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「まあ、アニューはモテるからな。わしだってあと60歳若かったらアニューに一目惚れしてたかもしれん。あの小さな彼も、本当はそうかもしれん。」
アニューはカウンターから出てフィッシュに煙草を差し出し、咥えた煙草に、火も差し出した。
「フィッシュもやっぱりそう思う?」
「ああ・・・思うよ。もちろんじゃ・・・」
「本気でそう思っているのかよ、フィッシュ!」
ミッチェが煙草に手を伸ばすと、アニューはささっとポケットに入れてしまった。
「まあ・・・あの子がここへ来る間は可能性はゼロではないと言うことじゃ。」
フィッシュは煙をふっと吐き、アニューも新しい煙草に火をつけ、スーッと煙を吐いた。
ミッチェは短くなってしまった煙草の最後の一息を呑み、ふーっと吐くと、扉が5センチほど開いた。
「あの・・・・」
「あ!コウちゃん!俺に会いに来たんだ」
アニューは扉をグイっと開けて長生を中へ引きずり込んだ。けれど、長生は片足を入り口の端に引っ掛け、全身が店内に入るのを拒んだ。
「いえ。お荷物です。」
ミッチェは“プッ”と吹き出し、顔を覆って震えた。
「あの・・・今度から1回で全部のお荷物持ってきていいですか?」
「だめ!指定時間に持ってきて。」
「でも・・・」
「でももくそもあるか!コーヒー飲んでけよ!」
「わかりました。ちゃんと時間に来ます。サインください。」
「サインならわしがしよう・・・」
「フィッシュはもういい。俺がする。俺の荷物だ!サインはここまで取りに来い!」
アニューは意地悪く店の一番奥、2~3歩では外に出られないところまで下がった。
「わかりました。コーヒー飲みます。おいしいのを入れてください。」
長生は覚悟を決めて店内に両足を置いた。
それを確認したアニューは喜んでカウンターの中へ行き、コーヒー豆を選び出した。
「どれにしようかなー。ほろ苦いのが好き?それともあっさりしたのが好きかな?」
「そうですね・・・サインください。」
「よし!サインか。仕方ないな。そう求められては・・・」
フィッシュは伝票にサラサラとサインを書くとそれを持って長生はさっさと店を出て行った。
「フィッシュ!!」
「す、すまん・・・条件反射でつい・・・サインを求められると、ついアイドルだった時のことを思い出して・・・」
アニューはおもむろにミトンをはめると、オーブンの中のラザーニャをガン!とおぼんの上に置き、ぐつぐつと煮え立ったレモンのスープと一緒にフィッシュのテーブルへ運んだ。
「ほらよ。ザリガニの脳みそのラザーニャとレモンのスープだ。熱いうちに食えよ。」
そう言って手にフォークとスプーンを握らせて、向かいの椅子に座った。
「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食うのはセオリーじゃ。が、しかし、熱すぎるのは舌にも脳にも悪い。『過ぎたるは及ばざるがごとし』と言うだろう。」
「さあ、俺はバカだからしらねえ。食えよ。早く。」
「アニュー・・・・」
アニューは煙草を一本加え、火をつけるとぶつぶつと呪文を唱えながら煙を吐き出した。
フィッシュは仕方なくぐつぐつと言うラザーニャの中にフォークを刺しほんの少しをふうふうと何度も息をかけて冷ましてから口の中に入れた。
「これは・・・ちょっといつもの味と違うな・・・いつもより、なんだか味がさっぱりしている。いつもはねっとりとした脳みそのコクが出ているのに・・・」
「今日のザリガニは俺に似てバカなんだ。悪かったな。」
アニューは壁に掛けてあった絵を扉に投げつけた。
「まだ二日目の昼だよ。アニューが三日目の朝に・・・って言ったんだろ、焦るなよ。
それとも三日目の朝も自信なくなったのか?
