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ウオン(妖精契約世界) 後篇

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ウオン(妖精契約世界) 後篇
 
 
渓谷、何者かがいかが泣く目の前に立っている。
 
そして強力な睡眠魔法であるはずのライフシールドを唱える。
 
亜紀はすでに気絶してはいたしいかはふいをつかれ眠る。
 
 
 
洞窟
 
そこでは少女10才に見えた、実年齢もそんなものだろうか。
 
少女にサキ、亜紀、いかが中に浮きつつ洞窟の奥に移動している。
 
少女はサキにもそれよりも5kmもの丸いクレータ―を作ったいかと戦闘中に言われていた自分より遥かに確実に精神の幼い、いかに興味しんしんだったし好みの上で「きゅんきゅん」きた少女はショタだった。
 
「 ウォオオオオオオオオオオオ 」続いて、
 
「 オォオオオォォオオオオオオオオ 」
 
サキが怒鳴って起きようとしていた、彼には今だ戦闘中の緊張の中にいてそれでも。
 
少女に「 うるさい! 」と言われ次に彼にはかけられていなかった高級妖精契約の「 ライフシールド 」を唱えられて眠りに落ちさせる。
 
なぜザイラオクを唱えたサキが生きているのか?
 
それにはこの空間に張られている特殊な結界である生命維持が張られているせいもあったけれどもそれ以前に「 なに、この男ザイラオク(命引換契約)唱えている時点でまだ生きてる様子だったけど。何者?というか何様 」
 
サキの顔を良く見つめる。「 そうか、、、この男、、、かも知れないわ 」
 
「 ― この私の魔導士のお父様に聞かされていた。サキ、、、なら話は早いわ ― 」
 
そうして、
 
サキにだけ向かって左目であるエメラルドグリーンを輝かせながら「 ライフオープン 」を唱え直し起こす。
 
サキは頭から血を流してそれでも少女は「 私にはみらいと言う名前がある 」「 俺にはサキという名前なんだが 」みらいに鋭い視線を向けている。
 
何せ普通の人間じゃない事が明らかにそれはその後ろには羽があってもう少しいうと翼は右のみ無くいびつだったし、そして趣味で付けているにしては貴族趣味でない本当の眼帯だったろうし今の治安悪化の時代にはよりサキは「 その変わったつばさは趣味では無くそしてその片方の眼帯も本当に。傷だろうが 」
 
カマをかけてみた。
 
「 そんなに明らか、かしらサキお父さん 」
 
「 何だと 」
 
「 ええ、そうよこの眠ってる。あえて言うわ。亜紀のお父さんであり弟の善側のサキ研究者さん 」
 
まるで見かけだけであり10才の少女との会話をしているような気分は一切無い。
 
それどころか。それ以上にみらいは話相手から情報を聞き出そうとしている。
 
「 何者だ? 」
 
「 じゃあ親切に単刀直入に聞くわね 」
 
「 咲紀お父様を倒したいかしら 」
 
「 、、、そうか咲紀の娘か、、、が。何故そんなことを聞く 」
 
「 それは私も倒したいからよ。私を100年間も竜に閉じ込めてきた魔導士咲紀を 」
 
まるで鬱憤を晴らすかのような言いっぷりで「 もう記憶の彼方だけどお母様もあいつに殺られたしあたしの羽そして右目もさらに一番むかつくのは150年も支配に置き続けて 」
 
さらに言う。
 
「 今更、ウオンワールド自体を手に入れたがってるなんていよいよ気が狂い始めてる 」
 
「 じゃあそろそろこの金髪の美少女も起きて貰うわよ 」
 
サキは、
 
「 いや待て質問がある、、、、、、 」
 
彼にとっては一緒に戦う為の取引の質問として聞く。
 
「 お前が魔導士ならこの亜紀という女性の年齢が分かるだろうか? 」
 
少女は言う。
 
「 なぜ? 」
 
― 亜紀は転生するごとに忘れているようだが ―
 
「 俺の理由だが戦う理由だ 」サキが焦って聞いた。
 
少女はさらに「 そうね536歳程かしら 」
 
「 ぐっ 『 俺より300年も既にこのウオンワールドで再び過ごしていただと 』 」
 
「 ああそういう事。この子も私と同じ呪いが掛かっているのか 」
 
さらに言う。
 
「 それは咲紀を倒して彼女には平凡な人生を送ってもらいたいわねえ 」
 
『 ― やはり俺の分身の悪魔咲紀を殺してもこの永久の命の因縁は解けないか ― 』
 
さらに契約当時に悪魔から言われた事「 だがお前の片割れを殺しても輪廻転生を繰り返しこのお前の女はこの亜紀という女を身ごもり再び永遠の命を繰り返すだろう。そして、永遠の命も続くだろう。地獄を見ると良い 」
 
