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◆在るべきところへ◇5話◇略取 ①
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◆在るべきところへ◇5話◇略取 ①
本来真っ暗なはずの夜の広場は、全身に炎をまとった人間が立っているせいで、そこだけ昼間のように明るくなっていた。
インティスは確信した。間違いなく、これまで何度も夢に出てきた人物だ。男か女かもわからず、ただ見下してくる赤い目をはっきりと覚えている。
自室を飛び出し、剣を掴んで外へ出ると、すぐにそいつと目が合った。
友好的な視線ではないことは一瞬でわかる。だが、剣を抜こうとした時には、その炎の人間はインティスのすぐ前まで来ていた。
女だ。炎の人間は女性の体つきをしていた。
この村の人間にも多い赤い髪、赤い目。そして同じように赤く燃える炎。彼女は手を伸ばすと、インティスの腕を掴んだ。
夢と同じだ。速くて避けられず、引き寄せられると炎が乗り移ってきて熱い。だが、火傷を負うほどではなかった。
あの目を思い出して身構えたが、不思議と殺意は感じられない。
それなのに、目を逸らそうとしてもできず、体も言うことをきかない。
「何だ、これ……」
これまで異形なものと戦ってきても、このようなことはなかったのに。
すると、誰かによって女の手から無理矢理引き離された。
それはフェレナードだった。彼の方がインティスより大分背が高いから、片腕を回してすぐに炎から離すことができたようだった。
「みんな家の中にいて! こっちに来ないで!」
村の皆を制していたのは水の精霊ライネだ。小柄な彼女からこんなに大きな声が出るとは思わなかった。
インティスは体勢を立て直すと、これ以上近寄られないよう剣を抜いた。
すると、女とインティスをさらに隔てるように、二人の間にどこからともなく水の膜が現れた。
インティスとフェレナードが振り向くと、その魔法を放ったばかりのレイが険しい顔で立っていた。
「今まで隠してたなんてずるいじゃない。探すのに苦労したわ」
女が、まるで知り合いであるかのような口振りでレイに声をかけた。体にまとう炎のせいで表情までは見えない。
「君こそ、一向に姿を見せてくれなかっただろう。随分探したのに」
インティスは驚いた。まるで吐き捨てるような、こんなに強い口調のレイは初めてだった。
女はレイの言葉には答えず、口元をつり上げて笑ってみせた。
本来真っ暗なはずの夜の広場は、全身に炎をまとった人間が立っているせいで、そこだけ昼間のように明るくなっていた。
インティスは確信した。間違いなく、これまで何度も夢に出てきた人物だ。男か女かもわからず、ただ見下してくる赤い目をはっきりと覚えている。
自室を飛び出し、剣を掴んで外へ出ると、すぐにそいつと目が合った。
友好的な視線ではないことは一瞬でわかる。だが、剣を抜こうとした時には、その炎の人間はインティスのすぐ前まで来ていた。
女だ。炎の人間は女性の体つきをしていた。
この村の人間にも多い赤い髪、赤い目。そして同じように赤く燃える炎。彼女は手を伸ばすと、インティスの腕を掴んだ。
夢と同じだ。速くて避けられず、引き寄せられると炎が乗り移ってきて熱い。だが、火傷を負うほどではなかった。
あの目を思い出して身構えたが、不思議と殺意は感じられない。
それなのに、目を逸らそうとしてもできず、体も言うことをきかない。
「何だ、これ……」
これまで異形なものと戦ってきても、このようなことはなかったのに。
すると、誰かによって女の手から無理矢理引き離された。
それはフェレナードだった。彼の方がインティスより大分背が高いから、片腕を回してすぐに炎から離すことができたようだった。
「みんな家の中にいて! こっちに来ないで!」
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すると、女とインティスをさらに隔てるように、二人の間にどこからともなく水の膜が現れた。
インティスとフェレナードが振り向くと、その魔法を放ったばかりのレイが険しい顔で立っていた。
「今まで隠してたなんてずるいじゃない。探すのに苦労したわ」
女が、まるで知り合いであるかのような口振りでレイに声をかけた。体にまとう炎のせいで表情までは見えない。
「君こそ、一向に姿を見せてくれなかっただろう。随分探したのに」
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