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53、本性
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「困りましたね」
「困ったどころじゃない。なんだあれは」
雪那の言った通りだ。
あれは何。え?俺達でどうにか出来るの?
これは早急に妖の都に帰らなければまずいのでは?
そんな事を考えて俺は不安になっていたが御館様はちがった。
「箱を壊されてしまいました。これでは帰れません」
「え?」
「は?」
俺と雪那の声がハモった。
いや、え?今なんて言った……?
「あれは後でどうにでもなる!現状はあのデカブツだろうが!!」
全くその通りだが、口の利き方に気をつけたまえよ?御館様だぞ?俺たち妖の頂点だぞ?
とは思いつつ御館様を伺うと彼は何を言っているのかわからないとでも言うようにあの黒くて大きいそれを見て首を傾げる。
「あれがなにか?」
「本気で言ってんの?」
「よく分かりません」
「……」
雪那は俺を見た。悪いが俺も同じ気持ちだ。
御館様にとってはどうでもいいことなのだろうか。まあ、確かに、人の都が危機であるだけで妖の都には被害がないはずなのだからその反応は正しいのだろう。多分。
ぎゅるるるるる~。
不意にお腹が鳴った。俺のお腹が鳴ったのだろうかと焦ったが違かった。
「あれ見てたら益々お腹が減りました」
「お、御館様……」
ま、まあ?非常時でも空く時は空くよね!!うん、仕方ない!!
「呆れた。妖っていうのはのんきな奴らばっかりなんだな」
「誰だってあんなに美味しそうな食べ物を見ればお腹がすきますよ。空腹なら尚更」
そう言った御館様が俺を両手で掴んで持ち上げた。体勢的にお尻を御館様の顔に向けている状態だ。
え?何この状況、と考える前にべろっとおしりの穴を舐められた。
「ひっ!? やぁっ!!」
「!?」
「んー、美味しい」
「あっ!んぅっ!!」
ずるっとそのまま狭いそこをこじ開けるように舌が入ってきてびくっと震える。
な、なに!?俺今何されてるの!?え!?おしり舐められてるの!!??
パニック状態で固まっているとぶんっと刀が真横を通った。御館様が俺の中から舌を抜いてひょいっと軽く避ける。
抜かれる瞬間もぞわっと背筋が震えて情けない声を出しながら我に返った。
「死ね!!」
「? きちんと本人の許可を得ましたが?」
「騙したんだろう!俺の弟は俺としかさせない!!」
「あー、血を薄めないために近親相姦は普通でしたか、あの時代は。そのまま生きてれば夫婦……。残念でしたね?」
「今も夫婦になるんだ!!」
「何言ってるんですかね?琥珀は私のお嫁さんです」
「俺の妻だ!」
「俺はまだ誰のお嫁さんにも妻にもなってません!!」
おかしな言い争いに発展したのでそう言った。2人はお互い睨み合いつつもにっこりと俺に笑顔を見せる。
今は御館様のその笑顔も怖いです。ええ。
「今はあれをどうにかするのがさきだとおもいます」
おしり舐めなれたのはスルーします。突っ込んだらまずいことになりそうなので。俺がそう言うと雪那が同調してうなずいたが、御館様は何かを思いついたようできらっと瞳を輝かせる。
「あれ、貰っていいんですか?」
「も、貰う?のは、分かりませんがどうにかして下さるなら嬉しいです」
「分かりました!では琥珀。お願いします」
…………え?え、ちょっと待って下さい御館様?あの、俺どこに連れてかれ……ま、待って!いや本当に待って!!??
「何してるんだ!?やめろ!!」
「た、助けて!!お、御館様!やめてください!いや!離して!!やだぁ!!」
御館様は、俺を地面に広がり始めた黒い液体の上に落とそうとするかのように移動させる。雪那がそう叫ぶが下手に飛びついて落としてしまうのを危惧してか距離をつめるだけである。
あの中に落とされるのではないかと、恐怖が体を震わせる。そして何故だか、この妖は俺を落とすと確信がもてた。
「大丈夫ですよ、琥珀。なんども同じことをしてるじゃないですか」
「ひ……っ!」
「まぁ、前の話ですけど。今回も同じことが出来るようで私はとても嬉しいです。あの鏡、非常食にと思って貰っておきましたが、その証明になるなんて夢にも思いませんでした。私たちきっと運命なんですね」
雪哉。
御館様がそう囁いた。人である雪那には吐息にしか聞こえないほど小さな声だ。
その名前を聞いた瞬間電撃が走ったように体が動かなくなった。当たり前だ。だってそれは俺の本当の名前だから。
なんで知ってるの。教えたことなんてないのに。
そんな疑問をもった束の間、手が離された。ゆっくりと自分の体が落下していき、よく御館様の表情が見れた。
舌なめずりをして愉快そうにただ笑っていた。
「困ったどころじゃない。なんだあれは」
雪那の言った通りだ。
あれは何。え?俺達でどうにか出来るの?
