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状況把握
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漸く二人が落ち着いたところで、うっと呻き声が聞こえてきた。はっとした俺は慌ててそちらの方を見て駆けよる。
「叢雲さん!!」
「っ! しーちゃん!!」
俺の声に気付いてがばっと起き上がった叢雲さんががばりと俺に抱き着いた。
「ケガは!?知らない人といなかった!?」
「あ、いえ、俺の……」
「え?ぎゃあっ!!知らん人!!しーちゃんにそれ以上近づいてみろ!殺すぞ!!」
俺を片手に抱えつつ、ばっと刀を構えて距離をとろうとする。慌てて弁明しようとしたらその前にふっと二つの気配を感じた。
それに気づいた叢雲さんがばっと身を翻す。きんっと刃が交わる音がして一歩二歩俺とも距離をとるために後ろに下がる。
「旦那様」
「お下がりください」
「瑠衣お兄ちゃん!瑠奈お姉ちゃん!!」
そこにいたのは瑠衣お兄ちゃんと瑠奈お姉ちゃんだった。
俺が彼女たちの名前を呼ぶと、俺に初めて視線がいって次の瞬間ぶわっと叢雲さんに向かって殺気を飛ばした。
まずい、今の状況を見ると俺を人質に取っていると思われてもおかしくない。慌てて弁明をしようとしたが瑠衣お兄ちゃんが腕に担いでた何かをぽいっと地面に落とす。ぐえっと聞いたことがある声がした。
「紫さん!?」
「しーちゃん、兄さん……。無事で……ぅっ」
振り回されたのか少し具合悪そうにしている紫さん。それを見た叢雲さんが多分またしても勘違いをして静かに二人を睨みつける。それから見たこともない構えで足を踏み出そうとした。
おかしな戦い方であるが、確実にどちらか一人を殺そうとしているのは何となくわかって止めようと声をあげるがそれよりも先に袂から飛び出した雫さんががぶりと叢雲さんの腕に噛みついた。
「いっっっっだああああああっ!!??」
「ぎゃん!!」
「うぐっ!?」
叢雲さんの豪快な悲鳴が飛び出て、次には瑠奈お姉ちゃんと瑠衣お兄ちゃんのうめき声が聞こえた。其方を見ると久臣さんがまとめて拳骨を繰り出している。頼もしい連携だなっと思ったが声に出したら久臣さんが気にするかもしれないと黙っておいた。
一先ず、叢雲さんからおろして貰いよろよろと具合の悪そうな紫さんに近づく。
「大丈夫ですか……?」
「だ、大丈夫」
顔色が悪い。小脇に抱えられているからかだいぶ揺られながら運ばれたのだろう。
そんな俺たちの会話を隣で聞いていた瑠衣お兄ちゃんが少し腰をかがめてこういう。
「失礼、大きい方を持ち運ぶのは慣れていないもので」
「き、気にしないでください。助けて頂いてありがとうございました」
「いいえ。助太刀する前にほとんど片付けていたではありませんか」
「あはは、俺の兄さん人型に関しては最強なので……」
紫さんの言葉に叢雲さんが少しばかり照れたような表情を見せた。話を聞くに、紫さんたちを助けてくれたのだろう。どうしてこんなところにいるのか分からないが、助かった。
その間に瑠奈お姉ちゃんが久臣さんに話をしている。それをこくこくと頷きながら聞いていた久臣さんが和紙を取り出してそれに何か書くと法術で鳥にして飛ばした。
「叢雲さん!!」
「っ! しーちゃん!!」
俺の声に気付いてがばっと起き上がった叢雲さんががばりと俺に抱き着いた。
「ケガは!?知らない人といなかった!?」
「あ、いえ、俺の……」
「え?ぎゃあっ!!知らん人!!しーちゃんにそれ以上近づいてみろ!殺すぞ!!」
俺を片手に抱えつつ、ばっと刀を構えて距離をとろうとする。慌てて弁明しようとしたらその前にふっと二つの気配を感じた。
それに気づいた叢雲さんがばっと身を翻す。きんっと刃が交わる音がして一歩二歩俺とも距離をとるために後ろに下がる。
「旦那様」
「お下がりください」
「瑠衣お兄ちゃん!瑠奈お姉ちゃん!!」
そこにいたのは瑠衣お兄ちゃんと瑠奈お姉ちゃんだった。
俺が彼女たちの名前を呼ぶと、俺に初めて視線がいって次の瞬間ぶわっと叢雲さんに向かって殺気を飛ばした。
まずい、今の状況を見ると俺を人質に取っていると思われてもおかしくない。慌てて弁明をしようとしたが瑠衣お兄ちゃんが腕に担いでた何かをぽいっと地面に落とす。ぐえっと聞いたことがある声がした。
「紫さん!?」
「しーちゃん、兄さん……。無事で……ぅっ」
振り回されたのか少し具合悪そうにしている紫さん。それを見た叢雲さんが多分またしても勘違いをして静かに二人を睨みつける。それから見たこともない構えで足を踏み出そうとした。
おかしな戦い方であるが、確実にどちらか一人を殺そうとしているのは何となくわかって止めようと声をあげるがそれよりも先に袂から飛び出した雫さんががぶりと叢雲さんの腕に噛みついた。
「いっっっっだああああああっ!!??」
「ぎゃん!!」
「うぐっ!?」
叢雲さんの豪快な悲鳴が飛び出て、次には瑠奈お姉ちゃんと瑠衣お兄ちゃんのうめき声が聞こえた。其方を見ると久臣さんがまとめて拳骨を繰り出している。頼もしい連携だなっと思ったが声に出したら久臣さんが気にするかもしれないと黙っておいた。
一先ず、叢雲さんからおろして貰いよろよろと具合の悪そうな紫さんに近づく。
「大丈夫ですか……?」
「だ、大丈夫」
顔色が悪い。小脇に抱えられているからかだいぶ揺られながら運ばれたのだろう。
そんな俺たちの会話を隣で聞いていた瑠衣お兄ちゃんが少し腰をかがめてこういう。
「失礼、大きい方を持ち運ぶのは慣れていないもので」
「き、気にしないでください。助けて頂いてありがとうございました」
「いいえ。助太刀する前にほとんど片付けていたではありませんか」
「あはは、俺の兄さん人型に関しては最強なので……」
紫さんの言葉に叢雲さんが少しばかり照れたような表情を見せた。話を聞くに、紫さんたちを助けてくれたのだろう。どうしてこんなところにいるのか分からないが、助かった。
その間に瑠奈お姉ちゃんが久臣さんに話をしている。それをこくこくと頷きながら聞いていた久臣さんが和紙を取り出してそれに何か書くと法術で鳥にして飛ばした。
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