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「これで、終わり!」
少しばかり遠くの方まで足を運び、兎に角目に入った妖魔を倒した。ふう、と少し息を吐いて軽く上がった呼吸を落ち着かせる。そして苦笑する。
無心で妖魔を倒していたら大分都から離れてしまった。そろそろ夜にさしかかっている時間帯だ。引き上げないと。そう思って俺は都の方に足を進める。そして、ふと久遠が小さいころにいた屋敷が気になった。偶々、確かこのあたりだったような気がするという考えで足がそれる。
木々をかき分け、ひらけた場所に出た。
「あれ……」
恐らく、久遠が幼い頃に住んでいた屋敷があった場所のはずだった。数年以上経っているので、そこには更地が広がっているはずだと俺は予想していた。
「この、場所……」
そこには東屋があった。その東屋には見覚えがある。確か、中秋の名月で……。
ふらふらと導かれるようにしてその場所に向かう。やり直し前でもあったその場所はあの時と変わりが無い。勝手に入るのは忍びないので、近寄って少しだけ中を覗いただけだ。
そういえば、あの時は兎の形のまんじゅうを作ろうとして綺麗にできたものは全部弟に奪われた。結局、お菓子を買って向かったのだが雫さんにその失敗作を持ってこられてそのまま久遠の腹に収まってしまった。
あの時のことを思い出し、二度と帝様に手作りのまんじゅうを作ることはできないだろうと思っていた。しかしその帝様は久遠であると知った今は、不可能ではない。
とはいえ、料理とは勝手が違うのでお菓子作りは練習が必要だ。今度は綺麗な兎の形をしたまんじゅうを久遠に食べさせてあげたいので近々材料をそろえて作ろう。幸いなことに、失敗作を食べてくれそうな人もいるし……。
喜んでくれるだろうかと俺はそう思いながら今度こそ都の方に向かう。前も久遠が言っていたようにここら辺には妖魔は近寄らないので安全だが長居する用事も無い。それに夕餉も作らないといけないのだ。
都の方に向かっていくと何やら喧噪が聞こえる。誰かが妖魔と戦っているのだろう。連日、妖魔狩りをしているようで外に出ると度々出会う。手が足りないようなら助けてあげようと刀を構えながら足早にそこに向かうとどういうわけか一人しかいなかった。
明らかに劣勢で、慌てて俺はそこら辺の石を投げつけた。
瞬く間に噛みつこうとした妖魔が消えて周りの妖魔に向かって刀を振るい数を減らす。
「走って!!」
「!」
退路を作って叫ぶと男が気づいてそこから逃げ出す。俺もそれを追いかけるように走り出すと上から、何かが降ってきた。
「な――っ!!」
黒い外套を翻し、ぐんっと一気に近づいてくる。その人物に見覚えがあって俺はためらいなく刀を真横に振った。しかし、ひらりと軽くかわされてしまう。距離を取るために離れたいが、周りには妖魔もいて思うように動けない。そう思ったその瞬間、ぱんっと何かがはじけた音がしてちらりと周りを見渡す。
俺たちを囲んでいた妖魔が一気に倒されたようだ、この目の前の人物によって。
あのときの人物である。外套を深くかぶったその男。
駆君の事件で現れたそいつだ。ここ最近ずっと会わなかったから油断していた。それに外套の人はやり直す前は俺のことを助けてくれた事もあったので何かの間違いではないか、という考えもあった。信じたくないが、俺が行動を変えたせいで敵対関係になってしまった、ということだろう。
ゆっくり、ゆっくりと彼が近づいてくる。
「動くな。これ以上近づくなら斬る」
俺は切っ先を男に向けた。男は丸腰であるが、どんな法術を使ってくるか分からない。前のように油断して、やられるわけにはいかないと睨みつけるが不意に、目の前に男の顔があった。頭巾の下からのぞくその顔にまたしてもうまく認識できずに頭が痛くなる。
すぐさま目をそらしたがとん、と刀を持っている方の肩を軽く叩かれた。かと思えば肩口から血が噴き出した。痛みが生じるが刀を強く握って横に振るう。またしてもかわされたが、距離を取るためならば十分だ。よろめきながらもう片方の手で刀を握る。そして、何かを弾いた。
