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◆在るべきところへ◇7話◇神話の裏側 ①
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◆在るべきところへ◇7話◇神話の裏側 ①
歴史上の英雄の末裔を名乗って悪巧みをする連中はたくさんいる。
かつて繁栄した王国の子孫と名乗る者も。
なぜなら遠すぎる過去は、おとぎ話みたいなものだから。
いるといえばいるし、いないといえばいないあやふやなものだ。
だって誰もその時代を生きたわけではないのだから。
◇
焚き火が揺れているおかげで、沈黙が時を止めていないとわかる。
「ミゼリットが友人って、どういうこと? あの神話は九百年も前だよ?」
「そうだね、この世界はまだそれくらいしか時は経っていない」
「それくらいしかって……」
まるでそれまでの九百年を生きてきたような口振りに、インティスは動揺する。
そこへレイは静かに切り出した。
「……二人とも、あの四人の名前は覚えているかい?」
「弓使いのミゼリット、剣士ハーテイン、賢者レイヒーンと、魔法使いのカーリアン……って、本当ですか? ただ同じ名前なのだと……」
神話に登場する四人の人間の名前を上げながら、さすがにフェレナードが気付いたようだ。
「残念ながら本当だよ、皆縮めて言うけれど私の名前はレイヒーンと言うし、君に魔法を教えているカーリアンも私の妹で、本人だ」
「そんな……」
インティスは言葉が見つからなかった。
これまで、レイを賢者様と崇めて未来を予見してもらおうと目論む英雄の末裔とか、自称滅びた王家の子孫がたくさんやってきた。
彼らの言うことは虚構すぎて、信じるにも値しない話ばかりだった。
なのに今、育ての親であるレイから彼自身のことを聞かされて、信じられない気持ちと同時に、その立ち居振る舞いに納得してしまう自分がいる。
本当のこととは、こういうことなのだ。
「話を戻そうか。神話と言われているけれど、あれは私たちの思い出話にすぎないんだ。ただ、人数が違っていてね」
神話では四人の人間とされていた。
人間が神々に逆らったせいで星は真っ暗な世界に戻るはずだったが、彼らが神々を説得してくれたおかげで、再び今ある世界を取り戻すことができた。誰もが知っている一番有名な神話だ。
「あの話、本当は五人だったんだ」
歴史上の英雄の末裔を名乗って悪巧みをする連中はたくさんいる。
かつて繁栄した王国の子孫と名乗る者も。
なぜなら遠すぎる過去は、おとぎ話みたいなものだから。
いるといえばいるし、いないといえばいないあやふやなものだ。
だって誰もその時代を生きたわけではないのだから。
◇
焚き火が揺れているおかげで、沈黙が時を止めていないとわかる。
「ミゼリットが友人って、どういうこと? あの神話は九百年も前だよ?」
「そうだね、この世界はまだそれくらいしか時は経っていない」
「それくらいしかって……」
まるでそれまでの九百年を生きてきたような口振りに、インティスは動揺する。
そこへレイは静かに切り出した。
「……二人とも、あの四人の名前は覚えているかい?」
「弓使いのミゼリット、剣士ハーテイン、賢者レイヒーンと、魔法使いのカーリアン……って、本当ですか? ただ同じ名前なのだと……」
神話に登場する四人の人間の名前を上げながら、さすがにフェレナードが気付いたようだ。
「残念ながら本当だよ、皆縮めて言うけれど私の名前はレイヒーンと言うし、君に魔法を教えているカーリアンも私の妹で、本人だ」
「そんな……」
インティスは言葉が見つからなかった。
これまで、レイを賢者様と崇めて未来を予見してもらおうと目論む英雄の末裔とか、自称滅びた王家の子孫がたくさんやってきた。
彼らの言うことは虚構すぎて、信じるにも値しない話ばかりだった。
なのに今、育ての親であるレイから彼自身のことを聞かされて、信じられない気持ちと同時に、その立ち居振る舞いに納得してしまう自分がいる。
本当のこととは、こういうことなのだ。
「話を戻そうか。神話と言われているけれど、あれは私たちの思い出話にすぎないんだ。ただ、人数が違っていてね」
神話では四人の人間とされていた。
人間が神々に逆らったせいで星は真っ暗な世界に戻るはずだったが、彼らが神々を説得してくれたおかげで、再び今ある世界を取り戻すことができた。誰もが知っている一番有名な神話だ。
「あの話、本当は五人だったんだ」
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