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最終章 断罪された神子様は、前世養父だった冷徹公子に溺愛される。
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『あっはっはっはっは!!』
「笑ってんじゃねえよ!!」
俺は良き友人であり、困った神様とようやく話が出来た。あまり時間がとれなかったと言うのもあるが、そもそも猊下が前世と違い教会に行きたがらないのだ。俺の為に教会を作ってくれたというのにも関わらず、だ。
まあ、俺が命を落とした原因であり、俺の使命?の話も相まって神様に対する嫌悪感があるのは分かる。正直逆の立場だったら俺だって神様を恨む。
つまり、こんな特別なときぐらいしか長時間話が出来ない。だから、今ぐらいしか彼に文句を言えないのだ。
「魔術を使う度に光るなら言えよ!! そういうの大事じゃない!?」
『見える人の方が少ないってあの子も言ってたでしょ? 単に君は運良く、いや悪く?君自身の信者が多いから仕方ない事だよ。珍しいよね。君の周りにはそれが見える子だらけだ』
「待って。え? 他にもいるの?」
『君に絶大な好意を持っている子達は全員見えるよ。ああ、最近は君の家族も見えるようになったかな?』
「嘘だろ!? 嘘って言ってよ!!」
そんな恥ずかしい事になってるの!?いやだー!!俺が魔術使う度に光るなんて滅茶苦茶いやだー!!
『良いんだよ、良いんだよ。だから君の周りには、君を大事に思ってくれる子達が集まるんだもの。良い目印じゃないか!!』
「目印言うな!! 発光しないようにしてよ!!」
『おめでたい日だけど無理かな?』
俺は最悪だと頭を抱えようとしてピタリと手を止める。だめだ。今ぐしゃぐしゃにしたらまたコイヨンに長い時間かけてセットし直しされる。それだけは避けないと。
「……ねえリィン」
『なぁに?』
「本当に俺、このままで良いの?」
今、俺はすでに原作の話を逸脱している。それに不安を覚えないと言ったら嘘だ。
このまま、悪役のはずの俺がこのままで良いのだろうかと。
こんな時に、いやこんな時だからこそ弱気になってしまう。俺ははあっとため息をついてリィンの言葉を待ちながらドレッサーについている鏡を見た。そして飛び上がった。
「お、おに……カロ!?」
いつの間に入ってきたのか扉の近くに猊下がいた。ついうっかりお兄ちゃんと言いそうになって、慌てて名前で彼を呼ぶ。最近はお兄ちゃんじゃなくて名前で呼ぶようにしているのだ。
なんか、そっちの方が恋人っぽいじゃん……?
そういう俺の考えもあり、自分から始めたのだが未だにお兄ちゃんが抜けず思わず読んでしまいそうになる事もある。
兎に角、いつの間にか入ってきた猊下に驚きながらこう言うときってお互いに顔を合わせない方が良いんじゃないかと思ったが、猊下だから良いかと思うことにした。
「ルド」
「ど、どうしたの?」
猊下が近づいてきた。今日はいつもとは違う雰囲気にドキドキしてしまう。というか、滅茶苦茶白似合う~!!前世の服も白だったけど、一番今の服が猊下に似合う!!
猊下の晴れ姿に惚れ惚れしていると、猊下はそっと俺の手を握ってくる。
「愛してる。たとえ、全世界の人間がお前を憎もうとも、全ての者がお前を殺しに来ようとも、必ずお前を守って幸せにする。だからどうか、私と結婚して欲しい」
「……はい」
不思議だ。さっきまで原作がどうのとか悪役が~とか考えていたのに、猊下にそう言われたらどうでも良くなった。
ふわりと笑みを浮かべると、指に違和感を覚えた。
「……ん?」
「よく似合ってる」
「え、ちょっと、これここでして良いの……?」
「私の分をルドがあっちでつけてくれれば良い」
「そういうもの……?」
「ああ。そういうものだ」
そっと俺は左手薬指にはまった指輪を見た。銀色で上品なダイヤがついているものだ。
俺の人生でこんなものを貰えるとは夢にも思わない。
「俺も、カロを幸せにする」
「そうか」
猊下はそう微笑んでエスコートをするように俺の手を取った。そろそろ行かなければいけないらしい。
「もしかして、カロが式場まで連れてってくれるの?」
「何なら入場もする」
「え? 俺の場合、父親じゃないの?」
「だから、私がするんじゃないか」
猊下はそうはっきりと言う。
そんな猊下に俺は笑って確かにそうだと納得した。だって猊下は前世では俺の養父だったのだ。今は違うけど、立場はそうだと思って良いだろう。一緒に入場するとは思わなかったが。
そう考えながら俺たちは、会場まで向かう。すると、扉の前にいる男が気付いてゆっくりと大きなその扉を開いた。
「新郎新婦の入場です!!」
結婚式場はとても華やかで、誰もが俺たちを見て拍手をしてくれる。この世界で、貴族が教会で結婚式を挙げるのは珍しい。普通は、自分の屋敷とか、俺たちの爵位を考えると皇宮内でも良いはず。多分。
しかし俺は、絶対に教会が良かった。
俺の、前世で過ごした場所でもあり、俺の友人がいるその場所で結婚式を挙げたかったのだ。
二人でゆっくりとバージンロードを歩き、目的の場所までたどり着く。
そこには、コイヨンがいた。後で聞いたが熾烈な戦いがあったらしい。たかがそんなことでと思ったが、彼らにとっては一大事らしい。
そんなコイヨンの前まで立つと彼はゆっくりと口を開いた。
「新婦アルカルド様、貴方様は新郎カロシェーン様を愛することを誓いますか?」
「誓います」
「新郎カロシェーン様、貴方は新婦アルカルド様を一生かけて尽くし、来世でもその身を捧げますか?」
コイヨン?俺と全く別のこと言ってないか君?
予行練習と全く違う。俺はちらりと横目で猊下を見た。すると猊下はそっと俺の手を取った。
「この命が尽きても、この子だけを愛し続けると誓う」
そうして、結婚指輪を嵌めているその指にキスを落とす。
恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちで泣きそうになる。
「俺も、猊下を、カロを死んでも愛し続けます」
お互い、また来世があってもきっと愛せずにはいられないだろう。
俺が彼を幸せにするように彼も俺を幸せにしてくれるから。
「笑ってんじゃねえよ!!」
俺は良き友人であり、困った神様とようやく話が出来た。あまり時間がとれなかったと言うのもあるが、そもそも猊下が前世と違い教会に行きたがらないのだ。俺の為に教会を作ってくれたというのにも関わらず、だ。
まあ、俺が命を落とした原因であり、俺の使命?の話も相まって神様に対する嫌悪感があるのは分かる。正直逆の立場だったら俺だって神様を恨む。
つまり、こんな特別なときぐらいしか長時間話が出来ない。だから、今ぐらいしか彼に文句を言えないのだ。
「魔術を使う度に光るなら言えよ!! そういうの大事じゃない!?」
『見える人の方が少ないってあの子も言ってたでしょ? 単に君は運良く、いや悪く?君自身の信者が多いから仕方ない事だよ。珍しいよね。君の周りにはそれが見える子だらけだ』
「待って。え? 他にもいるの?」
『君に絶大な好意を持っている子達は全員見えるよ。ああ、最近は君の家族も見えるようになったかな?』
「嘘だろ!? 嘘って言ってよ!!」
そんな恥ずかしい事になってるの!?いやだー!!俺が魔術使う度に光るなんて滅茶苦茶いやだー!!
『良いんだよ、良いんだよ。だから君の周りには、君を大事に思ってくれる子達が集まるんだもの。良い目印じゃないか!!』
「目印言うな!! 発光しないようにしてよ!!」
『おめでたい日だけど無理かな?』
俺は最悪だと頭を抱えようとしてピタリと手を止める。だめだ。今ぐしゃぐしゃにしたらまたコイヨンに長い時間かけてセットし直しされる。それだけは避けないと。
「……ねえリィン」
『なぁに?』
「本当に俺、このままで良いの?」
今、俺はすでに原作の話を逸脱している。それに不安を覚えないと言ったら嘘だ。
このまま、悪役のはずの俺がこのままで良いのだろうかと。
こんな時に、いやこんな時だからこそ弱気になってしまう。俺ははあっとため息をついてリィンの言葉を待ちながらドレッサーについている鏡を見た。そして飛び上がった。
「お、おに……カロ!?」
いつの間に入ってきたのか扉の近くに猊下がいた。ついうっかりお兄ちゃんと言いそうになって、慌てて名前で彼を呼ぶ。最近はお兄ちゃんじゃなくて名前で呼ぶようにしているのだ。
なんか、そっちの方が恋人っぽいじゃん……?
