あの冬の日に

sherry

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ちえちゃん

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その日も僕はいつも通り出社した。

同じ工場で働く先輩が

珍しく本を読んでいたから

気になって声をかけた。

なんの本を読んでいるのか、と。

先輩はこう答えた。

「ああ、これ、俺の友達のとこの娘さんの友達が書いた本らしいんだけど、すごく評判らしくて、読め読めってうるさいからさ。ノンフィクションらしいよ」

へぇ~、と作者を見て僕は驚いた。

「中野ちえり」

ちえちゃん…。

まさか。そんな。人違いだろう。

そう思った。

でも気になって、先輩に借りて

本を読んだ。

小さい頃から一緒だった幼馴染と

「家族」になったこと

その「家族」がある日急にいなくなったこと

その「家族」を…今も待ち続けていること。

すぐに自分のことだとわかった。








ちえちゃん、まさか

まだ僕を待っていてくれてるの?
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