恋人の愛は少し……いや、かなり重いです。

アオハル

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日常

改めましての決まり事-5-C-

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 佑がシャワーを浴びている間に洋佑は「準備」。バスルームのドア開き、廊下を歩く足音が聞こえなくなってから、自分もシャワーを浴びてから、佑の私室へと戻る。
「入るぞ」
 声をかけてから、ドアを開く。
 ベッドに腰かけた佑は腰にタオルを巻いた姿。洋佑の姿に、笑みを浮かべて目を細める。
「よいしょ、と」
 先に座っていた佑と同じように、洋佑も腰にタオルを巻いている。少しばかり肌寒さを感じて小さく体を震わせた。
「寒い?」
 空調をいれようか、と気遣ってくれる佑に首を左右に振る。
「大丈夫……佑がいるから」
 指を伸ばして佑の頬へと触れる。押し倒されたのか、自分から背を付けたのか。二人分の体重を受け止めてベッドが軋んだ。
「……洋佑さん……」
 佑の声が震えている。首筋へと押し当てられた唇に顔の向きを変えながら、返事を返すと静かに肌を吸い上げられる。
「ん──」
 いつものベッドと違って少し狭い。佑の肩越しに見上げる天井も違う。同じマンションの部屋なのに違う場所にいるような感覚に洋佑はゆっくり眼を瞬かせた。
 ちゅ、と音を立てながら何度も肌を吸い上げられると、じれったさに足を捩る。腰に巻いたタオルがずれて肌が見えた時、佑の動きが止まった。
「洋佑、さん……これ」
 タオルの下。いつもなら何もつけていないのだが、今日は下着を身に着けている。指に触れる布の感触に体を起こした佑が目を瞬かせるのを見て、悪戯成功、とばかりに洋佑は笑みを浮かべて佑を見上げる。
「うん。あの時のやつ」
 急遽泊ることになって、コンビニで買ってきた下着。あの時のものをあえて身に着けた洋佑は、ぼんやりしたままの佑の頬へと指を伸ばす。
「この部屋でするのは初めて、だからさ──こういうのもいいかな──」
 って。
 と続くはずの言葉が途切れた。佑に強く抱きしめられて、今度は洋佑が動きを止める。
「洋佑さん……、……僕──」
 腕が緩められる。改めて視線が合うと、泣き出しそうに笑う佑の唇が軽く頬へと触れた。
「……今日は、ちゃんと気持ち良くするから」
「──ん。……佑とするのは、いつでも気持ちいいよ」
 頬から鼻先、額、と顔中に口付けながら囁かれ、くすぐったさに体が揺れてしまう。つ、と肌を滑る指先がまだ埋もれたままの乳首へと触れて、一瞬、呼吸が止まる。
「っ、──」
 びくりと跳ねる腰の動きに佑が表情だけで笑う。埋もれたままの突起の周囲を指腹で撫でながら、口付けられると、自然と眼を閉じて佑の舌を受け入れた。
 口腔内を探る舌に眉が寄る。指腹で撫でていた小さな突起が堅く尖り始めるのを感じると同時、摘まみ上げるような動きに変化する指先に翻弄され、もどかしげに足を捩る。
「ふ……、」
 解放された唇を大きく開いて息を吸う。半ば閉じた視線の先、指先で弄るのとは反対側の突起へと唇を被せる佑が見えて、ぎゅ、とシーツを掴んだ。
「んぁ…っ、はぁ……ふ…」
 ぬるついた舌と指先の感触の違いに翻弄されて、洋佑の身体が跳ねる度に大きくベッドが軋む。腰に巻いていたタオルはすっかり解け、下着を持ち上げる性器の先から溢れたものが薄く染みを作っている。
「……た、すく……、ぁ…っ、や……」
 胸に吸い付いたまま。舌先で器用に小さな粒をこねながら、突起を弄っていた指を下へと這わせていく。下着の上から濡れた箇所を探るように指が這わされ、性器の形をなぞるのに溜まらず洋佑は大きく声を上げてしまう。
「洋佑さん……もっと声、聴きたい……」
 僅かに浮かせた唇が話すたびに突起の先端を掠める。その度に声を上げ、息を乱してしまい、羞恥と快感で薄く全身が染まっていくのに佑は嬉しそうに笑った。
「……洋佑さんの肌、すごく綺麗……気持ちいい……?」
 強めに乳首を吸い上げられて返事が返せない。嬌声を上げながら、下着越しに感じる佑の指へと自身の性器を押し付けるように腰を揺らせば、布越しに強く掴まれてまた声を上げてしまう。
「ふ、ぅ……──ひぁ…、……あ、いい……気持ち、い……」
 もどかしさを感じると同時に強く責め立てられ、満足する前に引いていく指や舌に翻弄されていく。初めて触れた時とはくらべものにならないくらい、佑の存在に溺れていることを改めて自覚すると、洋佑は笑みを浮かべて佑を見つめる。
