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アメシスト
しおりを挟む「ふーっ、いただきます」
俺はまだ、固形っていうか硬いものを食べることを禁止されている
だから、今日もおかゆ的なものとスクランブルエッグ的なものが置かれていた。
早く、肉が食いてえ
そう思いつつも、おかゆを食べ始めた。
時々、ラスや太陽たちと話をしながら、いつもと違った楽しい時間を過ごした。
食器が下げられ4人でまったりしていると、突然綺麗な紫色の長い髪で瞳も紫色の魔族が入ってきた。
「失礼いたします」
「アメシスト、戻ったか」
「はい、ただいま戻りました
お邪魔のようなので、後ほどご報告に参ります」
「ああ、頼んだ
それと、先に紹介をしておく
俺の両隣にいるのは、異なる世界から連れてこられた人族だ
詳しくは後ほど話そう
名はルリ、ヒナタだ」
ラスはアメシストに俺らを簡単に紹介した。
「・・・
わかりました
私は、アメシスト・バッカスです
以後、お見知りおきを」
アメシストは無表情で俺らの方を見て、自己紹介をした。
「あ、太陽です
よろしくお願いします」
「瑠璃、です」
あいつ、一瞬だったけど睨んでなかったか?
アメシストの何を考えているかわからない表情と、初めて会う魔族にカタカタと震える体を隠すことに必死だった。
「では、失礼いたします」
「ああ」
アメシストは綺麗に一礼をして出て行った。
「・・ルリ、すまない無理をさせたな」
ラスは俺の状態に気が付いていたんだろう
アメシストが出て行ってすぐに、立ち上がり俺の側に寄り、目線を合わすためにその場に片足をついて俺の様子を伺ってきた。
「いや、このくらい平気だ
早く慣れないとな」
思い通りにいかねえもんだな
いまだに震えている体を預けるようにラスの肩に頭をすり寄せた。
「・・・ああ、そうだな」
ラスは俺の頭を優しく宥めるように撫でながら、少しの沈黙の後そう言った。
「アベン、アメシストってどんな魔族なんだ?」
太陽はアメシストの事が気になったのか、隣にいるアベンに聞いた。
「あー、あいつは俺も苦手なんだよねー
常に無表情で何を考えているのかさっぱりだし
それに人族の事を嫌っているっぽいから、無理に近づかない方がいいよー」
アベンは肩をすくめながらそう言った。
「そっか、だから一瞬睨まれたのか」
「えっ!?
嘘!?
チッ、あいつ」
アベンは太陽の言葉を聞いて、怒りを露わにしていた。
太陽も気づいていたのか
「・・・そうか
アメシストにも、事情がある
そう、悪く思わないでくれ」
ラスは苦笑いに近い、複雑そうな顔をしてそう言った。
「・・・わかった」
俺も太陽もラスの言葉に素直に頷いた。
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