【完結】断罪された神子様は、前世養父だった冷徹公子に溺愛される。

紫鶴

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第二章 やめてー!!俺の屑を連れて行かないでぇ!!!

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 悪徳魔術師の件は、片付いたというかなんというか。

 あの後、この空間からどう出る?みたいな話になり、どうやら二人は外側から入ったため魔法を使えたが、中に入ってしまったので魔法が使えず出られないと主張した。

 ほほう?ここは俺の出番だな!!とかっこよく披露しようとしたら、急にその魔法が解けて邸宅の中に。

 そして、お父様がそこにいた。こちらを見ないで剣を突きつけられたとき、心臓が止まるかと思った。コイヨンが素早くナイフを投げたから事なきを得たけどそうでなければ、俺を抱えて庇おうとした猊下の腕がざっくりやられていた。

 お父様はむせび泣いた。突然俺たちがいなくなったから探していただけで、殺そうとしたわけではないと一生懸命言っていた。分かったので、泣き止んで欲しい……。

 その後、リュネお兄様とお母様もやってきて、その日はお医者さんに診て貰ったり軽く事情聴取を受けて寝た。


 そして次の日、まさしく今、起き上がるとソファの方で紅茶を飲んでいる猊下がいた。朝ご飯だろうかとふらふらと歩いて行くと、猊下がこちらを見た。


「ルド、おはよう」
「おあよう……」
「少し眠いか? まだ寝てても良いぞ」
「おきるぅ……」


 猊下が少し笑って手元のベルを鳴らす。俺はふわあっとあくびをしながら猊下の膝の上に乗っかると、すぐにノック音と共に使用人がやってきた。


「入れ」
「失礼いたします」


 ……ん?いつも来てる人じゃない?

 というか、聞いたこと無い声。ひょこっと顔を出すとやはり見たことがない使用人だ。俺と目が合うと微笑んでくれる。

 驚いた。今俺は別に容姿を変えていないからばっちり金髪金目なのだが……。今までの使用人達は嫌悪感を示していた。仕方ない。この見た目なのだから。

 それなのにこの使用人は全くそれがない。それどころか何か、好意的なような……。


「朝食の準備を」
「畏まりました」


 彼はそういって、頭を下げて出て行った。そして数分も経たずに朝ご飯がやってきた。大きなワゴンに積まれた御飯の数々。相変わらずここの御飯は豪華で美味しい。

 わー!と目を輝かせてそれを見る。わくわくしながら並べられていく御飯達を見守っていると、不意に忙しない足音が聞こえた。その足音はこちらに近づいてきて、誰だろうと俺は扉の方を見ようとしたが、その前に猊下が俺を抱き上げた。


「ここにいろ」
「分かった」


 俺を椅子の上に置いて、猊下は立ち上がる。俺はそれに頷きながらちらりと御飯の方を見た。猊下がくるまで我慢だ。


「食べてて良い。すぐに終わる」
「! 分かった!!」


 猊下が食べて良いって言ったから食べちゃお!!美味しそうなスープを手にしてスプーンで掬う。美味しい!ふーふーっと冷ましながらそれをゆっくりと飲んでいると、「どうしてですか!!」とロズリーの声が聞こえた。

 その声は切羽詰まっていて何事だろうかと俺はいったん御飯を食べるのを辞めて立ち上がった。


「アルカルド様、まだお食事が終わっていません」
「え、いや、ロズリーの声が聞こえたから……」
「気にすることはありませんよ。あの男は解雇されておりますから」
「……はい?」


 え?今解雇って言わなかった?やってきた子を見ると彼はにっこりと笑みを浮かべているだけだ。それから手慣れたように俺をもう一度ソファに座らせると隣に控えて皿にいろんな食べ物を取り分けてくれる。わあ、滅茶苦茶おしゃれなレストランに来た気分……てそうじゃなくて!!


「ロズリーが解雇!? なんで!?」
「あの男、というよりもほとんどの使用人が昨日付で大量解雇されております」
「え!?」


 まさか昨日の悪徳魔術師が入ってきたことでそんな出来事が起こっているのか!?いやでも、そんな大量に解雇したら普通人が集まらないんじゃ……っ!!


「そのお陰で私も昨日からこちらで働けることになりました。よろしくお願いします」
「よ、よろしく」


 そんな困る!!俺にはあの屑が必要なんだ!!いや別に君が雇用されて不満とかではなく!俺の自由行動を得るためにはあの子がいないとだめなんだぁ!!


「こ、こんな急に解雇なんて! どうしてですか!」


 俺もそう思うよ!!俺もロズリーがいなくなったら困るからどうにか擁護したい。ちらっと俺は彼を見る。微笑まれた。俺もにこっと笑みを浮かべつつさっとソファから下りて扉の方に向かう。


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