思わず言う「 あの時の悪魔の言葉は 」
 
そして、
 
「 一目見たときから姉だという事は再び見てわかったが500年、、、飛ばされた空間が捻じれていて、、、違う時間経過を 」サキは失望し悪魔と契約した事を心底後悔した。
 
「 では起こすわよ 」10才に見えた少女は言う。
 
 
 
そして
 
「 よお 」
 
サキが巨大な要塞の城内のさらにある奥の柱に体を傾けて預けていた。
 
そして190cmながらの長身で腕を組んでいる。
 
その話かけられている男は王座で座って眠っているように目を閉じていたが。
 
その男も身長は190cmを超えている。そして逞しい眉毛の下にあったこの部分はサキとは違う。切れ長だった。
 
顔のみ美を極めていてそれとは違って肉体が胸筋はまるで衣類の上でも分かる程盛り上がっていて肩はそれこそ女性の頭、程に在り両足の太ももと腕の上腕二頭筋はフットボールの大きさを誇っているそれが相まって強大な存在感を持っている。
 
その男は「 なぜここに居る? 」そして。
 
改めて「 そうか、、、ようやく来たか 」
 
サキが言う「 咲紀、お前と会うのは200年ぶりか 」なぜか苦笑して。
 
「 そして俺そのもの、、、だがな 」悪魔と契約した時に精神、肉体が別れた。そしてウオンワールドの世界そのものを徐々に侵略している咲紀張本人だった。
 
サキが両腕を組むのを止めて柱から体を戻し。
 
さらに、
 
咲紀に向かって歩いた。それでも王座から150mあって周囲は絢爛豪華な作りをしていた。赤いカーペットがサキまで敷かれてその上を歩いて。
 
会話が続き咲紀は言う「 警護は薄くないはずだ 」サキは近づきながら「 今、亜紀といかそしてお前の娘が裏切り戦っているはずだ 」そしてサキが200年ぶりに微かに笑う。
 
咲紀も続いて笑った「 ファッファッ!ハッ!ハッ!ハッ!ファッファッファ!! 」
 
それは、
 
「 そうだな最後のお前との決着かも知れん 」サキもさらに微笑むこの男も何年も笑う事は無かったがそれでも。
 
何故か笑えたがそれ程に、厳しい生涯を歩んで来ていた。
 
王座に回りには男性神の彫刻、女性神の彫刻が彫られそして噴水が150m内に5つあってそれをサキが軽蔑するような目で見まわした。
 
そして逆に咲紀を見るその目は彫刻を軽蔑する目では無い。
 
むしろ柔らかかったまるで親友を見るように。
 
そして聞こえてきたのは。
 
サキ達は隠密に潜入したがそれでも軽い爆発音と。
 
同時に揺れはこの神殿にまで来たそれ程、亜紀、いか、ないしはみらいは壮絶な戦いを繰り広げているのだろう。
 
咲紀が「 分かっているだろうな、、、サキ? 」
 
サキは「 ああ、俺たちは結局。娘の為に戦い。死んで転生する運命なのだろう 」
 
咲紀が荘厳で巨大な冠を模している王座から降り立った。その姿は彫刻以上に鍛えられていてそのパワーを秘めている筋肉はしなやかで美しい程だった。
 
そしてサキは長剣を肩から取り落ちる、床がずしっといい受け止め落ちた。
 
咲紀が首を傾げて言う「 なぜ。お前の大事な命の源である大剣を捨てる? 」
 
「 こいつがあると俺は死ねないし。お前との戦闘には必要はあるまい 」
 
「 ふっ、そうだな。お互いにスピード勝負という訳だ 」咲紀が軽い額にかかっている髪とともに美しい表情で告げる。
 
『豹の姿を思わせる咲紀』と『歴戦を繰り返した姿の猛者のサキ』の違いだが王座を降りた咲紀がその場で軽くジャンプステップをし「 いくかサキ? 」サキがカーペットを歩きながら答える「 ああ、我が分身であり兄弟、、、 」
 
