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「うわあああああ!」
「あ!」
「……下手くそ」
「貴様が避けるからだろうが!!」
「避けない奴がいると思ってるんですか?」
情けなく声をあげた男がそれを食らって倒れた。成人男性があんなになるほどの力を拓海君がいるのに出すなんてこの人の頭の中ではどんな計算をしているのだろうか。
「拓海君、ここで待ってて」
「危ないよ!あんな法術を出してるのに!」
「大丈夫」
「卑怯だぞ!降りてこい!!」
「はいはい、今いくので待っててください」
塀の上で拓海君をおろしてから降りる。ぶんっと刀を振って構えた。
ああ、あとで輝夜先生に怒られてしまうな。跳ぶなっていわれたのに跳んでしまった。それまでは約束守れてたのに。
「俺は霊峰院で優秀と言われていたんだ!謝るなら今だぞ!」
「俺は謝ってもやめないのでお気になさらず」
「やめろ!!」
足音が近づいてきていたのは分かっていたので彼の声にさして驚かなかった。相手は驚きの表情であったがちっと舌打ちをする。おい、その態度は褒められたものじゃないぞとぐっと柄に力を込めるとそっと手を重ねられる。
「大丈夫?首斬れてるよ?」
「平気です」
「輝夜先生にまた怒られちゃうから後でこっそり手当てしてあげる。今度の検診までに治ると良いね」
「柊君ありがとう」
「これはどういうことだ」
俺の前に尊君が入り、隣には柊君がいて俺は刀を下げる。固い声で彼に詰め寄っているのは尊君だ。そんな彼に面倒だというのを隠すことなく彼はこう言う。
「私たちは拓海さまの護衛を行ったまでです」
「拓海……」
そう言うと尊君はじろっと塀の上にいる拓海君を見る。拓海君はしゅんとして隠れるように身を小さくするので俺は尊君の袖を引いた。
「挑発したのは俺です」
「お前が……?」
「はい。拓海君の護衛だというのにすぐに刀を抜いてきたので危ないと思い」
そう言葉を続けると尊君は首を振った。
「それは挑発と言わない。自己防衛だ。拓海、自分の護衛のしつけも出来ないのか」
凄い冷たい言い方に俺は少しむっとする。俺の弟とは違って拓海君は尊君のことを慕っているのにそんな風に厳しく当たるのは見ていて気分が悪い。
「拓海君は悪くない。そんないい方はやめて。拓海君はやめてって言ったし、危ないって忠告してくれた。怒るなら俺だけにして。拓海君は尊君のことが好きなんだからそんな風に冷たくしたら悲しむでしょ」
「……は?」
「貴方方も、周囲の誤解を招くような言動は控えて。事あるごとに拓海君の大好きなお兄ちゃんを盾にするような言い方はやめて」
「我々はそのようなことはしていないし、大体にして拓海さまと尊さまは違うのだから、拓海さまを大事にするのは当たり前だろう」
まだそんな事を言うのかと俺は大きく舌打ちをした。そしてその苛立ちのまま声を出す。
「お前らの価値観を押し付けて本人の選択を狭めるなって言ってんだよ。あんたらの言動は誤解を生むのに十分すぎる悪意ある言葉だ。彼らの意思を行動を捻じ曲げるような行いは護衛として行き過ぎだ」
「貴様にそんな事を言われる筋合いはない!!」
「じゃあ俺の言える事を言おうか。お前みたいな弱い奴、護衛なんて辞めちまえ!!」
「このくそガキ!!」
そう言って男が俺に向かって手を伸ばすがその間にずどんっと水の槍が地面に刺さった。誰がやったのだろうかと思っていたら拓海君が塀から降りてそそそっと尊君の後ろに回る。それからぎゅっと俺に抱き着いた。
「あんまり、兄さん大好きだって言わないで欲しい……」
「ご、ごめんなさい、つい……」
「別に、事実だからいいんだけど……。二回しか会ってないのにそんなにわかりやすい?」
「うん」
「……ちょっと恥ずかしい」
思わず頷くと拓海君は恥ずかしそうにそう言った。あれで隠してるつもりだったのかと俺は驚きだが。
「拓海さま!どうしてこのようなことをっ!?」
「お前ら首ね」
「なっ!?」
「父さんと母さんが心配性だから俺につけてくれてたけど、こんな子供一人に負けるような弱い護衛は要らないでしょ」
「そんなことはありません!我々は負けてません!!」
「そうやって、子供にむきになるところとか、何の理由もなく白昼堂々刀を抜く浅慮な考えも護衛に向いてないよ」
