狐の嫁入り〜推しキャラの嫁が来たので、全力でくっつけようと思う〜

紫鶴

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35、第一部隊隊長、蘆屋です!

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一先ず、黒の様子を見に行った。すすっと小さく襖を開けると横になっていた黒と目が合った。

「琥珀!?」

そして布団から起き上がった黒は慌てて俺のところに駆け寄った。そんな彼に俺がぎょっとして同じように距離を詰める。
君腹斬られたんだから安静にしてて!?

「良かった!無事だったんだね!こっちに来てたんだ!皆いなくなった琥珀を探してたよ?」

こくこくと頷きつつ彼の背中を押して、布団に戻す。戻された黒はきょとんとして黙っている俺に首を傾げる。

「どうしたの?喋らないけど……」
「……ぁ」
「え……?え、うそ、え……?こ、声奪われたの!?」

布団に戻ったはずの黒が再び状態を起こした。俺は声を奪われたわけではないのでちょっとどう反応しようと困る。一先ず黒の手を取って掌に事情をかく。
川に落ちて、ここに来たら瘴気だらけで払ってもらっている最中。瘴気のせいで声が出なくなった、と。

「川……あ、あれ!?でもどう考えても自業自得なのに俺は平気で琥珀がこうなるなんておかしい!!もう!もうううううっ!!」
「???」

ぎゅうっと正面から抱き着かれた。
黒はあれが何なのか分かるのかな?主人公凄いな。そういうのもフィーリングで分かっちゃうのかな!?
とりあえずぎゅーっと抱きしめ返すとその瞬間叫び声が聞こえた。

「琥珀がいない!!!」

雪那の声だ。
君仕事じゃないの?いや、帰ってきたのかな……?

「どこ!?どこにいるの!?いやだ!!やだやだお兄ちゃんを置いてかないで!!」

どたどたという足音とすぱーんっと襖を勢いよく開く音が聞こえる。その音はどんどんこちらに近づいてきてパーンっと襖が開いた。

「琥珀!!」
「うわっ!?」

固まっている黒を無理に引きはがして雪那は俺を抱えてぎゅうっと抱きしめた。黒は驚いて声をあげ、べしゃっと床に転がってしまう。

ちょっと!

結構きつめに雪那の肩を叩くが雪那は俺の名前を何度も言う。壊れた玩具のようだ。後抱きしめる力が強くて痛い。ミシミシいってるんだけど?俺じゃなかったら骨折してるよ?分かってます?
うぐうっと苦しくなってくると黒が控えめに声を出す。

「あ、あのぅ……。琥珀が苦しそうなんですが……」
「煩い!!俺より先に会ってるからって調子乗んじゃねーぞクソガキ!!」
「う、え、えっと……お、俺も最近思い出したので、そのぅ……」
「うるせえ!!」
「す、すみません!!」

黒に当たりが強すぎる!ぽかぽかと軽く殴るが彼にはまるでダメージがない。なので今度はぐいぐい顔を押しのけようとしているが平気なのか微動だにしない。なんだこいつ!?なにこいつ!!??
ぷくうっと頬を膨らませて分かりやすく不機嫌アピールをするとはっと雪那は息をのんだ。

「可愛い!見て!可愛い!!」
「あ、はい」
「ふざけんじゃねーぞ!その薄い反応は!!」
「と、とても可愛らしいです!お兄さんに似て聡明で天才な弟さんです!!」
「そうだろう、そうだろう!俺の弟は可愛くて聡明で天才なんだ!!」
「はい!!」

何この会話。
あと俺別にお前の弟じゃないから。でも、かなり恥ずかしいんだけど。

「雪那さん!見つかりましたか?あ!こんばんは~」
「兄上。彼が苦しそうにしています。少し緩めたらどうです?」

双熾とさっきいた子がいた。俺と雪那さんを見てそう冷静に言っている。先ほどまでの暴れっぷりは普通なの?
二人の声に雪那は力を緩め一旦床に置いた。それにほっとするが次の瞬間雪那は俺を姫抱っこしてきた。え!?

「夕飯だって!行こう?」

な、成程!?でも俺抱えられなくても大丈夫だよ!?自分で歩けます!っと抗議するために指を動かすが、何処に書けばいいのか……。指を彷徨わせていたらいつの間にか居間にいた。

あ、あれ?

すとんっと座布団の上に下ろされて隣は雪那が陣取る。机の上には筑前煮やサバの塩焼き、里芋の煮っ転がし、菜の花の和え物、鶏のから揚げ、肉じゃが、豚の生姜焼き、白米、油揚げと豆腐のお味噌汁。
美味しそうだが、おかずの数多くない?好きなものだらけで嬉しいけど。

「俺が作ったんだよ?好きなものがあると良いんだけど……」
「ぜんぶだいすき。ありがとう」
「本当!?嬉しいなぁ!!」

雪那が嬉しそうににこにこ笑う。目の前には黒、その隣には双熾。そして双熾と雪那の間のお誕生席にあの男の人が座っている。気になってたんだけど貴方誰ですか?
じっと見つめていると彼が気づいたのかびしっと背筋を伸ばした頭を下げる。

「申し遅れました!蘆屋君春あしやきみはるです!一応第一部隊隊長をしております!琥珀さん、でよろしいでしょうか?」

君春くんがそう言ってきたのでこくんと頷いた。

蘆屋って有名なところだな。凄い人がいるんだけど、俺大丈夫かな……?
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