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?歳の俺
国王陛下 ?歳 1
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「―――か、―――いか」
「……?」
「国王陛下」
男の声がして、俺の意識が浮上する。ぼんやりとした意識と視界がだんだんクリアになってきて、目の前に紙の束とインク、ペンが机の上に乗っているのを確認した。それからふいっと視線を上に向けると、そこには茶髪の男がいる。彼は俺の顔をのぞき込んで、それからぴんっと額を指で弾いた。
「い……っ!?」
「執務中に居眠りは感心しませんね。昨日も夜更かししたんですか?」
「え……?」
「そういえば、一昨日、×××様の許可もなしに東国の刀というものを買ったそうですね。三本も。かなりの費用を使ったようですが、勿論陛下の私費から使ったんですよね?」
「え、あ、う、うん……」
「それならいいです」
にこりと笑顔を見せたその茶髪の男は茶器とマフィンが乗ったワゴンをこちらに寄せて、机の上のものを素早く端に寄せた。それからそのあいた空間に、紅茶を淹れたティーカップとマフィンの乗った皿を置く。紅茶のいい匂いとマフィンの甘い匂いに誘われて、くうっと小さく俺の腹が鳴った。それを聞いた男がくすっと笑う。
「どうぞ、国王陛下。休憩です」
「あ、ありがとう……」
「いいえ、私は貴方の執事ですから」
そう言ってからそれでは失礼しますっとその男は部屋を出た。俺はそれを呆然として見送りながら、え?っと首を傾げた。
「ここどこ……?」
いまいち、状況が分かっていない。
確認しよう。
先ほどまで俺は王宮に向かっていた。その道中馬が暴れてしまい、それを落ち着かせるために休憩1時間をとってアレクさんお手製の昼食を食べ、俺はふらふらと周りを散歩していた。そうしたら、不自然な水たまりがありその中に飲み込まれて死んだと思ったらここにいる。
前世の走馬灯とでも考えたが、それはあり得ない。
俺は自慢じゃないが、一度たりとも国王陛下に座したことは無い。その前に、勘当されて監禁直行だからだ。だから、これは過去ではない。それに感覚がリアルだし、お菓子も紅茶もおいしい。
となるとこれはあの水たまりが見せている幻影だろうか。俺の願望の現れなのか……?
「ごちそうさまでした」
手を合わせてそう言って、ふむっと顎を抑える。
とりあえず試すことは……。
「ジーク、いる?クラウスかテレシアでもいいんだけど……」
俺は彼らを呼んだ。しかし、反応はない。つまり、彼らとの契約は切れている。
うーん、っと首を捻ってどうしようっと呟いた。彼らがいないことはまあ別にいいのだが、現状知り合いがいない気がする。いや、俺が分からないだけか……?
予想では、先ほどの男は多分、アルトだ。名前は合っているか分からないが、彼である可能性は十分ある。
ただ、名前が分からないから迂闊に声をかけるわけにはいかない。
それから俺が俺であることを悟られるわけにもいかない。もしかしたら、この体は俺ではない可能性もあるのだから。そうなると、茶髪の男がアルト説は完全に崩れてしまうのだが……。
「まあ、どうにかなるっ!」
そんな事よりもぶっちゃけ東国の刀が気になるわ、俺。
皿とカップをワゴンに移動させて、一応紙の束に目を通す。
他国との貿易、罪人の裁判、国費等々の書類だ。
じいっと目を通すだけにしたはずが、いつの間にかそれは仕分けされていた。どういうわけか、俺には分かったらしい。いや、分かって良かったけど。いつどうなるか分からないし、普段と同じことができるのはありがたい。無意識に近いので俺の記憶にはないが。
「これで終わり……?」
んーっと伸びをして、席を立った。そっと窓を覗くと街には光がついている。周りの景色は、見たことのある俺が王子であった頃の国のそれと同じだ。
やっぱり、ここは俺の知っている国なのか……?
「……まあ、いいか」
それよりも東国の刀というやつが気になる!書物ではその存在を見たことはあるが実物を見るのは初めてだ。しかもそれが三本!
一つは素材を調べるために溶かしたり、折ったりするでしょ、もう一本は保存用で最後の一本は試し切り用。うんうん、いいじゃん!分かってんじゃん!