「理由なら……っ!」
「じゃあこう言った方がいい?俺諸共法術で怪我させようとしたよね?それについての考えは?護衛の癖にその対象を傷つけようとする行動は如何なる理由があっても許される行為じゃないよね?分かってるの?今すぐ、父さんに言ってもいいんだよ?」
拓海君が矢継ぎ早にそう言った。するとみるみる顔を青くした彼らは次にきっと俺の方を睨むがさっと尊君が割って入る。
「……っ!失礼します!!」
「それもつれてってよね。お前の不始末だから」
拓海君がそう言って倒れている男も抱えてどこかに行ってしまった。
これで少しは拓海君と尊君の緩衝材にでもなればいいと思ったが直球すぎただろうか。そう思って、そっと尊君の裾を引っ張る。
「あの、先ほどはすみませんでした」
「俺はさっきの話し方でもいいぞ」
「え?話し方ですか……?」
「まあ、いい」
そう言って笑った尊君がくしゃくしゃと俺の頭を撫でた。そしてその手が隣の拓海君にいって少し遠慮がちに彼の頭を撫でる。
「すまなかった」
「え」
なんで謝られたのか分からないというような表情で拓海君が尊君を見た。尊君は思うところがあるようで申し訳なさそうな顔をしている。
「考えてみればお前は何も話してなかったな。俺と話すときは一人で、いつも遊ぼうって誘うときだけだった。俺はてっきりお前に嫌われているのだと……」
「そんなことない!俺は兄さん大好きだよ!」
「……本当に済まなかった。俺が卑屈になっていただけだった」
「大丈夫!兄さんが嫌そうな顔をして俺と話さないだけで俺は嬉しいから」
「すまない……」
これは、仲直りしたと思っていいと思う。良かった。俺はきっと弟とはそうなれないだろうから……。
ここは二人にした方がいいだろうと、柊君と目配せしてそそくさと中に入る。それから柊君に首の手当てをして貰う。ただ首に包帯を巻くのはやりすぎじゃないだろうか。ちょっと切れただけなのに。そう言うと、場所によっては血が止まらなくなるから気を付けないとダメだよ。輝夜先生に言いつけるよ。と優しい声でそう言われ俺は全力で頷いた。
「あ!」
「……下手くそ」
「貴様が避けるからだろうが!!」
「避けない奴がいると思ってるんですか?」
情けなく声をあげた男がそれを食らって倒れた。成人男性があんなになるほどの力を拓海君がいるのに出すなんてこの人の頭の中ではどんな計算をしているのだろうか。
「拓海君、ここで待ってて」
「危ないよ!あんな法術を出してるのに!」
「大丈夫」
「卑怯だぞ!降りてこい!!」
「はいはい、今いくので待っててください」
塀の上で拓海君をおろしてから降りる。ぶんっと刀を振って構えた。
ああ、あとで輝夜先生に怒られてしまうな。跳ぶなっていわれたのに跳んでしまった。それまでは約束守れてたのに。
「俺は霊峰院で優秀と言われていたんだ!謝るなら今だぞ!」
「俺は謝ってもやめないのでお気になさらず」
「やめろ!!」
足音が近づいてきていたのは分かっていたので彼の声にさして驚かなかった。相手は驚きの表情であったがちっと舌打ちをする。おい、その態度は褒められたものじゃないぞとぐっと柄に力を込めるとそっと手を重ねられる。
「大丈夫?首斬れてるよ?」
「平気です」
「輝夜先生にまた怒られちゃうから後でこっそり手当てしてあげる。今度の検診までに治ると良いね」
「柊君ありがとう」
「これはどういうことだ」
俺の前に尊君が入り、隣には柊君がいて俺は刀を下げる。固い声で彼に詰め寄っているのは尊君だ。そんな彼に面倒だというのを隠すことなく彼はこう言う。
「私たちは拓海さまの護衛を行ったまでです」
「拓海……」
そう言うと尊君はじろっと塀の上にいる拓海君を見る。拓海君はしゅんとして隠れるように身を小さくするので俺は尊君の袖を引いた。
「挑発したのは俺です」
「お前が……?」
「はい。拓海君の護衛だというのにすぐに刀を抜いてきたので危ないと思い」
そう言葉を続けると尊君は首を振った。
「それは挑発と言わない。自己防衛だ。拓海、自分の護衛のしつけも出来ないのか」
凄い冷たい言い方に俺は少しむっとする。俺の弟とは違って拓海君は尊君のことを慕っているのにそんな風に厳しく当たるのは見ていて気分が悪い。
