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しおりを挟む「おや、分からなかったのですか?
これで、お分かりになるでしょうか」
そう言い終わった瞬間に、俺の腕の中にいるルリに向かって攻撃を躊躇なく放つカーネリアン
その事に内心、舌打ちをしながらルリをカーネリアンの攻撃から守る為に素早くルリを抱き込みながら背を向ける。
バシュッ、ゴッ
「ぐっ、うっ」
攻撃の勢いで頭が壁に激突する。
先程の攻撃より威力が弱い攻撃だったが、負傷した背中に2度も攻撃を喰らうとなると別だ
傷口を更に抉る様な感覚に、脂汗が流れた。
魔族は回復力が高いとはいえ、この様に回復が追い付かず同じ個所に2度の攻撃を喰らう事は、幼少期以来だ
「えっ!!??
ラス!!??」
俺の声を聞いたのか、腕の中で戸惑いの声を上げるルリ
俺が強く抱きしめているからか、状況を確認しようにも動けないでいた。
「ふむ、離しませんか
それにしても、痛々しい背中ですね
ですが、いつまで保てるでしょうか」
そう言い、更に攻撃を仕掛けるカーネリアン
バシュッバシュッバシュッ
「ぐっ、うっ、くっ、」
傷が回復しない内に何度も攻撃を喰らい、恐らく背中はズタズタだろう
「ラス!!??
離せって!!
離せっ!!!」
さすがにルリも周りの状況が分からない中、俺に何が起こっているのか分かったのだろう
焦ったように声を掛け、もがく。
何度も続く攻撃に一瞬、腕の力が緩んだのか、その隙にルリが俺の肩越しに何が起こっているのか確認する為か、這い上がってきた。
「くっ、ルリ、止めろっ」
力を振り絞り、ルリを腕の中に戻そうとしたが、遅かった。
「っ!!??
ラ、ラスッ!!!
せな、背中がっ!!!」
驚愕の声を上げ、固まるルリ
「ル、「おや、やっと顔を出しましたね」」
俺が、すぐに回復するとルリに伝えようとした瞬間、カーネリアンに遮られた。
ルリを再び腕の中に隠そうとした途端、
バシュッ
「ぐぅっ」
容赦なく俺の背中に、ルリに見せつけるように攻撃を放ってきた。
「ラスっ!!!」
目の当たりにしたカーネリアンの攻撃に、驚きの声を上げるルリ
勢いよく俺の腕の中から抜け出し、俺の背中を隠すように両膝を床に付いたままカーネリアンを睨みつける。
「ルリ、俺の傷はその内回復する」
何処にも行かないようにルリの腕を掴みながらルリの様子を伺う。
カーネリアンに精神を支配されているわけではないのか
「っんなわけ、ねぇだろっ!
こんなっ、血だらけじゃねぇか」
カーネリアンの方を睨みつけていたルリは俺の言葉を聞いた途端にすぐに振り向き、顔を歪ませて訴えてくる。
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