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一ノ宮が死んでいる。
これを食べろと、あれらは言う。
他の下の子は絶句して、震えていた。
だから、二ノ宮はいの一番にそれに手をつけた。
自分が、少しでもこれを食べなければいけないと口元に運ぶ。
一ノ宮の肉。人の、生け贄の肉だ。
本来の、役割を、彼は全うした。
こみ上げてくる吐き気は最初だけ。二口、三口と食べ始めると止まらない。
これが、理性をなくし化け物になる感覚かと二ノ宮はそう思いながらどうにか、どうにか全てを飲み込んでしまおうと思ったがばつんっと不意に意識が途絶えてしまった。
「―――めて、やめて、お、おにいさま、どこにもっていくの、は、はなして、いやだ」
声が、聞こえた。
二ノ宮の意識は徐々に浮上していく。
視界が少しずつ明瞭になっていき、床に伏しているものに目が行って叫びそうになった。
かつて、一緒に過ごしてた弟と妹達がそこで息絶えていた。
ずる、ずるっと自分の体を引きずられているようでその光景がありありと目に入る。
三ノ宮。
彼だけは、己で命を絶ったようだ。おびただしい血の量を見て二ノ宮はそう判断し、そして震えてこちらに駆け寄ってくる八ノ宮を見た。
まだ、生きている。
彼は食べていないようだった。
そんな八ノ宮を七つのそれは邪魔だと言わんばかりに払った。
「八番目はだめだな」
「食べてもまるで変化がない」
「適性が無かった」
「一番適性があったのは一人だけか」
「これを七つに分ければよろしい」
「それもそうだ」
「早く分けてしまえ。そして、誰がこの国にふさわしい神か争おうじゃないか」
彼らの言葉が耳に入っては通り過ぎる。二ノ宮は全く動かない体で、しかし、そこにたった一人まだ生きている家族がいるならと奮い立たせる。
動け、と。
「―――ア」
奇妙な音がした。
視界の端で、七つのうちの一人がいなくなった気がする。
「な、なんだ!?」
「食われた! 大黒天が食われたぞ!!」
「大蛇だ! 八番目がやったぞ!」
数名がそう声を上げた。
すると、二ノ宮を引きずっていた彼らはすぐに彼を手放しそれに駆け寄る。
「あれだ! 私はあれにする!」
「ふざけるな! あの子は私が目をつけていた!」
「いいや! 俺にふさわしい! あんな強い駒はいない!」
「これで、この国は私のものになる!!」
歓喜の声を上げる神々・・に大蛇はゆっくりと頭を近づけるとばくりと頭から丸呑みしてしまう。じたばたと喉元で動いていたそれが数秒もせずに動かなくなった。
それを見た、残った者たちは悟った。
もう自分たちが上の存在では無いということを。
「に、逃げろ!!」
「逃げろ逃げろ!」
「こんなの知らない!」
散り散りになって逃げ出すが強い尾の攻撃になすすべ無く動けなくなりごくんっと呑み込まれる。
二ノ宮は、それをぼんやりと見ていたわけでは無い。
少し体が動くようになって這ってとある人物のところまで近づく。そして、それに触れて叫んだ。
「動け!!!」
唯一、一ノ宮を食べなかった三ノ宮がびくりと震えると同時にゆっくりと起き上がる。
死体を動かすのは二ノ宮の得意分野だ。
だがしかし、他の一ノ宮を口にしてしまったものは自分の制御下に置くことができないと判断して同じように傀儡にすることができない。
唯一の対抗手段はこれだけだ。心許ないと二ノ宮は自身の言うことの聞かない体に舌打ちをしながら他にはないかと八ノ宮を止めようと他の方法を画策する。
すると不意にからんっと目の前に刀が落ちてきた。
大太刀。
二ノ宮にとっては薄ら寒い思いをするそれに直感でこれは三ノ宮が作りだした神を殺す刀だと悟った。そして、自分が神と似たような存在になってしまったことを察する。
「三ノ宮、貴方本当に用意周到ですね」
どこに隠し持っていたのか分からないが、それを扱えというわけだろう。少しの意識がまだ残っているようだ。二ノ宮を術で軽く治療したあとに一瞬だけ視線を寄越してすぐに走り出す。
二ノ宮は、その大太刀を支えに体を起こす。まだ、完全に癒えた訳では無くふらふらと体がうまく動かない事に再び舌打ちをした。
しかし、やらなければいけない。
――と、二ノ宮の横を通り過ぎようとする者に彼はためらわずに斬り伏せた。
「そんな、ば―――」
ばたんっと血を流してあっさりそれが死ぬ。それ確認した二ノ宮が軽くそれの血を払い、逃げ惑う神々を屠る。
「待て! 俺たちがいなければお前は生まれて―――」
「誰が、産んでくれと頼んだ!」
神と呼ばれるそれから作られた特別。
二ノ宮達はただそれだけだった。彼らの玩具で、恐らく、この国の一柱の神を決めるだけの駒の一つ。
それだけの存在だ。利用され、あげくに殺され、残ったのはもう一人だけ。
あと一柱!
