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零章

|天使《ANGELLOLUM》

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「天使長様! どうか、どうかお考え直しください! こんな……こんな、誰かの犠牲のもとに成り立つ世界なんて、間違っています!」アンジェロールムは天使長に向かって声をあららげた。
「アンジェロールム、大人になりなさい。あなたはまだ子供なのです。……世界にはどうすることもできぬ“理”というものがあるのです。それを受け容れなさい」
「『諦め、見捨てろ』と仰るのですか!! そんな……そんなものが大人であるというのなら、私は一生子供のままで構いません!」
「アンジェロールム……」
「それならば……それならば、私が世界樹の贄となります! 望まぬ犠牲など、もうこれ以上見たくありません!」
 アンジェロールムの言葉に、天使長は少し驚いた顔を見せ、「それほどまでに……」と呟いた。そして、すぐに、
「それは成りません」と首を大きく横に振って言った。「あなたも知っているでしょう。わたくしたち天使は生命を持たぬのです。世界樹の糧となることなど――」
「――そんな! じゃあ……いったいどうすれば……!!」
「……アンジェロールム。あなたが心を痛める必要などありません。これは、天地開闢の時より定められし、誰にも覆すことのできぬ普遍で不変の理なのですから。……あなたは心の根が優しすぎるのです。そのあり余る優しさはあまりにも天使に相応につかわしくない。わたくしたち天使は感情を持ってはならぬのです。ただ……ただ粛々と、己の役目を――」
 ――〈“天使に相応につかわしくない”?〉
「なれば! なればどうか私を堕天させてください!」
「……あなたそれがどういうことだかわかって言っているのですか?」
「……小耳に挟んだことがあります。“天使として相応ふさわしくない行いをした者は穢れを受け、その身を焼き焦がすような苦痛とともに地に堕とされる”と。それすなわち天使としての生を奪われ、人間として生きるということ。……その程度の苦痛など、この痛む心に比べれば屁でもありません」俯き、首を横に振りながらそう言う。「この身を苛む苦痛も、世界の理も。……私たち天使のごうも……。すべて……すべて私が背負ってみせます」
「なるほど、それがあなたの考えですか。よくわかりました。ですが……たとえ堕天して人間になったとしても、その身を蝕む“穢れ”があるかぎり、世界樹はあなたを受け入れないでしょう。カタルシス……魂の浄化を成し遂げることは容易なことではありません。人の一生を賭けたとて実現できないかもしれないのですよ」
「構いません。すべて覚悟の上です」
「そうですか……。それがあなたの望みなのですね。……実に愚かな娘です。お望み通り堕天させてあげましょう。この場限りであなたは破門とします。もう二度とあなたの顔など見たくありません。天使象徴つばさをもがれ、醜く地に堕ちなさい」
 天使長が指を鳴らすと、黒いもやがアンジェロールムの体を包み込んだ。
「ぎゃっ……! ぐっ……うう……」
 〈頭が! 頭が割れるように痛い! く、くるし……息が――〉

 〈……ああ、アンジェ。私のかわいいアンジェ。あなたは始めから天使ではなく人として生を受けたほうがよかったのかもしれません……。あなたの歩もうとするは苦難の道。されど、私はこのよりいつもあなたを見守っています。せめてもの願いを込めて。どうかあなたの旅路がよきものになりますように〉