「拓海君は悪くない。そんないい方はやめて。拓海君はやめてって言ったし、危ないって忠告してくれた。怒るなら俺だけにして。拓海君は尊君のことが好きなんだからそんな風に冷たくしたら悲しむでしょ」
「……は?」
「貴方方も、周囲の誤解を招くような言動は控えて。事あるごとに拓海君の大好きなお兄ちゃんを盾にするような言い方はやめて」
「我々はそのようなことはしていないし、大体にして拓海さまと尊さまは違うのだから、拓海さまを大事にするのは当たり前だろう」
まだそんな事を言うのかと俺は大きく舌打ちをした。そしてその苛立ちのまま声を出す。
「お前らの価値観を押し付けて本人の選択を狭めるなって言ってんだよ。あんたらの言動は誤解を生むのに十分すぎる悪意ある言葉だ。彼らの意思を行動を捻じ曲げるような行いは護衛として行き過ぎだ」
「貴様にそんな事を言われる筋合いはない!!」
「じゃあ俺の言える事を言おうか。お前みたいな弱い奴、護衛なんて辞めちまえ!!」
「このくそガキ!!」
そう言って男が俺に向かって手を伸ばすがその間にずどんっと水の槍が地面に刺さった。誰がやったのだろうかと思っていたら拓海君が塀から降りてそそそっと尊君の後ろに回る。それからぎゅっと俺に抱き着いた。
「あんまり、兄さん大好きだって言わないで欲しい……」
「ご、ごめんなさい、つい……」
「別に、事実だからいいんだけど……。二回しか会ってないのにそんなにわかりやすい?」
「うん」
「……ちょっと恥ずかしい」
思わず頷くと拓海君は恥ずかしそうにそう言った。あれで隠してるつもりだったのかと俺は驚きだが。
「拓海さま!どうしてこのようなことをっ!?」
「お前ら首ね」
「なっ!?」
「父さんと母さんが心配性だから俺につけてくれてたけど、こんな子供一人に負けるような弱い護衛は要らないでしょ」
「そんなことはありません!我々は負けてません!!」
「そうやって、子供にむきになるところとか、何の理由もなく白昼堂々刀を抜く浅慮な考えも護衛に向いてないよ」
「理由なら……っ!」
「じゃあこう言った方がいい?俺諸共法術で怪我させようとしたよね?それについての考えは?護衛の癖にその対象を傷つけようとする行動は如何なる理由があっても許される行為じゃないよね?分かってるの?今すぐ、父さんに言ってもいいんだよ?」
拓海君が矢継ぎ早にそう言った。するとみるみる顔を青くした彼らは次にきっと俺の方を睨むがさっと尊君が割って入る。
「……っ!失礼します!!」
「それもつれてってよね。お前の不始末だから」
拓海君がそう言って倒れている男も抱えてどこかに行ってしまった。
これで少しは拓海君と尊君の緩衝材にでもなればいいと思ったが直球すぎただろうか。そう思って、そっと尊君の裾を引っ張る。
「あの、先ほどはすみませんでした」
「俺はさっきの話し方でもいいぞ」
「え?話し方ですか……?」
「まあ、いい」
そう言って笑った尊君がくしゃくしゃと俺の頭を撫でた。そしてその手が隣の拓海君にいって少し遠慮がちに彼の頭を撫でる。
「すまなかった」
「え」
なんで謝られたのか分からないというような表情で拓海君が尊君を見た。尊君は思うところがあるようで申し訳なさそうな顔をしている。
「考えてみればお前は何も話してなかったな。俺と話すときは一人で、いつも遊ぼうって誘うときだけだった。俺はてっきりお前に嫌われているのだと……」
「そんなことない!俺は兄さん大好きだよ!」
「……本当に済まなかった。俺が卑屈になっていただけだった」
「大丈夫!兄さんが嫌そうな顔をして俺と話さないだけで俺は嬉しいから」
「すまない……」
これは、仲直りしたと思っていいと思う。良かった。俺はきっと弟とはそうなれないだろうから……。
ここは二人にした方がいいだろうと、柊君と目配せしてそそくさと中に入る。それから柊君に首の手当てをして貰う。ただ首に包帯を巻くのはやりすぎじゃないだろうか。ちょっと切れただけなのに。そう言うと、場所によっては血が止まらなくなるから気を付けないとダメだよ。輝夜先生に言いつけるよ。と優しい声でそう言われ俺は全力で頷いた。
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