二ノ宮は、逃げ惑う神々の最後の一つに狙いを定めるが次の瞬間ばちっと刀に電撃が走り滑り落ちた。
「―――っ!」
無理に持っていた為、掌はやけどを負ったように酷い状態だった。一瞬、気を抜いてしまったが為に押さえ込んでいた拒絶反応が出てしまった。
二ノ宮は一柱の逃亡を許してしまった。
「三ノ宮!!」
自分では追いつけないことを悟り、八ノ宮を相手している三ノ宮に追いかけろっと指示を出す。一瞬迷った三ノ宮だったがすぐに翻し逃げた神を追う。
二ノ宮は、刀を構え直し八ノ宮を睨み付ける。
大きな蛇。
ちろちろと舌を出したこちらを伺っている様子だが、その間にも呑み込んだ神を消化しているようだ。
それら全てを養分にされてしまえばおしまいだ。
間に合うだろうか、できるだろうか。
もう一度刀を握り直し、二ノ宮は苦笑する。
「こういうのは、一ノ宮お兄様の方が似合う」
我ながら情けない声だ。
しかし、やるしか無い。
低く、踏み込んで二ノ宮はその刀を扱う。ばちっと激しく持っている掌に衝撃が走って痛みが走った。
二ノ宮は、今度はしっかりと柄を握りしめる。
頭めがけて、巨体を上がり勢いよく飛んだ。そして、とどめを刺そうと力を込めると床が沈んだ。
「落ち……っ!」
空中に体が投げ出される。ガラガラと床や壁が崩れて下に下に落ちていく。バラバラになっていく無機物はさらさらと砂に変わって、ただ、大蛇と二ノ宮が落下した。
落ちた先は、人が住んでいるという世界だった。
神が、あの世界を構築していた神が消えてしまって保てなくなったのだと気づいた二ノ宮はどうにか法術で衝撃を和らげつつ、地に降り立つ。
その場所は小さな世界だった。
人が住んでいるが、妙な囲い・・がしてあり狭い。
そんな考察をしつつ、突然降ってきた蛇に人々は悲鳴を上げた。
「どうして中に!」
「結界の中は安全のはずじゃ!?」
「どうすればいいんだ! 外には妖魔もいて逃げられない!!」
「―――はっ!」
二ノ宮は、彼らが神様の駒の餌である事を悟り鼻で笑った。
たくさんの供物。
逃げられないように外には脅威を配置し、この囲いの中でしか生きられないように誘導する。成程、そうまでして国のただ一柱の神を決めたいらしい。
ぎりっと彼らの傲慢な考えに腹が立って歯がみした。
そして、その彼らの計画通り駒である八ノ宮が供物を食べようと口を開いた。
「×××!!」
止めなければ。
その一心で二ノ宮は八の宮の名前を叫んだ。
するとどういうことかぴたりと彼は動きを止めてうろうろとその目を彷徨わせる。
「ア、ァ、おにい、さま……」
「!」
二ノ宮は、そこで、八ノ宮が一ノ宮を呼んでいる事に気がついた。
もう彼はいない。
しかし、今の彼にそんなことを言ってしまえば暴れ出すのは目に見えていた。
今、今だ。
倒せなくても―――。
「八ノ宮、一ノ宮お兄様を作りましょう」
「―――」
かつて、彼がそう言っていたことを思い出す。
切望していた願いを、叶えようと二ノ宮は一人になってしまった家族に優しく声をかける。
もう、いい。
この子しか、もう自分にいないのだから。
他の者などどうでも良い。
「大丈夫。一ノ宮お兄様を食べた私にも彼の記憶が頭に入っている。作れます。貴方だけのお兄様を」
「―――ぅ。し……にぃ、ざ……」
八ノ宮が、意識が徐々に戻ってきた八ノ宮が言葉を紡ごうと必死になる。しかし、それを二ノ宮は優しく遮った。
分かっている、とでも言うような表情で、彼は選択を誤った。
「だから、おやすみなさい」
ありったけの法術でこのたった一人の家族を鎮める。
彼は抵抗すること無く、静かに眠りについた。
これを食べろと、あれらは言う。
他の下の子は絶句して、震えていた。
だから、二ノ宮はいの一番にそれに手をつけた。
自分が、少しでもこれを食べなければいけないと口元に運ぶ。
一ノ宮の肉。人の、生け贄の肉だ。
本来の、役割を、彼は全うした。
こみ上げてくる吐き気は最初だけ。二口、三口と食べ始めると止まらない。
これが、理性をなくし化け物になる感覚かと二ノ宮はそう思いながらどうにか、どうにか全てを飲み込んでしまおうと思ったがばつんっと不意に意識が途絶えてしまった。