 ――おちていく。どこまでも、どこまでも。“深く”? “低く”? それさえもわからない。朦朧とする頭で感じるのは、ただ胸を締めつけられるような感覚と、頭ではおちていっていると感じているのに、体はむしろ浮き上がっていっているような不思議な感覚。
 ――アンジェロールムは寝床の上でハッと目を覚ました。〈ゆ、夢? いつから……?〉
「うっ!」〈この痛みは……〉
 頭が割れるように痛み、思わず声を上げ、頭を抑える。そのとき、自身の腕に巻かれた包帯がつと目に入った。
「――おっ! よかった。目ぇ覚ましたんだな」
 アンジェロールムは聞き覚えのない声のするほうへ顔を向けた。〈……若い……人間の男?〉そこには、囲炉裏にべられた火を使って加熱している鉄鍋の中身を何やらこねくり回している男がいた。
「大丈夫か? 空から降ってきた女の子が畑に頭から突き刺さったときは肝を冷やしたよ。嘘みてぇな話があるもんだな」
「……あなたが治療してくださったのですか?」
「ああ。“治療”つったって、んな大したこたぁしてねぇが。ま、助かったようで何よりだよ。目の前でいきなり畑に突き刺さったときは半ば諦めていたからな」
「……ありがとうございます」そう言って頭を下げる。
「い、いやあ、そげんと気にしないでおくんなまし。あんまし感謝されるとけって(かえって)やりづれえでございまする」
 〈言葉遣いがやけに乱れていますが、動揺しているのでしょうか……。しかし、感謝されただけでなぜ?〉
 訝しげに見つめるアンジェロールムのその眼差しに、男はより一層平常心を失い、「へはぁ」と妙な笑い声を漏らすのだった。
「……とにかく助かりました、この礼はいつか必ず」
 そう言ってアンジェロールムは足早に立ち去ろうと、その場に立ち上がろうとした。だが、身体に思うように力が入らず、片膝をついた時点でよろけてしまう。
ら、あんま無理すっと危ねぇぞ。まだ病み上がり――起きたばっかしなんだけんさ」
「ですが……」
「何か急ぎの用でもあんのけ?」
「“急ぎ”といえば急ぎですが……」
「ふぅん? 煮え切らない返事やのう。そげな急ぎでねぇなら、も少し体休めてから行げ。せめて飯くれぇ食ってげ。ちょうど用意さできたとこだ」
 そう言って男は鉄鍋の中身を椀に掬い、アンジェロールムに向かってずいと差し出した。そのとき、ちょうどアンジェロールムの腹が大きな音で鳴いた。初めての経験に、アンジェロールムは少し気恥ずかしそうな顔で俯いた。
「わかりました……。それではお言葉に甘えて」
 ――「どや? うまかろう?」
「ええ……とても」
「そか。そりゃよかった。お口に合わないんじゃないかと少し心配していたんだ。お上品そうな見た目だったもんで」
「急に口調が元に戻りましたね」
「えっ」
「すみません。思ったことがそのまま声に出ていたようです。……ご馳走様でした」
 胸の前で両手を合わせ深々と頭を下げる。その様子に、
「お粗末様でした」と男も頭を下げた。「……随分と丁寧に挨拶をするんだね?」
「……命をいただくわけですから。感謝の気持ちを忘れてはいけません。尊い犠牲を喰らって、私たちは生きるのです」
「ふーん? なんだか言葉以上の意味が込められていそうだね」
「……ご想像にお任せします」
「そうかい。ま、あまり深くは追及しないよ。ところで……名前くらいはお聞かせ願いたいものだね?」
「……アンジェ……。アンジェと申します」
「『アンジェ』か。ここいらじゃあまり聞かない名だね。空から降ってくるくらいだ、どこかよほど遠いところから来たのだろう」
「ええ、まあ。それで……そちらは?」
「ああ、すまねぇ。俺はオルレアンってんだ」
「そうですか。……助けていただいたついでにつかぬことをお聞きしますが……魂の浄化をするためには何をしたらよいのでしょう?」
「は? “魂の浄化”?」
「ええ」
「……修行僧か何かなのかい?」
「いえ、別にそういうわけではありませんが……」
「ふーん? 魂の浄化ってそりゃあ……コツコツと善行を積み重ねるほかねぇんじゃねぇか?」
「やはりそうなりますよね……。手っ取り早くどかんと稼げるとよいのですが」
「あはは」と男は声を出して笑う。「変わってんな。『魂の浄化』だなんて言い出したかと思えば、今度は『できるだけ楽がしたい』だなんて」
「別に楽がしたいわけではありません。ただ……あまり時間を掛けたくはないのです」
「ふ~ん? ――おっ、一つだけいいこと思いついたぞ」
「なんです?」
「“国を救う”なんてのはどうだ。内側から傾きかけているにしろ、外側から傾けさせられているにしろ、その規模スケールは人助けの何倍もあるだろ?」
「いいですね!」アンジェは目を輝かせて言った。「それで、困っている国はどちらに?」
「いんや、そんなものはねえ。世界樹のおかげでこの世界は平和そのものだ」
 オルレアンはそう言うと大口を開けて笑った。
「き、期待した私が馬鹿でした……」
「ま、そんなうめぇ話ゃねぇってことだな。『千里の道も一歩から』何事もコツコツと一歩ずつ歩むしかねぇのさ」
「それはごもっともですが……はぁ。結局そうするしかないのですね」

