35 / 208
謝罪
しおりを挟む
「大変申し訳ありませんでした!!」
刀を手に入れ、久遠と久臣さんと風呂に入りそのまま久遠と寝た次の日、起きたら土下座している男の人とそれを取り囲む人達がいた。
何がどうしてこうなったのだろうか。
「このど阿呆が!察し悪く!その上恐れ多くも若君のご友人に試すような真似を行ったこと深く謝罪致します」
土下座している男の人は昨夜俺に盗賊の情報を流してくれた人だ。何を誤っているのかと一瞬驚くが成程そういう事かと俺は納得する。彼の行動は善意であるのでそこまで腹立たしくも思っていない。気にしていないといった方が正しいか。
「あ、い、いえ、俺は気にしてないので……」
「子供に気を遣わせて!本当にお前は!!」
「本当にごめんなさい!!」
ものすごい音を立てて土下座している男の後頭部を殴った男の人も同じように頭を下げられて俺はもうどうすればいいのか分からない。一先ずどうにか頭をあげて貰い、本当に大丈夫だということを理解してもらうまで時間がかかった。この男の人は相当真面目なのだろう。
「申し遅れたが、私は鉄二と申します。こっちの命知らずの馬鹿は燕です。暫く扱き使ってやってください」
「何でもします!!」
要らないですっと言いそうになってぐっと堪える。ここでそう言ったらまた面倒になりそうなので一先ず曖昧に頷いておいた。
「つまちゃ?」
「おいとかそこの馬鹿でも大丈夫ですよ若君」
「隊長酷い!!」
「犬、でも返事しますからね」
「わんっ!!」
やけくその様に燕さんがそう言った。すると久遠はきゃらきゃらと楽しそうな声をあげてわんわん!!と燕さんをそう言っている。それを燕さんが律儀にわん!と言って返事をしていた。いいのか、それで。
「ところで、しーちゃん様」
「あ、しーちゃんで大丈夫ですよ」
「いえ、我々はそう呼ばせていただきます」
「あ、はい」
雰囲気が真面目そうな男性はそう言って拒否られた。しーちゃん様。絶対に慣れない。
そう思っていたら彼の視線は俺の背にある大太刀に注がれていた。
「差し出がましい提案かもしれませんが、剣術の師がいなければご指導を致しましょうか?」
「え、いえ俺には……」
「しーちゃん!!!!」
びくっと大きな声と体が空中に浮いたことにより驚いて固まっているとぐりぐりと頬ずりをされる。
「ごめんなさい!完全に私の早とちりで!」
「え?」
「てっきり使用人はしーちゃんを危険視していたと思ったら!力の制御が出来てないくーちゃんの傍にいるしーちゃんは危ないんじゃないかっていう話で!!」
「あ、い、いえ俺も勘違いしたので……」
「でもでも私があの時あんなこと言わなかったら!!」
「い、いえそんな事はないですよ?」
「しーちゃん優しい!!九郎や兄さんはしーちゃんを見習ってほしいです!」
晴臣さんだと確認しつつされるがままになっていると燕さんに飽きたのか久遠がてしてしっと晴臣さんの膝を叩く。
「はるちゃずうい!くちゃもしーちゃぎゅうぎゅうしたい!!」
「う、もう少し……」
「やーっ!」
久遠にそう言われて晴臣さんはゆっくりと俺を床に下ろしてくれた。するとすかさず久遠がすっ飛んできてぎゅうぎゅうと文字通りに俺を抱きしめる。
俺は抱きしめ返してそれから鉄二さんを見た。
「俺には晴臣さんという師匠がいますので大丈夫です」
「そうでしたか。それでは我々はこれで失礼致します。燕を思う存分扱き使ってください」
「あはは……」
曖昧に頷いておいたが、晴臣さんが何したんだと燕さんの首根っこを掴んでいた。
どうにか助けようとするとバタバタと今度は騒がしい足音が聞こえた後に角から九郎が出てきた。
「しーちゃんが帰ってきたって本当か!?あ!心配かけさせやがってもー!!」
「くろちゃくうしい……」
「うるせえ!少し我慢しろ!」
久遠諸共抱きしめられて、九郎になでなでと頭を撫でられた。
刀を手に入れ、久遠と久臣さんと風呂に入りそのまま久遠と寝た次の日、起きたら土下座している男の人とそれを取り囲む人達がいた。
何がどうしてこうなったのだろうか。
「このど阿呆が!察し悪く!その上恐れ多くも若君のご友人に試すような真似を行ったこと深く謝罪致します」