「―――めて、やめて、お、おにいさま、どこにもっていくの、は、はなして、いやだ」
声が、聞こえた。
二ノ宮の意識は徐々に浮上していく。
視界が少しずつ明瞭になっていき、床に伏しているものに目が行って叫びそうになった。
かつて、一緒に過ごしてた弟と妹達がそこで息絶えていた。
ずる、ずるっと自分の体を引きずられているようでその光景がありありと目に入る。
三ノ宮。
彼だけは、己で命を絶ったようだ。おびただしい血の量を見て二ノ宮はそう判断し、そして震えてこちらに駆け寄ってくる八ノ宮を見た。
まだ、生きている。
彼は食べていないようだった。
そんな八ノ宮を七つのそれは邪魔だと言わんばかりに払った。
「八番目はだめだな」
「食べてもまるで変化がない」
「適性が無かった」
「一番適性があったのは一人だけか」
「これを七つに分ければよろしい」
「それもそうだ」
「早く分けてしまえ。そして、誰がこの国にふさわしい神か争おうじゃないか」
彼らの言葉が耳に入っては通り過ぎる。二ノ宮は全く動かない体で、しかし、そこにたった一人まだ生きている家族がいるならと奮い立たせる。
動け、と。
「―――ア」
奇妙な音がした。
視界の端で、七つのうちの一人がいなくなった気がする。
「な、なんだ!?」
「食われた! 大黒天が食われたぞ!!」
「大蛇だ! 八番目がやったぞ!」
数名がそう声を上げた。
すると、二ノ宮を引きずっていた彼らはすぐに彼を手放しそれに駆け寄る。
「あれだ! 私はあれにする!」
「ふざけるな! あの子は私が目をつけていた!」
「いいや! 俺にふさわしい! あんな強い駒はいない!」
「これで、この国は私のものになる!!」
歓喜の声を上げる神々・・に大蛇はゆっくりと頭を近づけるとばくりと頭から丸呑みしてしまう。じたばたと喉元で動いていたそれが数秒もせずに動かなくなった。
それを見た、残った者たちは悟った。
もう自分たちが上の存在では無いということを。
「に、逃げろ!!」
「逃げろ逃げろ!」
「こんなの知らない!」
散り散りになって逃げ出すが強い尾の攻撃になすすべ無く動けなくなりごくんっと呑み込まれる。
二ノ宮は、それをぼんやりと見ていたわけでは無い。
少し体が動くようになって這ってとある人物のところまで近づく。そして、それに触れて叫んだ。
「動け!!!」
唯一、一ノ宮を食べなかった三ノ宮がびくりと震えると同時にゆっくりと起き上がる。
死体を動かすのは二ノ宮の得意分野だ。
だがしかし、他の一ノ宮を口にしてしまったものは自分の制御下に置くことができないと判断して同じように傀儡にすることができない。
唯一の対抗手段はこれだけだ。心許ないと二ノ宮は自身の言うことの聞かない体に舌打ちをしながら他にはないかと八ノ宮を止めようと他の方法を画策する。
すると不意にからんっと目の前に刀が落ちてきた。
大太刀。
二ノ宮にとっては薄ら寒い思いをするそれに直感でこれは三ノ宮が作りだした神を殺す刀だと悟った。そして、自分が神と似たような存在になってしまったことを察する。
「三ノ宮、貴方本当に用意周到ですね」
どこに隠し持っていたのか分からないが、それを扱えというわけだろう。少しの意識がまだ残っているようだ。二ノ宮を術で軽く治療したあとに一瞬だけ視線を寄越してすぐに走り出す。
二ノ宮は、その大太刀を支えに体を起こす。まだ、完全に癒えた訳では無くふらふらと体がうまく動かない事に再び舌打ちをした。
しかし、やらなければいけない。
――と、二ノ宮の横を通り過ぎようとする者に彼はためらわずに斬り伏せた。
「そんな、ば―――」
ばたんっと血を流してあっさりそれが死ぬ。それ確認した二ノ宮が軽くそれの血を払い、逃げ惑う神々を屠る。
「待て! 俺たちがいなければお前は生まれて―――」
「誰が、産んでくれと頼んだ!」
神と呼ばれるそれから作られた特別。
二ノ宮達はただそれだけだった。彼らの玩具で、恐らく、この国の一柱の神を決めるだけの駒の一つ。
それだけの存在だ。利用され、あげくに殺され、残ったのはもう一人だけ。
あと一柱!
