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第三章 君が考える最も美しい人の姿がこれなの?
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ベイカー家での舞踏会までたった一ヶ月!
この事件は、確かベイカー家で招待された犯人の家族を狙った犯行であった。残念なことにそこら辺の名前は出てこない。恐らく貴族だから情報規制がかかったのだろう。そのとばっちりになったベイカー家は本当に可哀想。
そんな犯人が何故家族に復讐をしたのかというと至ってシンプル。
貴族として育ち、美しい顔に恵まれたその男は幼い頃からちやほやされていた。しかし、親戚の家に行っていたときに火事に遭い、酷い火傷を負って、美しいといわれていた顔が一変して醜くなってしまう。そんな彼の容姿を化け物のようだと家族は遠ざけてしまうのだ。その男の美しい容姿で玉の輿を狙っていた家族達にとって、彼は価値がなくなってしまったのだ。悲しい話だ。
そうして成人になる頃には、無理矢理辺境地の騎士団に入団されてしまい、縁を切られる。その場所で醜いと罵られ虐められた彼は復讐を誓い、手始めにその辺境で虐めを行っていた騎士達を殺し、王都に戻ってきたのである。いやあ、執念って怖い。
まあでもその事件以降、全く現れないからその事件で死んだかあるいは復讐を遂げて満足したのか、どちらにしても俺に関わらない取るに足らない三流だ。話の流れが終わるので阻止することはしないが、猊下を守ることだけはさせて貰う。
「侵入はたやすいけど……」
「アルカルド様、その招待状俺も持ってるんでいきたいなら一緒に行きますか?」
「おわー!!!」
猊下が学院に行っている間に作戦を練ろうとしたら声に出ていたらしい。コイヨン、フラウ、ジエンが控えている中うかつなことは言わないようにと思っていたのだが。そう思って慌てて口を押さえるが、フラウが興味深いことをいった。
「持ってるの?」
「はい。知り合いなんで」
「顔広いですからこいつ」
フラウナイス!後別に敬語良いっていってるのにこの二人全く治さなくて困る。最初に会った時普通だったじゃん!!そう訴えるが、立場がありますのでと頑ななので放置した。
「パートナーとしていけば入れるはずです」
「でも、俺子供だから参加できないって……」
「そんなの魔法でどうにかなります」
「え、警備とかそういうのに引っかかるんじゃ……」
「そこは、コイヨンが細工します」
「お任せ下さい。あの伯爵家にはツテがありますのでご命令下さればすぐにでも」
「お、おお……」
コイヨンはどっかのエージェントかな?俺の侍従になるより良い給金の仕事についた方が良いんじゃない?でもそんなことをして良いのかとちょっと葛藤して、いや、猊下の命には代えられないとすぐに切り替えた。
「では、大人のアルカルド様に合わせて服を新調しましょう! あ、一度魔法をかけてもよろしいですか?」
「いいよ」
「どのようなお姿をご所望でしょうか」
「君がこの世で一番美しいと思う顔」
フラウみたいな美人が美しいと思うならばきっとこの世の者とは思えないほどの造形美だろう。
火傷を負ったことで美しい人を憎むようになった犯人なので、出来れば猊下の美しさが霞むぐらい……は無理だろうが、目につく位だったらいけるだろう!!これで少しでも猊下の危険を減らす!!
俺はそう思ってフラウに任せるとフラウは分かりましたと頷いて俺に魔法をかける。身長も伸ばし、顔も変わり、髪の色と瞳が変化する。
腰まで伸びたクリーム色の髪だ。金とまではいかないが、似たような色で少し親近感を覚える。そう思って、全容を見ようと鏡を探すとすぐにコイヨンがそれを持ってきて俺の顔を見せてくれた。
そして固まった。
「……君が考える最も美しい人の姿がこれなの?」
「はい」
「まあ、確かに美人だ」
「そうでしょう!? 私はこの美しさに勝るものはこの世に無いと自負しています!!」
それはないと否定したいが、フラウの価値を否定することにもなるのでその言葉は飲み込んだ。
でも、仕方ないだろう。だってその鏡に映っていたのは断罪された神子様、つまり前世の俺だから。
髪色と瞳だけ違うだけで後は全部まんま神子。もしかして、俺の姿だけはどっかの書物に残ってた?それとも偶々彼の理想がこれだったのかな?
