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緑山規夫の初めての愛
如月あずみ
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「来週の日曜、開けといてね。隼人も一緒に。」
「また手伝いか。」
「違うよ。今度は教授がご飯会を開いてくれるんだ。それとね、隼人にあずみくんの家庭教師のバイトを頼めないかなって。教授が・・・もう吹っ切れたんだから大丈夫でしょ。
それともやめとく?」
「いや、隼人も一緒なら行くよ。家庭教師の件も聞いとくよ。
それに久しぶりにあずみ君とも会ってみたいしな。もういくつになった?」
「十六歳。あずみ君、かわいくなったよ。
かわいくなりすぎて女の子になっちゃった。」
「うそだろ。」
「こないだ会ったときは赤いワンピース着てた。」
「会うのが楽しみだな。」
「隼人を取られないように。」
「気を付けるよ。」
雅は緑山の言っていることは冗談だと思っていた。
けれど次の日曜、如月の家に行って、そのことが本当だったと気づかされた。
「あずみ君。僕の事、覚えてる?」
「忘れるわけないでしょ。」
あずみはその日、黒のワンピースに赤い花の髪飾りをつけ、真っ赤な口紅をつけていた。
雅とは視線を合わせないようにうつむき加減のままテーブルにつき、誰の顔も見ることなくテーブルクロスの裾を指先でくるくると遊ぶだけだった。
「どうして僕がこんな恰好をしているのかと、聞かないの?」
初めてあずみが視線を上げ、唐突に声をあげたのはみんながそのテーブルに集まって、食事が運ばれ会話が弾みかけたころだった。
あまりうまくない化粧でごまかしてはいるが、まだ幼い少年の顔をしていた。
「聞かないよ。
とても似合っている。あずみ君は昔からかわいい顔をしているから・・・」
雅はあずみが腹をたてている理由は何となくはわかっていた。
一つは如月と付き合っていたこと、二つ目はそれが原因で如月を左遷させてしまったこと・・・
だから話をするにしても、少し気を使って言葉を選んで話しているつもりだった。
「お兄様が、女を嫌いだからよ。
だから僕は女の服を着ている。お兄様に嫌われたくて・・・」
「あずみ。もうやめなさい。せっかく久しぶりにみんなが集まったんだ。楽しく食事しようよ。」
「集まれなくしたのは雅さんでしょ。」
雅は少しうろたえた。何も知らない隼人も一緒に連れて来ていたからだ。いろいろと理由を話して隼人との仲をぎくしゃくさせたくはない。
あずみは薄ら笑いを浮かべると目の前のスープを、音を立てて下品に飲のみ、自分は最低な人間だと知らしめるような振る舞いをした。
「あず、そんなに前からこの家に人が集まるなんでなかったじゃないか。
僕が押し掛けてくる以外はいつも静かな食卓だっただろ。僕の雅をあんまりいじめるなよ。」
「規夫君は相変わらず雅さんの見方ね。」
「友達だからな。あずも友達作れよ。」
「どうやって。」
「まず、学校へ行けよ。それか塾に行くとか・・・」
「イヤ。全部いや。」
「困ったな・・・」
緑山も少し苦笑いしてスプーンから手を離し、背もたれに深く身を預けた。
「隼人君、こんなあずみだけれど、少しの間、勉強を見てあげてくれないかな。
毎週土曜、講義があるときはお休みでいいよ。
時間は君に任せる。1,2時間程度で構わない。」
如月はとてもやさしく、隣に座ったあずみの長い髪を、こめかみから指先で撫でつけ、耳にかけながら言った。
あずみは如月とは母親が違う二十五歳年下の弟。如月とはよく親子に間違えられる。
それほど年は離れていた。
「わかりました。よろしくね。あずみ君。」