その瞬間に、
 
サキは「 ハッ 」
 
咲紀は「 ふっ 」
 
距離を一気に縮めたのは僅か一瞬だった。
 
120mを何と2秒もかからずその瞬間にお互いに拳を振り上げた。互いの右拳が轟音を立て
 
「 ― ガシッ!!!!ン ― 」ぶつかった。
 
それでも。
 
言う。咲紀は右眉を上げ。
 
「 再びか。私はこの為に生きてきたのかもしれないな 」
 
「 俺もな 」
 
一歩だけお互いに引いた後。
 
次にお互いへの約束行為のように頭上の上で両腕の手をお互い組む。
 
チカラいやパワーそのものの交換が行われ。
 
サキがまず仕掛けた。足の右膝を曲げ咲紀にとって左わき腹に叩き付けた「 ボキィ! 」その美しさを誇った顔が僅かに歪んだ。脇腹はひしゃげる。
 
「 なぜ 」
 
「 なぜ、避けん? 」
 
「 我々にとって必要か? 」
 
「 そうだな 」
 
言いながら咲紀は腕を掴み込んだまま右拳を離し体は反転させ背負い投げをしようとした。
 
しかしサキは両足を跳ね上げジャンプし頭上真上では右拳で頭に殴りかかった。
 
 
 
