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第16話 聖戦器の秘密
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「それではこの星槍は王子が?」
この後に控えるスザク奪還作戦話し合う作戦会議が終わり、ランスベルト王子から掛けられた言葉が、後続の輸送部隊に預けていた星槍が突如光り輝いたかと思うと、次の瞬間消えて無くなったという話だった。
「聖戦器は自らの意思を持っていると言われているからな、恐らくミレーナの心の叫びに駆けつけたのだろう」
俄かに信じられないが、実際私の元に駆けつけたのだから間違いないだろう。それにしても何故王子部隊に星槍があったのか。
「悪いが、俺たちが星槍を持っていた経緯は教えられない事になっているんだ。少なくともこの国の未来をお前達に託したいと思っている人物の好意だと思ってくれ」
お前達……それが誰を指しているか分からないけど、やっぱり王子も……
「ミレーナ様!」
「フィーナ様、この度は援軍ありがとうございます」
王子と話しているとフィーナ様が駆け寄ってきた。そういえば彼女の持つ剣もまだ謎のままだったわね。
「あの、ミレーナ様の部隊にマスクをつけた女の人っていませんか? ずっと探しているんですが、見つからないんです」
「えっ?」
それって間違いなくローズさんの事だろう、でも何でフィーナ様がローズさんの事を知っているの?
「それは……」
言っていいのだろうか、必ず何処かで生きていると思っているが、未だに何の手がかりも見つかっていないのが現状だ。
フィーナ様とどういう関係か知らないけれど、何も知らないのは知っているよりも辛い事だろう。私は迷った末、意を決意して全てを語り出した。
「そんな、お姉さまが死んだなんて……」
話を聞き終えた彼女はその場で崩れ落ちるように倒れこんだ。
「なんで、なんでお姉さまが死ななきゃいけないんですか! そんなの酷すぎる、折角いも……」
「フィーナ!」
「でも」
「彼奴も全てを受け入れた上での事だ」
やっぱりフィーナ様もランスベルト様もローズさんの正体を知っている。一体どこでどう暮らしてたの?
「フィーナ様、私はまだローズさん死んだと思っておりません。先日まではただ自分に言い聞かせているだけでしたが、今は実感できるんです。」
星槍を手にした時から感じる事が出来る暖かな温もり、あれは間違いなくローズさんが近くにいた時の感じだ。きっと星槍は彼女が近くにいる事を教えてくれているのではないだろうか。
「……分かりました、ミレーナ様がそう言うのでしたら私も最後まで信じてみようと思います。」
「ありがとうございます。それでその、ローズさんとは一体どう言う関係で?」
フィーナ様はローズさんの事をお姉さまと言っていたが、髪の色も違うし本当の姉妹と言うわけではないだろう、多分前に聞いた義理の妹、それが彼女ではないだろうか。
「リリ……コホン、ローズさんはいずれ私のお姉さまになる人、お兄さまの婚約者なんです」
「……はい?」
えっ、今何て言った? お兄さまの婚約者? それってジークハルト様のお嫁さん!?
「おいフィーナ、まだ婚約はしていないだろう。俺はまだ諦めた訳じゃないんだからな」
「えぇー、お兄さまとお姉さまは相思相愛ですよ。例え王子様でも邪魔はさせませんよ」
ちょ、ちょっとまって、それって三角関係!? ローズさんて一体何者!?
