俺が想うよりも溺愛されているようです。

アオハル

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日常

午睡-C-

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 腰を揺らすたびにソファが軋む。かろうじて腕に引っ掛けていたバスローブも今は床の上。隠すもののなくなった裸体を夕陽に晒しながら、熱を欲して体をくねらせた。
「あっ、ぁ……───」
 不安定な姿勢にも関わらず、アルノシトは自身の性器をルートヴィヒの腹に押し付けるようにして身体を揺らした。
 ルートヴィヒの性器は己の尻肉で挟み込むようにして己の快感と相手の快感を同時に求める。
 互いに零した先走りがにちにちと音を立て肌を濡らす。昂らせたものを押し付け、引いては腰を回して声を上げる。
「……っ──」
 びくりと尻の間でルートヴィヒの性器が跳ねた。その感触が嬉しくて、大きく体を揺らすと、こら、と窘めるような声。
「落ちる」
 危ないから、と抱き寄せられた。昂った熱のやり場に困り、もどかし気に身を捩ると、ルートヴィヒの手が露になった尻へと伸びてくる。
 やわやわと肌を揉むようにしながら、指を這わせる。片手で尻肉を掴んで開かせ、もう片方の指を奥へと滑り込ませてきた。
「……、ぁ……ッ……」
 つぷりと指の先が埋め込まれ、ルートヴィヒの胸へと体を預けて全身を震わせる。
「……熱、いな」
 指先を包む肉壁の熱さに呟いた。無理に深くは差し入れず、浅い個所で慣れるのを待ってくれている。その優しさが今はもどかしい。
「……、奥…欲し、」
 自分から指を奥へと咥え込もうと尻を押し付けた。が、掴んでいた尻肉から手が離れ、軽く肌を叩いて窘められる。
 仕置きではないから、痛みを感じる程の強さではないが、いつもと違う刺激にびくびくと大きく身体を跳ねさせた。
「ふぁっ…、……」
 拗ねたようにルートヴィヒのバスローブを引っ張ってから頬を胸板へと押し付けた。眉を寄せ、睨もうとするが、同時に指を奥へと押し込まれて表情が崩れてしまう。
 蕩けた声を上げて縋り付く。
「んっ…ずる、い…です……」
「……何が?」
 言いながら根元まで指を押し込まれる。言葉にならない声を上げて、縋り付いた手に力がこもる。
「…ルートヴィヒさん、の指……、……弱い、とこばっか……」
 中で指を折り曲げたり、締め付ける肉壁を引っ掻いたり。好き勝手中を探っているようで、確実に自分が反応を見せる場所を重点的に攻め立ててくる。
 指だけで簡単に蕩け声を上げてしまう自分に羞恥を感じて、照れ隠しの八つ当たりにも似た言葉。ルートヴィヒはただ笑みを浮かべるだけだ。
 ずるい、と再度なじろうとした唇が快楽に歪む。二本に増えた指をあっさりと飲み込んだ後孔の縁が、ぐちゅりと音を立てた。
「ん────、は、…あ、…」
 一瞬の圧迫感。仰け反った体が沈んだかと思うとまた跳ねる。不安定なソファの上、中を探る指の動きに合わせて腰を揺らめかせ声をあげてしまう。
 蕩けた眼に映る唇へと口付けてみたり、首筋に顔を埋めたり。そこかしこに甘えるように顔を擦り寄せながら自分でも腰を振って快感を貪る。腹へと押し付けた性器の先から溢れたものが肌を伝い落ち、後孔まで滴っていく。
 限界だと訴えるのは震える声や目線だけではない。指を包む肉壁も、腹へと擦り付けられる性器の先端も薄く開き、全身で伝えられるそれ。
 達っていい、と言葉にする代わり、震える耳を軽く噛まれた。外周に添って滑る堅い歯の感覚。
 どくりと体の奥が熱くなる。腹の間に広がる淫臭とぬるりとした感触。中へ埋め込まれた指を無意識に強く締め付けた。
「~~~~~ッ、は…ぁ…」
 息を吐き出すと同時、体の力が抜ける。くたりと体重を預け、肩で息をしていると、不意に指が引き抜かれた。続けて腰を掴まれ、あてがわれる熱に、鈍い動きで顔を向ける。
「…ぁ、…まって…、……ッ……!」
 言い終わる前に体を貫かれていく。達した直後の無防備な身体を開かされ、一際大きな声が上がる。顎裏が見える程に背中を仰け反らせながらも、熱を咥えた肉の壁は歓喜に震えた。その形を確かめるように絡みついていく。