見えない。彼の攻撃が全く見えない。何か武器を持っているわけでもないので、何かしらの法術である事は分かるのだが、こんなものは見たことがない。ちっと舌打ちをして大きく踏み出した。外套を切り裂き、切っ先を曲げて男の腕を切る。浅い。刀を引くようにして刃を戻しながら男の攻撃を受け止める。びりっと腕がしびれていなすように刀を傾けながら横に身体を傾けると腹に衝撃を受けた。
「ぅ――っ!!」
地面が盛り上がって槍のように俺の腹を貫いていた。俺は足に力を入れて大きく後ろに跳ぶとその場所の地面が無数の針を作る。あの場にいたら串刺しになっていた。
ドクドク血が流れ、その場所を押さえながら男の方を見ようとして彼はちらりとどこかを一瞥した後に去って行った。
「ま……っ!!」
追いかけようとして、かたっと何か音がした。足下にはあの箱がある。そこから妖魔が出る前に箱を破壊し、はっと男の方を見るが完全に見失ってしまった。くそっと悪態をつきながら着物を裂いて患部を止血する。
あの男の行方が気になるが、今は先ほど妖魔に襲われていた彼がうまく逃げられたのか確認するのが先だ。そう思い、俺は都の方に向かう。門をくぐると男が俺に気づいて駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫で……、ち、血がっ!!」
「これぐらい平気だからいい」
血はもう止まっているし、恐らく暫くすれば塞がる傷だ。そう思って男の手を払うが、彼は引き下がらない。
「そんな! 助けていただいたお礼に手当をさせてください!」
「しつこい」
通り過ぎようとするが、男は食い下がる。その様子から見るに、俺のことを知らないのだろうか?いやでも、術師のようだし俺を知らないなんて事は……。
「兄さん!? その傷、大丈夫ですか!?」
「……」
不意に、弟の声がした。ちらりと男を見ると彼は俺が逃げ出さないようにと腕を掴む。その腕は、傷を負った方で本当に心配しているのならば絶対にしない。
「理央様! この方が、俺の代わりに傷を負ってしまって……」
「ああそんな! 今僕が治してあげます!」
「要らない」
「だめです! そんな深い傷を負っているのに! 放っておいたらもっと酷くなりますよ!!」
乱暴にその腕を払うが、弟と同じようについてきた術師達が俺の行く手を阻む。
「邪魔だ」
「理央様が手当てをしてやるんだからありがたく受けたらどうだ」
「ありがた迷惑だな。大体、妖魔も満足に倒せない奴が治療なんてできるのか?」
「貴様……っ」
「兄さん!」
取り巻き達とそう言い争いをしていると弟が割って入り腕を掴む。遠慮のない力で痛みに一瞬顔がゆがむがすぐに無表情に戻る。
「なんだよ。いつもは治療しようだなんて言ってこないくせに」
「言おうと思ってたら兄さんがどこかに行ってしまうから。でも今日は漸く治すことが出来ます。遠慮しないで、それとも、治療をされたら困ることでもあるの?」
「……」
そういうことかと俺は肩をすくめた。大方、弟の神様が何か教えたのだろう。どんな傷でも自然に治るということを。
前にも同じようなことがあった。傷が治った俺を見て化け物だと罵っていた。便利な体質だが、他の人から見れば化けものに見えるのだろう。どうでもいいが。
「治った」
「! そんな傷を負ってるのにすぐに治るなんてあり得ないですよ。嘘言ってないで診せてください」
「治ったって言ってんだろ」
「っ! この!」
腕を掴む弟を振り払おうとして着物が破ける。そんなに俺の傷がどうなっているのかみたいらしい。冷ややかに弟を見ると弟は傷の塞がっている肩を見て驚いたような表情を浮かべた。
「傷が……っ!」
「だから治ってるって言っただろ」
「普通の人はこんなにすぐに治らないのに……っ」
「そうだな。俺は化け物だから治るんだよ」
最後にふんっと鼻を鳴らす。弟が俺をじとっと睨んだ。全く自分の言動が響いていないことを見て気に入らないのだろう。初めてではないし、わかりやすすぎる。
大体にして、俺が化け物だと分かってなんになる?俺の知り合いに言いふらすのか?だったら悪手だ。俺の傷が人より治るのが早いというのを彼らは知っている。噂になって、俺の立場が悪くなってもこれと言った役職のない俺にとっては痛くもかゆくもない。これが前のように七宝という責任を負っていたのならばそれなりに影響を受けるだろうが、今はしがない一般人。一時そう騒がれてもすぐに沈静化するだろう。
