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小噺1,2

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他の書きかけの話を完結させるので暫く本編はお休みになりますごめんなさい。
気長にお待ちください
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久臣日記1



初めて息子がお友達を連れて来た。

宴を開いて騒ぎたいのを我慢して、息子のお友達を観察。凄く居心地悪そうできょろきょろとしていたが出てきたご飯にキラキラ瞳を輝かせて美味しそうに食べていた。



あ~~~~可愛い~~~~~っ!



ちびちび小さいお口で少しずつ味わって食べる姿を見てにやにやしているとゴミを見るような冷たい目をくーちゃんに向けられていた。くーちゃん、一応2歳なんだけどあんな目向ける実の父親に。

そんなしーちゃんはくーちゃんの策略によりまんまと一緒に布団の中に入った。



帰らないと!みたいな雰囲気を敏感に感じ取ってほぼ泣いたことがないくーちゃんが大声で泣いて(たぶんウソ泣き)で引き留めた彼は策士。流石俺の子。

添い寝は拒否されたけれど、お仕事行く前に可愛い二人を見て癒されようと朝早くに部屋に向かうと隣にいる息子がしーちゃんをガン見していた。え、こわ、何してるのあの子。流石の俺も引いた。





「くー……」





しーちゃんを起こさないように小さな声を出したが、目の前で球体が弾けて目がやられた。



痛い!!叫ばなかった俺えらい!!

目を手で覆って涙目になりながら息子を見たらいつも以上に邪魔もの扱いされた。



そのことを沙織に話したら俺が悪いって。

俺もそう思う。

















愛の差





久遠の言葉が分からない久臣は二人に相談してみた。





「いや、俺も分かんねえよ久兄」

「僕はある程度だったら……」





相談された二人、晴臣と九郎はそう言った。

九郎の方は予想通りに分からないという答えが返ってきた。しかし、晴臣の方はある程度分かるという。確実に自分よりも久遠と会う回数が少ないというのにいったいどうして!



久臣は信じられないものを見る目で晴臣を見る。晴臣はきょとんとしていやいやと首を振った。





「久臣兄さんほどではありませんよ」

「じゃあこれからどれくらいの実力か計りたいと思います!!」





やめておけばいいのに、久臣はそう言って一人の新たな協力者を呼んだ。





「はるちゃ!くろちゃ!」





突然現れたのは砂だらけの手を見せた久遠である。久臣の法術でこちらに移動してきたらしい。見知った顔の二人が現れて久遠はそう言うがきょろきょろと周りを見渡した。



誰かがいない。先ほどまで一緒に遊んでいた子がいない。





「……しちゃ?」

「やべえ!!!」





慌てて久臣は同じく静紀もその場に移動させる。現れた瞬間拳を顔に食らったが仕方がない。突然消えたのだから誘拐犯だと思われるのは当たり前だ。その防犯意識の高さ、脱帽する。





「しちゃあ!」

「くーちゃんだいじょう……っ!え、九郎に晴臣さん?……!!」





状況を把握した静紀がこの後ぶん殴った一人の愚か者に土下座を繰り出した。悪いのは久臣だ。静紀のせいではない。



****



「くーちゃんの言葉?ですか?」

「そう!しーちゃんは分かる?」

「まあ……」





落ち着いた静紀は久臣の質問にこくんと頷いた。

流石息子のお友達だと久臣が思っているとばっと久臣と静紀の間に久遠が入りしっしっとコバエを払うように手を振る。





「とと!しちゃ#$%&%&‘$#!!!!!!」

「……ふー、晴臣」

「とと!しちゃに近づかないで!!!!!」

「くそ!全然わからん!!雰囲気的にそうだと思ったけど!!」

「とと!#$%%しちゃ&くちゃ%#$$#$%&!!」

「しーちゃん!!」

「え、えーっと、お父さま、その、しーちゃんはくーちゃんのものなので近寄らないでいただきたいです、とのことです」

「すごく柔らかく翻訳してくれてるのは伝わった!!あともう一回お父様って言ってくれる!?」

「え?あ、お、お父さま……?」

「ありがとう!!」





全く聞き取れないが、久臣は宇宙語を話している久遠の言葉を分かりたい。だって父親だもん。大体にして、晴臣でさえも言葉を理解しているのに自分が出来ないなんて情けない!





「なんで俺は分からないんだ!!!!」

「……愛の差では?」





晴臣が閃いたとでもいうような表情でそう言った。その言葉は聞き捨てならないとすぐに久臣が噛みつく。





「は!?くーちゃんを死ぬほど愛してる自覚あるんだけどぉ!!」





晴臣の言葉を真剣に考えていた静紀がはっと気づいてしまう。





「……あ、え、えーっと」

「ね?そうでしょうしーちゃん」

「い、いえ、そんな事はないと思いますよ……?」

「なんだよ!教えろよ!」





今まで静かにしていた九郎がそう聞くと、静紀は困った顔をした。



あ、うちの息子のお友達そんな顔も可愛いなと久臣は真剣に考えているとぱんっと目の前で球体が弾けた。





「目がっ!!!!」

「久兄!!!!!」





あまりの衝撃に久臣は目を抑える。悲鳴を上げるように九郎が彼に駆け寄ってあわあわと容態を確認する。



それを見た晴臣がもう一度しみじみとこういった。





「やっぱり愛の差では?」

「そ、そんな事は……そんな事は……」





静紀は少し自信なさげにそう訴えるが件の中心である久遠はムウっと唇を尖らせて静紀の腕をぐいぐい引っ張る。





「しちゃあちいこ!」

「あ!今のは聞き取れた!わーい!!」

「よ、良かったですね!」

「ありがとうしーちゃん!!お父様頑張る!!」

「頑張ってください!!」





静紀は久臣を応援した。静紀にとって久臣は好ましい大人であり、久遠の父親なので邪険にする理由はない。だから全力でそう言ったら久遠が変な顔をした。それからぼそりと呟く。





「……とと、きあい」

「え。応援された?とと頑張るね!」

「あ、が、頑張って下さい!!」

「……俺でも分かったんだけどあの言葉」

「九郎、言わぬが花というやつですよ」





これが愛の差。



久遠の愛の差である。
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