150m神殿入口
 
いつの間にか亜紀、いかとみらいが到着しそのパワー同士のやりとりを見つめている。
 
「 すごい、、、 」
 
亜紀は思わず言ってしまう。咲紀が空中で体ごと回転しながらサキの右肩に蹴りを放つ「 ズシンッ 」という音を肩から立てる。
 
 
みらいがいかに聞いた。
 
「 いか、お父さん救いたい? 」
 
「 うん 」
 
「 だけどそれにはね。一つだけあたしと約束すること 」
 
みらいがサキと咲紀との凄まじい神殿の中で起きている肉体の神のような戦いを前にして言う。
 
ごにょごにょ「 一つだけ。あたしを一生かけて大事にすること 」
 
小さな唇で言った。
 
「 ― 古魔導書によると ― そうでないと悪魔の約束の輪廻が解けないのよ 」
 
「 なに? 」
 
「 いいから 」
 
「 関係あるの? 」みらいが左の羽を軽く動かす。
 
「 あるわ、本当の意味で助けるのにわね。あたしのお父様も 」
 
天井から彼女たちの魔法呪文攻撃のせいか瓦礫が落ちてくる。
 
「 それにね。女の子にとっては大事なことでもあるのよ 」
 
さらに言う。
 
ごにょごにょ
 
そして
 
そしてウオンワールドを救ったのも歴史へ介在したのも子供だった。
 
パラダイムシフト
 
拳を混じわせている為なのか。
 
同じ人物のせいか分からかなったが確実に意思は伝わり。
 
― 咲紀、、、 ―
 
― ああ ―
 
サキが。
 
― 娘をどう思う ―
 
― ああそうだな、、、 ―
 
― 美しく育ったとは思わないか? ―
 
― そうだな ― ― お互い ―
 
― ふっ ―
 
みらいから言葉が聞こえたような気がする。
 
「 お父様! 」
 
サキは亜紀から「 お父さん! 」
 
今回の転生は何かが違う。
 
サキが口にした。
 
「 俺たちに出来ることは所詮この程度の死ぬ事かも知れん 」
 
咲紀が同意した。
 
「 そうだな、、、、、、 」
 
 
そして、
 
みらいが眼帯の付いてはいない左目でウインクして抱き着いていかに口づけする。そして生涯に一度の涙を軽く頬を伝う。
 
パラダイムシフトの証として天使の血を受け継ぐ子と悪魔の血を受け継ぐ子のキスで契約がされる。
 
しかもそれだけでは無い。
 
それはサキ(咲紀)時間の契約をも超えた一線で。
 
「 亜紀これでお終いにするぞ 」
 
互いに目は合い咲紀が穏やかに笑う。
 
「 ふっ 」
 
思いっきりサキは息を吐く。
 
そして、
 
フルブロウを同様にそれぞれは放とうとするが一瞬のみ咲紀がずらそうとするが悪としての体はそれを許さなかった。
 
そして互いの頭部へ放たれる。
 
「 ボキィ!! 」
 
首そのもの頭部のみ打撃をもろに受けてサキと咲紀の意識が一瞬で消滅する。
 
 
光が沸き。
 
悪のみらいとのキスの契約によって最高神である奇跡の再契約がなされ。
 
自分たちの命が救われる事もあり父の命の尊厳も確実に救われる。そして数百年に及んだ悪魔との契約が巨大な神殿の場にて解けていく。
 
 
「 ――― あたしはただ消える運命じゃないんだ ――― 」みらいの本当の絶望が解消されていき。
 
 
元のサキと咲紀が同化し死ぬと同時に転生を開始していって。
 
互いに自殺を再度、前提としていたが娘を生かす為にキスのタイミングをまるで計ったように。
 
同時に超ウオンワールド(神の契約世界)の承認がされた。
 
みらいが思う。
 
― 殺された人々の命と魂の救済を ― それを聴いたようにいかは言った「 うん 」 
 
― さようなら、、、お父様 ― 心の中で別れを告げる。
 
それは最高神がいか、みらいを生かす事を同時に承認した。
 
互いに分かっていた互角で決着がつかないことを。そして感付いていたいかとみらいの祝福を。
 
サキも咲紀も父としてやる事は一つだと知った。
 
いか、みらいのキスを見たとき両者の祝福契約を前に再び転生を始め、次にいかとみらいが生き続ける事で両者の考えは一致し。
 
それは成功し悪自体が発する黒い光ではなく眩いほどの転生の光を輝かせ。
 
そして、それ以上にいかとみらいの唇から白く光り『神との契約』がなされた。いかとみらいの口づけとサキ(咲紀)たちの死が同時に終える事により了承され。
 
神は正義の生にも悪魔の生にも平等だった。
 
― 「 オレは死ぬ訳じゃない。ただ生まれ変わる 」 ―
 
タイムパラドックスを起こし転生し生まれた姉、弟。
 
 
強大な風が吹いた。
 
みらいが言う。
 
「 歴史の契約の書き換えが起きている、、、あたしたちが、、、中央神になっている 」
 
みらいはさらに。
 
「 一瞬のみだわ 」
 
いかとみらいは中央神になることで咲紀に殺害された人は蘇った。それは一瞬だけ神に近づくことが許された。
 
「 あたし達が命の神を召喚している。これは? 」 ― 善と悪が一体になった神と神のキス ―
 
以来、再び息子に対し『姉が自分の娘になる』ということは告げることは無かった。そして娘を生ませたのが海外の白人女性でありその年は明治年
 
 
巨大パラダイムシフトがこの一瞬のみ起きた。
 
みらいは意識のみの形になって、それは意識の中へ蘇った人たちの光景を知り「 善人も悪人も同時に甦ったの? 」大人でも子供でも関係なく咲紀にまつわる死んだ人々すべて。
 
亜紀の知識にはあった古魔導書に記るされている歴史。魔法を勉強している故に気づく。そして自分の悪魔に契約をかけられた正体にも気づいた。
 
― そしてさらに言う ― エメラルドダイヤを掴みながら。
 
―「 この例を見ない蘇らせ行為自体は、、、代償は各ワールドで補うだろうけど。そしてこれはこれからの歴史が良い行いなのかそれとも、、、違うのか。判断するはず、、、それは神話という形で、、、 」―
 
 
―――――
 
「 ねえ 」亜紀は言う。
 
二股に分かれている道の大草原には通る旅行者で溢れている。
 
その中
 
「 それじゃ後は頼んだわよ。みらいさん 」
 
2台の馬車の前にいる日よけのフードを被ったセミロングのみらいは海界へ腕を必至に絡ませて言う。
 
余程、愛に飢えていたのかみらいはどこそこに行くにもいかに寄り添い付いて行った。
 
さらにここでも「 大丈夫よねっ♡ 」さらに「 いつも守ってくれるわよねっ。ダーリンっ♡ 」と言いムリヤリ海界の頬へキスする。
 
そして亜紀にぺこりと頭を下げ、上げたのち「 ええ、分かってるわ。お母様 」真剣な顔付きに代わる。
 
しかし見た目は10才と実年齢12才の為の旅に何かと必要な信頼の出来る大人の従者が5名付いていた。
 
「 お母さま。後は任せ下さい 」従者が言う。
 
さらに、
 
「 お孫さまの姿もすぐにお見せしますわ 」
 
亜紀は、
 
「 いや、そうじゃなく 」
 
みらいは、
 
「 うふ、冗談ですわ 」
 
 
 
いかは遠出の儀式にのっとって名前を改め海界になって今では精悍さを兼ねた男へ変わっていた。
 
手を振って、
 
亜紀も手を振っても見つめていて。「 じゃあ 」寂しそうな顔になり。
 
サキと咲紀が転生した後のお話
 
馬車が走ろうとした。
 
「 じゃあ、お母さん 」
 
「 ありがとう、いままで 」
 
亜紀が明るい顔になった。
 
そして、振り返って頭を絡ませてくるみらいを見て。サキの事を瞬間忘れ。
 
成長期の男の顔付きになり。
 
馬車はゆっくり動いた。
 
逞しく。
 
――― お父さん、お母さん ―――
 
 
――さようなら――
 
 
 
お し ま い



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