土下座している男の人は昨夜俺に盗賊の情報を流してくれた人だ。何を誤っているのかと一瞬驚くが成程そういう事かと俺は納得する。彼の行動は善意であるのでそこまで腹立たしくも思っていない。気にしていないといった方が正しいか。
「あ、い、いえ、俺は気にしてないので……」
「子供に気を遣わせて!本当にお前は!!」
「本当にごめんなさい!!」
ものすごい音を立てて土下座している男の後頭部を殴った男の人も同じように頭を下げられて俺はもうどうすればいいのか分からない。一先ずどうにか頭をあげて貰い、本当に大丈夫だということを理解してもらうまで時間がかかった。この男の人は相当真面目なのだろう。
「申し遅れたが、私は鉄二と申します。こっちの命知らずの馬鹿は燕です。暫く扱き使ってやってください」
「何でもします!!」
要らないですっと言いそうになってぐっと堪える。ここでそう言ったらまた面倒になりそうなので一先ず曖昧に頷いておいた。
「つまちゃ?」
「おいとかそこの馬鹿でも大丈夫ですよ若君」
「隊長酷い!!」
「犬、でも返事しますからね」
「わんっ!!」
やけくその様に燕さんがそう言った。すると久遠はきゃらきゃらと楽しそうな声をあげてわんわん!!と燕さんをそう言っている。それを燕さんが律儀にわん!と言って返事をしていた。いいのか、それで。
「ところで、しーちゃん様」
「あ、しーちゃんで大丈夫ですよ」
「いえ、我々はそう呼ばせていただきます」
「あ、はい」
雰囲気が真面目そうな男性はそう言って拒否られた。しーちゃん様。絶対に慣れない。
そう思っていたら彼の視線は俺の背にある大太刀に注がれていた。
「差し出がましい提案かもしれませんが、剣術の師がいなければご指導を致しましょうか?」
「え、いえ俺には……」
「しーちゃん!!!!」
びくっと大きな声と体が空中に浮いたことにより驚いて固まっているとぐりぐりと頬ずりをされる。
「ごめんなさい!完全に私の早とちりで!」
「え?」
「てっきり使用人はしーちゃんを危険視していたと思ったら!力の制御が出来てないくーちゃんの傍にいるしーちゃんは危ないんじゃないかっていう話で!!」
「あ、い、いえ俺も勘違いしたので……」
「でもでも私があの時あんなこと言わなかったら!!」
「い、いえそんな事はないですよ?」
「しーちゃん優しい!!九郎や兄さんはしーちゃんを見習ってほしいです!」
晴臣さんだと確認しつつされるがままになっていると燕さんに飽きたのか久遠がてしてしっと晴臣さんの膝を叩く。
「はるちゃずうい!くちゃもしーちゃぎゅうぎゅうしたい!!」
「う、もう少し……」
「やーっ!」
久遠にそう言われて晴臣さんはゆっくりと俺を床に下ろしてくれた。するとすかさず久遠がすっ飛んできてぎゅうぎゅうと文字通りに俺を抱きしめる。
俺は抱きしめ返してそれから鉄二さんを見た。
「俺には晴臣さんという師匠がいますので大丈夫です」
「そうでしたか。それでは我々はこれで失礼致します。燕を思う存分扱き使ってください」
「あはは……」
曖昧に頷いておいたが、晴臣さんが何したんだと燕さんの首根っこを掴んでいた。
どうにか助けようとするとバタバタと今度は騒がしい足音が聞こえた後に角から九郎が出てきた。
「しーちゃんが帰ってきたって本当か!?あ!心配かけさせやがってもー!!」
「くろちゃくうしい……」
「うるせえ!少し我慢しろ!」
久遠諸共抱きしめられて、九郎になでなでと頭を撫でられた。
50
お気に入りに追加
3,627
あなたにおすすめの小説

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

夫婦喧嘩したのでダンジョンで生活してみたら思いの外快適だった
ミクリ21 (新)
BL
夫婦喧嘩したアデルは脱走した。
そして、連れ戻されたくないからダンジョン暮らしすることに決めた。
旦那ラグナーと義両親はアデルを探すが当然みつからず、実はアデルが神子という神託があってラグナー達はざまぁされることになる。
アデルはダンジョンで、たまに会う黒いローブ姿の男と惹かれ合う。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる