この乱世を沈めん。

操子

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この乱世を沈めん!

恐ろしい様で、実は計算高い。

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初めまして、読者の方々。
私の名は、そう・フランソワ・ボナだ、宜しく頼む。
長ったらしい名なので、ボナ又は曹と覚えておいて欲しい。口調で解るかと存じるが、私は妹だ。そして、先程から私の隣で朝食如きで逐一報告する様に喚いている姉。効果音で言えば、キャーキャーギャーギャーと喚く。煩く感じた私は、姉の口を強力なガムテープだよ!と書かれた商品ガムテープで口を覆った。早速使用したが、中々役に立つ。覚えておこう、実用品強力なガムテープだよ!
そして姉の名は、曹・フランソワ・デルマーと言う。宜しければデルマーと覚えて頂けたら嬉しく思う。
私達姉妹は、良き両親と強引に引き裂かれた後、都市自体に混乱を招いた人間にこう言われた。

「先に、初任務は姉妹で都市全体を良ければ見てきたまえ。あぁ、その貧相な身なりはやめろ。金を差し上げるから、先ずは身なりをきちんとして来なさい。私が恥ずかしい思いをし、そんな身なりの人間が私を護るとなれば国自体の評価が下がるからな。…ここからが本題だ。君達には、私の国を良き治安にして貰う。争い事が絶えず発生している様だからだ。それが先ず第一の目標だ。……第二は第一段階が終わったら話す。下がれ。」

そう言われた私は承知しましたと伝え…姉が暴走寸前だったので、急いで失礼致しますと敬意を払って私の部屋に駆け込んだ瞬間に、姉は煩かった。

「何なんだよ、あれ?あの糞野郎ピーッ!(放送禁止音)はァ!!ボナ!何だってあちきを米俵の様に担ぐんだ!?私は姉だべ!?」

ズガアァンッ!!と部屋に響いた重低音は、ボナが銃の薬莢を放出させ、壁にのめり込んだ為だった。姉のデルマーはそれを見遣り、ボナの部屋となった個室から逃げ出そうとすると直ぐ様ビイィンンッ!!という音が聞こえたのは、壁に刃物が突き刺さった時にその反動で左右に揺れているからだ。

「…本当に貴女は煩い。姉なのだろう?貴女は。姉なら姉らしくしろ。それに、あの男の前では猫被れ。後に面倒な事が起きかねん。解ったか?私の姉よ。」

「あ、アイアイサー!可愛い妹に免じて、あの糞野郎ピーッ!(放送禁止音)の前では性格を変えて見せるだ!」

「いや違うな、奴の前だけで無くどこに居てもだ。…何処ぞの鼠が聞いてるやも知れんからな。先ず、性格と言葉遣いを変えてもらおうか。馬鹿な発言は控える事からね。」

「鬼いぃ!!私の妹は鬼なの!?ねぇ!?」

「ほう?鬼、ねぇ?」

「鬼と呼ばずしてそれ以外に何があるだ!?」

「まぁそれはどうでも良い。今はあの者から話された通り…金銭を頂き、身なりを整え都市全体を見回らなければならん。」

そう告げる妹は、さっさと支度を整える様にな?と僅かに口角を上げて姉の自室となった部屋から去る。

「…妹よ、何故そんな格好いい子になっちまっただ?たまに恐ろしいが。今はそんな事より、さっさと母ちゃんから貰った金と…武器は、あったべ。」

姉のデルマーが手に持って確かめている物は、妹とひっそりと買った武器の銃と母親から渡された金銭である。因みに、銃は両親や近所の人間達に怪しまれず、又バレぬ様に大事大事に保管していた物。何処に隠していたかを話すと、土の中に隠していたらしい。午前四時頃に妹が土を掘り返 して銃をしまい、姉がバレぬ様に後片付けを行った。引き裂かれる前は、姉が何かが起きそうな気配を感じたらしく、姉妹で午前四時に土を再度掘り返して銃を取り出し懐へ忍び込ませて後片付けをしてから寝た振りをした。そんな事はまだ思い出す事は無い、成すべき事を果たす為に。
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