狐の嫁入り〜推しキャラの嫁が来たので、全力でくっつけようと思う〜

紫鶴

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47、嘘じゃん!?

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嘘じゃん。

「君天才か……?」
「え?」
「天才だわ!!」

100枚用意した紙は10枚も消費することなく次のステップに進んだ。その次は5枚以下、そして今たった一枚の紙でもうみんなと同じ術が使えるようになった。

思わず君彦君の頭をわしゃわしゃとかき回すと君彦君は少し戸惑いながら笑顔になる。
うんうん、まさかこんな早くに習得するとは思わなかったよ~。一か月はかかると思った!
君春君にばれて早三日。君彦君は完全無欠陰陽師になった!並行して雪那の情報を君春君に集めて貰っている。
大概の術を扱え、隙が無い。何よりいつも持っている箱が謎すぎるらしい。

箱と言えば、鳩羽も同じものを持っていたが……。いや、鳩羽のことは良い。

何か弱点とか弱みがあったらいいのだけれど何もないようだ。それに彼の使役している妖というのも知りたい。俺が抑えられればいいが、赤とかの上位系の妖だったらちょっと困る。
むむぅ、と口をへの字に曲げて今日も新しい情報が手に入ると希望的観測を持ちつつ君彦君の膝の上でブラッシングしてもらっている。

甘んじてそれを受け入れているとばちっと空間に電撃が走った。

「ひっ!?」
「伏せて!」

この空間を守っている彼の術を支えていたあの折り紙が燃えて消えた。ぐるるるるっと喉を鳴らして威嚇しつつ周りの索敵をして、えっ、と声が漏れた。

「こんにちは」
「お、御館様!?」

窓にいたのは御館様だった。いつもの布のマスクではなく何かカッコイイ昔の武士がつけてた仮面みたいな奴をつけている。

ひえー!お似合いです!!

思わず手を合わせて拝んでしまう。
そんな奇行をしている俺に御館様はにっこりと笑顔を見せる。

「はい。すみません。何か壊しちゃったみたいですが……上がっても?」
「あ、えっと、君彦君。俺の大事な妖なんだけど……」

流石に家主の断りなく上がるのはまずいだろう。
そう思って彼を見ると彼はぶるぶる震えながら俺をぎゅうと抱きしめてこくんと小さくうなずいた。
良いみたいだ!

「どうぞ、御館様!」
「ありがとうございます」

窓からひょいっと入ってきた御館様に、ひっとまたしても悲鳴を上げた君彦君が慌てて折り紙を折るとそれが小さな亀、鳥、龍、虎になって勝手に四隅に歩いていき定位置についたら折り紙に代わった。すっげぇ……。

「おや、これはすごいですねぇ」
「ですよね!」

俺もそう思います!!そう言うとひょいっと御館様が君彦君から俺を抱える。
あっと、君彦君が声をあげるが御館様がそっと彼の手を取った。そしてばたんっと気絶してしまった。
ええ!?

「大丈夫です。寝れば治りますよ」
「あ、そうで……」

狐姿だったはずの俺がいつの間にか人型に戻っていた。
つまり、裸で御館様の膝の上に乗っている。

「えっ!?」

慌ててまた狐になろうとするがその前に首をなぞられて顎を掴まれる。そのまま上を向かされてキスされた。いつの間にか御館様のマスクは床に落ちているので柔らかい唇が俺の口を覆う。
びくっとこの状況についていけない俺が体を固まらせるとするっと口の中に御館様の長い舌が入ってくる。

「はっ、ぁ……っ!」

唇が離れてごくんっと思わず唾液を飲み込むと、御館様が俺に覆いかぶさった。するすると俺の肌を御館様の綺麗な手が這う。

え、え!!?

「お、おやかたしゃま……」

びっくりしすぎて口が回らない。
しゃまってなに!!恥ずかしいんだけど!?
ぐっと唇を噛んで羞恥に悶えると、御館様がくすくすと笑った。

「どうしました?」
「ど、どう……っ!?」

御館様は気にすることなく、もう一度顔を近づけてきたので慌てて手で押さえた。

「あ、あの、あの、えーっと!!」

何がどうなっているのか分からずに言葉がうまく出ない。べろっと掌を舐められて思わず手を離そうとしたが、御館様の目が完全に獲物を狙う獰猛な瞳だったのでそうしたら最後まずいことになりそうな予感がしてできない。
何がどうしてこうなってるんだ!?なんで俺がこんなBL展開に……っ!いや、主人公だからラッキースケベ的な感じでイベント発生したわけか!?こ、こういう時こそ冷静に!冷静に……っ!!
べろっと掌を舐められ、御館様の手が俺の胸に触れる。

「ぅ、ひっ!や、やめ、お、御館様っ!!」

どうすれば!どうすれば!?
胸の飾りを撫でられ指で弾かれる。変な声が出ないようにぎゅっと唇を噛むと、御館様が器用に俺の足を開き、間に膝が入ってそれが上がっていく。

ひぃ!

思わず膝が上に上がらないように口から手を離して抑えてしまう。

「お、御館様! 御召し物が汚れ……っ!」

今汚した!!汚したけど、これ離したら大変なことになる!!
御館様を涙目で見上げる。

「かわいい……」
「お、御館様ぁ……」
「いいですよね?」

やめて欲しくてそう呼ぶがにっこにこの笑顔である。

う、嘘じゃん。こ、このまま食べられちゃう!?い、いや別に死ぬほどいやだってわけじゃないけど、で、でも俺的には黒とくっついてほしいというか、まだ俺達ってそんな関係じゃないし、セフレなんていう大人な関係になったら黒の申し訳なさに死にたくなりそうっていうかぁっ!!

そんな事を考えている内に御館様の顔が近づいてキスされた。その瞬間、意識が飛んだ。
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