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5、ハウスドールが見える……?
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アシュレイはそのままバスルームから出ていき服に着替える。
それから、タオルで髪を乾かしながらキッチンに向かい何を作ろうかと食糧庫を開ける。
「お、おお……。何もない……」
どこを探しても食材はなく、空になった酒瓶とキッチン用品のみだ。アシュレイは、ストレージを取り出し食材で分類をして中から食べ物を出す。ソーセージと野菜、氷にして冷凍保存しているコンソメスープを取り出す。
鍋に水、人参、玉ねぎ、キャベツ、ジャガイモ、を一口サイズに切って入れる。それに氷のコンソメスープの素を入れて、他の鍋でソーセージを下茹でしてから一緒に入れて煮込む。最後に塩コショウを振って味を調えて終わりだ。
アシュレイは味見をしてうん、いいだろうと思い火を止める。それからストレージからチーズを取り出して火であぶり、パンを切ってその上に乗せる。味見と称してチーズのつまみ食いをしながら、テーブルの上にそれを並べる。
まだ、レイチェルが上がってこないようなのでアシュレイはストレージから凍ったイチゴを器に入れて、蜂蜜をかけてテーブルの端に置く。
「今日もありがとう。明日もよろしくね」
そう言うと、グラスに入ったイチゴが無くなり器を洗う音がしてグラスが棚の中に仕舞われていた。
気に入ったようで良かった。
アシュレイがそれを眺めているときいっと扉が開いた音がした。そちらを振り向くとレイチェルがおどおどしながらも、アシュレイが出した服を着ているが、やはりサイズが大きいようだった。腕や足が足りない。それを見たアシュレイがレイチェルに近づき、裾まくりをして、レイチェルが座る椅子を引いた。
「はいどうぞ、レイチェル」
「うん……」
レイチェルはよいしょっとその椅子に座り、アシュレイは座ったのを確認してから椅子を押して位置を調節し自分の席に着く。その間、レイチェルはじいいっとパンの上のチーズを見つめていた。アシュレイはその様子のを横目に手を合わせる。
「いただきまーす」
「……?い、ただきます……?」
「うん、さ、どうぞ食べて」
レイチェルはアシュレイにそう言われて、チーズの乗ったパンを手に取ってぱくっと口にする。それから伸びるチーズにぎょっとしておろおろと困った顔をする。
アシュレイはぶふっと噴出しながら、フォークで伸びているチーズを巻き取りながらちぎる。もぐもぐと租借しながら、ごくんとレイチェルが飲み込んだのを確認してからアシュレイがチーズを纏ったフォークをレイチェルの口の前に出す。
「あーん」
「! あ、あーん……」
レイチェルが恥ずかしがりながらパクっとそのフォークを口に入れてもぐもぐと食べる。ぱっと顔を明るくして夢中で食べ始めた。相当お腹がすいていたようで、アシュレイはよく食べるなあっと横目で見ながら自分も食事にありつく。
もう少し手間のかかる料理を作りたいなぁ、折角だし。
この家には最低限の調理器具しか揃っていないのでこんなのでも趣味については凝り性のアシュレイには物足りない。この街でアシュレイのお眼鏡にかなうものがあれば良いがまあ、なかったら庭に工房作ってしまおう、広いし丁度いい。
そんな事を考えているとレイチェルの皿が空になっていた。レイチェルはじっとその空になった皿を見つめているので、「お代わり?」っとアシュレイが聞く。すると、レイチェルは此方の顔色をうかがいながら「いいの?」っと恐る恐る聞き返す。アシュレイは頷いてレイチェルの皿を持とうとするとその前に皿が浮いた。
おっと、とアシュレイはハウスドールの邪魔にならないように手を引いたが、レイチェルが声をあげた。
「あ!だめ!だめ‼」
「……?」
それから明確に何かを空中で掴む。するとバランスを崩した皿がふらふらしながら机の上に置かれた。それから何かを隠すように後ろに手を移動させる。それからまたアシュレイを伺うような表情で見つめた。
アシュレイはその様子を観察してもしやっと声をかける。
「レイチェルって、ハウスドール見えるの?」
「はう……?」