あずみは隼人に視線を向けることなく、目の前の食事をがつがつと口いっぱいに押し込めるだけ押し込んで、それをくちゃくちゃと噛みながら席を立った。
「ごめんね。驚いただろ。ちょっと甘やかしすぎてね。あの子がまだ小さい時に父と母が相次いで亡くなったもんだから、可哀そうで怒ることができなかったんだ。」
「そしたらああなった。と・・・」
緑山はあずみの座っていたテーブルの周りを片付けながら言った。
スプーン、フォーク、ナイフだけでなく、食べ残したものも皿からあふれ、床にまで散らばっていた。
「それでも、私にとってはかわいい弟なんだ。いいかな。」
「はい。」
如月は隼人に向きを合わせて話をしたが、テーブルの向かいに座る雅に、たまに送る視線の違いに隼人は気が付いていた。
雅も机の下では隼人の手を握ってはいるが、心がそこにはなくて、絡めあった指先も簡単にほどけてしまうもろさに不安を感じていた。
加えてみんなの話については行けず、何か見えない壁に自分だけが囲われているような焦りを感じていた。
緑山と如月はいとこで、雅は緑山と幼馴染。山波も高校時代からここに住んでいる。
自分は新参者なのだから、この壁はあって当然と考えてはいたものの、相槌さえも打てないような状況で食事は終わった。
「僕・・・もう一度あずみ君に挨拶してきます。お部屋がどこか教えてもらえますか?」
「じゃあ、ついて行くよ。」
「いえ、一人で行きます。」
とうとう、その状況に耐え切れずに逃げ出すことを考えた。
居間の扉を閉めると、ガラス越しに見えたのは、食後のお茶を楽しんでいる光景。
自分の育ってきた環境とは全く違うここで、自分とはかけ離れた環境で育ってきた人たちの中で、自分を作ることにも少し疲れていた。
「あずみ君、入っていい?ちょっとだけお話ししよう。」
隼人はあずみの部屋をノックした。最初、ドアは十センチくらい開き、あずみの顔が半分だけ見えた。
「お茶、持って来たよ。一緒に飲もう。」
ドアは広く開かれ、招かれはしたが、特に話をすることもなくしばらくは沈黙が続いた。
「勉強・・・どこから教えたらいいかな・・・・」
「社会。僕、地理が苦手。あと国語。あとはいい。」
「わかった。何か参考書見つけてくるよ。」
「ねえ、来週の土曜。一人で来るの?」
「ううん。雅が送って来てくれる。僕、まだ車持っていないし。ここはバス停からも遠くて不便だから乗せていってあげるって。」
その言葉にあずみは大声で笑った。気でも触れたのかと思うくらいにソファーから転がり落ち、床に足をバタバタと踏み鳴らして笑いだした。
「あんたってバカね・・・ねえ、知ってる?お兄様と雅さんはずっと前から付き合っているのよ。
とっても深―く・・・」
「でも、今は僕と付き合っていて・・・もう、昔のことは忘れたって・・・」
「言うだけよ。二人は一体を分け合ったくらいに強く愛し合っていたのよ。
忘れられるとでも思っているの。僕もそんな二人が嫌で何度も割こうとした。
でも今日、やっぱり無理だったって確信したよ。」
「そんなことないよ。僕だって雅とは毎日キスだってするし、抱いてだってくれる。
僕は雅を信じてる。」
「じゃあ賭けない?今度の土曜、君と僕がここで勉強をしている2時間。お兄様と雅が何もなかったら僕は髪を切って男の子の制服を着て学校へ行く。もし二人が抱き合っていたら、君が僕をここから連れ出して。」
「連れ出してって、どこへ連れて行けばいいの?」
「どこでもいいわ。面白いところ。ここよりはどこでも多少は面白いでしょう。
それに、信じているんでしょ、雅さんの事。だったらいいじゃない。それとも、やっぱりお兄様に取られると思っているの?」
「いいよ。賭けるよ。」
