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16歳の俺
第4王子16歳 7
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うっ、ひっ、ぐす……。ふと、耳元で誰かのすすり泣く声がした。ぼんやりとする頭でそっと瞼を開けると顔の近くに黒い髪が見える。
誰だ?そう思ってそっとその頭に触れるとばっとそれが勢いよく顔をあげた。それからきっと俺を睨みつけ、ぽかぽかと殴る。
「バカバカバカ!アズールのばかぁ!」
「う、お……っ!?」
その頭の正体はルチアーノだ。ぐずぐずと泣きはらしながらううううっと唸り声をあげる。お前は獣かっと思うような声を出しているのでお、おうっと少し引き気味になりつつも、俺は理解した。
この子、術を解いたみたいだ。
あのスライム適当な仕事しやがって。
「あー、えーっと、ごめんね?」
「ごめんじゃないもん!もーどこ行ってたのぉ!」
俺は体を起こしてルチアーノに隣に座るように促すがルチアーノはぎゅっと俺の腹にしがみつくように抱き着いてきた。もう離さないとでもいうように力強く。
俺は苦笑しながら頭をなでて彼の機嫌を取るしかない。
「いやあ、起きたらこんな状態で……」
「……?」
「うーんと、説明すると……」
そうして俺は仕方なく先ほどまでの説明をする。ルチアーノはそれを聞いてわっとまた泣き始めた。
「アズールが生きててよかったぁっ!今まで忘れててごめんなさいぃ!」
「いやそれは構わないんだけど」
寧ろ推奨するけど。
俺はそう思いながらははっと乾いた笑みを浮かべる。
それに伴いルチアーノは記憶を徐々に思い出してきたのか顔を青くしてぎゅうっと俺にしがみつく。
俺はあーっと頭をかいてひょいっと抱き上げて上に乗せる。
「もう大丈夫だから」
「う、うん……」
「あと、他の子がどうなったか聞いていい?」
「えっと、全員は学院に行ったよ……?」
「は?全員……?」
俺がそう聞き返すとうんっとルチアーノが頷いた。俺はそういえばそういう機関があったなと思いつつ、孤児がどうして学院に行けるかという疑問にぶち当たる。
別に孤児が学院に行くのは珍しいことではない。出ていく人の中で一人二人出ていたっておかしくないが、気になったのは全員という言葉だ。
全員が行けるわけがない。奨学金の選考だってあるし、そんな学業をしながら働くなんてするものが全員のはずがない。
「貰い手がいなかったら学院に通って軍隊に入るんだって」
「……はあ?」
戦争でもやるつもりなのか?孤児を軍に入れるなんて無駄遣いだろ。いや、それとも国は貧困問題にきちんと向き合ってますアピールか?それにしたってもっといい策があるはずで、やはり戦争をおっぱじめるつもりか?
軍は確かに必要だが、そこまでして集める理由が分からない。今は特に平和で……。
「―――まさか、もう権力争いは始まってるのか?」
武力行使、武力アピールどちらも変わらないがそういうことではないか。軍の責任者たちは既に派閥争いが勃発し来る日に備えて戦力、肉壁を欲している。だが、そんなあから様に用意するだろうか。
他に孤児が運用される理由としてーーー。
「実験道具、か?」
後ろ盾がなく、死んでも誰も気づかない、困らない、握りつぶせる。
いや、これはすべて憶測でそうであるとは限らない。情報が足りない。
「一先ず、ルチアーノが無事でよか……」
「ん、うぁあ……っ!」
「―――っ!?」
びくんっとルチアーノが体をはねらせて声をあげた。ぎょっとして俺が彼を見ると、へその下あたりに何か模様が浮き上がる。
それはハートのような模様で、ピンク色に光っている。そんなものは孤児院のときになかった。
「な、なにこれ……」
「あ、あんぅ……ひぃ、や、やだ、あっ!」
びくんびくんと体をはねらせてルチアーノが顔を赤くして、はふはふ呼吸をする。
こ、これは……。
俺はルチアーノのその豹変にかっと目の前が赤くなる。あの下種野郎共がっ!!!
