狐の嫁入り〜推しキャラの嫁が来たので、全力でくっつけようと思う〜

紫鶴

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39、うぃーあーふれんず!!

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君春くんがそういうので俺が同意の意味も込めてうなずいた。すると、君春くんはすっと俺の前に正座をする。俺もつられて正座をした。
君春くんはそして、緊張しているのか一度深呼吸をしてから俺を見据える。そして、かなり大きな声で叫んだ。

「花嫁探しっていうBLゲームを御存じですか!!」

うん。
て、え!?
普通にうなずいた。お互いに驚きの表情でそれから手を取り合った。

「まじかあああああっ!!同じ人いて良かったああああああっ!!」

俺も声でないけど出てたら叫んでた。
いええええい!俺たち友だち!!って。
それから抱きしめ合って、君春くんは泣いていた。大丈夫か。そんなに辛かったんか。でも確かに前のところより生活水準低いから大変だっただろうね。俺は、チート能力と、黒が来るまで思い出してなかったからそこまで大変じゃなかったよ。

「まだ生きててよかったああああ!!」

そう思ってたけど違うようだ。殺さないで俺のこと。
えぐえぐ、ひっくひっくと君春くんが死ぬほど泣くのでよしよしっと慰めながらいつの間にか膝枕してた。男の膝枕嬉しいかい?固くない?

「でも、本当、ここまで生きてるのに納得です」

え?なんで?まだ黒誰とも恋に落ちてないよ?だから俺まだ死ぬ時期ではないと思うけど……。
首をかしげると、君春くんがとんでもないことを言いだした。

「アプリ版でエイプリルフールの一日だけ開催された琥珀くんが主人公の死にゲー世界だと確信したので本当、生きててよかった!!」

知らないんだけど!?まってそれは知らないんだけど!?君春くん!説明プリーズ!!
ばしばしと泣いている彼の肩を叩き、慌てて掌に知らないんだけどなにそれっと書く。すると君春くんが一瞬固まってマジですか!?っと叫んだ。

「ど、どうやって生きてきたんですかそれで!?ていうか、自分のことなんだから本編とは違うって気づくでしょ!?」
「そのエイプリルフールをみるまえにしんだからわかんないよ!!」

俺はそう抗議したが、君春くんは俺の為に早口で説明してくれた。

「全員好感度マックスから始まり、中途バット、所謂即死選択肢とハッピーエンドの究極の二択しかできないっていう伝説のやつですよ!!アプリ版なのでハッピーエンドを見るには課金必須!一日だけなので攻略班も間に合わずにハッピーエンドに誰一人もたどり着けなかったやつですよ!あまりの人気ぶりにサーバーも落ちちゃってシナリオライターがこんなに琥珀が人気だと思わなかった……。ただ、琥珀を痛い目に遭わせるだけのお遊び企画だったので、難易度は鬼畜となっております。攻略ヒントを出しますので良ければハッピーエンドを目指して下さい。とシナリオライターもびっくりの予想外の結末に再来年には製品版として発売されるという情報も出回ってたあの!伝説の!エイプリルフール事件です!!」

熱弁されたが知らないよそんなの!?てか、原作者が攻略ヒント出したのにハッピーエンドに誰もたどり着けなかったってどういうこと!?
俺の表情で何が言いたいのか分かったのか君春くんはゆっくりとうなずく。

「是の大きな落とし穴はハッピーエンドがひとつじゃないんです。今までの登場人物別にエンドがたくさんあるんです!攻略者だけじゃないですよ!?基本あなたに好意的な登場人物全員です!!製作者暇なの!?ってその時は思って分岐がありすぎて間に合わなかったんです」

それ、やばくね?何で、琥珀で頑張ったの?

「シナリオライター曰く、ハッピーエンドが多いほどバッドエンドを生み出しやすかったので多くなりました、ということらしいです」

おかしいよね!?
黒にはそんなにバッドエンドなかったのに!!おかしいよね!俺を虐めてそんなに楽しい!?
空いた口が塞がらないとはまさにこういう事でぽかんとその話を聞いて放心状態になった。
いや、確かに今思えばおかしかった。
特に御館様。
キャラクターの設定上ほとんどの妖に無関心であったはずなのに、何かと俺に気にかけてくれるし。だからあんまりグレないで済んだんだけど……。
そこではっとした。
そうか!!俺グレてない!!
俺の性格がねじ曲がっていないのだ!!

