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非常にまずい。俺は使用人の皆さんに危険分子だと思われて去っていったのでそんな俺がまたしてもこの
屋敷にいると知れば久臣さんたちに迷惑がかかるかもしれない。
そう思い、震える体を動かして久臣さんの腕から離れようとすると「旦那様?」と聞いたことのある声がした。
「どうされ……、しーちゃん様!?」
……しーちゃん様?
顔をあげると、警備の確か久遠によしちゃと呼ばれていた人物だ。
先ほどの騒動の中にもいて、俺のことを危ないと言っていた人に同意するようにうなずいていた。まずい、これで久臣さんと使用人さんの中がこじれたら困る。
「あの……っ!!」
「旦那様!若君はまだ力の制御が出来ておりません!若君のお傍にしーちゃん様は危ないですよ!!何連れてきてるんですか!!貴方は頑丈だから大丈夫ですけど!しーちゃん様は小さな子供なんですよ!?」
……俺は聞き間違いでもしただろうか?
ぴたりと動きを止めて彼を見る。彼の表情は到底雇い主に向けるようなものではなく、視線は誘拐犯を見るような蔑みのようなものを感じる。
……見間違いだろうか?
「……くちゃわーいこ?」
「そんなことないよ!?」
「くーちゃんは良い子です!!大体、くーちゃんがしーちゃんを傷つけることはないから大丈夫!!それよりも風呂用意して!しーちゃんが寒くて震えてるから!」
「それ早く言ってください!!」
彼の言葉を多少理解したのか自分のせいで俺が離れることになったと思い込んでしゅんっと久遠が泣きそうな顔をする。それを全力で俺と久臣さんが否定した。すると久遠はそっかーっとすぐににこにこになった。良かった。
そんなことを思っていたら彼はすぐに走ってどこかに行ってしまう。
あれ?
自分の予想外の反応にやはり目の錯覚か何かだろうかと思っていると久臣さんが俺の顔を覗き込む。
「しーちゃん、流石にその刀はお風呂場には持っていけないから預かっていいかな?」
「あ」
言われてずっと刀を抱えていたことに気付いた。はっとその刀を見るとどういうわけかきちんと鞘の中に入っている。
盗んだも同然の刀だが今回も手に入って俺はほっとした。この刀があるだけで安心感が違う。
だからすぐに手放すとなると少し不安だ。でも風呂場に刀を持って行くのはだめであるということも理解している。
「……はい、お願いします」
「うんありが……おわあっ!?」
風呂場の近くで久遠と一緒に下ろされた後に俺は刀を久臣さんに預けようとして久臣さんが悲鳴を上げた。
何事だと思ったら俺の袖口からひょっこりと小さな蛇が現れたからだ。その蛇は今しがた久臣さんに渡した刀の鍔近くでぐるりと体を巻き付けるように居座る。
「え!?何!?なにこれ蛇!?」
久臣さんがそう言って驚いている中、俺は冷や汗が止まらなかった。
見たことがある白い蛇。先ほどは気づかなかったが、少しばかり桃色がかった鱗を持っている。チロチロと小さく赤い舌を出しながら同じ紅色の瞳を俺に向けており何を考えているか分からない。
「……お、怒ってますか?」
俺は恐る恐るそう聞いた。聞いても言葉が分からないので意味がないのだが何となく表情を見ていれば分かるかもしれないという希望を持つ。
じっとその蛇を観察していると蛇は緩く首を振った。そしててしてしっと刀を叩いた後にぶんぶんっと小さい尻尾を振ってまるで刀は任せて行ってらっしゃいと言っているような行動をとる。
この蛇は明確に意思を持っている。
下手なことをしたら殺されるかもしれないと思ったが、兎に角怒っていないようでほっとしたがはっと我に返る。
「尻尾の怪我は!?」
そうだそうだ。血を流していたとじっとその尻尾を見るときれいさっぱり無くなっていた良かった。
「あの、久臣さん。その子も……」
「え?ああ、うん大丈夫任せてお風呂に入っておいで」
久臣さんはそう言ってくれた。恐る恐る俺はその子の頭を撫でて風呂場に入ろうとしてぐいっと腕を掴まれた。
「くーちゃんもはいる!!」
「え?」
「くーちゃんもはいる!!!」
「あ、えーっと……」
久遠はまだ幼いから俺と二人で入るのは危険だ。だからそう言ってくる久遠に何も言えずに困った顔をしているとすぐさま久臣さんが行動してくれる。
「ちょっと君これ持ってて俺も風呂入るから」
「かしこまり、え、蛇?」
蛇付きの刀に思わずそんな声が漏れていた。
申し訳ないけどその蛇も大事なものなので丁重に扱ってください……。
屋敷にいると知れば久臣さんたちに迷惑がかかるかもしれない。
そう思い、震える体を動かして久臣さんの腕から離れようとすると「旦那様?」と聞いたことのある声がした。
「どうされ……、しーちゃん様!?」
……しーちゃん様?