「おもしろい。わかっているとは思うけど、このことは雅さんには絶対に言ってはだめよ。言ったことが分かったら、あんたを殺すわよ。」
「言わない・・・僕、雅を本当に信じているんだ。どんなんことがあっても雅だけは僕を裏切らない。」
あずみは又、大声で笑い始めた。
足を踏み鳴らし、床をゴロゴロと転げまわって。隼人はとても苦しかった。
言葉では雅を信じているとは言ったけれど、雅の真実は何処に向かっているのか本当はわからず、向いている先に自分が無理やり立とうと精一杯無理をしてきたことを自分が一番よくわかっていたから。
雅に愛されているんだと思い込まなければ、壊れてしまいそうな弱い自分の最後の砦だった。
「早く下へ行かないと、今日にでもお兄様に雅さんを取られちゃうわよ。」
そう言って隼人の眼を見ながら、なお一層狂ったように笑うあずみに背筋に冷たいもの感じながら、その部屋から転がるように居間へ戻った。
居間へ戻るとそこには如月と雅の二人しかいなかった。
大きな一人掛けのソファーに座る如月のすぐ隣で椅子にもたれて床に座る雅の姿があった。
二人は微笑んで見つめあい、隔てるものはその椅子のひじ掛けだけで、「低すぎる」と隼人は感じていた。
「あ、隼人お帰り。」
雅は両手を広げて隼人を迎えた。隼人は迷わずその胸に飛び込んだ。
膝に座り首元に顔をうずめると愛おしく抱きしめてくれる。
それでこの賭けには必ず勝てると確信した。
「あずみはいつになくご機嫌だったね。あんなによく笑うあずみは初めてだよ。」
「隼人に頼んでよかった。」
隼人の顔を見て微笑み頬擦りする雅の顔に絶対を感じていたが、雅の気持ちは、半分はかわいい隼人を胸に抱いていたいという思いと、半分は如月に自分のペットを見せつけてやきもちを焼かせたいという気持ち。
どちらが今の本当なのかは雅自身もわからなかった。
如月を見れば如月に、隼人を見れば隼人に、高く積み上げた思いはただグラグラと、無造作に置かれただけの積み木のように不安定に揺れていた。
「また手伝いか。」
「違うよ。今度は教授がご飯会を開いてくれるんだ。それとね、隼人にあずみくんの家庭教師のバイトを頼めないかなって。教授が・・・もう吹っ切れたんだから大丈夫でしょ。
それともやめとく?」
「いや、隼人も一緒なら行くよ。家庭教師の件も聞いとくよ。
それに久しぶりにあずみ君とも会ってみたいしな。もういくつになった?」
「十六歳。あずみ君、かわいくなったよ。
かわいくなりすぎて女の子になっちゃった。」
「うそだろ。」
「こないだ会ったときは赤いワンピース着てた。」
「会うのが楽しみだな。」
「隼人を取られないように。」
「気を付けるよ。」
雅は緑山の言っていることは冗談だと思っていた。
けれど次の日曜、如月の家に行って、そのことが本当だったと気づかされた。
「あずみ君。僕の事、覚えてる?」
「忘れるわけないでしょ。」
あずみはその日、黒のワンピースに赤い花の髪飾りをつけ、真っ赤な口紅をつけていた。
雅とは視線を合わせないようにうつむき加減のままテーブルにつき、誰の顔も見ることなくテーブルクロスの裾を指先でくるくると遊ぶだけだった。
「どうして僕がこんな恰好をしているのかと、聞かないの?」
初めてあずみが視線を上げ、唐突に声をあげたのはみんながそのテーブルに集まって、食事が運ばれ会話が弾みかけたころだった。
あまりうまくない化粧でごまかしてはいるが、まだ幼い少年の顔をしていた。
「聞かないよ。
とても似合っている。あずみ君は昔からかわいい顔をしているから・・・」
雅はあずみが腹をたてている理由は何となくはわかっていた。
一つは如月と付き合っていたこと、二つ目はそれが原因で如月を左遷させてしまったこと・・・
だから話をするにしても、少し気を使って言葉を選んで話しているつもりだった。
「お兄様が、女を嫌いだからよ。
だから僕は女の服を着ている。お兄様に嫌われたくて・・・」
「あずみ。もうやめなさい。せっかく久しぶりにみんなが集まったんだ。楽しく食事しようよ。」
「集まれなくしたのは雅さんでしょ。」
雅は少しうろたえた。何も知らない隼人も一緒に連れて来ていたからだ。いろいろと理由を話して隼人との仲をぎくしゃくさせたくはない。
あずみは薄ら笑いを浮かべると目の前のスープを、音を立てて下品に飲のみ、自分は最低な人間だと知らしめるような振る舞いをした。
「あず、そんなに前からこの家に人が集まるなんでなかったじゃないか。
僕が押し掛けてくる以外はいつも静かな食卓だっただろ。僕の雅をあんまりいじめるなよ。」
「規夫君は相変わらず雅さんの見方ね。」
「友達だからな。あずも友達作れよ。」
「どうやって。」
「まず、学校へ行けよ。それか塾に行くとか・・・」
「イヤ。全部いや。」
「困ったな・・・」
緑山も少し苦笑いしてスプーンから手を離し、背もたれに深く身を預けた。
「隼人君、こんなあずみだけれど、少しの間、勉強を見てあげてくれないかな。
毎週土曜、講義があるときはお休みでいいよ。
時間は君に任せる。1,2時間程度で構わない。」
如月はとてもやさしく、隣に座ったあずみの長い髪を、こめかみから指先で撫でつけ、耳にかけながら言った。
あずみは如月とは母親が違う二十五歳年下の弟。如月とはよく親子に間違えられる。
それほど年は離れていた。
「わかりました。よろしくね。あずみ君。」
あずみは隼人に視線を向けることなく、目の前の食事をがつがつと口いっぱいに押し込めるだけ押し込んで、それをくちゃくちゃと噛みながら席を立った。
「ごめんね。驚いただろ。ちょっと甘やかしすぎてね。あの子がまだ小さい時に父と母が相次いで亡くなったもんだから、可哀そうで怒ることができなかったんだ。」
「そしたらああなった。と・・・」
緑山はあずみの座っていたテーブルの周りを片付けながら言った。
スプーン、フォーク、ナイフだけでなく、食べ残したものも皿からあふれ、床にまで散らばっていた。
「それでも、私にとってはかわいい弟なんだ。いいかな。」
「はい。」
如月は隼人に向きを合わせて話をしたが、テーブルの向かいに座る雅に、たまに送る視線の違いに隼人は気が付いていた。
雅も机の下では隼人の手を握ってはいるが、心がそこにはなくて、絡めあった指先も簡単にほどけてしまうもろさに不安を感じていた。
加えてみんなの話については行けず、何か見えない壁に自分だけが囲われているような焦りを感じていた。
緑山と如月はいとこで、雅は緑山と幼馴染。山波も高校時代からここに住んでいる。
自分は新参者なのだから、この壁はあって当然と考えてはいたものの、相槌さえも打てないような状況で食事は終わった。
「僕・・・もう一度あずみ君に挨拶してきます。お部屋がどこか教えてもらえますか?」
「じゃあ、ついて行くよ。」
「いえ、一人で行きます。」
とうとう、その状況に耐え切れずに逃げ出すことを考えた。
居間の扉を閉めると、ガラス越しに見えたのは、食後のお茶を楽しんでいる光景。
自分の育ってきた環境とは全く違うここで、自分とはかけ離れた環境で育ってきた人たちの中で、自分を作ることにも少し疲れていた。
「あずみ君、入っていい?ちょっとだけお話ししよう。」
隼人はあずみの部屋をノックした。最初、ドアは十センチくらい開き、あずみの顔が半分だけ見えた。
「お茶、持って来たよ。一緒に飲もう。」
ドアは広く開かれ、招かれはしたが、特に話をすることもなくしばらくは沈黙が続いた。
「勉強・・・どこから教えたらいいかな・・・・」