「おうちのお世話をしてくれる妖精の事。俺は見えないんだけどもしかしてって思って」
一先ず、アシュレイが気味悪がっていないことが分かったのかレイチェルは恐る恐る後ろに隠した手を机に置いて手を離す。アシュレイには見えないが手のひらサイズのその妖精がいるらしい。羨ましいっとアシュレイは素直にそう口にした。
「俺、結構お世話になってるんだけど見えないからお菓子あげるくらいしかできないんだよね。ねえねえ、何人いるの?」
「五人……」
「おお!結構いるね!レイチェルはハウスドールに好かれてるんだね。でも、お世話になってる子をいきなり掴むのはだめだよ?びっくりしちゃうし、危ないでしょ?今回はこの皿が木製だったからいいけど陶器だったら壊れちゃったかもしれない。そうなると怪我しちゃうのはハウスドールたちだから。分かった?分かったらハウスドールに謝ってね」
「うん……。ごめんなさい」
「ごめんね、俺からも謝っておくから嫌いにならないであげて?」
しゅんっとレイチェルが謝る。するとかんかんっと浮いているスプーンが皿を叩いた。反応があるということは大丈夫だということだ。アシュレイは良かったっとほっとしてそれからレイチェルの皿を持つ。
「もう君たちは休んでいいよ。後は俺がやるから」
アシュレイがそう言うとアシュレイの周りでびゅんびゅん風が吹く。それから扉が開いてどこかに行ってしまったようだった。アシュレイはそれを見送ってから、レイチェルにスープを盛り彼の前に置く。レイチェルはじっとスプーンを見つめてそれからアシュレイを見た。
「ア、アー……」
「?」
「アーシュ……?」
「ああ、俺の名前?アシュレイだけど、アーシュでいいよ」
「あしゅ……?」
「アーシュ、俺はアーシュ」
「アーシュ」
ふにゃっとレイチェルが笑ってぺこりと頭を下げる。
「アーシュ、ありがと……」
「どういたしまして。明日からはレイチェルにも手伝ってもらうからね」
「ん……」
こくんと頷いたレイチェルがもぐもぐとスープを食べ始めた。アシュレイはそれを見守りつつ自分も食べ始める。
お腹がいっぱいになったレイチェルはそのままふらふらと二階に上がって部屋に戻った。アシュレイはその後姿を見送りながら「おやすみなさーい」っと言った。
それから、タオルで髪を乾かしながらキッチンに向かい何を作ろうかと食糧庫を開ける。
「お、おお……。何もない……」
どこを探しても食材はなく、空になった酒瓶とキッチン用品のみだ。アシュレイは、ストレージを取り出し食材で分類をして中から食べ物を出す。ソーセージと野菜、氷にして冷凍保存しているコンソメスープを取り出す。
鍋に水、人参、玉ねぎ、キャベツ、ジャガイモ、を一口サイズに切って入れる。それに氷のコンソメスープの素を入れて、他の鍋でソーセージを下茹でしてから一緒に入れて煮込む。最後に塩コショウを振って味を調えて終わりだ。
アシュレイは味見をしてうん、いいだろうと思い火を止める。それからストレージからチーズを取り出して火であぶり、パンを切ってその上に乗せる。味見と称してチーズのつまみ食いをしながら、テーブルの上にそれを並べる。
まだ、レイチェルが上がってこないようなのでアシュレイはストレージから凍ったイチゴを器に入れて、蜂蜜をかけてテーブルの端に置く。
「今日もありがとう。明日もよろしくね」
そう言うと、グラスに入ったイチゴが無くなり器を洗う音がしてグラスが棚の中に仕舞われていた。
気に入ったようで良かった。
アシュレイがそれを眺めているときいっと扉が開いた音がした。そちらを振り向くとレイチェルがおどおどしながらも、アシュレイが出した服を着ているが、やはりサイズが大きいようだった。腕や足が足りない。それを見たアシュレイがレイチェルに近づき、裾まくりをして、レイチェルが座る椅子を引いた。
「はいどうぞ、レイチェル」
「うん……」
レイチェルはよいしょっとその椅子に座り、アシュレイは座ったのを確認してから椅子を押して位置を調節し自分の席に着く。その間、レイチェルはじいいっとパンの上のチーズを見つめていた。アシュレイはその様子のを横目に手を合わせる。
「いただきまーす」
「……?い、ただきます……?」
「うん、さ、どうぞ食べて」
