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第五章 金の神子様はジョブチェンジ

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「ん、ん……っ!」
「ルド、痛いか?」
「へ、へい、き……っ!!」


 今が初めてというわけでもないのに、猊下は本当に丁寧に扱ってくれている。こんなに猊下に大事にされている事に毎回申し訳なさを感じていたが、今はそれを素直に受け入れられる。

 だって、今、俺と猊下は正真正銘の恋人同士!まさかこんな展開になるとは思わなかったし、本当にこれでいいのかとは思うけど、でも、猊下のいない次の人生なんて意味が無い。

 数えるくらいしか体を重ねていないとはいえ、もう気持ちよすぎて胸がいっぱいだ。これが両思いになったという多福感なのか!?


「お、お兄ちゃん……」
「どうした?」
「お、俺、もう……」
「……そうか、分かった」


 うん、なんかもう良いかなって!やっぱり、猊下も同じ気持ちなんだ。やっぱり、本当に両思いになったって思うと何もかも幸せでいっぱいになるんだな。

 小説ではまあそりゃあ、事に運ぶのは定石ではあるが現実だとこんな気持ちになるんだなぁ。今まで一度も誰かと付き合ったことも両思いになったこともないから味わったこともないんだけど。

 するすると猊下は俺の体を指でなぞりそっと腰を持つ。俺を起こしてくれるのかな?と思ったが何となくそんな掴み方ではない。ん?と俺は首を傾げて猊下の様子を伺うと次の瞬間、がつんとお腹に衝撃を受けた。


「んあっ!?」

 ひときわ大きな声を上げてガクガクと体を震わせる。俺の中に猊下のものが入ってきたのだ。

 お腹がいっぱいで苦しい……っ!


「ん、ん、お、おにいちゃん、あ、あっ!!」

 中に埋め込まれたと思えばゆっくりと抜かれてまた俺の中に入っていく。もう俺の中は猊下を簡単に受け入れて、すぐに苦しさから快楽に変わる。情けなく喘ぎながら、俺は一度精液を吐き出した。


「ん、んん……っ!!」
「ルド、口開けて」
「は、ぁ、あー……」


 ぎゅっと唇を噛んでどうにかそれを逃がそうとしていると猊下にそう言われた。その言葉に従って口を開くとすぐに猊下が塞いだ。ちゅっと口の中に猊下の舌が侵入してくる。ゆっくりと優しく口内を撫でられてぞくぞくと背筋が震えた。

 夢中で猊下の唇を貪っていると、そっと猊下が俺の胸に触れる。そしてぷっくりと膨れ上がったそれに触れると、びりりっと電撃が走ったような感覚を覚えた。


「ぁ、あ、や、やだ……っ!」
「いや?」
「う、う……」


 猊下が少し残念そうな声を出す。俺はその声を聞いて、ごくりと唾を飲み込んだ。

 恥ずかしい。そんなところを撫でられるなんて本当に恥ずかしい。でも、でも、俺の羞恥より、猊下の方が大事!!


「も、もっと、して欲しい……」
「そう、ならもっとしてあげる」
「あ、あっ!」


 猊下は俺がそう言うや否や、つまみ上げて少し引っ張った。あまりそこは触れたことがないはずなのに猊下に撫でられるだけでお腹に熱が集まる。


「も、もう、だめ、ま、また……っ」
「そうか」
「ひ、ぅっ!?」


 ゆっくりと限界に達しようとしていたが、その瞬間ひときわ奥を刺激された。猊下が急に腰を掴んで動いたからだ。その衝撃に呼吸が一瞬止まるが、次には体が大きく揺さぶられる。


「ん、ん、あっ! ああーーーーっ!」


 そうして何度目のかの絶頂を迎えると同時に中に熱いものが注がれた。暫くその余韻に浸っていると少しずつ瞼が重くなって、俺はいつの間にか気を失っていた。
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