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始まり
第4話 最初の第一歩
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「ティナ、お父様からのお許しが出たの」
「お許しですか?」
条件付きだが、まさかこんなにもすんなり服作りのお許しが出るとは思わなかった。
普通貴族の者は商会やお店を経営する事はあっても、直接物を作ったり売ったりする事はない。特に女性はご婦人方からお茶会等で情報を集めたり、当主が留守の間お屋敷を守ったりする事が役目だと言われているので、表立って仕事や経営に手を出したりする事はないとされている。
半ば駄目元で服を作りたいと言ってみたのだけれど、それが通るとは思ってもいなかった。
「えぇ、学園を辞めた後何をするのかと聞かれたので、思わず服作りをしたいと言ったらお許しをもらえる事になったのよ」
「そうですか、学園を辞めてって……えぇーーーー!!! お嬢様学園をお辞めになるんですか!?」
あら、ティナはそっちに反応するのね。
私としては学園を辞める方はどうでもいい事なんだけど。
「何故ですか、何でお嬢様が学園を辞めなければならないんですか、お嬢様は何も悪い事をしていないではないですか! こんな理不尽な事私は絶対にゆるせません。今から旦那様のところに行き抗議してきます!」
「って、ちょっと待って」
そう言ってティナが勢い良く部屋から出て行こうとするので、慌てて止めに入る。
メイドのティナが当主であるお父様に文句何て言えばどんな罰が下されるか分からない。案外私の事を思っての行動だと笑って許してくれるかもしれないが、ティナの母親であるケイトが娘の愚行を許すとはとても思えない。
最悪お屋敷から追い出されるかもしれないので、それだけは何としてでも阻止しなければならない。
「何で止めるんですか! 私もう悔しくて悔しく……お嬢様が苦しんでおられる時に何もできないなんて、私は一体何の為にお側にいるんですか!」
目に涙をいっぱいに溜めて、止めた私に抗議してくる。
こんな彼女だから私は失いたくないんだ。
「いいからよく聞いて、学園を辞めると言い出したのは私の方なの。お父様もお母様もどちらかと言うと止めに入られた方よ」
「だったら何で学園を辞めるんですか、後一年で卒業出来ると言うのに」
「それは私が必要ないと感じたからよ。それによく考えてみて、フッた相手が目の前でいちゃいちゃしているのよ、そんなの見たら私の精神状態の方が心配だわ」
ここは敢えて私が落ち込むだろうって事にしておこう、実際は理性が抑えきれず暴力に訴えてしまうかもしれないのだけれど、そんな事を知られてはティナ軽蔑されてしまうかもしれない。私は彼女にだけは嫌われたくないのだから。
「それはそうですが、ウィリアム様を取られて悔しくはないのですか、これじゃ余りにもお嬢様がお辛すぎます」
「大丈夫よ、ウィリアム様の事はもう完全に吹っ切れているし、寧ろ分かれる事が出来たことを喜んでさえいるのよ。それに今は後ろを振り向いている時ではなく、前を向かなければならないの。せっかくお父様が下さったチャンスだもの、絶対に納得がいくものを作り上げるんだから」
「……分かりました、それでは私も覚悟を決めます。お嬢様がどのような道を歩まれるのかは存じませんが、私は最後までお供をさせて頂きます」
「もう大げさね、そんなに畏まなくてもティナは私の傍にいてくれるだけでいいのよ」
私はハンカチでティナの目元を拭きながら一度だけ優しく体を抱きしめた。
「それでまず何から始められるのですか?」
お茶の用意をしながらティナが訪ねてくる。
「そうね、どんな服を作るかを決めないといけないから、まずはスケッチ画からかしら?」
紙とペンを持ち出して、前世の記憶を頼りにササッとラフ画を書き上げる。
「うわぁ、お嬢様って絵が上手いんですね」
「そうかしら? でもこんなのじゃ全然ダメね。もう少しリハビリが必要だわ」
