジャンヌはそう問われ青ざめた顔で無言を貫く、これは即ち「中立」を意味する。
「少なくともこのクソ政府の見方はしないわよ、ねぇ?」
「確かに今回の一件で呆れ返りましたわ。この百年の努力はなんだったのかしら?」
[クレオパトラ]
エルジェベートの言葉にクレオパトラは盛大なため息を吐き同意した。
「わ、私はお父様を裏切ることはできません。」
「辛いならば寝るといい、それすらあの方は許してくださる。」
道満は優しくジャンヌを諭した。

「最初の刺客はキミか、メアリー。」
「あはっ、悪く思わないでね。それじゃあバイバイ!」
メアリーの放つ血の槍がフレテリアに向かって突き刺さる、はずだった。
フレテリアはそれを片手で掴みへし折った、メアリーは少し怯んだが次の魔法を使う。
「流石のあんたもこれは無理でしょう、
【ブラッディ・ハンマー】!」
無数の血で出来た巨大な拳がフレテリアに向かって振り下ろされる、普通の魔女ならばきっと殴り殺されていただろう。
そもそも、そうしてきたのだ。
他者の命を奪い、その血で魔法を行使し贅沢を貪った魔女、それが【メアリー・ハスキン】である。
「蒸発してしまえ。」
舞い散る炎の花弁が拳にまとわりつくと、グツグツと煮え始める。まるで水が沸騰するように。
メアリーの頭の中で、あの時代遅れの魔女の言葉が蘇る。
ー彼の炎は始まりの炎、如何なるものをも溶かし、如何なる存在をも導く篝火。
彼の炎に触れたならば無に帰すだけよ、そこに例外なんてないわー
「この程度とはがっかりだ、弱くなったものだね魔女も、エルジェベートならもう少し戦える。」
炎の薔薇に抱き付かれメアリーの体は燃えていった、肉の焼ける匂いが漂う。
「さよなら、次はもっと賢く生まれておいで」
ー世界滅亡まで、あと359日ー
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