ますます分からなくなってきた、ジークハルト様とランスベルト様はローズさんを巡った恋のライバル? 王子様と公子から愛されてるってどれだけ凄いひとなのよ。
「まぁ、この話はここまでだ。続きはこの戦いが終わった後にゆっくりすればいい」
「そうですね、最後はお姉さまに決めて頂ければいいですし」
お二人の間に飛び散る火花が目に見えそうだ、ジークハルト様VSランスベルト様と言うより、フィーナ様VSランスベルト様と言った方がいいのではないだろうか。
「えっと、私、フィーナ様に聞きたい事があったんですが」
「私にですか? 何でしょうか」
よし、さり気なく話を反らす事が出来た。
これ以上お二人の間にいるのは何かと辛い。そもそもこの戦いが終わればローズさんはこの領地に留まってもらうんだから、お二人には渡す気は毛頭ございません。
「フィーナ様がお持ちの聖剣の事なんですが、たしか聖剣アーリアルは今帝国側の手に落ちていると」
「えぇ、それは間違いございません。お兄さまが継承される聖剣は現在レガリアの王都にあると言われています」
「それじゃ今お持ちの聖剣は何なのですか? それにあの威力、とても私の持つ聖戦器ではあんな魔法使う事が出来ません」
昨日の戦いで見せたあの魔法、お父様はもちろん星槍を得た私にも使う事は出来ないだろう。
「この剣は五つの聖戦器の元となった剣と聞いております」
「聖戦器の元?」
「元々アーリアルは、聖女アリス様が王女ミリアリア様の為に自らの血で清めた剣、その目的は邪霊と呼ばれる存在を滅ぼす為に作られたと言われています。
そして後に大地を浄化する為に作られたのが五つの聖戦器、つまり聖戦器本来の目的は戦う為に作られたものではないんです」
聖戦器が戦う為の武器じゃない? そんな事お父様からは教えてもらってない。そもそも武器の形をしているし、その威力は別格と言ってもいいほど強力だ。
「それじゃ五つの聖戦器より、フィーナ様が持つ初代聖剣の方が威力が強いと言う事なんですか?」
「それは違います、五つの聖戦器も初代聖剣と同様、いえ、それ以上の祈りが込められています。ただ目的が違うのです。」
「目的ですか?」
「私のもつ初代聖剣は持ち主を守るよう祈りが込められています。一方五つの聖戦器は国を、領民たちを守る為の祈りが込められているのです。つまりミレーナ様がこの国の為、そして多くの民を思う心が強さに反映されるんです」
まるでおとぎ話を聞いているようだが、もしこの話が本当なら私はまだ星槍に認められていない事になる。
「もっとも、聖戦器が認めた者でなければ只の丈夫な武器にしかなりませんが、少なくとも星槍自ら現れたのですから、ミレーナ様には十分主人としての力量をお持ちなのですよ」
「ありがとうございます。」
スターゲイザーが私を認めてくれたのか、ローズさん……お姉さまが私に力を貸してくれたのかは分からないが、今はただ自分の信じる道を進むだけ。
そしていずれ星槍が真の主人と認めた方に大いなる力を貸してくれるだろう、願わくば私ではなくローズさんに。
この後に控えるスザク奪還作戦話し合う作戦会議が終わり、ランスベルト王子から掛けられた言葉が、後続の輸送部隊に預けていた星槍が突如光り輝いたかと思うと、次の瞬間消えて無くなったという話だった。
「聖戦器は自らの意思を持っていると言われているからな、恐らくミレーナの心の叫びに駆けつけたのだろう」
俄かに信じられないが、実際私の元に駆けつけたのだから間違いないだろう。それにしても何故王子部隊に星槍があったのか。
「悪いが、俺たちが星槍を持っていた経緯は教えられない事になっているんだ。少なくともこの国の未来をお前達に託したいと思っている人物の好意だと思ってくれ」
お前達……それが誰を指しているか分からないけど、やっぱり王子も……
「ミレーナ様!」
「フィーナ様、この度は援軍ありがとうございます」
王子と話しているとフィーナ様が駆け寄ってきた。そういえば彼女の持つ剣もまだ謎のままだったわね。
「あの、ミレーナ様の部隊にマスクをつけた女の人っていませんか? ずっと探しているんですが、見つからないんです」
「えっ?」
それって間違いなくローズさんの事だろう、でも何でフィーナ様がローズさんの事を知っているの?
「それは……」
言っていいのだろうか、必ず何処かで生きていると思っているが、未だに何の手がかりも見つかっていないのが現状だ。
フィーナ様とどういう関係か知らないけれど、何も知らないのは知っているよりも辛い事だろう。私は迷った末、意を決意して全てを語り出した。
「そんな、お姉さまが死んだなんて……」
話を聞き終えた彼女はその場で崩れ落ちるように倒れこんだ。
「なんで、なんでお姉さまが死ななきゃいけないんですか! そんなの酷すぎる、折角いも……」
「フィーナ!」
「でも」
「彼奴も全てを受け入れた上での事だ」
やっぱりフィーナ様もランスベルト様もローズさんの正体を知っている。一体どこでどう暮らしてたの?