「ぁ…ア…ッ、………」
 反射的に肩を掴んで堪えるが、無防備に晒された胸に口付けられてまた声が上がる。
 仰け反った背を支えるように手が添えられる。一息に深く繋がり過ぎないようにと、気遣いながらも、少しずつ奥へと埋め込まれていく熱に体が震える。
 晒した胸に繰り返しキスをされ、舌が這わされるが、色づいた場所へはあえて触れないような動き。
 もどかしさに肩を掴む指に力を込めてみるものの、軽く腰を揺らされるだけで呆気なく声を上げてしまう。
「…さ…わ、……って」
 肩を掴んでいた指を引きはがすと、後頭部へと添える。こっちと誘導するように頭を抱きしめてねだると、ぬるついた舌が小さな粒を擽った。
 同時に根本まで押し込まれた熱が腹の中を圧迫する。膝の上に座り込むかたちで落ち着いたが、そこで休ませてはくれない。
 舌先が小さな粒を転がし、歯を立てて吸い上げられる。腰を捉えていた手が肌を滑り落ち、結合個所を確かめるよう、薄い肌をそっと撫でた。
「~~っ、…は、ふ……」
 広がり切った皺の一つ一つを指先が確かめていく。その度に熱塊を受け入れた肉壁がきゅ、と締まる。蕩けた熱に包まれる心地良さから、ルートヴィヒが吐息を漏らした。
「……ん、…」
 散々に舌で嬲られた突起へと息を吹きかけられて、声にならない声を上げ、アルノシトは全身を震わせた。ゆっくりと唇が離れていく。改めて体を支えるように回される腕に続く行為への期待に下腹がひくついた。
 ぎしりと一際大きくソファが軋む。
「あ──、」
 肌のぶつかる音、結合部からの水音。抽挿に合わせて響くソファの軋み。動きに合わせて跳ねるアルノシトの性器の先端からは白濁と先走りの混じったものが零れ、互いの肌へと濡れを広げていく。
 時折、抜き差しをとめて熱を埋めたまま腰を回したり、小刻みに揺らしたり。変わる動きに合わせて頼りなく揺れる身体を支えてくれる腕に縋る。
 不意に強く抱きしめられた。互いの腹の間に性器が挟み込まれ、扱かれ、薄く先端が開く。腹を中から押し上げている熱も膨れ、絶頂が近いことを知らせてくる。
「……ん……ぁ、また、……」
 もっと深い場所を、と求める心が強すぎて体を密着させるだけでは足りず、大きく開いた唇を重ね、口腔をも蹂躙される。中で吐き零される熱を感じると同時、二度目の絶頂に体を硬直させた。
「~~~~~─────ッ、は…ぁ」
 開放された唇を大きく開いて息を吸う。しがみついていた腕を緩め、くたりと全身の力を抜いてもたれかかった。身動ぎすると、結合部から溢れたものが肌を伝う。
「………、ル、トヴィヒ、さ……」
 途切れ途切れに名を呼ぶ。顔を上げる余力もない。鈍い動きで髪を撫でられ、心地良さに眼を閉じる。
「…………」
 余裕がないのはルートヴィヒも同じようで。気遣うように緩々と髪を撫でてくれる以上のことはない。でも、それが心地良い。
 熱を求めあった後の何とも言えない気怠い時間。いつもなら、このまま落ち着くまでゆっくりと過ごすのだが、今日は少し違った。
「……?」
 ふと何か言われた気がして顔を上げる。自分を見るルートヴィヒと目が合う。いつもなら、穏やかな色で自分を見ている目にまだ熱が残っている。
 汗ばみ、上気した肌の熱が引かない。どくりと心臓が大きく跳ねる。
「…………まだ、足りない」
 独り言のような呟き。髪を撫でる手が顎を捉えるものに変わる。ちゅ、と音を立てて軽く口づけられる。そのまま繰り返し落とされる口づけに呆気なく蕩けてしまう。
 埋め込まれたままの熱が昂り始めるのを感じて、強く締め付けると、ルートヴィヒの表情が歪んだ。お返しとばかりに下唇に軽く歯を立て、緩く食んだ後で離れていくのを追いかけて、唇を重ねる。
 触れ合わせるだけの行為。すぐに離れると、繋げたままの尻を押し付けるように腰を揺らした。
「……、…………俺も…」

 ────もっと欲しい。

 掠れた声で告げる。
 姿勢を変えるために一度引き抜かれた熱が再び埋め込まれていく。互いの激情をぶつけ合い、体をくねらせ声を上げる以外の事が出来なくなった。
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