俺達は五日目くらいまでは待ってやってもいいんだぜ。」
ミッチェは自分のシャツのポケットから煙草を取り出し火をつけた。
「イヤ、三日目で充分だ。」
「余裕だね。」
「ああ・・・」
「すまんがわしにも一本くれないか。」
「フィッシュはラザーニャを食えよ。」
「熱くてくえん。忘れておったが、わしは猫舌じゃった。かといって冷たいものが好きなわけではない。人肌・・・そうじゃ、人肌よりちょっとだけ暖かいくらいのものがなんでも好きだ。けれど、ソーダはだめだ、人肌よりちょっとだけ暖かいソーダは、シュワシュワしすぎて舌がひりひりする。」
「ふん!」
アニューは煙草ケースをフィッシュのテーブルの上に置くと、カウンターに戻り植木鉢に実ったヘビイチゴの実をあつめだした。
「あの子、今度こそ来ないんじゃない。
アニューはロマンティックって言う割には強引なんだよ・・・歯をギリギリさせながら迫ったら誰でも逃げるって。」
「イヤ、ミッチェ。それ以前に彼には何の感情も感じられんかった。ただ一心に職務に励んでいるよりもほかの雑念が感じられんかった。」
「フィッシュ、それは違う!俺への思いを隠しているだけだ。だから毎日会いに来るんだよ。恥ずかしがっているだけだよ。まだウブなんだ。かわいいだろ。
お前らにはやらねえよ!」
「いらねえよ。それよりコーヒーくれよ。
生クリームとザリガニの入っていないコーヒーを!」
「わしもあんな世間知らずの細細はないな・・・。
わしはそうじゃな・・・トムヤムクンが好きじゃ。あの酸っぱくて辛いのが癖になるな。エビもいいが、鳥もいいな。ヌードル入りもいいぞ!でもパクチーはダメだ。あれは危険な植物だ!」
そう言うと煙草に火をつけ煙をスーッと吐いた。
「まあ、恋はゆっくり、急がないことだ。
幸い、わしら三人には時間はたっぷりとある。」
ミッチェもテーブルの上の煙草を取り、1本咥え火をつけるとゆっくりと煙を吐いた。
「そうだよ。毎日会いに来るなら、そのうち君の恋も実るかも・・・それまでゆっくり待てよ。」
アニューも咥え煙草でコーヒーを点てながら
「ダメだ!今晩来たらもう一度告白する。明日の朝、あいつが逃げたら・・・
その時は・・・」
「その時は?」
コーヒーは」3つのカップに分けられ、1つのカップにだけたっぷりと生クリームを乗せてカウンターの上に置かれた。
三人は、それぞれのカップを持ち、目線まで持ち上げた。
「健闘を祈るよ。」
「小さな彼へのアニューの思いに」
三人は熱々のコーヒーを一気に飲み干した。
「助けも邪魔も何もするなよ。俺だけのものだからな。」
「わかってる。」
カップをカウンターに戻したとき、扉が3センチほど開いた。
アニューはカウンターから出てフィッシュに煙草を差し出し、咥えた煙草に、火も差し出した。
「フィッシュもやっぱりそう思う?」
「ああ・・・思うよ。もちろんじゃ・・・」
「本気でそう思っているのかよ、フィッシュ!」
ミッチェが煙草に手を伸ばすと、アニューはささっとポケットに入れてしまった。
「まあ・・・あの子がここへ来る間は可能性はゼロではないと言うことじゃ。」
フィッシュは煙をふっと吐き、アニューも新しい煙草に火をつけ、スーッと煙を吐いた。
ミッチェは短くなってしまった煙草の最後の一息を呑み、ふーっと吐くと、扉が5センチほど開いた。
「あの・・・・」
「あ!コウちゃん!俺に会いに来たんだ」
アニューは扉をグイっと開けて長生を中へ引きずり込んだ。けれど、長生は片足を入り口の端に引っ掛け、全身が店内に入るのを拒んだ。
「いえ。お荷物です。」
ミッチェは“プッ”と吹き出し、顔を覆って震えた。
「あの・・・今度から1回で全部のお荷物持ってきていいですか?」
「だめ!指定時間に持ってきて。」
「でも・・・」
「でももくそもあるか!コーヒー飲んでけよ!」
「わかりました。ちゃんと時間に来ます。サインください。」
「サインならわしがしよう・・・」
「フィッシュはもういい。俺がする。俺の荷物だ!サインはここまで取りに来い!」
アニューは意地悪く店の一番奥、2~3歩では外に出られないところまで下がった。
「わかりました。コーヒー飲みます。おいしいのを入れてください。」
長生は覚悟を決めて店内に両足を置いた。
それを確認したアニューは喜んでカウンターの中へ行き、コーヒー豆を選び出した。
「どれにしようかなー。ほろ苦いのが好き?それともあっさりしたのが好きかな?」
「そうですね・・・サインください。」
「よし!サインか。仕方ないな。そう求められては・・・」