 それからというもの、アンジェは男の住まいに居候し、男の暮らす村で熱心に善行ひとだすけを繰り返した。ときには出稼ぎに行くオルレアンにいて世界を旅し、やはりそこでも善行を積み重ねた。
 そうこうしているうちに二人は互いに惹かれ、男女の仲を深めていく。まぐわい、体を重ねた二人は協力し、さらに善行を積み重ねた。
 いつしかアンジェは人の子を身籠った。十月十日とつきとおか、数ヶ月後には無事出産し、一児の母となったのである。

 ――アンジェが地上へ降り立ってから、はや数年の月日が経とうとしていた。アンジェが母となってから、一年もしないうちの出来事だった。
 朔月の晩。その日アンジェは一人、夜空に輝く真っ赤な一等星を見つめながら思い耽っていた。
 〈人並みな幸せを手に入れても私の心は満たされない……。夫が、我がが、愛しくないわけではありません。ただ、この胸にあるものは“なんとかしなければ”というこの身を駆り立てる焦燥感。どれだけ小さな善行を積み重ねても、いくら人助けを繰り返しても、いたずらに時は過ぎ去り、この身を逸らせる焦燥感おもいは増していくばかり。かといって、大きな善行などそう都合よく転がってはいません……。このままでは本当に――〉
『――アンジェ、思い直してはくれないのですね』
 脳内に直接声が響く。
「天使長様?」
『あなたの決意は固く、揺るぎないもののようです』
「教えてください、天使長様! この身を清めるために、魂を浄化するために! いったい、私は何をすればよいのですか! このままでは……このままでは時間が!」
『……もう……もう、よいのです。始めから徳を積む必要などなかったのです。“誰かの身代わりとしてその身を捧ぐ”その行い、その精神こそが、何物にも代えられぬ清き尊きモノ。世界樹はあなたを受け入れるでしょう』
「どうして……どうしてもっと早く教えてくれなかったのです!」
『……あなたには思い留まってほしかった。“誰かのためにその身を捧ぐ”たとえそれがあなたの幸せとしても……。あなたにその道を歩ませたくはなかった……! けして、けして! “天使”として幸せになれないのなら、せめて“人”として……人としての幸せを見つけてほしかった。わたくしの……わたくしのわがままです』
「天使長様……」
『わたくしも天使長失格ですね。一人の天使――いえ、元天使にんげんに入れ込むなど。しんに堕天すべきはこのわたくしだったのかもしれません』

「――アンジェ、誰かいるのかい? 話し声が聞こえたようだけど……おや?」
「私一人ですよ? 高揚した気分に浮かされ、独り言を言っていたのです」
「そうか……。セレネも今日は珍しく寝つきがいいみたいだ。ようけ眠っとるよ。君もあまり遅くならないうちに――」
「あなた……私……」
 アンジェは言いかけて口を噤む。オルレアンは黙って首を横に振った。
「……いい。皆まで言わずともわかる」そう言って、天を仰いだ。「そうか……とうとう、月からの迎えが来たんだな。いつか……いつか、こんな日が来るんじゃないかと覚悟していたんだ」
「……今日きょうは月は出ていませんよ」
「ああ……そうだね……」
「ごめんなさい……私、行かなければ――やらなければならないことが」
「うん」
「ごめんなさい」
「何も……何も今生の別れってわけじゃないだろ? 帰って……来るんだよな?」
 アンジェは口を噤んだまま何も答えない。
「い、いつか帰ってきたらさ、大きくなったセレネと三人で……」
 アンジェはふるふると横に振った。
「……ごめんなさい」
「結局……結局最後まで話してはくれないんだね。君が何をしようとしているのか」
「……ごめんなさい。もう二度と、もう二度と同じ過ちを繰り返してはほしくありませんから……誰にも……。このことは私の胸のうちにだけに留めておきたいのです」
「せめて……せめて君がどこへ行くのか、それだけでも教えてはくれまいか。……もしこのまま行かれてしまったら、あの子への説明がつかない」
「……世界樹、その袂へ。すべての因縁を絶ちに――」