「待ってルチアーノ。今解くから!」
「あ、ぁ、あずーるぅ……」
ルチアーノを抱きかかえて俺はベッドに向かう。刺激しないようにそっと下ろすがルチアーノは辛そうに呼吸をしてぎゅうっと俺の服の袖を掴む。大丈夫だという意味を込めて頭を撫でると、ルチアーノがふるふると首振る。
「ぃ、いかせてぇ……」
「……ぇっ?あ、自分じゃできない?」
「わかんないぃ……」
「あー、うん、分かった!ズボン脱がすよ!」
涙目で訴えられ俺は思わず了承し、ルチアーノが頷くので俺はズボンを脱がした。ついでに上も少し上げて模様を確認する。やはり、ハート形のもので中に文字が浮かんでいる。何かの術式のようだ。ちっと舌打ちをして悪態をつくとびくりとルチアーノの体が震えた。
それから、ぐいぐいとその模様を隠すようにシャツを引っ張る。
それを俺は無理やり上げた。
「見えない。気持ちよくしてあげるから大人しくして」
「ぅ、んんぁ……っ!」
「手がいい?口?」
俺がそう聞くとルチアーノはそっと俺の脚を撫でる。
「ん、一緒がいい……」
「一緒……?」
「アズールのも、僕が気持ちよくしたい……」
「え?俺は別に……」
俺がそう言うと一気にぐるんっと視界が反転し気づけばルチアーノと天蓋を俺は見ていた。え?っと呆けているとルチアーノがすりっと足を寄せてくる。
「しよ……?」
「う……」
甘えるように言われてしまい俺はそれに負けた。
誰だ?そう思ってそっとその頭に触れるとばっとそれが勢いよく顔をあげた。それからきっと俺を睨みつけ、ぽかぽかと殴る。
「バカバカバカ!アズールのばかぁ!」
「う、お……っ!?」
その頭の正体はルチアーノだ。ぐずぐずと泣きはらしながらううううっと唸り声をあげる。お前は獣かっと思うような声を出しているのでお、おうっと少し引き気味になりつつも、俺は理解した。
この子、術を解いたみたいだ。
あのスライム適当な仕事しやがって。
「あー、えーっと、ごめんね?」
「ごめんじゃないもん!もーどこ行ってたのぉ!」
俺は体を起こしてルチアーノに隣に座るように促すがルチアーノはぎゅっと俺の腹にしがみつくように抱き着いてきた。もう離さないとでもいうように力強く。
俺は苦笑しながら頭をなでて彼の機嫌を取るしかない。
「いやあ、起きたらこんな状態で……」
「……?」
「うーんと、説明すると……」
そうして俺は仕方なく先ほどまでの説明をする。ルチアーノはそれを聞いてわっとまた泣き始めた。
「アズールが生きててよかったぁっ!今まで忘れててごめんなさいぃ!」
「いやそれは構わないんだけど」
寧ろ推奨するけど。
俺はそう思いながらははっと乾いた笑みを浮かべる。
それに伴いルチアーノは記憶を徐々に思い出してきたのか顔を青くしてぎゅうっと俺にしがみつく。
俺はあーっと頭をかいてひょいっと抱き上げて上に乗せる。
「もう大丈夫だから」
「う、うん……」
「あと、他の子がどうなったか聞いていい?」
「えっと、全員は学院に行ったよ……?」
「は?全員……?」
俺がそう聞き返すとうんっとルチアーノが頷いた。俺はそういえばそういう機関があったなと思いつつ、孤児がどうして学院に行けるかという疑問にぶち当たる。
別に孤児が学院に行くのは珍しいことではない。出ていく人の中で一人二人出ていたっておかしくないが、気になったのは全員という言葉だ。
全員が行けるわけがない。奨学金の選考だってあるし、そんな学業をしながら働くなんてするものが全員のはずがない。
「貰い手がいなかったら学院に通って軍隊に入るんだって」
「……はあ?」
戦争でもやるつもりなのか?孤児を軍に入れるなんて無駄遣いだろ。いや、それとも国は貧困問題にきちんと向き合ってますアピールか?それにしたってもっといい策があるはずで、やはり戦争をおっぱじめるつもりか?
軍は確かに必要だが、そこまでして集める理由が分からない。今は特に平和で……。
「―――まさか、もう権力争いは始まってるのか?」
武力行使、武力アピールどちらも変わらないがそういうことではないか。軍の責任者たちは既に派閥争いが勃発し来る日に備えて戦力、肉壁を欲している。だが、そんなあから様に用意するだろうか。
他に孤児が運用される理由としてーーー。
「実験道具、か?」
後ろ盾がなく、死んでも誰も気づかない、困らない、握りつぶせる。
いや、これはすべて憶測でそうであるとは限らない。情報が足りない。
「一先ず、ルチアーノが無事でよか……」
「ん、うぁあ……っ!」
「―――っ!?」
びくんっとルチアーノが体をはねらせて声をあげた。ぎょっとして俺が彼を見ると、へその下あたりに何か模様が浮き上がる。
それはハートのような模様で、ピンク色に光っている。そんなものは孤児院のときになかった。
「な、なにこれ……」
「あ、あんぅ……ひぃ、や、やだ、あっ!」
びくんびくんと体をはねらせてルチアーノが顔を赤くして、はふはふ呼吸をする。
こ、これは……。
俺はルチアーノのその豹変にかっと目の前が赤くなる。あの下種野郎共がっ!!!
「待ってルチアーノ。今解くから!」
「あ、ぁ、あずーるぅ……」
ルチアーノを抱きかかえて俺はベッドに向かう。刺激しないようにそっと下ろすがルチアーノは辛そうに呼吸をしてぎゅうっと俺の服の袖を掴む。大丈夫だという意味を込めて頭を撫でると、ルチアーノがふるふると首振る。
「ぃ、いかせてぇ……」
「……ぇっ?あ、自分じゃできない?」
「わかんないぃ……」
「あー、うん、分かった!ズボン脱がすよ!」
涙目で訴えられ俺は思わず了承し、ルチアーノが頷くので俺はズボンを脱がした。ついでに上も少し上げて模様を確認する。やはり、ハート形のもので中に文字が浮かんでいる。何かの術式のようだ。ちっと舌打ちをして悪態をつくとびくりとルチアーノの体が震えた。
それから、ぐいぐいとその模様を隠すようにシャツを引っ張る。
それを俺は無理やり上げた。
「見えない。気持ちよくしてあげるから大人しくして」
「ぅ、んんぁ……っ!」
「手がいい?口?」
俺がそう聞くとルチアーノはそっと俺の脚を撫でる。
「ん、一緒がいい……」
「一緒……?」
「アズールのも、僕が気持ちよくしたい……」
「え?俺は別に……」
俺がそう言うと一気にぐるんっと視界が反転し気づけばルチアーノと天蓋を俺は見ていた。え?っと呆けているとルチアーノがすりっと足を寄せてくる。
「しよ……?」
「う……」
甘えるように言われてしまい俺はそれに負けた。
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