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悠久の祈誓

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輝夜先生からようやくお許しが出て俺は自由に動き回れるようになった。動き回れるようになったので、そろそろ家に帰ることを考えなければいけない。いや、まあ、あんなことをされて戻るなんて正気じゃないと思われて当然だが、やはり戻った方がいいだろう。



これでもいろいろ考えていた。久臣さんにああまで言われて戻るなんておかしいと思う。自分でも。

しかし、俺の目的は結界が壊れてこの都に妖魔を入れない事。

こうも行動が制限されているとその目的が完遂できない。ちょっと皆さん過保護なのだ。暴力は確かに困るが放置されていた方が自由に動ける。

久遠と一緒にいられるのは嬉しいし、いろんな人に大事にされている事を身に染みて実感しているのも分かる。

だからこそ、未来を知っている俺が行動を起こさないでどうするという話だ。危険が迫っている事が分かっていて、何もしない自分は許せない。



「しちゃ?」

「どうしたのくーちゃん」

「うー……」

「え?ん?」



縁側で日向ぼっこをしていたのでお互い寝そべっている状態だ。そんな中、久遠が俺の上に乗っかってぐいぐいっと眉間をその小さい指で押す。何されているのか分からないがとりあえずされるがままになっているとぎゅーっとしがみつくように抱き着かれた。



「しちゃ、ずと、いしょ……」

「んー、ずっとは無理かな」

「や、くちゃ、ずと、いしょ」

「ごめんね」

「やぁ……」



ぐずぐずと久遠は静かに泣き始めたのを察知して体を起こしてとんとんっと背中を叩く。



「君に嘘を言っても仕方ないから、正直に言ってるだけだよ。君も、好きな人が出来て、結婚すれば俺とは自然と疎遠になるんだから」

「くちゃ、しちゃすき!けけん?すう!!」

「軽々しくそういうことはいっちゃだめ。心配しなくても、君は凄い格好良くなって、いろんな人から好かれるよ」

「しちゃは?しちゃはくちゃすき?」



久遠が不安げな表情で俺を見上げる。その瞳はうるうると涙で潤んで優しく指で撫でながら笑った。



「大好きだよ。俺は君を裏切らない。君以上の一番は絶対に作らない」



―――ふと、最近は思い出さなかった「帝」を思い出した。七宝だったあの頃、彼には随分いろんなことを教えてもらった。手を引いて、俺の知らない世界を見せてくれた。

どうして今、彼を思い出すのか。答えを出す前に、考えるのをやめた。そして閃いた。





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