ふんふふーんっとスキップをしながら、扉を開けるとすぐ隣に男がいた。俺はびっくりしてびたーんと扉に張り付いてしまう。
「……?どうかしましたか、国王陛下?」
金髪で腰に剣を携えた男だ。フルプレートまではいかないが、足や腕、胸などに甲冑をつけている。
たぶん、茶髪の男がアルトであったらこれはカイル……かな?
彼は俺の奇行に不思議そうに首を傾げている。俺はだらだらと冷や汗を流しながらんんっと咳払いをした。
「へ、部屋に戻る」
「畏まりました。お供いたします」
思わずそう口をついたが俺は顔を青くする。
待って、部屋わかんない。これは俺が動かないといけない感じだよね!しまったぁっ!
ぴたりと俺は動きを止めつつも目だけで周りを確認する。角部屋じゃないので右か左かを決めなくてはならない。
どくんどくんとその選択に心臓がうるさいくらいに鳴り響く。
ふうっと長く息を吐いて目をつぶり、かっと見開いた。
右!
勢いよく体を右に向けて進みだす。かつかつっと俺の足音と音もなく後ろから男がついてくる。あのような恰好なのに物音ひとつしないとは、音を出さないように訓練されてるのか……?怖いんだけど。暗殺者じゃん。
ちらっと彼の様子を伺うために後ろを向くと、ばっちりと彼と目が合ってしまった。俺は慌てて前を向くが、「陛下」っと彼に呼び止められた。
俺は止まって恐る恐る振り返る。
「な、なに……?」
「陛下の私室は逆側ですがこちらに何かご用事がおありでしょうか?」
彼がそういうのでひゅっとのどが鳴りそうになった。怪しまれていると思うので俺は間が開かないようにすぐにこう答える。
「す、少し気分転換に散歩しようと思っただけ!」
「そうでしたか、失礼致しました」
「あ、いや、うん。俺も言ってなかったのが悪かった。すまないが、付き合ってくれるか」
「勿論です、陛下」
この口調であってますかね?問題ないですか?
一先ずドキドキしながらも私室が逆側であったという情報は聞けた。具体的にどこか分からないけど今はそれでよしとする。
気づかれないようにこっそりため息をつき、前を歩く。散歩といってしまった手前そこそこ時間を使わないと。
廊下を歩き、下に降りて庭園を散策。ついでに面白い草が生えていないかチェック。あ、流石にないか。手入れされてるし。
苦笑しつつ、噴水のところまでやってきて俺はその水の中を覗いた。
「……え?」
そこには、今の俺の顔の面影があった。
いや、まさかそんな。どうして……?これは俺なのか……?でも、過去でこういう出来事は起きていないから……。
「どういう……」
こと。
そう言い切る前に不自然に俺の体が動かなくなった。誰かに拘束魔法を使われている。そう思い対抗しようとしたがそれに重ねて妨害の魔法がかけられた。
――――背後から。
「――――――っ!?」
後ろを向くと、どこにいたのか茶髪の男が無表情でこちらを見ている。あいつ、俺に魔法をっ!?
どういうつもりだと睨みつける前に、胸に強烈な痛みと熱を感じた。視線を下に向けると剣の切っ先が胸を貫いて見えている。じんわりと血が流れ出て服に赤黒い色が染みていく。
それがそこから抜かれて、俺はふらふらとそこを抑えながらごほっと咳き込んだ。
「な……ん、で……」
「なぜ?貴方がそれを言いますかっ!」
「落ち着け×××」
茶髪の男が激昂して殴りかかってくるが、それを金髪の男が止める。それから金髪の男は、此方を見た。ぞっとするほど冷たい視線に体が震える。
「貴方はこの素晴らしい治世を収められた。でも、その為に血を流しすぎた。蹂躙なんて生ぬるい。更地にするために幾度も命を踏みつぶし、根絶やし、真っ白に塗り替えようとした。その結果がこれです。国王陛下、いえ、アズール陛下」
「!」
彼は、淡々とそう言葉を紡ぐ。ぼたぼたっと、傷口から俺の血が止まらない。視界がかすみ、体が冷たい。立っていられずに無様にその血だまりの中に飛び込んだ。
「どうして、どうして……。アズール、なんでこんなこと……っ!」
「アルト、行こう。見つかれば不味い」
「カイル、分かってる、分かってるけど……っ!」
なんだ、さっきまで名前は聞き取れなかったのに急に鮮明に聞こえるようになった。
茶髪の男と金髪の男が去っていく。それを追いかけようと這って手を伸ばすが届かない。
――――これは、何の冗談だ?
