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番外編

ご褒美

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勉強が嫌いだ。

貧乏だから兄さんしか家庭教師を雇えずに俺にまで回ってこなかったことをこれ幸いだと何も学んでこなかった。

けれど、ヴィという婚約者が出来たら彼は二日に一度は手紙を送ってくるので、その手紙も読めず、字も書くことが出来ずにいる俺に流石に兄さんが字を教えだした。が、兄さんも兄さんで勉強や宿題があるのであまり時間をさける事は出来ずにのらりくらりと躱し、兄さんに手紙の内容を教えてもらい書いてもらっていた。今まではそれで十分だった。兄さんにまたか!っというような顔と勉強しなさいっと小言を貰うが頻度が頻度なので効率を考えて兄さんにやって貰った方が良い。うん。まあ、大体は勉強が嫌いだからだけど。

そんな甘えた考えでいたからか、すぐに緊急事態に陥った。


「今日もヴィから手紙きた……」


俺は使用人から貰った手紙を受け通って封ぐらいは開けた。中身を開けると綺麗な字で書かれた手紙が二枚入っている。また、手紙のほかに王都で人気の服も贈られて、俺はそれを仕舞いながら手紙を眺める。やはり読めない。


「兄さんにてつだってもーらお!」


今日もめんどくさくて嫌なことは後回し。

なので今日も兄さんの部屋に向かう。しかし、兄さんは授業中で扉の向こうから教師の声が聞こえる。これは少し待たないといけないようだ。そう思って俺は手紙を抱えつつ自室に戻ってきて悲鳴を上げた。


「ベルちゃん」
「ヴィ!?な、なんでここに!?」


思わず手に取っていた手紙を背後に隠すときょとんとした表情でヴィが俺を見る。


「ごめん、送った手紙に伺うと書いてあったんだけど手紙届いてなかったかな……?」
「へ!?」


ま、まさかあの手紙にっ!?そう思ったがここで確認するわけにもいかずに目を泳がせながら、「あ、そ、そうだった~」っととぼける。まずい。このままだと読み書きできないことがばれる。

俺がそう言うとヴィはほっとしたような表情をしてそれからあっと手を叩く。


「ベルちゃん。そういえば手紙に……」
「あ!ヴィごめん!ちょっとお手洗いに行ってくるから俺の部屋で待ってて!!」
「え?あ、ベルちゃ……」


俺はダッシュでその場を離れた。この手紙を兄さんに読んでもらうまで帰れない!!

俺はそう思って兄さんの部屋の前で待機した。時間的にそろそろ授業も終わ蟻休憩に入るはず。その時間にササっと呼んでもらえばいい。早く、早く授業終われ早く!!この手紙の内容が分からないとヴィと話が通じない!!

焦りながら俺は一応自分でも手紙の解読を試みるがちんぷんかんぷんだ。まさかこんな事態に陥るとは。今までさぼっていたつけが回ってきた!!ああ!

暫く待っていると先生が部屋を出た俺を見ると軽く頭を下げた後に去っていく俺は慌てて扉をノックすると兄さんが出てきた。


「兄さん手紙読んで!!」
「え?また?字覚えろって言ったよね?」
「こ、今度はちゃんと覚えるから!!今は早く呼んでお願い!!」
「何言ってるの!この手紙は自分で読みなさい!」


兄さんはそんな正論をぶちかます。いつもならはいはいって言うけれど今は時間があまりにも惜しい。


「今は緊急事態なの!ヴィが……っ!!」
「ベルちゃん?」


後ろから声がした。

びくっと体を震わせて恐る恐る振り返ると俺の部屋にいるはずのヴィがそこにいた。兄さんの顔が真っ青になる。俺も同じように青くしながら目を泳がせてヴィを見た。ヴィは少し困った顔をしながら俺に近づいてくる。それからそっと俺の手から手紙を取った。

あああああああああ!!


