兄に魔界から追い出されたら祓魔師に食われた

紫鶴

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――――と、そう思ってたのが数時間前。仕事が終わり宿で休んでいると突然召喚陣が足元に現れたのだ。
だから俺はその先を碌に確認もせずに飛び込んだ。お家に帰られるならもう何でもする!という心持だった。
そして、目の前にその祓魔師様がいるのである。

終わった。お兄様、俺死んでそっち帰るわ。
ぺたりと血で描かれたその魔方陣に座り込む。ガクガク震えて見上げるとゆっくりと一歩一歩近づいてきた。

「……っ!!」

恐怖で腰が抜けてずるずるとどうにか距離をとろうと下がるが、次の瞬間足首を捕まれて乱暴に引きずられた。

「い―――っ!!」
「へえ? 上位となると俺の願望通りの姿で現れるんだ」
「!?」

ど、どういうこと!?何言ってるのこの人!?
一瞬そんなことを考えたが、それよりも先に逃げなければと拘束を解こうとしてずどんっと一発俺の頭上に穴が開いた。

「よかったなぁ、その顔で。じゃなけりゃ手元が狂うところだった」
「……っ、ぅ、う……っ」

怖くて勝手に涙があふれる。
こんな、こんなはずじゃ。今頃おうちに帰れていたはずが……っ。
嗚咽が漏れないように必死で口を押さえると男が銃を投げた。それからばさりとコートを脱いで、装備を遠くの方に捨て置く。

え、え?もしかして、逃げるチャンス……?

彼が無防備になっていく姿を見ながら、この部屋からどうにかして逃げなければと出入り口を探そうとして気がついた。

窓がない!

そして唯一の出入り口は目の前の男の背後である。

う、うそ、うそ……。

この男を倒して逃げられるだろうか?
否。
最強の兄二人の加護を持って生まれた悪魔に人を殺す術など持っているはずがない!

し、しぬ、しんだ、しんだ、に、にいさま、にいさまぁ……。

これから起こることに絶望して、ひたすらに兄様に助けを求める。しかし、脳内の兄様はどちらも多分、死んだ方が早いなら自害しろとでもいいそうだ。そんな恐ろしいこと俺にはできませんが!!!

かちゃ、と金具がこすれる音がしてぐいっと顎を捕まれる。

そして目の前に、凶悪なものがあった。

「舐めろ」
「え……?」

男の性器が眼前にある。

なめろ、なめ、え?
一瞬呆けたが、はっとする。これ見たことある!あれだ、フェラ!!
そう確信したが、残念なことに経験がない俺はどうすればいいのかわからない。かといって、無理だといえる立場でもない。

と、とりあえず、口の中に入れればいいのか……?歯を立てないように慎重に口を開きながらそれを口に含む。質量のあるそれはすぐに俺の口の中をいっぱいにした。舌を使ってちゅうちゅう舐めるが自分でこれじゃないという感じがある。なんか、小説でももっとすごかった気が……。先を舐めた方がいいの?手を使う?でも勝手にそんなことしていいのかな……?

そろっと伺うように視線を上に向けるとじっとこちらを見ていたらしい彼と目が合ってしまった。驚いて思いっきりかんでしまうと眉根を寄せる。

や、やば、殺される!!

「ぐ、ぅ……っ!!!!」

しかし次の瞬間、俺の角を捕まれ、乱暴に前後に動かされる。ぐぐっと思いっきり喉奥に入っておえっとえずき、だらだらと飲み込めない唾液がこぼれる。

「ぅ、ん、んんっ!!」

苦しくて頭がぼーっとしてきた。体の中心に何か熱のようなものがたまってくる。それに伴って動きが性急になっていった。何が何だわからず与えられるまま流れに身を任せているとずるっと口からそれが離れ、顔に何かがかかる。

「……っ!」
「これは、やばい……」
「……?」

顔にかかったのは白い粘性のある液体。
愛と欲望シリーズを読んでいる俺にはわかる。これは精液!!いわゆる顔射!

わかった。この人、あまりの性欲に町の人に手を出すことができなくて悪魔を呼んだんだな?ならば俺はどうにかそれに応える!そしておうちに帰るんだ!
小説の中身を思い出しながら、俺は顔にかかった精液を指で拭って舐めてみる。どうだ、こういうのがいいんだろ!ほら!!

そんなことをした次の瞬間、マジで何も考えないで行動するのはいけないことだと学んだ。

ぎらっと男の瞳が光ったと思ったら衣服を剥ぎ取られた。その手腕は目を見張る。そして素早く俺の体をひっくり返したと思ったらべろっと俺のお尻を舐めた。

さすがに血の気が引いたので思いっきり抵抗した。

「ひ、い、いや! いやあっ!!!」
「黙れ」
「……っ!!!」

ぐっと俺の性器が握りつぶされるんじゃないかというぐらい強く力を込められた。びくっと体を震わせて、今更ながらに恐ろしいことをしてしまったと後悔する。

「あ、う、や、あ、ぁ……っ」

待って。確かに交尾にはそこが必要だという話を見た。でも、舐めるとか知らない。
ぐち、ぐちと後ろを舐められる音と、性器をさすられてぐちゃぐちゃにされている音が響く。自分のみにとてつもないことが起こっていると言うことはわかっているが、拒否できる立場ではないのも重々承知。

「ぁ―――っ!?」

舌ではなく、違うものが入ってくる。指だ。何が入ってきたのかこんなにもわかるものなのかとどうにか息を吐きながらそれを受け入れていると、衝撃が走った。

「あ、ひ、ぃ、や、あっあっ!!」
「へー、悪魔にもあるんだ。いいところ」
「っ、ぅ、ああっ!」

勝手に声が漏れる。びくんびくんと体を震わせながらそれをどうにか受け入れていると笑い声が響いた。心底、俺がこんな風に乱れている姿がおかしいとでもいうようだ。鬼畜の所業。祓魔師なんてろくなもんじゃない。

「イ、あ~~~~~っ!!」

情けなく、男の手の中で精液を吐き出した。それでもまだ、このぞわぞわした感じは収まらない。

「どろどろ。悪魔なのにこういうことしないの? ふうん?」

べろっと男が掌に出した俺の精液を舐める。ひえっと思わず声が漏れた。

は、破壊力!確かにこれは興奮する!!
この男と恋人同士でも何でもないのに思わずドキッとしてしまった自分を軽く殴りながら、命大事に!と心の中で繰り返す。無謀なことはしない。この男が満足するまで付き合う。死にたくない。

「そろそろ、いいよな?」

そうですね……。

そしてにこりと笑顔を見せた男はその凶悪な性器を俺に当てる。
だ、大丈夫大丈夫。これが出し入れするだけ。落ち着いて、どうにかこの男の望むことをすればいい。
俺はそろそろと体勢を変えて、自ら膝を持って広げる。
すると男はすぐに俺に襲いかかってきた。
***

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