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にく ※残酷表現あり 苦手な方は飛ばしてください

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カニバル表現あり。
残酷表現あり。
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鼻につく錆の匂い。



ぼたぼたと、大きな台座から血が滴ってそこに横たわっている人物に吐き気が込み上げてくる。

俺だけじゃない。周りの皆も真っ青な顔でそれを見ている。



―――さあ、お食べ。

―――お前たちの為に用意した極上の食べ物だよ。



誰もかれもがその光景に絶句して震えあがっていた。

こんなことがあり得るのか。こんな非人道的なことが現実に起こっていいものなのか。



「お、にぃ……」



八ノ宮がそう呼ぼうとして慌てて俺が彼の口を塞ぐ。塞いだ手に彼の涙がぼろぼろと伝って落ちていた。



―――さあ、さあ、早くお食べなさい。

―――大丈夫。食べれば絶対に気にいるから。

―――ほら早く、口を開けて。



先に動いたのは彼を除いて一番上の兄だった。



二ノ宮兄さん。



手近にあった包丁で腹を裂いて中身を取り出した。いつもそうだ。彼は下の俺たちの為に我慢する。一番ひどい部分を自分が早く食べてなくしてしまおうとそう思って先に動いたのだ。

かぶり、と一口彼はそれに齧りついた。

そして次の瞬間彼の様子が変わった。



一心不乱に、それを口にして血の一滴すら啜りだして味わうように咀嚼した。

まるで極上の餌にありつけたかのように美味しそうにそれを食べ始めたのだ。



「に、のみやにいさん……?」



震える声で彼を呼ぶと、ぴたりと動きを止めた。

そしてそのままゆっくりとこちらに顔を向けた。



「ああ、三ノ宮。これ、お、い、シ、イ……」



ぐるんっと二ノ宮兄さんが目を回した後にその場に倒れこんだ。二ノ宮兄さんの身体が、がくがくと震えだして次第に肌に鱗のようなものが浮かび上がってくる。そして、動かなくなった。



「ひっ!」

「いやぁあああああああああああっ!!」



限界値を達し、悲鳴が響き渡った。逃げようとするが無理やり顔をその肉片に押し付けられる。いやだいやだと顔をそむけても顔について口に無理やり入れられてその瞬間に急変した皆がそれを貪り食い始める。



同じように肌に鱗が現れ始めて、びくんびくんっと体が震えていたが暫くして動かなくなる。



―――さあ、貴方たちも食べるのよ。

―――ほら、早く食べて。



残っているのは俺と八ノ宮だけだった。七人の神たる存在。その傲慢な彼らがこれほどの強行を取るとは思わない

それなのに、どうしてこんなことが出来るんだ!



―――大丈夫。貴方たちは都を守る礎となるだけだ。

―――一生生きていける。

―――お兄さんも一緒だから寂しくないでしょう?



はっはっと呼吸が浅くなる。血なまぐさい匂いがして吐き気が込み上げる。食べろと肉塊を押し付けてくる彼らに怒りがこみあげてきてばしんっとそれを払った。



「ふざけんな!!俺らはお前たちの玩具じゃねえ!!返せよ!皆かえ……っ!!」



開いた口に不快なそれが押し込められた。飲み込めと口を塞がれ、飲み込むくらいならいっそ―――っ!!

懐に入れていた短刀を手にして俺は思いっきり自分の胸を突きさした。
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