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◆在るべきところへ◇16話◇炎の力を ①
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◆在るべきところへ◇16話◇炎の力を ①
実の息子から向けられた剣の切っ先に全く怯む様子もなく、ミゼリットは目を細めて笑った。
「そんなもので勝てると思ってるの?」
彼女が片腕を振り上げると、炎をまとった衝撃波が襲いかかってきた。
普通の人間ならまともに食らって消し炭になっていたかもしれない。
インティスは咄嗟に炎を剣でやりすごしたが、それでも残りの衝撃波で体ごと後方に吹っ飛ばされた。
その直後、ミゼリットが背後の足音に気付いて振り向いた。眠っている人間たちのところに到達しようとするカーリアンに、同じように炎の衝撃波を繰り出す。
彼女もすぐに精霊の力を借りて防いだようだが、足止めは避けられなかった。
「アテネ! 起きろ!」
渾身の力でインティスは叫んだ。
距離は大分離れているし、炎の轟音が飛び交う中では無謀なことだと思ったが、アテネが弾かれたように目を覚ます様子が見えた。
彼女は上体を起こして辺りを見回し、ここに連れて来られる前の記憶と結びつけたようだった。
だが彼女は戦う術を知らない。レイが教えていたのは自らの炎の力を抑える方法であり、ミゼリットのように炎を飛ばしたりはできないはずだ。
『何かあったら、あたしたちを守ってね』
アテネがさらわれる前、水の遺跡で彼女にそう言われたのを鮮明に思い出す。
レイも彼女も剣を持たないからと、当たり前のように返事した自分。
「っ……くそ!」
守れなかった後悔が苛立ちに変わり、ミゼリットがカーリアンの方を向いている隙をついて、インティスはアテネの所へ向かおうと地面を蹴った。
だが、わずかな気配の変化に気付いたミゼリットと目が合った。まずい、と思った瞬間、すでに体は彼女が起こした爆風に巻き込まれていた。
「インティス!」
すぐにフェレナードが駆けつけた。背中からまともに落ちた割に衝撃が小さかったのは、彼が魔法で何かしてくれたのかもしれない。
「インティスに何するの! やめてよ!」
アテネから、ミゼリットが驚いて目を見張るほどの炎が吹き上がった。
「……精霊がいないのに、それだけ炎の力を集められるのはなかなかね」
「ミゼリット! やめろ!」
声がすぐ近くで聞こえる、風の精霊を使ったレイの制止も聞かず、ミゼリットはアテネのすぐ目の前に飛んだ。
実の息子から向けられた剣の切っ先に全く怯む様子もなく、ミゼリットは目を細めて笑った。
「そんなもので勝てると思ってるの?」
彼女が片腕を振り上げると、炎をまとった衝撃波が襲いかかってきた。
普通の人間ならまともに食らって消し炭になっていたかもしれない。
インティスは咄嗟に炎を剣でやりすごしたが、それでも残りの衝撃波で体ごと後方に吹っ飛ばされた。
その直後、ミゼリットが背後の足音に気付いて振り向いた。眠っている人間たちのところに到達しようとするカーリアンに、同じように炎の衝撃波を繰り出す。
彼女もすぐに精霊の力を借りて防いだようだが、足止めは避けられなかった。
「アテネ! 起きろ!」
渾身の力でインティスは叫んだ。
距離は大分離れているし、炎の轟音が飛び交う中では無謀なことだと思ったが、アテネが弾かれたように目を覚ます様子が見えた。
彼女は上体を起こして辺りを見回し、ここに連れて来られる前の記憶と結びつけたようだった。
だが彼女は戦う術を知らない。レイが教えていたのは自らの炎の力を抑える方法であり、ミゼリットのように炎を飛ばしたりはできないはずだ。
『何かあったら、あたしたちを守ってね』
アテネがさらわれる前、水の遺跡で彼女にそう言われたのを鮮明に思い出す。
レイも彼女も剣を持たないからと、当たり前のように返事した自分。
「っ……くそ!」
守れなかった後悔が苛立ちに変わり、ミゼリットがカーリアンの方を向いている隙をついて、インティスはアテネの所へ向かおうと地面を蹴った。
だが、わずかな気配の変化に気付いたミゼリットと目が合った。まずい、と思った瞬間、すでに体は彼女が起こした爆風に巻き込まれていた。
「インティス!」
すぐにフェレナードが駆けつけた。背中からまともに落ちた割に衝撃が小さかったのは、彼が魔法で何かしてくれたのかもしれない。
「インティスに何するの! やめてよ!」
アテネから、ミゼリットが驚いて目を見張るほどの炎が吹き上がった。
「……精霊がいないのに、それだけ炎の力を集められるのはなかなかね」
「ミゼリット! やめろ!」
声がすぐ近くで聞こえる、風の精霊を使ったレイの制止も聞かず、ミゼリットはアテネのすぐ目の前に飛んだ。
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