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第二章 やめてー!!俺の屑を連れて行かないでぇ!!!

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 次の日、いつものように朝ご飯を食べていたら猊下がとんでもないことを言った。


「そういえば、教会で火災が起こったらしい」
「……へ?」
「近くの教会が全て燃やされていたそうだ。放火犯が近くにいるかもしれないから、暫く外出はしないように」
「……っ!?」


 教会、火災騒ぎ。昨日のコイヨンのはなしを思い出しいやまさかそんなことがあるわけがないと考えたが、それよりも猊下に俺が外出していたことがばれたことに驚いて、ポトリと持っていたパンを落としてしまった。机の上に落としたからセーフだけど、なんで猊下俺が外に出かけていること知ってるんですか!?


「あ、あ、い、い、いや、べ、別に逃げだそうとしてるわけじゃ……っ!!」
「ロズリーと一緒に出かけているんだろう? エイモンドから馬車を使っていると聞いている。ロズリーにも言っておくから、暫くは彼に欲しいものを言えば良い。そうすれば買ってきてくれる」
「あ、うん!!」


 ナイス!ナイス屑!!流石だ俺の屑!!馬車使ってたとか全然知らなかったけど、どうにかなったわ!!ありがとう!!

 心の中で感謝はしたが、いや、改めて考えるとなんて危ない橋を渡っているんだと少し頭を抱える。
 一介の使用人がそんなことをして良いのかどうかと言えば普通に良くない。これが普通の何の変哲も無い馬車であれば良いが、もし、家紋がバッチリ入った馬車だったらかなりまずい。そして、彼の性格上、後者である可能性が高いのが難点。

 ロズリーのお陰で首の皮一枚繋がったが、新たな問題が発生してしまった。どんだけ怖いもの知らずなんだ、俺の屑。少しは学習しろ。大体にして、前平気だったのは俺が権力者で君を必要としていたからだ。そうでなければ君は死んでいたよ?感謝しろとは言わないが、少しぐらい慎重な行動を取って欲しい……。

 まあ、ロズリーのことだから御者とも仲が良いんだろう。多分。だから出して貰えたとかそういう話なのかもしれない。そいつも共犯に仕立て上げるなんてロズリーったら方々に迷惑をかけるな!!俺は君だけしか要らないんだぞ!あんまり他の人と悪巧みしてても君しか助けないからな!!

 とはいえ、今し方彼の行動で助かったのは事実。寧ろ、お出かけが公認になったのだ。かなり俺の利益になった。だからその行いに免じて、一度くらいはその御者も助けてあげる。多分きっと。

 これからは、大胆に行動していても良さそうだと考えて、俺は上機嫌。にこにこと笑みを浮かべながら俺は机に落ちたパンを拾おうとして、さっと猊下がそれを取った。そしてばくっと口の中に入れる。そんなにお腹がすいていたのだろうか。でもわざわざ机に落としちゃったの食べなくて良いのに……。


「……いる?」
「あ」
「あーん」


 俺も手慣れたもんだな。もう猊下が口開けただけで御飯を口に運ぶようになったよ。何となく猊下の顔色も良くなってるみたいだし、猊下の健康状態は良好だ。

 食後のデザートもバッチリお腹に収めて、ロズリーがやってきた。二人で猊下を見送り、ロズリーは買い物、俺は自由時間……。


「アルカルド様」
「……oh」


 何故君が、こんなところにいるのかね?ロズリーの仕事を回されているんじゃないのかね?キラキラおめめでこちらを見てくるコイヨンに俺は引きつった表情を浮かべた。


 まあロズリーと鉢合わせしなかっただけでよしとしよう。
 

――フラグだった。
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