レイチェルはアシュレイにそう言われて、チーズの乗ったパンを手に取ってぱくっと口にする。それから伸びるチーズにぎょっとしておろおろと困った顔をする。
アシュレイはぶふっと噴出しながら、フォークで伸びているチーズを巻き取りながらちぎる。もぐもぐと租借しながら、ごくんとレイチェルが飲み込んだのを確認してからアシュレイがチーズを纏ったフォークをレイチェルの口の前に出す。
「あーん」
「! あ、あーん……」
レイチェルが恥ずかしがりながらパクっとそのフォークを口に入れてもぐもぐと食べる。ぱっと顔を明るくして夢中で食べ始めた。相当お腹がすいていたようで、アシュレイはよく食べるなあっと横目で見ながら自分も食事にありつく。
もう少し手間のかかる料理を作りたいなぁ、折角だし。
この家には最低限の調理器具しか揃っていないのでこんなのでも趣味については凝り性のアシュレイには物足りない。この街でアシュレイのお眼鏡にかなうものがあれば良いがまあ、なかったら庭に工房作ってしまおう、広いし丁度いい。
そんな事を考えているとレイチェルの皿が空になっていた。レイチェルはじっとその空になった皿を見つめているので、「お代わり?」っとアシュレイが聞く。すると、レイチェルは此方の顔色をうかがいながら「いいの?」っと恐る恐る聞き返す。アシュレイは頷いてレイチェルの皿を持とうとするとその前に皿が浮いた。
おっと、とアシュレイはハウスドールの邪魔にならないように手を引いたが、レイチェルが声をあげた。
「あ!だめ!だめ‼」
「……?」
それから明確に何かを空中で掴む。するとバランスを崩した皿がふらふらしながら机の上に置かれた。それから何かを隠すように後ろに手を移動させる。それからまたアシュレイを伺うような表情で見つめた。
アシュレイはその様子を観察してもしやっと声をかける。
「レイチェルって、ハウスドール見えるの?」
「はう……?」
「おうちのお世話をしてくれる妖精の事。俺は見えないんだけどもしかしてって思って」
一先ず、アシュレイが気味悪がっていないことが分かったのかレイチェルは恐る恐る後ろに隠した手を机に置いて手を離す。アシュレイには見えないが手のひらサイズのその妖精がいるらしい。羨ましいっとアシュレイは素直にそう口にした。
「俺、結構お世話になってるんだけど見えないからお菓子あげるくらいしかできないんだよね。ねえねえ、何人いるの?」
「五人……」
「おお!結構いるね!レイチェルはハウスドールに好かれてるんだね。でも、お世話になってる子をいきなり掴むのはだめだよ?びっくりしちゃうし、危ないでしょ?今回はこの皿が木製だったからいいけど陶器だったら壊れちゃったかもしれない。そうなると怪我しちゃうのはハウスドールたちだから。分かった?分かったらハウスドールに謝ってね」
「うん……。ごめんなさい」
「ごめんね、俺からも謝っておくから嫌いにならないであげて?」
しゅんっとレイチェルが謝る。するとかんかんっと浮いているスプーンが皿を叩いた。反応があるということは大丈夫だということだ。アシュレイは良かったっとほっとしてそれからレイチェルの皿を持つ。
「もう君たちは休んでいいよ。後は俺がやるから」
アシュレイがそう言うとアシュレイの周りでびゅんびゅん風が吹く。それから扉が開いてどこかに行ってしまったようだった。アシュレイはそれを見送ってから、レイチェルにスープを盛り彼の前に置く。レイチェルはじっとスプーンを見つめてそれからアシュレイを見た。
「ア、アー……」
「?」
「アーシュ……?」
「ああ、俺の名前?アシュレイだけど、アーシュでいいよ」
「あしゅ……?」
「アーシュ、俺はアーシュ」
「アーシュ」
ふにゃっとレイチェルが笑ってぺこりと頭を下げる。
「アーシュ、ありがと……」
「どういたしまして。明日からはレイチェルにも手伝ってもらうからね」
「ん……」
こくんと頷いたレイチェルがもぐもぐとスープを食べ始めた。アシュレイはそれを見守りつつ自分も食べ始める。
お腹がいっぱいになったレイチェルはそのままふらふらと二階に上がって部屋に戻った。アシュレイはその後姿を見送りながら「おやすみなさーい」っと言った。
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