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俺の思い
しおりを挟む「俺の聞いた話じゃ、魔王の事をラスと呼んでいるのはお前だけだそうだぞ」
太陽のその言葉を聞いて、顔が熱くなった。
「太陽っ!」
それを誤魔化す為にキッと睨んだ。
「その顔で睨まれても怖くないな」
ふっと笑ってそう言った。
「うるせえっ」
ラスと呼んでいるのが俺だけだって!?
確かに、誰もラスと呼んでいるところは聞いたことがねえ
それに俺も魔王様って呼ぶようにしないと、とか思ってなかったか?
いつの間にか、ラスと呼ぶことが自然になってた
「なあ、もうわかっているだろ?」
確信しているようにそう言われ、俺は苦笑いをした。
「・・・わからねえよ
ラスの気まぐれかもしれねぇだろ
第一、あいつは魔王だ
もし恋人になれたとしても周りのやつらは俺らの関係を許さねぇだろ」
魔王でも、王だ
こっちの世界はどういう制度になっているか、わからないけど、貴族や王族がいるんだったら婚約者もいるだろう
そう思い、思わずラスと顔も知らぬ婚約者の姿を想像してしまった。
また、胸がズキズキと苦しくなり、心臓辺りの服を握りしめた。
「・・・恋人になりたいんだな」
太陽がぼそりと呟いた。
「はっ!?」
思わず顔を上げて太陽を見た。
「だってそうだろ?
例えばの話で、恋人になったとしたらなんて相手を恋人として見ていなかったら出ない言葉だろ」
「はあ!?そんっ、なわけっ「あるだろ?」・・・」
俺の言葉に被せるように言われ、黙るしかなかった。
太陽の言う通り、俺はラスの事を恋愛対象として好きなのか・・・?
「じゃあ、今ここにいない魔王が他の誰かと仲良さそうにしている所を想像してみろ
どう思う?」
「・・どうって、仲いいのか、としか」
急な質問に、戸惑いながらも答えた。
「それじゃあ、その相手が魔王の事を好きだったら?」
「そっ、れは・・」
すげえモヤモヤする
「・・・なんか、嫌だ」
「なんでだ?瑠璃には関係ないだろ?
もし、その相手が魔王に告白して付き合ったとしても、いいんだな?」
「嫌だ!
!?」
反射的に出した答えに自分自身が驚いた。
「ふっ、それが答えだな
俺もここまで突っ込むつもりもなかったけど、瑠璃って鈍いから」
「!
うるせえっ」
俺の言葉に太陽はあははっと笑った。
「ははっ
もう、わかっただろ?」
そう言う太陽に、もう認めるしかなかった。
「ああ
俺はラスが ’ガチャ’ 好きだ」
あ?ガチャ?
「ああ?」
「・・・え」
「・・・あ」
俺と太陽は声のした方向を見て固まった。
「どういうことだ」
そして、ラスの低く苛立った声に動けなくなった。
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