「……?」
「国王陛下」
男の声がして、俺の意識が浮上する。ぼんやりとした意識と視界がだんだんクリアになってきて、目の前に紙の束とインク、ペンが机の上に乗っているのを確認した。それからふいっと視線を上に向けると、そこには茶髪の男がいる。彼は俺の顔をのぞき込んで、それからぴんっと額を指で弾いた。
「い……っ!?」
「執務中に居眠りは感心しませんね。昨日も夜更かししたんですか?」
「え……?」
「そういえば、一昨日、×××様の許可もなしに東国の刀というものを買ったそうですね。三本も。かなりの費用を使ったようですが、勿論陛下の私費から使ったんですよね?」
「え、あ、う、うん……」
「それならいいです」
にこりと笑顔を見せたその茶髪の男は茶器とマフィンが乗ったワゴンをこちらに寄せて、机の上のものを素早く端に寄せた。それからそのあいた空間に、紅茶を淹れたティーカップとマフィンの乗った皿を置く。紅茶のいい匂いとマフィンの甘い匂いに誘われて、くうっと小さく俺の腹が鳴った。それを聞いた男がくすっと笑う。
「どうぞ、国王陛下。休憩です」
「あ、ありがとう……」
「いいえ、私は貴方の執事ですから」
そう言ってからそれでは失礼しますっとその男は部屋を出た。俺はそれを呆然として見送りながら、え?っと首を傾げた。
「ここどこ……?」
いまいち、状況が分かっていない。
確認しよう。
先ほどまで俺は王宮に向かっていた。その道中馬が暴れてしまい、それを落ち着かせるために休憩1時間をとってアレクさんお手製の昼食を食べ、俺はふらふらと周りを散歩していた。そうしたら、不自然な水たまりがありその中に飲み込まれて死んだと思ったらここにいる。
前世の走馬灯とでも考えたが、それはあり得ない。
俺は自慢じゃないが、一度たりとも国王陛下に座したことは無い。その前に、勘当されて監禁直行だからだ。だから、これは過去ではない。それに感覚がリアルだし、お菓子も紅茶もおいしい。
となるとこれはあの水たまりが見せている幻影だろうか。俺の願望の現れなのか……?
「ごちそうさまでした」
手を合わせてそう言って、ふむっと顎を抑える。
とりあえず試すことは……。
「ジーク、いる?クラウスかテレシアでもいいんだけど……」
俺は彼らを呼んだ。しかし、反応はない。つまり、彼らとの契約は切れている。
うーん、っと首を捻ってどうしようっと呟いた。彼らがいないことはまあ別にいいのだが、現状知り合いがいない気がする。いや、俺が分からないだけか……?
予想では、先ほどの男は多分、アルトだ。名前は合っているか分からないが、彼である可能性は十分ある。
ただ、名前が分からないから迂闊に声をかけるわけにはいかない。
それから俺が俺であることを悟られるわけにもいかない。もしかしたら、この体は俺ではない可能性もあるのだから。そうなると、茶髪の男がアルト説は完全に崩れてしまうのだが……。
「まあ、どうにかなるっ!」
そんな事よりもぶっちゃけ東国の刀が気になるわ、俺。
皿とカップをワゴンに移動させて、一応紙の束に目を通す。
他国との貿易、罪人の裁判、国費等々の書類だ。
じいっと目を通すだけにしたはずが、いつの間にかそれは仕分けされていた。どういうわけか、俺には分かったらしい。いや、分かって良かったけど。いつどうなるか分からないし、普段と同じことができるのはありがたい。無意識に近いので俺の記憶にはないが。
「これで終わり……?」
んーっと伸びをして、席を立った。そっと窓を覗くと街には光がついている。周りの景色は、見たことのある俺が王子であった頃の国のそれと同じだ。
やっぱり、ここは俺の知っている国なのか……?
「……まあ、いいか」
それよりも東国の刀というやつが気になる!書物ではその存在を見たことはあるが実物を見るのは初めてだ。しかもそれが三本!
一つは素材を調べるために溶かしたり、折ったりするでしょ、もう一本は保存用で最後の一本は試し切り用。うんうん、いいじゃん!分かってんじゃん!
