あの冬の日に

sherry

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日々

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家を出た晴人は1人、

電話で聞いた住所に向かった。

そこは病院だった。

着くと、入り口には「代理人」がいた。

促されて病室へ入り

数年ぶりの対面をした。

そこには昔の面影はなく、

弱々しく寝ている晴人の父の姿があった。

記憶の麻痺があり、

晴人のことを息子だと理解することは

おそらく出来ていなかっただろう、と

のちに晴人は語った。

そこからは「代理人」のサポートのもと、

病院の近所に家を借り、

近くの町工場で働きながら

父親の看病をする日々を送ったそうだ。

そして私たちが18歳になる頃、

晴人の父は亡くなった。

「その後」を考えていなかった晴人は

帰るべきか悩んだ。

どう帰っていいものか。

そもそも施設は18歳になったら

出ていかなければならない決まりがあるし

親切にしてくれた人たちを裏切り、

振り回した自分は

帰るべきではない。

そう考えた。

せめて高校にも通っていない自分を

働かせてくれた恩を返そう、と

町工場で働き続けることを選んだ。

働きながら勉強をして、

いつしか22歳になっていた。
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