フィッシュは伝票にサラサラとサインを書くとそれを持って長生はさっさと店を出て行った。
「フィッシュ!!」
「す、すまん・・・条件反射でつい・・・サインを求められると、ついアイドルだった時のことを思い出して・・・」
アニューはおもむろにミトンをはめると、オーブンの中のラザーニャをガン!とおぼんの上に置き、ぐつぐつと煮え立ったレモンのスープと一緒にフィッシュのテーブルへ運んだ。
「ほらよ。ザリガニの脳みそのラザーニャとレモンのスープだ。熱いうちに食えよ。」
そう言って手にフォークとスプーンを握らせて、向かいの椅子に座った。
「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食うのはセオリーじゃ。が、しかし、熱すぎるのは舌にも脳にも悪い。『過ぎたるは及ばざるがごとし』と言うだろう。」
「さあ、俺はバカだからしらねえ。食えよ。早く。」
「アニュー・・・・」
アニューは煙草を一本加え、火をつけるとぶつぶつと呪文を唱えながら煙を吐き出した。
フィッシュは仕方なくぐつぐつと言うラザーニャの中にフォークを刺しほんの少しをふうふうと何度も息をかけて冷ましてから口の中に入れた。
「これは・・・ちょっといつもの味と違うな・・・いつもより、なんだか味がさっぱりしている。いつもはねっとりとした脳みそのコクが出ているのに・・・」
「今日のザリガニは俺に似てバカなんだ。悪かったな。」
アニューは壁に掛けてあった絵を扉に投げつけた。
「まだ二日目の昼だよ。アニューが三日目の朝に・・・って言ったんだろ、焦るなよ。
それとも三日目の朝も自信なくなったのか?
俺達は五日目くらいまでは待ってやってもいいんだぜ。」
ミッチェは自分のシャツのポケットから煙草を取り出し火をつけた。
「イヤ、三日目で充分だ。」
「余裕だね。」
「ああ・・・」
「すまんがわしにも一本くれないか。」
「フィッシュはラザーニャを食えよ。」
「熱くてくえん。忘れておったが、わしは猫舌じゃった。かといって冷たいものが好きなわけではない。人肌・・・そうじゃ、人肌よりちょっとだけ暖かいくらいのものがなんでも好きだ。けれど、ソーダはだめだ、人肌よりちょっとだけ暖かいソーダは、シュワシュワしすぎて舌がひりひりする。」
「ふん!」
アニューは煙草ケースをフィッシュのテーブルの上に置くと、カウンターに戻り植木鉢に実ったヘビイチゴの実をあつめだした。
「あの子、今度こそ来ないんじゃない。
アニューはロマンティックって言う割には強引なんだよ・・・歯をギリギリさせながら迫ったら誰でも逃げるって。」
「イヤ、ミッチェ。それ以前に彼には何の感情も感じられんかった。ただ一心に職務に励んでいるよりもほかの雑念が感じられんかった。」
「フィッシュ、それは違う!俺への思いを隠しているだけだ。だから毎日会いに来るんだよ。恥ずかしがっているだけだよ。まだウブなんだ。かわいいだろ。
お前らにはやらねえよ!」
「いらねえよ。それよりコーヒーくれよ。
生クリームとザリガニの入っていないコーヒーを!」
「わしもあんな世間知らずの細細はないな・・・。
わしはそうじゃな・・・トムヤムクンが好きじゃ。あの酸っぱくて辛いのが癖になるな。エビもいいが、鳥もいいな。ヌードル入りもいいぞ!でもパクチーはダメだ。あれは危険な植物だ!」
そう言うと煙草に火をつけ煙をスーッと吐いた。
「まあ、恋はゆっくり、急がないことだ。
幸い、わしら三人には時間はたっぷりとある。」
ミッチェもテーブルの上の煙草を取り、1本咥え火をつけるとゆっくりと煙を吐いた。
「そうだよ。毎日会いに来るなら、そのうち君の恋も実るかも・・・それまでゆっくり待てよ。」
アニューも咥え煙草でコーヒーを点てながら
「ダメだ!今晩来たらもう一度告白する。明日の朝、あいつが逃げたら・・・
その時は・・・」
「その時は?」
コーヒーは」3つのカップに分けられ、1つのカップにだけたっぷりと生クリームを乗せてカウンターの上に置かれた。
三人は、それぞれのカップを持ち、目線まで持ち上げた。
「健闘を祈るよ。」
「小さな彼へのアニューの思いに」
三人は熱々のコーヒーを一気に飲み干した。
「助けも邪魔も何もするなよ。俺だけのものだからな。」
「わかってる。」
カップをカウンターに戻したとき、扉が3センチほど開いた。
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