少しばかり遠くの方まで足を運び、兎に角目に入った妖魔を倒した。ふう、と少し息を吐いて軽く上がった呼吸を落ち着かせる。そして苦笑する。
無心で妖魔を倒していたら大分都から離れてしまった。そろそろ夜にさしかかっている時間帯だ。引き上げないと。そう思って俺は都の方に足を進める。そして、ふと久遠が小さいころにいた屋敷が気になった。偶々、確かこのあたりだったような気がするという考えで足がそれる。
木々をかき分け、ひらけた場所に出た。
「あれ……」
恐らく、久遠が幼い頃に住んでいた屋敷があった場所のはずだった。数年以上経っているので、そこには更地が広がっているはずだと俺は予想していた。
「この、場所……」
そこには東屋があった。その東屋には見覚えがある。確か、中秋の名月で……。
ふらふらと導かれるようにしてその場所に向かう。やり直し前でもあったその場所はあの時と変わりが無い。勝手に入るのは忍びないので、近寄って少しだけ中を覗いただけだ。
そういえば、あの時は兎の形のまんじゅうを作ろうとして綺麗にできたものは全部弟に奪われた。結局、お菓子を買って向かったのだが雫さんにその失敗作を持ってこられてそのまま久遠の腹に収まってしまった。
あの時のことを思い出し、二度と帝様に手作りのまんじゅうを作ることはできないだろうと思っていた。しかしその帝様は久遠であると知った今は、不可能ではない。
とはいえ、料理とは勝手が違うのでお菓子作りは練習が必要だ。今度は綺麗な兎の形をしたまんじゅうを久遠に食べさせてあげたいので近々材料をそろえて作ろう。幸いなことに、失敗作を食べてくれそうな人もいるし……。
喜んでくれるだろうかと俺はそう思いながら今度こそ都の方に向かう。前も久遠が言っていたようにここら辺には妖魔は近寄らないので安全だが長居する用事も無い。それに夕餉も作らないといけないのだ。
都の方に向かっていくと何やら喧噪が聞こえる。誰かが妖魔と戦っているのだろう。連日、妖魔狩りをしているようで外に出ると度々出会う。手が足りないようなら助けてあげようと刀を構えながら足早にそこに向かうとどういうわけか一人しかいなかった。
明らかに劣勢で、慌てて俺はそこら辺の石を投げつけた。
瞬く間に噛みつこうとした妖魔が消えて周りの妖魔に向かって刀を振るい数を減らす。
「走って!!」
「!」
退路を作って叫ぶと男が気づいてそこから逃げ出す。俺もそれを追いかけるように走り出すと上から、何かが降ってきた。
「な――っ!!」
黒い外套を翻し、ぐんっと一気に近づいてくる。その人物に見覚えがあって俺はためらいなく刀を真横に振った。しかし、ひらりと軽くかわされてしまう。距離を取るために離れたいが、周りには妖魔もいて思うように動けない。そう思ったその瞬間、ぱんっと何かがはじけた音がしてちらりと周りを見渡す。
俺たちを囲んでいた妖魔が一気に倒されたようだ、この目の前の人物によって。
あのときの人物である。外套を深くかぶったその男。
駆君の事件で現れたそいつだ。ここ最近ずっと会わなかったから油断していた。それに外套の人はやり直す前は俺のことを助けてくれた事もあったので何かの間違いではないか、という考えもあった。信じたくないが、俺が行動を変えたせいで敵対関係になってしまった、ということだろう。
ゆっくり、ゆっくりと彼が近づいてくる。
「動くな。これ以上近づくなら斬る」
俺は切っ先を男に向けた。男は丸腰であるが、どんな法術を使ってくるか分からない。前のように油断して、やられるわけにはいかないと睨みつけるが不意に、目の前に男の顔があった。頭巾の下からのぞくその顔にまたしてもうまく認識できずに頭が痛くなる。
すぐさま目をそらしたがとん、と刀を持っている方の肩を軽く叩かれた。かと思えば肩口から血が噴き出した。痛みが生じるが刀を強く握って横に振るう。またしてもかわされたが、距離を取るためならば十分だ。よろめきながらもう片方の手で刀を握る。そして、何かを弾いた。
見えない。彼の攻撃が全く見えない。何か武器を持っているわけでもないので、何かしらの法術である事は分かるのだが、こんなものは見たことがない。ちっと舌打ちをして大きく踏み出した。外套を切り裂き、切っ先を曲げて男の腕を切る。浅い。刀を引くようにして刃を戻しながら男の攻撃を受け止める。びりっと腕がしびれていなすように刀を傾けながら横に身体を傾けると腹に衝撃を受けた。
