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1、最後の勇者と行方と運命
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アシュレイ・クラーク・カナティア。
その名前を知らない者はまずいない。
彼は、大国カナティア王国の第二王子で類い稀なる剣技の才を持ち、初めてこの世界で勇者の加護を授かった。
そして何より12歳という若さで、魔王を討ち取ったという偉業を持つ男。
今までにも勇者はいたのだが、魔王、と思っていたその人物は器であり本体はうねうねと動く黒いひも状のものだった。
「勇者、魔王を倒し時、魔王は灰となって消える」
今までの勇者は、魔王を倒した後その体は灰にならずしかし、魔王だと勘違いしていた器を倒したので魔王は倒されたと思われていた。
この度、そのお告げ通り灰になった本体を勇者一行は持ってきたのだ。
よって、今までの勇者は本当の意味で魔王を倒したわけではなくこの定期的に魔王が誕生してしまう謎も解けた。
このことにより魔王は完全に消滅、勇者の加護は未来永劫彼で最後のものとなる。
最後の勇者とも、魔王の脅威から人々を解放した英雄とも謂れそうして彼の名は世界中に広まった。今や知らない者はいない。
現在、その勇者は齢18にして残り2年以下の寿命を持つ。
勇者の加護を授かりし時、彼は同時に20歳までに天寿を全うするという呪いを受ける。その事実を知るものは彼の加護を告げた神官と本人のみ。
痛む心をひた隠しにしながら神官は少年にそう告げ、様子を伺う。しかし、少年の反応は神官が予想していたものとまるで違かった。
神妙に頷いた少年はただ一言。
「ああ、そうですか」
その時すでに彼は勇者の加護を持ちながら自分は魔王にたどり着けずに死ぬものだと思っていた。だから少年の反応は非常に淡白でだから何?とでも言うような雰囲気であった。10歳にしてその反応はあまりにも非情すぎた。諦めにも近い感情なのかもしれない。
勇者の加護がある。そう告げられた瞬間に彼は「死」を覚悟していたのだ。
神は、なんて残酷なのだろう。この小さな体にどれほどの重圧を背負わせるおつもりか。
神官は強くそう思い、せめて彼が安らかに死を迎えられるように祈った。
アシュレイ・クラーク・カナティアは勇者であった。そしてカナティア王国の第二王子であり、齢20を超えずに天寿を全うする英雄であった。
その名前を知らない者はまずいない。
彼は、大国カナティア王国の第二王子で類い稀なる剣技の才を持ち、初めてこの世界で勇者の加護を授かった。
そして何より12歳という若さで、魔王を討ち取ったという偉業を持つ男。
今までにも勇者はいたのだが、魔王、と思っていたその人物は器であり本体はうねうねと動く黒いひも状のものだった。
「勇者、魔王を倒し時、魔王は灰となって消える」
今までの勇者は、魔王を倒した後その体は灰にならずしかし、魔王だと勘違いしていた器を倒したので魔王は倒されたと思われていた。
この度、そのお告げ通り灰になった本体を勇者一行は持ってきたのだ。
よって、今までの勇者は本当の意味で魔王を倒したわけではなくこの定期的に魔王が誕生してしまう謎も解けた。
このことにより魔王は完全に消滅、勇者の加護は未来永劫彼で最後のものとなる。
最後の勇者とも、魔王の脅威から人々を解放した英雄とも謂れそうして彼の名は世界中に広まった。今や知らない者はいない。
現在、その勇者は齢18にして残り2年以下の寿命を持つ。
勇者の加護を授かりし時、彼は同時に20歳までに天寿を全うするという呪いを受ける。その事実を知るものは彼の加護を告げた神官と本人のみ。
痛む心をひた隠しにしながら神官は少年にそう告げ、様子を伺う。しかし、少年の反応は神官が予想していたものとまるで違かった。
神妙に頷いた少年はただ一言。
「ああ、そうですか」
その時すでに彼は勇者の加護を持ちながら自分は魔王にたどり着けずに死ぬものだと思っていた。だから少年の反応は非常に淡白でだから何?とでも言うような雰囲気であった。10歳にしてその反応はあまりにも非情すぎた。諦めにも近い感情なのかもしれない。
勇者の加護がある。そう告げられた瞬間に彼は「死」を覚悟していたのだ。
神は、なんて残酷なのだろう。この小さな体にどれほどの重圧を背負わせるおつもりか。
神官は強くそう思い、せめて彼が安らかに死を迎えられるように祈った。
アシュレイ・クラーク・カナティアは勇者であった。そしてカナティア王国の第二王子であり、齢20を超えずに天寿を全うする英雄であった。
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