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足の治療
しおりを挟むコンコンコン
「入れ」
「失礼致します」
部屋のノックにはやっぱり体が強張るけど、ラスが側にいるし、クラルが来ることは予めわかっていたからそれ程体が強張ることはなかった。
「ルリ様、昨日ぶりでございます
本日は足の治療から先に始めさせていただきますね」
クラルの言葉に頷いた。
「本日の体調はいかがですか?」
大丈夫だ
それに頷いて、体調はいいと伝えた。
「それは何よりでございます
では、足の治療についてですが、ルリ様の左足は正常な位置でないまま癒合し始めています
癒合部分を取り除き、正常の位置まで戻すのですが、相当な激痛になるでしょう
酷な事を申し上げますが、気をしっかりと保ってください」
クラルの真剣な言葉にしっかりと頷いた。
激痛、か
「魔王様、申し訳ございませんがルリ様が動かないようにしっかりと抑えていてください
少しでもずれてしまいますともう一度やり直さなければなりませんので」
「・・・わかった」
ラスはクラルの言葉に返事をすると、ベッドに座り俺に覆いかぶさった。
ラスは俺の両手をしっかりとベッドに押さえつけた。
「ルリ、少しの間、我慢してくれ」
その時に俺にだけ聞こえるような小さな声で俺の耳元で呟いた。
押さえつけられている事に体を一瞬強張らせたけど、ラスの言葉に力を抜いて、頷いた。
「では、始めます」
・
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結論から言うと、何も感じなかった。
足を動かされている感覚はあるけど、痛みは感じない
でも、クラルの魔力を体に流されているから、気持ち悪い
多分、ラスもクラルも変に思っているだろうな
暴れる様子もなく、声すら上げないなんて
「終わりました
足は正常の位置まで戻すことが出来ました
ルリ様、よく、耐えられましたね」
クラルは俺の足が正常の位置に戻せたことへの達成感からか、何も疑問に思っていないように明るく声を掛けてきた。
「いや、耐えていたのではないのだろう
クラル、コスピーノをくれ」
ラスが俺の上からそっと退いて、少し厳しめな声でそう言った。
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