ティナが隣から顔を覗かせ、私が適当に描いたラフ画を褒めてくれるが、久々に描いた絵は正直余りいい出来とは言えない。
やっぱり体が違うと頭で考えていても上手く描けないわね。まぁ描き続けていれば自然と感覚を取り戻すだろうし、肝心なのは絵ではなく閃きなのだ。
以前洋服のデザイン学校に通っていたころ、教わっていた先生にこう言われた事がある、デザインで一番重要なのはとにかく何でも観察すること。それがいずれ閃きやアイデアに繋がるのだと。
私はこの世界の事をまだ余り知らない。リーゼとして生きてきた16年間は貴族社会という狭い範囲でしか見てこなかったんだ、これからはもっと積極的外に出ていろんな物を見てみたい。
「お嬢様、どんな服を作るかを迷っていらっしゃるなら、ドレスを作るというのはどうでしょうか? お嬢様も年頃なのですから、これから社交界に出席される事も増えていかれるでしょうし、お仕事を初められるのでしたら宣伝にもなるんじゃないですか?」
「……それよ! ナイスだわティナ。私じゃなくてお姉様に着て頂ければ良い宣伝になるわ」
そうよ、その手があったわ。お母様は昔社交界の華と呼ばれていたほどの方だし、その血を継ぐお姉様は現役の社交界の華と呼ばれている。
今は伯爵家を継ぐためのご結婚が決まっているせいで、殿方からのアプローチは止まっているが、同じ女性陣からは未だファッションリーダーとして注目されているのだ。
そんなお姉様に私がデザインしたドレスを着てもらい、社交界に出てもらう事が出来れば、注目されるぐらいにはなるのではないだろうか。
「あのー、オリヴィエ様ではなくお嬢様が着ると言う選択肢はないんでしょうか?」
「そんなのあるわけないじゃない。私は華やかな光の下より部屋の隅っこで創作活動に専念している方が好きなんだから」
うん、言い切った! そもそも社交界って柄じゃないのよね、今回の一件で私は笑い者の対象になってしまうだろうし、お姉様が居てくれるから伯爵家の心配をする必要もない。よし、私は自由だ。
私が一人ガッツポーズをしている隣で、何故か悲しそうな顔をしているティナ。私なにか可笑しな事言ったっけ?
「もう、何でお嬢様はご自分が美しいって事を自覚されないんですか、私はオリヴィエ様に負けず劣らずお美しいと思っているんですよ」
「えー、私がお姉様に勝てるわけがないじゃない」
私とお姉様の関係は至って良好だ。お姉様は私の事を可愛がってくれているし、私のお姉様の事を尊敬している。
ティナは私の事を持ち上げてくれるけど、何といっても優しくて賢くて美しいと三拍子そろった私の自慢のお姉様なんだ。私と比べるなんておこがましくて考えられない。
「そうと決まれば早速イメージが湧いてきたわ、お姉様が戻られるまでに幾つか描き上げて選んで貰えるようにしなきゃね」
早速思い浮かんだイメージを描き上げていく、やっぱり服のデザインを考えるのって楽しわね。
スカートの形はやっぱりAラインってところかしら、プリンセスラインやベルラインって手もあるけれど、お姉様のスラリとしたお姿はやっぱりAラインだろう。
装飾はフリルを多段に使うより、スカートの上にオーバースカートを重ねるような形にして可愛さをアピール。でも余り華美にならないよう基本シンプルさは崩さないようにして、身ごろはハイネックがいいかしら? 肩は丸出しにしてショールを羽織れば上品にみえるし大人っぽくも見えるはずだ。あとは二の腕までの長いグローブを付ければ……。
全体的な色合いはお姉様の髪色に合わせ淡い系がいいわね、あぁ、考えていたらアクセサリーまでデザインしたくなっちゃった。
思い浮かぶイメージを紙に描き色を塗っていく。
途中食事に行かない私をティナが泣きながらお願いするもんだから、仕方なく食堂へと向かうが、頭の中では常にイメージが湧き上がってくる。
何だか昔に戻ったみたいで凄く楽しい。気づけば夜が更けていたが、気にせず描き続けていく。隣でティナが眠気に勝てず寝息を立てている姿を見て申し訳ない気分になったが、自分でも止めらてないのだから仕方がない。