そういう俺の考えもあり、自分から始めたのだが未だにお兄ちゃんが抜けず思わず読んでしまいそうになる事もある。
兎に角、いつの間にか入ってきた猊下に驚きながらこう言うときってお互いに顔を合わせない方が良いんじゃないかと思ったが、猊下だから良いかと思うことにした。
「ルド」
「ど、どうしたの?」
猊下が近づいてきた。今日はいつもとは違う雰囲気にドキドキしてしまう。というか、滅茶苦茶白似合う~!!前世の服も白だったけど、一番今の服が猊下に似合う!!
猊下の晴れ姿に惚れ惚れしていると、猊下はそっと俺の手を握ってくる。
「愛してる。たとえ、全世界の人間がお前を憎もうとも、全ての者がお前を殺しに来ようとも、必ずお前を守って幸せにする。だからどうか、私と結婚して欲しい」
「……はい」
不思議だ。さっきまで原作がどうのとか悪役が~とか考えていたのに、猊下にそう言われたらどうでも良くなった。
ふわりと笑みを浮かべると、指に違和感を覚えた。
「……ん?」
「よく似合ってる」
「え、ちょっと、これここでして良いの……?」
「私の分をルドがあっちでつけてくれれば良い」
「そういうもの……?」
「ああ。そういうものだ」
そっと俺は左手薬指にはまった指輪を見た。銀色で上品なダイヤがついているものだ。
俺の人生でこんなものを貰えるとは夢にも思わない。
「俺も、カロを幸せにする」
「そうか」
猊下はそう微笑んでエスコートをするように俺の手を取った。そろそろ行かなければいけないらしい。
「もしかして、カロが式場まで連れてってくれるの?」
「何なら入場もする」
「え? 俺の場合、父親じゃないの?」
「だから、私がするんじゃないか」
猊下はそうはっきりと言う。
そんな猊下に俺は笑って確かにそうだと納得した。だって猊下は前世では俺の養父だったのだ。今は違うけど、立場はそうだと思って良いだろう。一緒に入場するとは思わなかったが。
そう考えながら俺たちは、会場まで向かう。すると、扉の前にいる男が気付いてゆっくりと大きなその扉を開いた。
「新郎新婦の入場です!!」
結婚式場はとても華やかで、誰もが俺たちを見て拍手をしてくれる。この世界で、貴族が教会で結婚式を挙げるのは珍しい。普通は、自分の屋敷とか、俺たちの爵位を考えると皇宮内でも良いはず。多分。
しかし俺は、絶対に教会が良かった。
俺の、前世で過ごした場所でもあり、俺の友人がいるその場所で結婚式を挙げたかったのだ。
二人でゆっくりとバージンロードを歩き、目的の場所までたどり着く。
そこには、コイヨンがいた。後で聞いたが熾烈な戦いがあったらしい。たかがそんなことでと思ったが、彼らにとっては一大事らしい。
そんなコイヨンの前まで立つと彼はゆっくりと口を開いた。
「新婦アルカルド様、貴方様は新郎カロシェーン様を愛することを誓いますか?」
「誓います」
「新郎カロシェーン様、貴方は新婦アルカルド様を一生かけて尽くし、来世でもその身を捧げますか?」
コイヨン?俺と全く別のこと言ってないか君?
予行練習と全く違う。俺はちらりと横目で猊下を見た。すると猊下はそっと俺の手を取った。
「この命が尽きても、この子だけを愛し続けると誓う」
そうして、結婚指輪を嵌めているその指にキスを落とす。
恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちで泣きそうになる。
「俺も、猊下を、カロを死んでも愛し続けます」
お互い、また来世があってもきっと愛せずにはいられないだろう。
俺が彼を幸せにするように彼も俺を幸せにしてくれるから。
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