顔をあげると、警備の確か久遠によしちゃと呼ばれていた人物だ。
先ほどの騒動の中にもいて、俺のことを危ないと言っていた人に同意するようにうなずいていた。まずい、これで久臣さんと使用人さんの中がこじれたら困る。
「あの……っ!!」
「旦那様!若君はまだ力の制御が出来ておりません!若君のお傍にしーちゃん様は危ないですよ!!何連れてきてるんですか!!貴方は頑丈だから大丈夫ですけど!しーちゃん様は小さな子供なんですよ!?」
……俺は聞き間違いでもしただろうか?
ぴたりと動きを止めて彼を見る。彼の表情は到底雇い主に向けるようなものではなく、視線は誘拐犯を見るような蔑みのようなものを感じる。
……見間違いだろうか?
「……くちゃわーいこ?」
「そんなことないよ!?」
「くーちゃんは良い子です!!大体、くーちゃんがしーちゃんを傷つけることはないから大丈夫!!それよりも風呂用意して!しーちゃんが寒くて震えてるから!」
「それ早く言ってください!!」
彼の言葉を多少理解したのか自分のせいで俺が離れることになったと思い込んでしゅんっと久遠が泣きそうな顔をする。それを全力で俺と久臣さんが否定した。すると久遠はそっかーっとすぐににこにこになった。良かった。
そんなことを思っていたら彼はすぐに走ってどこかに行ってしまう。
あれ?
自分の予想外の反応にやはり目の錯覚か何かだろうかと思っていると久臣さんが俺の顔を覗き込む。
「しーちゃん、流石にその刀はお風呂場には持っていけないから預かっていいかな?」
「あ」
言われてずっと刀を抱えていたことに気付いた。はっとその刀を見るとどういうわけかきちんと鞘の中に入っている。
盗んだも同然の刀だが今回も手に入って俺はほっとした。この刀があるだけで安心感が違う。
だからすぐに手放すとなると少し不安だ。でも風呂場に刀を持って行くのはだめであるということも理解している。
「……はい、お願いします」
「うんありが……おわあっ!?」
風呂場の近くで久遠と一緒に下ろされた後に俺は刀を久臣さんに預けようとして久臣さんが悲鳴を上げた。
何事だと思ったら俺の袖口からひょっこりと小さな蛇が現れたからだ。その蛇は今しがた久臣さんに渡した刀の鍔近くでぐるりと体を巻き付けるように居座る。
「え!?何!?なにこれ蛇!?」
久臣さんがそう言って驚いている中、俺は冷や汗が止まらなかった。
見たことがある白い蛇。先ほどは気づかなかったが、少しばかり桃色がかった鱗を持っている。チロチロと小さく赤い舌を出しながら同じ紅色の瞳を俺に向けており何を考えているか分からない。
「……お、怒ってますか?」
俺は恐る恐るそう聞いた。聞いても言葉が分からないので意味がないのだが何となく表情を見ていれば分かるかもしれないという希望を持つ。
じっとその蛇を観察していると蛇は緩く首を振った。そしててしてしっと刀を叩いた後にぶんぶんっと小さい尻尾を振ってまるで刀は任せて行ってらっしゃいと言っているような行動をとる。
この蛇は明確に意思を持っている。
下手なことをしたら殺されるかもしれないと思ったが、兎に角怒っていないようでほっとしたがはっと我に返る。
「尻尾の怪我は!?」
そうだそうだ。血を流していたとじっとその尻尾を見るときれいさっぱり無くなっていた良かった。
「あの、久臣さん。その子も……」
「え?ああ、うん大丈夫任せてお風呂に入っておいで」
久臣さんはそう言ってくれた。恐る恐る俺はその子の頭を撫でて風呂場に入ろうとしてぐいっと腕を掴まれた。
「くーちゃんもはいる!!」
「え?」
「くーちゃんもはいる!!!」
「あ、えーっと……」
久遠はまだ幼いから俺と二人で入るのは危険だ。だからそう言ってくる久遠に何も言えずに困った顔をしているとすぐさま久臣さんが行動してくれる。
「ちょっと君これ持ってて俺も風呂入るから」
「かしこまり、え、蛇?」
蛇付きの刀に思わずそんな声が漏れていた。
申し訳ないけどその蛇も大事なものなので丁重に扱ってください……。
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