先に休むように言ったのだけれど、最後まで付き合うと言って引き下がらなかったのだ。それじゃせめて椅子に座ってなさいと無理やり座らせたが、ついに限界がきてしまったのだろう。
私は厚めのショールを肩に掛けてあげてスケッチ画を描き続けていく。どうせ明日から学園に行く必要はないのだから一日ぐらい夜更かししたっていいじゃないか。
窓から光が差し込んで来た頃には10枚近いスケッチ画が出来上がっており、この時私はこれから起こる未来へのワクワクと、イメージがそのまま描かれるスケッチ画に夢中になりすぎていて、ウィリアム様に抱いていた恋心はすっかり忘れ去っていた。
「お許しですか?」
条件付きだが、まさかこんなにもすんなり服作りのお許しが出るとは思わなかった。
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半ば駄目元で服を作りたいと言ってみたのだけれど、それが通るとは思ってもいなかった。
「えぇ、学園を辞めた後何をするのかと聞かれたので、思わず服作りをしたいと言ったらお許しをもらえる事になったのよ」
「そうですか、学園を辞めてって……えぇーーーー!!! お嬢様学園をお辞めになるんですか!?」
あら、ティナはそっちに反応するのね。
私としては学園を辞める方はどうでもいい事なんだけど。
「何故ですか、何でお嬢様が学園を辞めなければならないんですか、お嬢様は何も悪い事をしていないではないですか! こんな理不尽な事私は絶対にゆるせません。今から旦那様のところに行き抗議してきます!」
「って、ちょっと待って」
そう言ってティナが勢い良く部屋から出て行こうとするので、慌てて止めに入る。
メイドのティナが当主であるお父様に文句何て言えばどんな罰が下されるか分からない。案外私の事を思っての行動だと笑って許してくれるかもしれないが、ティナの母親であるケイトが娘の愚行を許すとはとても思えない。
最悪お屋敷から追い出されるかもしれないので、それだけは何としてでも阻止しなければならない。
「何で止めるんですか! 私もう悔しくて悔しく……お嬢様が苦しんでおられる時に何もできないなんて、私は一体何の為にお側にいるんですか!」
目に涙をいっぱいに溜めて、止めた私に抗議してくる。
こんな彼女だから私は失いたくないんだ。
「いいからよく聞いて、学園を辞めると言い出したのは私の方なの。お父様もお母様もどちらかと言うと止めに入られた方よ」
「だったら何で学園を辞めるんですか、後一年で卒業出来ると言うのに」
「それは私が必要ないと感じたからよ。それによく考えてみて、フッた相手が目の前でいちゃいちゃしているのよ、そんなの見たら私の精神状態の方が心配だわ」
ここは敢えて私が落ち込むだろうって事にしておこう、実際は理性が抑えきれず暴力に訴えてしまうかもしれないのだけれど、そんな事を知られてはティナ軽蔑されてしまうかもしれない。私は彼女にだけは嫌われたくないのだから。
「それはそうですが、ウィリアム様を取られて悔しくはないのですか、これじゃ余りにもお嬢様がお辛すぎます」
「大丈夫よ、ウィリアム様の事はもう完全に吹っ切れているし、寧ろ分かれる事が出来たことを喜んでさえいるのよ。それに今は後ろを振り向いている時ではなく、前を向かなければならないの。せっかくお父様が下さったチャンスだもの、絶対に納得がいくものを作り上げるんだから」
「……分かりました、それでは私も覚悟を決めます。お嬢様がどのような道を歩まれるのかは存じませんが、私は最後までお供をさせて頂きます」
「もう大げさね、そんなに畏まなくてもティナは私の傍にいてくれるだけでいいのよ」
私はハンカチでティナの目元を拭きながら一度だけ優しく体を抱きしめた。
「それでまず何から始められるのですか?」
お茶の用意をしながらティナが訪ねてくる。
「そうね、どんな服を作るかを決めないといけないから、まずはスケッチ画からかしら?」
紙とペンを持ち出して、前世の記憶を頼りにササッとラフ画を書き上げる。
「うわぁ、お嬢様って絵が上手いんですね」