ふんふふーんっとスキップをしながら、扉を開けるとすぐ隣に男がいた。俺はびっくりしてびたーんと扉に張り付いてしまう。
「……?どうかしましたか、国王陛下?」
金髪で腰に剣を携えた男だ。フルプレートまではいかないが、足や腕、胸などに甲冑をつけている。
たぶん、茶髪の男がアルトであったらこれはカイル……かな?
彼は俺の奇行に不思議そうに首を傾げている。俺はだらだらと冷や汗を流しながらんんっと咳払いをした。
「へ、部屋に戻る」
「畏まりました。お供いたします」
思わずそう口をついたが俺は顔を青くする。
待って、部屋わかんない。これは俺が動かないといけない感じだよね!しまったぁっ!
ぴたりと俺は動きを止めつつも目だけで周りを確認する。角部屋じゃないので右か左かを決めなくてはならない。
どくんどくんとその選択に心臓がうるさいくらいに鳴り響く。
ふうっと長く息を吐いて目をつぶり、かっと見開いた。
右!
勢いよく体を右に向けて進みだす。かつかつっと俺の足音と音もなく後ろから男がついてくる。あのような恰好なのに物音ひとつしないとは、音を出さないように訓練されてるのか……?怖いんだけど。暗殺者じゃん。
ちらっと彼の様子を伺うために後ろを向くと、ばっちりと彼と目が合ってしまった。俺は慌てて前を向くが、「陛下」っと彼に呼び止められた。
俺は止まって恐る恐る振り返る。
「な、なに……?」
「陛下の私室は逆側ですがこちらに何かご用事がおありでしょうか?」
彼がそういうのでひゅっとのどが鳴りそうになった。怪しまれていると思うので俺は間が開かないようにすぐにこう答える。
「す、少し気分転換に散歩しようと思っただけ!」
「そうでしたか、失礼致しました」
「あ、いや、うん。俺も言ってなかったのが悪かった。すまないが、付き合ってくれるか」
「勿論です、陛下」
この口調であってますかね?問題ないですか?
一先ずドキドキしながらも私室が逆側であったという情報は聞けた。具体的にどこか分からないけど今はそれでよしとする。
気づかれないようにこっそりため息をつき、前を歩く。散歩といってしまった手前そこそこ時間を使わないと。
廊下を歩き、下に降りて庭園を散策。ついでに面白い草が生えていないかチェック。あ、流石にないか。手入れされてるし。
苦笑しつつ、噴水のところまでやってきて俺はその水の中を覗いた。
「……え?」
そこには、今の俺の顔の面影があった。
いや、まさかそんな。どうして……?これは俺なのか……?でも、過去でこういう出来事は起きていないから……。
「どういう……」
こと。
そう言い切る前に不自然に俺の体が動かなくなった。誰かに拘束魔法を使われている。そう思い対抗しようとしたがそれに重ねて妨害の魔法がかけられた。
――――背後から。
「――――――っ!?」
後ろを向くと、どこにいたのか茶髪の男が無表情でこちらを見ている。あいつ、俺に魔法をっ!?
どういうつもりだと睨みつける前に、胸に強烈な痛みと熱を感じた。視線を下に向けると剣の切っ先が胸を貫いて見えている。じんわりと血が流れ出て服に赤黒い色が染みていく。
それがそこから抜かれて、俺はふらふらとそこを抑えながらごほっと咳き込んだ。
「な……ん、で……」
「なぜ?貴方がそれを言いますかっ!」
「落ち着け×××」
茶髪の男が激昂して殴りかかってくるが、それを金髪の男が止める。それから金髪の男は、此方を見た。ぞっとするほど冷たい視線に体が震える。
「貴方はこの素晴らしい治世を収められた。でも、その為に血を流しすぎた。蹂躙なんて生ぬるい。更地にするために幾度も命を踏みつぶし、根絶やし、真っ白に塗り替えようとした。その結果がこれです。国王陛下、いえ、アズール陛下」
「!」
彼は、淡々とそう言葉を紡ぐ。ぼたぼたっと、傷口から俺の血が止まらない。視界がかすみ、体が冷たい。立っていられずに無様にその血だまりの中に飛び込んだ。
「どうして、どうして……。アズール、なんでこんなこと……っ!」
「アルト、行こう。見つかれば不味い」
「カイル、分かってる、分かってるけど……っ!」
なんだ、さっきまで名前は聞き取れなかったのに急に鮮明に聞こえるようになった。
茶髪の男と金髪の男が去っていく。それを追いかけようと這って手を伸ばすが届かない。
――――これは、何の冗談だ?
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