久しぶりの姿に少しそわそわするが、今世でこの姿を覚えているのは主人公達だけだ。その舞踏会には未成年であるレオは参加しないし、仮に見られたとしても一夜限りの姿だ、どうにでもなる。
寧ろ警戒させるのは良いかもしれない。ちょっと良いな、チラ見せするラスボス。
最終的にもう一度殺されれば良いのだから。
「では早速! 準備にかかりましょう!! お任せ下さい! 最高級のものをご用意致します!!」
「え? いやいいよ。君たちの貸してくれればそれで……」
「いけません!! こんな美味しい機会を逃すなんてそんな勿体ないこと!! 資金の心配はありません!! 我々は、この日のために稼いでますから!!」
「わ、分かった、分かったから好きにして!!」
「はい!!」
コイヨンの嬉しそうな声と表情と圧力に俺は負けた。彼は嬉々としてサイズを測った後に素早く部屋を出て行くコイヨンを見送って、ふうっと一息つく。
「とりあえず、これでいいとして、フラウ。君に言いたいことがある」
「はい」
「助けて欲しい」
言っておくが、俺はパーティの作法など全く知らない。前の神子のときだって、一応宗教組織だからこういう風にきらびやかな会には軽く顔を出すだけだったのだ。だから、超不安!!
「フラウのパートナーとして、恥じない働きをしたいんだけど……」
「そんなもの気になさる必要はありません……と、私は思っておりますがアルカルド様がお望みであれば一月で、それを可能に致します」
「うん! 頑張るよ!」
一ヶ月で最低限なんてハードスケジュールだろうけど、俺の無理のお願いを聞いてくれたんだしこれぐらいは!!
この事件は、確かベイカー家で招待された犯人の家族を狙った犯行であった。残念なことにそこら辺の名前は出てこない。恐らく貴族だから情報規制がかかったのだろう。そのとばっちりになったベイカー家は本当に可哀想。
そんな犯人が何故家族に復讐をしたのかというと至ってシンプル。
貴族として育ち、美しい顔に恵まれたその男は幼い頃からちやほやされていた。しかし、親戚の家に行っていたときに火事に遭い、酷い火傷を負って、美しいといわれていた顔が一変して醜くなってしまう。そんな彼の容姿を化け物のようだと家族は遠ざけてしまうのだ。その男の美しい容姿で玉の輿を狙っていた家族達にとって、彼は価値がなくなってしまったのだ。悲しい話だ。
そうして成人になる頃には、無理矢理辺境地の騎士団に入団されてしまい、縁を切られる。その場所で醜いと罵られ虐められた彼は復讐を誓い、手始めにその辺境で虐めを行っていた騎士達を殺し、王都に戻ってきたのである。いやあ、執念って怖い。
まあでもその事件以降、全く現れないからその事件で死んだかあるいは復讐を遂げて満足したのか、どちらにしても俺に関わらない取るに足らない三流だ。話の流れが終わるので阻止することはしないが、猊下を守ることだけはさせて貰う。
「侵入はたやすいけど……」
「アルカルド様、その招待状俺も持ってるんでいきたいなら一緒に行きますか?」
「おわー!!!」
猊下が学院に行っている間に作戦を練ろうとしたら声に出ていたらしい。コイヨン、フラウ、ジエンが控えている中うかつなことは言わないようにと思っていたのだが。そう思って慌てて口を押さえるが、フラウが興味深いことをいった。
「持ってるの?」
「はい。知り合いなんで」
「顔広いですからこいつ」
フラウナイス!後別に敬語良いっていってるのにこの二人全く治さなくて困る。最初に会った時普通だったじゃん!!そう訴えるが、立場がありますのでと頑ななので放置した。
「パートナーとしていけば入れるはずです」
「でも、俺子供だから参加できないって……」
「そんなの魔法でどうにかなります」