「そうかしら? でもこんなのじゃ全然ダメね。もう少しリハビリが必要だわ」
ティナが隣から顔を覗かせ、私が適当に描いたラフ画を褒めてくれるが、久々に描いた絵は正直余りいい出来とは言えない。
やっぱり体が違うと頭で考えていても上手く描けないわね。まぁ描き続けていれば自然と感覚を取り戻すだろうし、肝心なのは絵ではなく閃きなのだ。
以前洋服のデザイン学校に通っていたころ、教わっていた先生にこう言われた事がある、デザインで一番重要なのはとにかく何でも観察すること。それがいずれ閃きやアイデアに繋がるのだと。
私はこの世界の事をまだ余り知らない。リーゼとして生きてきた16年間は貴族社会という狭い範囲でしか見てこなかったんだ、これからはもっと積極的外に出ていろんな物を見てみたい。
「お嬢様、どんな服を作るかを迷っていらっしゃるなら、ドレスを作るというのはどうでしょうか? お嬢様も年頃なのですから、これから社交界に出席される事も増えていかれるでしょうし、お仕事を初められるのでしたら宣伝にもなるんじゃないですか?」
「……それよ! ナイスだわティナ。私じゃなくてお姉様に着て頂ければ良い宣伝になるわ」
そうよ、その手があったわ。お母様は昔社交界の華と呼ばれていたほどの方だし、その血を継ぐお姉様は現役の社交界の華と呼ばれている。
今は伯爵家を継ぐためのご結婚が決まっているせいで、殿方からのアプローチは止まっているが、同じ女性陣からは未だファッションリーダーとして注目されているのだ。
そんなお姉様に私がデザインしたドレスを着てもらい、社交界に出てもらう事が出来れば、注目されるぐらいにはなるのではないだろうか。
「あのー、オリヴィエ様ではなくお嬢様が着ると言う選択肢はないんでしょうか?」
「そんなのあるわけないじゃない。私は華やかな光の下より部屋の隅っこで創作活動に専念している方が好きなんだから」
うん、言い切った! そもそも社交界って柄じゃないのよね、今回の一件で私は笑い者の対象になってしまうだろうし、お姉様が居てくれるから伯爵家の心配をする必要もない。よし、私は自由だ。
私が一人ガッツポーズをしている隣で、何故か悲しそうな顔をしているティナ。私なにか可笑しな事言ったっけ?
「もう、何でお嬢様はご自分が美しいって事を自覚されないんですか、私はオリヴィエ様に負けず劣らずお美しいと思っているんですよ」
「えー、私がお姉様に勝てるわけがないじゃない」
私とお姉様の関係は至って良好だ。お姉様は私の事を可愛がってくれているし、私のお姉様の事を尊敬している。
ティナは私の事を持ち上げてくれるけど、何といっても優しくて賢くて美しいと三拍子そろった私の自慢のお姉様なんだ。私と比べるなんておこがましくて考えられない。
「そうと決まれば早速イメージが湧いてきたわ、お姉様が戻られるまでに幾つか描き上げて選んで貰えるようにしなきゃね」
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全体的な色合いはお姉様の髪色に合わせ淡い系がいいわね、あぁ、考えていたらアクセサリーまでデザインしたくなっちゃった。
思い浮かぶイメージを紙に描き色を塗っていく。
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何だか昔に戻ったみたいで凄く楽しい。気づけば夜が更けていたが、気にせず描き続けていく。隣でティナが眠気に勝てず寝息を立てている姿を見て申し訳ない気分になったが、自分でも止めらてないのだから仕方がない。
先に休むように言ったのだけれど、最後まで付き合うと言って引き下がらなかったのだ。それじゃせめて椅子に座ってなさいと無理やり座らせたが、ついに限界がきてしまったのだろう。
私は厚めのショールを肩に掛けてあげてスケッチ画を描き続けていく。どうせ明日から学園に行く必要はないのだから一日ぐらい夜更かししたっていいじゃないか。
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