「読み書きできないの……?」
「ごめんなさい!!」


俺は速攻で謝った。今まで代筆してたのもあわせて謝罪をするとヴィはそっかっと言ってふわっと笑顔を見せる。


「ベルちゃんまで手が回らないんだもんね。仕方ないよ」
「ごめんねヴィ。でもね、内容は俺が考えたものだから!」
「ううん疑ってないよ。でもそうだね。このままだとベルちゃんが困るよね?」


いや、困らない。俺はそう思ったが寸前で飲み込んだ。兄さんが余計なこと言うんじゃねーぞと鋭く俺を睨んでいたからだ。ぶん殴られたら痛い。


「よければ僕が勉強を教えようか?」
「え?」


きょとんとした俺と、兄さんがいえそんな事させられません!!と論争に発展したが、最終的に兄さんが折れ、父と母に話が通じ、ヴィが夏季休業に入った時ヴィの家が所持しているという離島の別荘にお泊り勉強をすることになった。

見送られるとき再三迷惑をかけるなと言われ手土産を一杯もたされたが、こんな貧相なものを持って行って大丈夫だろうか。ヴィと婚約者になってお金に余裕が出来たとはいえ、だ。まあ、ヴィはそんな事を気にするような人物ではないが。


「あ、ベルちゃんこんなにたくさん手土産持って来てくれたの?ありがとう」
「うん。兄さんや父さん母さんが持って行って」
「そうなんだ。ちょっと待ってね離島に行く前に近くの町でお礼のお手紙書いてくるから」
「うん」


領地から王都、そして離島に向かうために海岸方面に馬車で移動している最中に最後の町でヴィが家族に手紙を書きに向かった。俺も同じように隣でヴィの字を見つめるがただの記号にしか見えない。
どうせ習っても意味ないだろうと思っていたが……。あ。


「ゔぃ……あ、ん……?」
「! 僕の名前は分かるの?」
「あってた?最後にいつも書いてるから名前かな?って思ったの」
「うん!そうだよ」


ヴィが嬉しそうな顔をする。なんでだ?名前ぐらいで。


「じゃあ、あっちに行ったら最初に僕の名前を書けるようにしようか?」
「うん。俺の文字多いし。ヴィくらいがちょうどいい」


俺の名前無駄に多いからな。そう思いながらヴィは手紙を出していき、俺の手を引いて海に向かう。既に公爵所有の舟が準備されてそれに乗り込んだ。

普段ならば漁船が出ていると聞いたが今日は見当たらない。

海は静かで波も穏やか。今日は休みなのだろうか。俺は岸に並べられ紐で繋がれた舟を見ると「ベルちゃん」っとヴィに抱き上げらて舟の中の椅子に座らされた。


「あと少しでつくからね。ごめんね?使用人もつれてこれたら良かったんだけど……」
「大丈夫」


ヴィが言うには皆忙しいそうだ。俺のところの使用人もぎりぎりで屋敷をまわしているので俺に避けられる人員はいない。

なので、ヴィと俺だけがここにいる。後は舟を動かしてくれるひと。ヴィは少しその操縦士と話をしてから戻ってきた。


「舟に乗るのは初めて?具合悪くしたらすぐに言ってね?」
「うん」


そうして、俺は初めての船で幸いにも酔うことなく離島についた。綺麗な別荘、綺麗な砂浜。いかにも金持ちが持っていそうな場所だ。船は俺たちを置いて戻っていく。完全に二人きりである。


「じゃあベルちゃん。一旦別荘に行こうか」
「うん」


さっきから返事しかしてないなと思いながら、俺はヴィに荷物を持ってもらいつつ別荘内に入って行った。




―――ただ、そう。自分でも思っているほど勉強に対して苦手意識があったので俺はすぐに根をあげてどう逃げてしまおうかと考える日々を過ごした。

最初は、見たことない場所だから外で遊びたい、お腹すいたなどを言うとヴィは快くじゃあ遊ぼう、ご飯にしようなんて言ってくれた。でも後半になるとそれでは続かない。だから幾度となく仮病を使った。多分バレてる。けれどヴィはイラつくこともなくにこやかになら仕方ないねっと言ってくれた。

そして、多分、一〇日ほどはそれで凌いだ。


「ねえ、ベルちゃん」
「うん」


朝ご飯の時にヴィが俺の髪を櫛で梳かしながら呼びかけてきたので返事をする。ふわあっと欠伸をするとヴィが顔を覗いてきた。あっとひらっきぱなしの口でヴィを見ると彼はふわっと笑顔を見せる。


「今日は出来たらご褒美上げようと思うんだけど、勉強しない?」
「う……」


流石にこうも逃げ続けるのはよくない。良くないと思うが嫌なものは嫌だ。だが、ご褒美があるなら話は別である。少しぐらいはやってもいいかな?という気分にはなる。
多分、お菓子か何かだと思うが。


「分かった。あの、今まで……」


そう言って謝ろうとしたがすっとヴィの指が唇に触れる。それは俺の謝罪を必要としていないということであると分かった。だから俺は何も言うことなくぱくりとクロワッサンを食べる。
そして、リビングのソファに座りながら勉強が始まった。
一日目に習った簡単な文字を覚えて子供向けの絵本を読むものだった。勉強嫌いの俺でもすべて読むことが出来た。手心を加えられていることがひしひしと感じたがご褒美が貰えることに悪い気はしない。