 ――後刻、アンジェは世界樹の幹にぽっかりと空いた大きなうろの中に足を踏み入れていた。陽の光は中ほどまでしか射し込んでおらず、中はほんのりと薄暗かった。
 〈ここが、儀式の間。いく度となく命が失われ、そして、いく度となくその光景を目にした場所。だけどこうして足を踏み入れるのは初めて……〉
 初めて実際に立ち入るその場所に、キョロキョロと辺りを見回しながら歩を進める。アンジェが祭壇前の階段きざはし(注釈:当て字。「階段」に「きざはし」という読みはない)に足を掛けたそのときだった。階段の脇に左右対称となるよう設置されていた二本の篝火が、足元を照らすように同時に火を灯した。直後、祭壇上、外周に沿って等間隔メモリ状に設置されていた篝火が、アンジェの足並みに合わせてひとりでに、入り口に向かって手前の物から段々とその火を灯していった。
 〈私以外誰もいないのにもかかわらず、すべて自動で……。これは歓迎されているのでしょうか……〉
 祭壇の上を歩くアンジェのわずかな靴音が、もの静かな空洞内を反響する。めらめらと燃え盛る篝火は、ときおり火の粉を巻き上げながらゆらゆらと揺らめいていた。
 円形の祭壇の中央部分へ差し掛かったときのことだった。パーッと一気に辺りが明るくなり、世界樹の内部が鮮明に照らし出された。篝火の淡い光をかき消すほどのその強い光は、紛れもなくアンジェ自身――いや、アンジェの纏う炎から煌々と放たれていた。自身を包み込む炎に気がついたアンジェは、両手のひらを自身の顔のほうへ向けた状態で両手を見つめながら顔のあたりまで持っていき、つと呟いた。
「とてもあたたかい……それでいて、身を焼き尽くすように熱い。これは、世界樹の意思?」
 〈私の魂に巣喰っていた穢れが一つ残らず浄化されていくのがわかる……。まさにこれは浄化の炎……きっと、世界樹が私を認めたということ〉
 アンジェは祭壇を見つめて思う。〈あとは世界樹の意思にこの身を委ねるだけ……。ここで跪き、そして祈りを捧げる。いく度となく見た光景……二度と見たくない光景。……いいでしょう。最初ハナから覚悟はできています〉――信念。
 アンジェが祭壇の中央で跪き、目を瞑ると、その全身からだは瞬く間に光に包まれた。アンジェは目を瞑りながらも、瞼を通してその眩い光を感じていた。
 〈私はただ世界樹の糧となるのではありません。内側からこのふざけた素晴らしきセカイを壊すのです。きっと……いえ、必ず。金輪際、もう私以外の犠牲は生ませません〉――再誓。
 アンジェは上を見上げ、そびえ立つ世界樹に手を翳すように、広げた右の手のひらを上へとおもむろに伸ばした。〈いまに見ていなさい、忌まわしき世界樹〉世界樹を見上げながら思う。そして、ゆっくりとその拳を閉じる。〈私がこの歪んだ世界を修復こわしてみせます〉――渇望。
 アンジェが最後に高く掲げたその手には、強いオモイが込められていた……。
 やがて光の粒子となったアンジェは風に吹かれるようにさらさらとどこかへ消えていった――
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