「フィーナ様、私はまだローズさん死んだと思っておりません。先日まではただ自分に言い聞かせているだけでしたが、今は実感できるんです。」
星槍を手にした時から感じる事が出来る暖かな温もり、あれは間違いなくローズさんが近くにいた時の感じだ。きっと星槍は彼女が近くにいる事を教えてくれているのではないだろうか。
「……分かりました、ミレーナ様がそう言うのでしたら私も最後まで信じてみようと思います。」
「ありがとうございます。それでその、ローズさんとは一体どう言う関係で?」
フィーナ様はローズさんの事をお姉さまと言っていたが、髪の色も違うし本当の姉妹と言うわけではないだろう、多分前に聞いた義理の妹、それが彼女ではないだろうか。
「リリ……コホン、ローズさんはいずれ私のお姉さまになる人、お兄さまの婚約者なんです」
「……はい?」
えっ、今何て言った? お兄さまの婚約者? それってジークハルト様のお嫁さん!?
「おいフィーナ、まだ婚約はしていないだろう。俺はまだ諦めた訳じゃないんだからな」
「えぇー、お兄さまとお姉さまは相思相愛ですよ。例え王子様でも邪魔はさせませんよ」
ちょ、ちょっとまって、それって三角関係!? ローズさんて一体何者!?
ますます分からなくなってきた、ジークハルト様とランスベルト様はローズさんを巡った恋のライバル? 王子様と公子から愛されてるってどれだけ凄いひとなのよ。
「まぁ、この話はここまでだ。続きはこの戦いが終わった後にゆっくりすればいい」
「そうですね、最後はお姉さまに決めて頂ければいいですし」
お二人の間に飛び散る火花が目に見えそうだ、ジークハルト様VSランスベルト様と言うより、フィーナ様VSランスベルト様と言った方がいいのではないだろうか。
「えっと、私、フィーナ様に聞きたい事があったんですが」
「私にですか? 何でしょうか」
よし、さり気なく話を反らす事が出来た。
これ以上お二人の間にいるのは何かと辛い。そもそもこの戦いが終わればローズさんはこの領地に留まってもらうんだから、お二人には渡す気は毛頭ございません。
「フィーナ様がお持ちの聖剣の事なんですが、たしか聖剣アーリアルは今帝国側の手に落ちていると」
「えぇ、それは間違いございません。お兄さまが継承される聖剣は現在レガリアの王都にあると言われています」
「それじゃ今お持ちの聖剣は何なのですか? それにあの威力、とても私の持つ聖戦器ではあんな魔法使う事が出来ません」
昨日の戦いで見せたあの魔法、お父様はもちろん星槍を得た私にも使う事は出来ないだろう。
「この剣は五つの聖戦器の元となった剣と聞いております」
「聖戦器の元?」
「元々アーリアルは、聖女アリス様が王女ミリアリア様の為に自らの血で清めた剣、その目的は邪霊と呼ばれる存在を滅ぼす為に作られたと言われています。
そして後に大地を浄化する為に作られたのが五つの聖戦器、つまり聖戦器本来の目的は戦う為に作られたものではないんです」
聖戦器が戦う為の武器じゃない? そんな事お父様からは教えてもらってない。そもそも武器の形をしているし、その威力は別格と言ってもいいほど強力だ。
「それじゃ五つの聖戦器より、フィーナ様が持つ初代聖剣の方が威力が強いと言う事なんですか?」
「それは違います、五つの聖戦器も初代聖剣と同様、いえ、それ以上の祈りが込められています。ただ目的が違うのです。」
「目的ですか?」
「私のもつ初代聖剣は持ち主を守るよう祈りが込められています。一方五つの聖戦器は国を、領民たちを守る為の祈りが込められているのです。つまりミレーナ様がこの国の為、そして多くの民を思う心が強さに反映されるんです」
まるでおとぎ話を聞いているようだが、もしこの話が本当なら私はまだ星槍に認められていない事になる。
「もっとも、聖戦器が認めた者でなければ只の丈夫な武器にしかなりませんが、少なくとも星槍自ら現れたのですから、ミレーナ様には十分主人としての力量をお持ちなのですよ」
「ありがとうございます。」
スターゲイザーが私を認めてくれたのか、ローズさん……お姉さまが私に力を貸してくれたのかは分からないが、今はただ自分の信じる道を進むだけ。
そしていずれ星槍が真の主人と認めた方に大いなる力を貸してくれるだろう、願わくば私ではなくローズさんに。
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