「佑の指も……、舌も…──全部…好き……」
 好き、と言われて佑の肩が跳ねた。少し怒ったように眉を寄せて目を伏せているのは、照れ隠しと我慢している時の顔だ。
 あの時は混乱していてわからなかったけれど。今なら分かる。
「……だ、から…もと、ほし──っ、ぁ、あぁ!」
 ねだると同時に下着越しに強く掴まれて悲鳴じみた声が上がる。じわりと滲んだ染みが広がるのを確かめるように指先で触れた後、佑は下着の中へと手を入れて布をずらしていく。
「ここ、すごく熱い……あの時は全然、感じてくれなかったのに」
 にちゃりと粘着質な水音が響く。吐き零したもので濡れた下着が引きはがされ、抑えるもののなくなった性器が跳ねるように頭を擡げるのが見えて、頬が熱くなった。
 体を起こした佑が改めて性器へと指を伸ばす。
「だって……あの時、はびっくり……してた、から」
 ひくひくと震える先端から先走りが滲む。濡れた性器に直接指が触れると同時に洋佑は背筋を仰け反らせて声を上げる。
「……僕もびっくりしてたんだよ……キスしてもいい、なんて言うんだもん」
 声を上げて腰をくねらせる洋佑を愛し気に見つめながら、絡めた指に力を込めて性器を上下に擦る。ぐちゅぐちゅと湿った音を響かせながら零す先走りの量が増え、音が大きくなるのに足先でもシーツを掴んでかき乱した。
「あの時は……自分でもどうしていいかわからなかったけど……今は、洋佑さんを気持ち良く出来てる?」
 あの時から──一生懸命だったことは伝わっていた。今も。常に自分の事を思って触れてくれている。
 欲に流される意識の中でぼんやりと思い出すも、佑の指や唇から与えられる快楽が大きすぎて、思案がまとめられずにただ声を上げて体を揺らすだけになってしまう。
「っぁ、…た、すく……出る、から……ぁ…あ、」
 涙混じりの嬌声に佑は洋佑へと口付けた。乱れた髪を撫でつけながら、「出していいよ」と優しい声で囁かれると、堪え切れずに欲を吐き出した。
「~~~~っ、はぁッ……、…ふ、……ぁ」
 余韻に震える身体。手の中の性器の残滓を吐き出させるように緩く扱いた後、濡れた指先が奥へと潜り込んだ。
「……ん、ぁ……」
 自然と足を開いて動きやすいようにと姿勢を変えていく。ぬるついた指先が探る後孔の縁はひくつきを増し、次の行為を期待しているかのように指先へと吸い付くように伸縮を繰り返している。
 つぷりと指先が埋められると同時に、またベッドが軋んだ。ぬちぬちと奥を探る指の動きに合わせて、洋佑はゆるゆると首を左右に振り、身体を揺らす。
「……佑、の指……も……最初は、全然……入らなくて……、……でも、……いま、は、あっ……指、じゃたりな……」
 きゅうと指を包む肉壁が締め付けてくるのに佑は動きを止めた。どうしようもない感情に唇を重ねては舌を絡め、ぐちゅぐちゅと音を立てて洋佑の後孔を掻き混ぜる。
「ふぁ、ん……く、ぅ……」
 口付けの合間。乱れた呼気が隙間から抜けていく。やがてゆっくりと指が引き抜かれ、代わりに押し当てられる熱を感じて、洋佑は両腕を伸ばして佑を抱き締めようとする。
「たすく──」
 素直に腕の中におさまる体へと腕を回して足を開く。ず、と入り込んでくる熱塊にしがみつく腕が震え堪え切れない声が零れる。
「うぁ……ん、…あ、つ──」
 少しずつ深くなる結合。腹の中を満たしていく熱さと快感に全身を震わせる洋佑の背を抱く佑の腕も震える。
「洋佑さん……きつく、ない?」
 名前を呼ばれるとしがみつく腕に力を込める。返事を返す代わりに溢れる嬌声。大丈夫、と頷きながら、自分からも腰を揺らめかせて佑のものを欲しがると、更に奥へと入り込む動き。
「ぁ!あ、ア…ぁあッ……」
 蕩けた声に佑の動きが大きくなる。規則正しく軋み始めるベッドの音にも煽られ、洋佑は腕だけでなく足も佑の身体へと回してしがみつく。
「……洋佑さん、……っ、……」
 佑の声が掠れる。自分だけでなく、佑も感じてくれているのだと思うと同時に下腹がひくついた。
 もう佑の形を覚えてしまったのではないかと思うくらい、隙間なく埋められた熱が震えるのが分かる。限界が近いことを感じて、洋佑は汗で滑る腕と足とを絡め直して、佑の耳元へと唇を寄せて蕩け切った声を上げる。
「ぁ、あ!…ふ……た、すく…ッ、俺、も……でそ……」
 いっていいよ、と掠れた声が耳孔に入り込んでくる。熱い吐息と舌が肌に触れると同時、堪え切れずに熱を吐き出した。
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