「ぅ――っ!!」
地面が盛り上がって槍のように俺の腹を貫いていた。俺は足に力を入れて大きく後ろに跳ぶとその場所の地面が無数の針を作る。あの場にいたら串刺しになっていた。
ドクドク血が流れ、その場所を押さえながら男の方を見ようとして彼はちらりとどこかを一瞥した後に去って行った。
「ま……っ!!」
追いかけようとして、かたっと何か音がした。足下にはあの箱がある。そこから妖魔が出る前に箱を破壊し、はっと男の方を見るが完全に見失ってしまった。くそっと悪態をつきながら着物を裂いて患部を止血する。
あの男の行方が気になるが、今は先ほど妖魔に襲われていた彼がうまく逃げられたのか確認するのが先だ。そう思い、俺は都の方に向かう。門をくぐると男が俺に気づいて駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫で……、ち、血がっ!!」
「これぐらい平気だからいい」
血はもう止まっているし、恐らく暫くすれば塞がる傷だ。そう思って男の手を払うが、彼は引き下がらない。
「そんな! 助けていただいたお礼に手当をさせてください!」
「しつこい」
通り過ぎようとするが、男は食い下がる。その様子から見るに、俺のことを知らないのだろうか?いやでも、術師のようだし俺を知らないなんて事は……。
「兄さん!? その傷、大丈夫ですか!?」
「……」
不意に、弟の声がした。ちらりと男を見ると彼は俺が逃げ出さないようにと腕を掴む。その腕は、傷を負った方で本当に心配しているのならば絶対にしない。
「理央様! この方が、俺の代わりに傷を負ってしまって……」
「ああそんな! 今僕が治してあげます!」
「要らない」
「だめです! そんな深い傷を負っているのに! 放っておいたらもっと酷くなりますよ!!」
乱暴にその腕を払うが、弟と同じようについてきた術師達が俺の行く手を阻む。
「邪魔だ」
「理央様が手当てをしてやるんだからありがたく受けたらどうだ」
「ありがた迷惑だな。大体、妖魔も満足に倒せない奴が治療なんてできるのか?」
「貴様……っ」
「兄さん!」
取り巻き達とそう言い争いをしていると弟が割って入り腕を掴む。遠慮のない力で痛みに一瞬顔がゆがむがすぐに無表情に戻る。
「なんだよ。いつもは治療しようだなんて言ってこないくせに」
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「……」
そういうことかと俺は肩をすくめた。大方、弟の神様が何か教えたのだろう。どんな傷でも自然に治るということを。
前にも同じようなことがあった。傷が治った俺を見て化け物だと罵っていた。便利な体質だが、他の人から見れば化けものに見えるのだろう。どうでもいいが。
「治った」
「! そんな傷を負ってるのにすぐに治るなんてあり得ないですよ。嘘言ってないで診せてください」
「治ったって言ってんだろ」
「っ! この!」
腕を掴む弟を振り払おうとして着物が破ける。そんなに俺の傷がどうなっているのかみたいらしい。冷ややかに弟を見ると弟は傷の塞がっている肩を見て驚いたような表情を浮かべた。
「傷が……っ!」
「だから治ってるって言っただろ」
「普通の人はこんなにすぐに治らないのに……っ」
「そうだな。俺は化け物だから治るんだよ」
最後にふんっと鼻を鳴らす。弟が俺をじとっと睨んだ。全く自分の言動が響いていないことを見て気に入らないのだろう。初めてではないし、わかりやすすぎる。
大体にして、俺が化け物だと分かってなんになる?俺の知り合いに言いふらすのか?だったら悪手だ。俺の傷が人より治るのが早いというのを彼らは知っている。噂になって、俺の立場が悪くなってもこれと言った役職のない俺にとっては痛くもかゆくもない。これが前のように七宝という責任を負っていたのならばそれなりに影響を受けるだろうが、今はしがない一般人。一時そう騒がれてもすぐに沈静化するだろう。
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