これは早急に妖の都に帰らなければまずいのでは?
そんな事を考えて俺は不安になっていたが御館様はちがった。
「箱を壊されてしまいました。これでは帰れません」
「え?」
「は?」
俺と雪那の声がハモった。
いや、え?今なんて言った……?
「あれは後でどうにでもなる!現状はあのデカブツだろうが!!」
全くその通りだが、口の利き方に気をつけたまえよ?御館様だぞ?俺たち妖の頂点だぞ?
とは思いつつ御館様を伺うと彼は何を言っているのかわからないとでも言うようにあの黒くて大きいそれを見て首を傾げる。
「あれがなにか?」
「本気で言ってんの?」
「よく分かりません」
「……」
雪那は俺を見た。悪いが俺も同じ気持ちだ。
御館様にとってはどうでもいいことなのだろうか。まあ、確かに、人の都が危機であるだけで妖の都には被害がないはずなのだからその反応は正しいのだろう。多分。
ぎゅるるるるる~。
不意にお腹が鳴った。俺のお腹が鳴ったのだろうかと焦ったが違かった。
「あれ見てたら益々お腹が減りました」
「お、御館様……」
ま、まあ?非常時でも空く時は空くよね!!うん、仕方ない!!
「呆れた。妖っていうのはのんきな奴らばっかりなんだな」
「誰だってあんなに美味しそうな食べ物を見ればお腹がすきますよ。空腹なら尚更」
そう言った御館様が俺を両手で掴んで持ち上げた。体勢的にお尻を御館様の顔に向けている状態だ。
え?何この状況、と考える前にべろっとおしりの穴を舐められた。
「ひっ!? やぁっ!!」
「!?」
「んー、美味しい」
「あっ!んぅっ!!」
ずるっとそのまま狭いそこをこじ開けるように舌が入ってきてびくっと震える。
な、なに!?俺今何されてるの!?え!?おしり舐められてるの!!??
パニック状態で固まっているとぶんっと刀が真横を通った。御館様が俺の中から舌を抜いてひょいっと軽く避ける。
抜かれる瞬間もぞわっと背筋が震えて情けない声を出しながら我に返った。
「死ね!!」
「? きちんと本人の許可を得ましたが?」
「騙したんだろう!俺の弟は俺としかさせない!!」
「あー、血を薄めないために近親相姦は普通でしたか、あの時代は。そのまま生きてれば夫婦……。残念でしたね?」
「今も夫婦になるんだ!!」
「何言ってるんですかね?琥珀は私のお嫁さんです」
「俺の妻だ!」
「俺はまだ誰のお嫁さんにも妻にもなってません!!」
おかしな言い争いに発展したのでそう言った。2人はお互い睨み合いつつもにっこりと俺に笑顔を見せる。
今は御館様のその笑顔も怖いです。ええ。
「今はあれをどうにかするのがさきだとおもいます」
おしり舐めなれたのはスルーします。突っ込んだらまずいことになりそうなので。俺がそう言うと雪那が同調してうなずいたが、御館様は何かを思いついたようできらっと瞳を輝かせる。
「あれ、貰っていいんですか?」
「も、貰う?のは、分かりませんがどうにかして下さるなら嬉しいです」
「分かりました!では琥珀。お願いします」
…………え?え、ちょっと待って下さい御館様?あの、俺どこに連れてかれ……ま、待って!いや本当に待って!!??
「何してるんだ!?やめろ!!」
「た、助けて!!お、御館様!やめてください!いや!離して!!やだぁ!!」
御館様は、俺を地面に広がり始めた黒い液体の上に落とそうとするかのように移動させる。雪那がそう叫ぶが下手に飛びついて落としてしまうのを危惧してか距離をつめるだけである。
あの中に落とされるのではないかと、恐怖が体を震わせる。そして何故だか、この妖は俺を落とすと確信がもてた。
「大丈夫ですよ、琥珀。なんども同じことをしてるじゃないですか」
「ひ……っ!」
「まぁ、前の話ですけど。今回も同じことが出来るようで私はとても嬉しいです。あの鏡、非常食にと思って貰っておきましたが、その証明になるなんて夢にも思いませんでした。私たちきっと運命なんですね」
雪哉。
御館様がそう囁いた。人である雪那には吐息にしか聞こえないほど小さな声だ。
その名前を聞いた瞬間電撃が走ったように体が動かなくなった。当たり前だ。だってそれは俺の本当の名前だから。
なんで知ってるの。教えたことなんてないのに。
そんな疑問をもった束の間、手が離された。ゆっくりと自分の体が落下していき、よく御館様の表情が見れた。
舌なめずりをして愉快そうにただ笑っていた。
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