「よくできたね、ベルちゃん。じゃあご褒美上げようか」
「うん!なにくれるの?」
「お義兄さんたちには内緒ね?」
「? うん」


俺はそう言いながらヴィを見上げるとヴィがとんっと俺の肩を押してソファに押し倒した。俺はきょとんとしてヴィを見ると眼前に彼の顔が広がって唇に柔らかいものが触れた。それから俺の唇を割って温かいものが入ってくる。


「んっ、ふぅ、んっ!?」


あぐあぐ、とまるで食べ物を食べるかのように彼の口が動いて、俺の耳を手で覆って塞ぐ。ぐちゅっと俺の口の中でヴィの舌が蹂躙して唾液が分泌され直接脳にその音が響くような感覚を覚える。ふ、ふぅ、と苦しくなってきて呼吸が苦しくなってきた。頭がぼんやりとしてきた。


「はぁ……」


ヴィがなまめかしく息を吐く。余裕がない俺は胸を上下させながら酸素を取り込むために喘ぐようにして呼吸をする。するとヴィは少し笑って俺の唇を指で拭った。それから俺の頬を撫でながらもう片方の手で俺のズボンのベルトを緩めてボタンを解く。
そのまま中に手が滑りこんで俺のおしっこが出るそれに触れる。


「ひっ!な、なにするの!?」
「ご褒美だよ?」
「きたな……ふぁっ!」


ゆっくりとヴぃがそこを指で撫でられると感じたことのない何かが這いあがってくる。下腹部、その触れている場所からぞくぞくと体が震える。


「あ、んっ」


変な声が漏れて慌てて口を押えようとしたが、がっとヴィが俺の両手首を片手で纏めて上の方に拘束する。


「あっ、あっ、ひ、ぅ……っ!」


言いようのないその感覚をどうにか逃がしたくてのけぞってぴんっと足に力を入れて伸ばす。すると、ヴィがするっとズボンをおろした。少し肌寒く感じたが、それを思う暇もなく激しくそこをぐちゃぐちゃと摩り始めた。


「や、やだ、ゔぃ、ゔぃ……っ!!」


自分のそれから何かぬるりとしたおしっことは別のものが溢れてくる。俺の排泄物であろうものでヴィの綺麗な手が汚れていく。けれど、うまく力が入らないので抵抗という抵抗が出来ない。弱弱しく彼の名前を呼ぶと溜まっていく唾液が口端から漏れる。

―――と、一層強く脳天から何かが降ってきた。


「あ、ふ、あぁっ?」


びくびくびくっと体全体が震えてかくかくと腰がひとりでに動く。
なんだこれ。なにが起こった?
呆然と処理できずに惚けていると、ヴィが両手の拘束を解いた。それから俺を見てふわりと笑う。


「怖くなかった?大丈夫?」


怖い?
いや、怖い事ではなかった。終わった今は少し物足りなく感じるほどだ。


「気持ち良かった?」
「きもち、いい……?」
「うん」


気持ちいい。そうか、さっきまでの感覚は気持ちいい、ということだ。ドクンドクンと心臓がうるさく鳴っており、ぎゅううっとそれをおさめるためにも胸元を握り締めるとヴィが頭を撫でてくる。先ほどの汚れている方の手ではないが、あの手が俺を気持ちよくしたのだと考えたらまた心臓が早くなった。そして触れられていたあの場所が熱くなる。


「気持ちいいの、もっとしたい」
「じゃあ勉強頑張ろう?」
「う、ん……」


ああそうか。ご褒美じゃないと貰えないのか。
名残惜し気に少しだけ太ももをこすり合わせるとヴィがそっとそこに触れた。


「……っ!」
「でも、今日はもう頑張ったからもうちょっと気持ちいいことしようか?」
「い、いいの……?」
「うん。明日から頑張ろう?」
「うん!」


ヴィはそう言って次は俺のそれを咥えた。温かい口の中で先ほどのとは比べ物にならないくらい気持ちいいのが押し寄せてくる。舐められて吸われてまるで飴でも舐めているようだ。


「あ、あっ!う、ふっ!!」


手放しにまだだらしなく声をあげるのは恥ずかしい。ぐっと唇を噛んんで耐えると、急に気持ちいいが止んだ。


「……?」
「ベルちゃん。声は我慢しなくていいんだよ?」
「で、も……」
「声出すとね、もっと気持ちよくなれるよ?」
「そ、う、なの……?」
「うんそうだよ。疑うなら気持ち良かったら気持ちいいって言ってみて?」


ヴィがそう言って今度は手で刺激を与え始めた。
気持ちいい、気持ちいい!!