二ノ宮は、逃げ惑う神々の最後の一つに狙いを定めるが次の瞬間ばちっと刀に電撃が走り滑り落ちた。
「―――っ!」
無理に持っていた為、掌はやけどを負ったように酷い状態だった。一瞬、気を抜いてしまったが為に押さえ込んでいた拒絶反応が出てしまった。
二ノ宮は一柱の逃亡を許してしまった。
「三ノ宮!!」
自分では追いつけないことを悟り、八ノ宮を相手している三ノ宮に追いかけろっと指示を出す。一瞬迷った三ノ宮だったがすぐに翻し逃げた神を追う。
二ノ宮は、刀を構え直し八ノ宮を睨み付ける。
大きな蛇。
ちろちろと舌を出したこちらを伺っている様子だが、その間にも呑み込んだ神を消化しているようだ。
それら全てを養分にされてしまえばおしまいだ。
間に合うだろうか、できるだろうか。
もう一度刀を握り直し、二ノ宮は苦笑する。
「こういうのは、一ノ宮お兄様の方が似合う」
我ながら情けない声だ。
しかし、やるしか無い。
低く、踏み込んで二ノ宮はその刀を扱う。ばちっと激しく持っている掌に衝撃が走って痛みが走った。
二ノ宮は、今度はしっかりと柄を握りしめる。
頭めがけて、巨体を上がり勢いよく飛んだ。そして、とどめを刺そうと力を込めると床が沈んだ。
「落ち……っ!」
空中に体が投げ出される。ガラガラと床や壁が崩れて下に下に落ちていく。バラバラになっていく無機物はさらさらと砂に変わって、ただ、大蛇と二ノ宮が落下した。
落ちた先は、人が住んでいるという世界だった。
神が、あの世界を構築していた神が消えてしまって保てなくなったのだと気づいた二ノ宮はどうにか法術で衝撃を和らげつつ、地に降り立つ。
その場所は小さな世界だった。
人が住んでいるが、妙な囲い・・がしてあり狭い。
そんな考察をしつつ、突然降ってきた蛇に人々は悲鳴を上げた。
「どうして中に!」
「結界の中は安全のはずじゃ!?」
「どうすればいいんだ! 外には妖魔もいて逃げられない!!」
「―――はっ!」
二ノ宮は、彼らが神様の駒の餌である事を悟り鼻で笑った。
たくさんの供物。
逃げられないように外には脅威を配置し、この囲いの中でしか生きられないように誘導する。成程、そうまでして国のただ一柱の神を決めたいらしい。
ぎりっと彼らの傲慢な考えに腹が立って歯がみした。
そして、その彼らの計画通り駒である八ノ宮が供物を食べようと口を開いた。
「×××!!」
止めなければ。
その一心で二ノ宮は八の宮の名前を叫んだ。
するとどういうことかぴたりと彼は動きを止めてうろうろとその目を彷徨わせる。
「ア、ァ、おにい、さま……」
「!」
二ノ宮は、そこで、八ノ宮が一ノ宮を呼んでいる事に気がついた。
もう彼はいない。
しかし、今の彼にそんなことを言ってしまえば暴れ出すのは目に見えていた。
今、今だ。
倒せなくても―――。
「八ノ宮、一ノ宮お兄様を作りましょう」
「―――」
かつて、彼がそう言っていたことを思い出す。
切望していた願いを、叶えようと二ノ宮は一人になってしまった家族に優しく声をかける。
もう、いい。
この子しか、もう自分にいないのだから。
他の者などどうでも良い。
「大丈夫。一ノ宮お兄様を食べた私にも彼の記憶が頭に入っている。作れます。貴方だけのお兄様を」
「―――ぅ。し……にぃ、ざ……」
八ノ宮が、意識が徐々に戻ってきた八ノ宮が言葉を紡ごうと必死になる。しかし、それを二ノ宮は優しく遮った。
分かっている、とでも言うような表情で、彼は選択を誤った。
「だから、おやすみなさい」
ありったけの法術でこのたった一人の家族を鎮める。
彼は抵抗すること無く、静かに眠りについた。
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