「社会。僕、地理が苦手。あと国語。あとはいい。」
「わかった。何か参考書見つけてくるよ。」
「ねえ、来週の土曜。一人で来るの?」
「ううん。雅が送って来てくれる。僕、まだ車持っていないし。ここはバス停からも遠くて不便だから乗せていってあげるって。」
その言葉にあずみは大声で笑った。気でも触れたのかと思うくらいにソファーから転がり落ち、床に足をバタバタと踏み鳴らして笑いだした。
「あんたってバカね・・・ねえ、知ってる?お兄様と雅さんはずっと前から付き合っているのよ。
とっても深―く・・・」
「でも、今は僕と付き合っていて・・・もう、昔のことは忘れたって・・・」
「言うだけよ。二人は一体を分け合ったくらいに強く愛し合っていたのよ。
忘れられるとでも思っているの。僕もそんな二人が嫌で何度も割こうとした。
でも今日、やっぱり無理だったって確信したよ。」
「そんなことないよ。僕だって雅とは毎日キスだってするし、抱いてだってくれる。
僕は雅を信じてる。」
「じゃあ賭けない?今度の土曜、君と僕がここで勉強をしている2時間。お兄様と雅が何もなかったら僕は髪を切って男の子の制服を着て学校へ行く。もし二人が抱き合っていたら、君が僕をここから連れ出して。」
「連れ出してって、どこへ連れて行けばいいの?」
「どこでもいいわ。面白いところ。ここよりはどこでも多少は面白いでしょう。
それに、信じているんでしょ、雅さんの事。だったらいいじゃない。それとも、やっぱりお兄様に取られると思っているの?」
「いいよ。賭けるよ。」
「おもしろい。わかっているとは思うけど、このことは雅さんには絶対に言ってはだめよ。言ったことが分かったら、あんたを殺すわよ。」
「言わない・・・僕、雅を本当に信じているんだ。どんなんことがあっても雅だけは僕を裏切らない。」
あずみは又、大声で笑い始めた。
足を踏み鳴らし、床をゴロゴロと転げまわって。隼人はとても苦しかった。
言葉では雅を信じているとは言ったけれど、雅の真実は何処に向かっているのか本当はわからず、向いている先に自分が無理やり立とうと精一杯無理をしてきたことを自分が一番よくわかっていたから。
雅に愛されているんだと思い込まなければ、壊れてしまいそうな弱い自分の最後の砦だった。
「早く下へ行かないと、今日にでもお兄様に雅さんを取られちゃうわよ。」
そう言って隼人の眼を見ながら、なお一層狂ったように笑うあずみに背筋に冷たいもの感じながら、その部屋から転がるように居間へ戻った。
居間へ戻るとそこには如月と雅の二人しかいなかった。
大きな一人掛けのソファーに座る如月のすぐ隣で椅子にもたれて床に座る雅の姿があった。
二人は微笑んで見つめあい、隔てるものはその椅子のひじ掛けだけで、「低すぎる」と隼人は感じていた。
「あ、隼人お帰り。」
雅は両手を広げて隼人を迎えた。隼人は迷わずその胸に飛び込んだ。
膝に座り首元に顔をうずめると愛おしく抱きしめてくれる。
それでこの賭けには必ず勝てると確信した。
「あずみはいつになくご機嫌だったね。あんなによく笑うあずみは初めてだよ。」
「隼人に頼んでよかった。」
隼人の顔を見て微笑み頬擦りする雅の顔に絶対を感じていたが、雅の気持ちは、半分はかわいい隼人を胸に抱いていたいという思いと、半分は如月に自分のペットを見せつけてやきもちを焼かせたいという気持ち。
どちらが今の本当なのかは雅自身もわからなかった。
如月を見れば如月に、隼人を見れば隼人に、高く積み上げた思いはただグラグラと、無造作に置かれただけの積み木のように不安定に揺れていた。
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