狐の嫁入り〜推しキャラの嫁が来たので、全力でくっつけようと思う〜

紫鶴

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34、違うんです!!??

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雪那がいなくなった後、双熾が俺の隣に座った。

「友達か?」

こくんと頷くとそうかっと彼は呟く。

「兄上が言うには誰かに腹を刺されて川に突き落とされたらしい」
「!?」

刺された!?なんで!?一体誰が!?

「生命力が強いのか、運がいいのか容体は安定しているから安心していい」

双熾がそう言うが、ショックは大きい。俺が不用意な行動をしたばかりに……。苦しそうに呼吸をしている彼の額から手拭いが落ちた。俺はぬるくなっているそれを拾って桶に入った水に浸して絞りまた彼の額に置く。
じっと彼を見つめて、それから双熾を見た。双熾と目が合うと彼は手のひらを見せてくれる。

「すこしひとりにしてくれますか?」
「ああ」

そう言って彼は部屋を後にした。

俺はそれを見送った後に、そっと黒の布団を剥がす。腹に包帯がまかれている。ここを切られてしまったのか。そう思ってそっと傷を撫でる。

俺の中の妖力は大して残っていないが少しでも傷が治るように術を使う。ばれるかもっと焦ったが双熾は来なかった。ふうふうと術を使ったため少し呼吸が乱れるが、黒の呼吸が落ち着いた。良かった。傷もちょっと切れたかな?ぐらいまで治ったみたいだし、きっと大丈夫だ。起きたら、謝らないと……。

どっと疲れが俺を襲い、眠くなってきた。まずい、ここで寝るのはまずい。そう思ったがどうにも眠気に抗えずにそのまま眠りについた。

***

冷たい水。狭い空間で身動きが出来ずに中に泥水が入ってくる。本能的に空気を求めて上に顔をあげるが、無残にもその中はどんどん泥水で満たされる。息を止める。それももたない。がこんっとひときわ大きく体が傾いて狭い空間から体が外に投げ出された。
入った水や泥を咳き込んで吐き出しながら、酸素を求めて喘ぐ。

ここはどこだろう。そう思って立ち上がろうとした時「おや?」と声がした。顔をあげるとそこには綺麗な顔をした金色の髪の長い男の子がいた。俺と同じくらいだろうかと考えたが、ゆらっと揺れる尻尾とぴくぴくと動く狐耳に後ずさる。ごほごほっとせき込んで睨みつけるように彼を見ると一瞬で俺の前に近づいてきた。
あ、と声を出す前にするっと首に腕が回り端麗な顔が近づいた。そして唇を奪われた。

口の中に舌が入り込み、ずるずると口内を駆け巡る。

食べられる!!

本能的にそう感じてどんどんっと胸板を押すがびくともしない。その間にも呼吸が出来ずに意識がぼーっとしてきて足に力が入らずに立っていられず意識が遠のいた。

「ぅ、んぁっ!」

ビクンっと体が跳ねる。言いようのない感覚に体が震える。
なに?何が起きているの?
ぼんやりと瞼を開けると、着物を着崩して俺の足を掴んでいる男の子がいる。いや、さっきの狐の子だ。何をしているんだ?俺を食べてるの?

ぼんやりとしているので、痛みがなくてもどこか無くなっているのだろうか。うまく力も入らずに、彼に視線を向けると目が合った。

「起きました?」
「ひ……っ!?」

べろっと俺の足を持ち上げて舐める。悲鳴を上げるとくすくすと楽しそうに笑った。

「おはようございます。可愛い人」
「ひっ、ぅ、んぁあっ!?」

ずんっと腹に何かが響く。お腹に何か温かいものが注がれた。意識がぼんやりとしてきて自然に口元が緩む。

「あんまり考えると良くないですよ~?ほら、気持ちいいでしょう?」

気持ちいい?何それ知らない。やだ、怖い。
すぐにその思考はぐちゃぐちゃのドロドロになって溶かされて、またしても意識が途切れた。

***

はっと意識が浮上した。
がばっと体を起こすといつの間にか布団に寝かされていた。
かあああっと顔に熱が集まるのを感じてばふっと枕に顔を押し付けた。
今の夢は何だろうか。

相手の狐って御館様だよね……?恥ずかしい!!
ゲームの内容にあんなのあったっけ!?どうでもいいけど恥ずかしい!!恥ずかしすぎる!!
違うんです!!横恋慕する気はありません!!信じて!?本当に!!

黒に対しても御館様に対しても罪悪感を覚えて俺は一人頭を抱えた。
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