琥珀は一言でいえば陰湿でねちっこい。
された事はいつまでたっても忘れないし、相手にした恩も同じように忘れない。さりげなく、あの時俺助けたよね?とかあの時されたあれ痛かったなぁなんて言葉を要所要所でいう。それで相手がごめんね?とか気まずそうにすると、あ、ううん良いの良いの。仕方ないよね?俺が勝手にやったことだし、責任感じることは無いよ?とわざわざ言わなくったっていいのにそんな事を言うのだ。
だから琥珀嫌ってる人は多かった。当初は俺もだ。でも、彼の事を知ると悲しすぎる……。性格歪むのも分かる。寧ろこれで済んだのが不思議。そりゃ、ああなるよ。と同情してどっかの人気投票で一位を取った。
一位コメは確か、「え?俺に投票?物好きすぎる……。本編やったの?やって俺?……へー、ありがとう。俺なんかで君を幸せにできるか分からないけど最善は尽くすよ」ていうのだった気がする!
……あれ?琥珀の何に皆同情したんだっけ。えーっと……。

「ストップ!!それ死亡フラグ!!!!!」

思い出そうとして膝の上で泣いていた君春君が顔をあげた。
ビックリしたー。

「ごめん!俺がぼーっとしてた!ゲームの琥珀のことを思い出そうとするとそれは死亡フラグに直結する!!」

え!?

「色々と死亡フラグがあるんだけど、琥珀のことを思い出すのはだめ!前世の事は忘れて!ゲームのことも!!じゃないと死んじゃう!」

ど、どどっどういうこと!?
死んじゃうの!?琥珀のこと思い出すと死んじゃうの!?

「あのね、このゲーム結構俺たちの王道を塗りつぶしていくの。例えば、若葉と織部が入れ替わってるのは分かるよね?王道的に言えば見分けて俺たち双子で見分けられたことないのに!みたいな展開がテンプレだと思うじゃん?見分けたら目玉えぐられるから」

ふぁっ!?

「見えなくなって、閉じ込められて、若葉か織部か分からない二人の声しか聞こえなくて、耐え切れずに狂って死ぬ」

ファ――――っ!!!???
な、ななななんですとぉーーーっ!?今まで二人に、知られると恥ずかしいだろうなって思って声かけなかったのは正解だったあああああああっ!!

「あと、赤を見かけたら挨拶。挨拶しなかったらもう帰りは鬼の区画で拷問されます。死にます」

嘘おおおおおっ!?で、でも赤は目立つから気づかないって時はないよ?

「だって、相手の後姿見たら声かける!?忙しそうだなって思わない!?」

確かにそうだけどじいいって見てたら気づいてくれるから気にしたことなかった。お疲れ様!って声かけて少しおしゃべりして別れるし……。

「あと、ここに至るまで九条の屋敷で蜘蛛の子が縋り付いてこなかった?あれ、庇うと九条に良いように扱われてポイされる」
「!?」
「鳩羽の持ってる箱は?動いてると思ってずっと箱見ると帰りにその中に入れられる」
「!!??」
「黒橡と檳榔が話しているところに割って入ると、良いところに連れて行ってあげると空中で落とされる」

こ、こえええええっ!!
そしてそれ全部通ってる!!
頭を抱える。そりゃ、良く生きてたなって言いたくなるわ!俺も言いたい!良く生きてたね俺!!
事の重大さに気付いた。
即死に直結なのがやばすぎる。俺に何の恨みが!?

「それで、ここからが問題です琥珀さん」

うん、と俺は頷いた。

「ぶっちゃけ、ここからは未プレイなので何が何だかわかりません!!」

な、なんだってー!と驚いて見せる。

君春君は申し訳なさそうにしているが、大丈夫予想の範疇。というか、今までの情報だけでも感謝するよ。ええ、とても!
頭を撫でて気にしてないっと首を振る。優しい!っとまたしても泣き出すので彼をよしよしっと慰めた。
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