「あ、ふ……っ」
「ん?」
「き、もち、いい……っ」


ヴィに言われた通りそう言うと、ぞわぞわともっと気持ちよくなってきた。只声に出しただけなのに。
はっはっと短く呼吸をしながらヴィに縋りつくとヴィはふっと耳に息を吹きかける。


「あっ、ああ、もっと、んっ、もっとぉ……」
「もっとどうしてほしいの?」
「おしっこするところを気持ち良くしてほしいぃ……っ!」
「え……?何その言葉可愛いんだけど」


瞬間先の方を強く指の腹で摩られた。その刺激に体をのけぞらせる。


「んひっ!!あ、つよぉく、ぐちゅぐちゅしないで、んっ、あっ、き、気持ちいい、きもちいいっ!!」
「ここおしっこするところって言ってるの?」
「うん、うんっ!」


そう言ったヴィがおしっこが出る穴に軽く爪で弾かれて声をあげる。


「おしっこするところ、どんな風にされてる?」
「あ、あ……っ!」
「ベルちゃん?」


ヴィがそう言って続きを促してくる。
声に出すことがもっと気持ちよくなれる事を先ほど実感したばかりなので俺の口からは素直に恥ずかしい言葉が滑る。


「お、おしっこ出る穴にヴィのゆび、でさすられて……んあっ!あっ、あっ、気持ちいい!!」
「それだけ?」
「あ、あ、ぜ、ぜんたい、が、ゔぃの、てにつつまれてて、気持ちよくて、んっんっ、はあっ、あっ!あっ!!きもちいい、きもちいいのきちゃう、んっ、うっ!」


ああ、気持ちいい!!
かつてこんな思いをしたことがあっただろうか。いや、ない。ここがこんなに気持ちいいところだったなんて知らなかった。


「あっあっ、ゔぃ、もっと、もっとぉ……」
「うん、もっとあげる。だから明日から勉強頑張ろうね?」
「うん。がんばるっ!!がんばるからぁっ!!」




俺はその離島での授業を真面目に受けた。

ご褒美が欲しくて。
そう、はまった。
完全にはまってはいけないものに俺は、はまった。
字すら読めず同年代の友達もいない、俺にとって家族とヴィが世界のすべてだった。
勉強も出来ずに狩りに行くのが趣味の俺にとっては衝撃だった。だからだろう、こんなにもはまってしまったのは。

何よりこらえ性がないからすぐに快楽を求める体になった。

―――欲しい、欲しい。気持ちいい事をしないと夜もうまく眠れない。ドキドキして下腹部に熱が集まって自分でおしっこ……じゃない、おちんちんを弄って気持ちよくならないと頭がふわふわする。


「あ、手紙……」


字が読めるようになってかけるようになったのでヴィからの手紙は自分で書くようになった。それで、ヴィに言われた。
自分で気持ちなる行為はオナニーを言って婚約者に何回気持ちよくなったかを報告しないといけないのだと。
その回数は手紙の一番右下に書かれており、ヴィの二日おきに来る手紙にも数字が書かれている。

「3」と書かれており圧倒的に俺よりも少ない。大人になるとそんなものなのだろうか。
ぼーっとそんな事を思いながら今もオナニーをしている。


「んっ、あ、はっ、んっんっ!!」


ソファの上で足を広げてズボンを脱いだ状態でおちんちんを弄った。あの時のヴィの手を想像しながら触るととても気持ちがいい。兄さんたちには内緒だと言ったので誰にも言っていない。
ああ、すごい。気持ち良い。気持ちいい!!


「はぁ、ヴィ、ヴィ……っ、ん、気持ちいい、あ、気持ちいいよ……もっと欲しい……っ!」


そして、俺はそう言葉にしながら気持ちいい、を貪った。







親愛なるヴィへ

最近、父さんが買ってきた王都で人気の絵本を読みました。ヴィが字を教えてくれたから全部ひとりで読むことが出来ました。俺が絵本を全部読むと、父さんはむせび泣いて今度は、勉強の教材を買ってくると言ってきました。少しずつですが、算術や歴史書を読むようになって勉強をしています。
だから次に会ったら、ご褒美が欲しいです。早くヴィに会いたいです。次の休みを楽しみにいい子で待ってます。
ベルより
                                                                                                     7
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