「え、警備とかそういうのに引っかかるんじゃ……」
「そこは、コイヨンが細工します」
「お任せ下さい。あの伯爵家にはツテがありますのでご命令下さればすぐにでも」
「お、おお……」
コイヨンはどっかのエージェントかな?俺の侍従になるより良い給金の仕事についた方が良いんじゃない?でもそんなことをして良いのかとちょっと葛藤して、いや、猊下の命には代えられないとすぐに切り替えた。
「では、大人のアルカルド様に合わせて服を新調しましょう! あ、一度魔法をかけてもよろしいですか?」
「いいよ」
「どのようなお姿をご所望でしょうか」
「君がこの世で一番美しいと思う顔」
フラウみたいな美人が美しいと思うならばきっとこの世の者とは思えないほどの造形美だろう。
火傷を負ったことで美しい人を憎むようになった犯人なので、出来れば猊下の美しさが霞むぐらい……は無理だろうが、目につく位だったらいけるだろう!!これで少しでも猊下の危険を減らす!!
俺はそう思ってフラウに任せるとフラウは分かりましたと頷いて俺に魔法をかける。身長も伸ばし、顔も変わり、髪の色と瞳が変化する。
腰まで伸びたクリーム色の髪だ。金とまではいかないが、似たような色で少し親近感を覚える。そう思って、全容を見ようと鏡を探すとすぐにコイヨンがそれを持ってきて俺の顔を見せてくれた。
そして固まった。
「……君が考える最も美しい人の姿がこれなの?」
「はい」
「まあ、確かに美人だ」
「そうでしょう!? 私はこの美しさに勝るものはこの世に無いと自負しています!!」
それはないと否定したいが、フラウの価値を否定することにもなるのでその言葉は飲み込んだ。
でも、仕方ないだろう。だってその鏡に映っていたのは断罪された神子様、つまり前世の俺だから。
髪色と瞳だけ違うだけで後は全部まんま神子。もしかして、俺の姿だけはどっかの書物に残ってた?それとも偶々彼の理想がこれだったのかな?
久しぶりの姿に少しそわそわするが、今世でこの姿を覚えているのは主人公達だけだ。その舞踏会には未成年であるレオは参加しないし、仮に見られたとしても一夜限りの姿だ、どうにでもなる。
寧ろ警戒させるのは良いかもしれない。ちょっと良いな、チラ見せするラスボス。
最終的にもう一度殺されれば良いのだから。
「では早速! 準備にかかりましょう!! お任せ下さい! 最高級のものをご用意致します!!」
「え? いやいいよ。君たちの貸してくれればそれで……」
「いけません!! こんな美味しい機会を逃すなんてそんな勿体ないこと!! 資金の心配はありません!! 我々は、この日のために稼いでますから!!」
「わ、分かった、分かったから好きにして!!」
「はい!!」
コイヨンの嬉しそうな声と表情と圧力に俺は負けた。彼は嬉々としてサイズを測った後に素早く部屋を出て行くコイヨンを見送って、ふうっと一息つく。
「とりあえず、これでいいとして、フラウ。君に言いたいことがある」
「はい」
「助けて欲しい」
言っておくが、俺はパーティの作法など全く知らない。前の神子のときだって、一応宗教組織だからこういう風にきらびやかな会には軽く顔を出すだけだったのだ。だから、超不安!!
「フラウのパートナーとして、恥じない働きをしたいんだけど……」
「そんなもの気になさる必要はありません……と、私は思っておりますがアルカルド様がお望みであれば一月で、それを可能に致します」
「うん! 頑張るよ!」
一ヶ月で最低限なんてハードスケジュールだろうけど、俺の無理のお願いを聞いてくれたんだしこれぐらいは!!
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