恋人の愛は少し……いや、かなり重いです。

アオハル

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日常

今まで出来なかったことと、これからは出来ることと-4-C-

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 繋いだ手をパーカーのポケットに入れたまま歩く。
 ポケットの中で指を絡めたり、解いたり。じゃれつかせるようにしながら足を進める間、言葉は発していない。
 なんとなく気恥かしくて洋佑は佑の方を見れなかったから、彼がどんな顔をしているのかは分からない。
 ただ伝わってくる体温。振りほどかれない指から、嫌な気持ちにはなっていない──と思いたい。
「……あ」
 先程、二人で渡った信号。今度は赤になっていた。
 いつ赤になったのかは分からない。が、待ち時間があるなら、行きとは少しだけ違う道を歩いてもいいのではないだろうか。
「佑」
「洋佑さん」
 ほとんど同時に名を呼んで視線が重なった。お互いに驚いた後、ふ、と笑みが浮かぶ。
「なんだか今日はおかしいね」
「そうだな」
 笑ったまま。方向を変えて歩き出した。確認はしていないが、考えていた事は同じようで腕が変に引っ張られたりぶつかりかけたりすることはない。
 明るくなった歩道。すれ違う人に脇へよけたりしながら、足を進めていく。
「……あの、さ。今日、したいこと、ある?」
 不意の問いかけ。洋佑の言葉に佑は首を傾げた。
「んー……特に予定はないけど」
 どうかした?と続く問いかけの言葉に洋佑は足を止めた。
「……ちょっと……寄り道、してもいいか?」
 寄り道──?と問いかけようとした佑の動きが止まる。洋佑の後ろにある看板の文字が目に入ったから。

 ──ご休憩

 所謂ラブホテル。その前で立ち止まった意味を察して、固まってしまった佑。
 洋佑は繋いだままの手を一度強く握った。
 佑がこういう場所を好きな印象はなかった。どちらかと言えば苦手──というか、嫌悪感を持っているのではないだろうか。
 それでも──
 縋りつくように佑の指を握る。驚いていた佑の表情が、ふ、と柔らかく変化した。
「……いいよ。洋佑さんが一緒ならいい」
 指を握り返した後、佑は向きを変えた。

        ◇◇◇◇◇◇◇

 部屋に入った後、洋佑の方から佑へと口付けた。両手で頬を包み、深く口付けた後、その場で膝をつき、ハーフパンツとスパッツを引き下げていく。
 下着を下ろそうとしたところで佑に制止されて動きを止める。
「家…じゃないから。服、汚したら帰れないでしょ」
 さらりと髪を撫でる手の動きにすらうっとりと吐息が零れてしまう。一度離れ、佑が服を脱ぐのを待つ間に、自分も着ていた服を脱いでから改めて距離を詰める。
「……汗、かいたから。お風呂、はいろ」
 促されるままバスルームへ。広めの洗い場に浴槽。二人で入ることを想定されているような作り。
 シャワーの湯温を調節する佑の手に指を伸ばす。
「今日は……俺が洗いたい」
 素直にシャワーヘッドを渡してくる佑へと湯をかけて体を流していく。立ったままの佑の体をざっと洗い流した後、シャワーを止めて膝をついた。
「……ん」
 先程できなかったこと。佑の性器へ両手を添えて顔を寄せると、しゃぶりつくように舌を這わせていく。
 いきなりの行為に佑が小さく体を震わせた。
「っ、……本当に、今日はどうしたの?」
 困惑が滲む声。呆れたり怒ったりはしていないが、何かあったのかと心配そうに洋佑の髪を撫でてくる。
 優しい手つきとは裏腹に舌を這わせた性器が質量を増して口の中を圧迫してくる。手の中で芯に熱を籠らせていくのが嬉しくて、夢中になって吸い付いてしまう。
「ふ、…たすく、のが……欲しくて」
 我慢できなかった、と告げる言葉は不明瞭。じゅるじゅると溢れるものを吸い上げては舌を這わせていく。
 早く欲しい。佑のもので中を掻き混ぜて欲しい。
 そう思うだけで腹の奥がきゅうと疼く。手の中で震える熱に舌を這わせ、丁寧な愛撫を施しながらも、満たされぬ欲に眉を寄せる。
「僕も、洋佑さんが欲しい──から」
 自分の性器に吸い付いている洋佑を引きはがすようにして一度距離を取る。波をやり過ごした後、洋佑の身体を抱き上げるようにして立たせ、壁に手をつくように姿勢を変えていく。
「……たすく──?」
 止めたシャワーが再び肌を叩く。湯温はちょうどいい。ざー、と水音が響く中、佑の指が後ろから腹を撫で、そのまま上へと。
「んぁ……っ、……」
 指先が小さな突起に辿り着くと同時に声が上がる。親指と人差し指で摘み上げられ、指腹で擦り上げられるとそれだけでびくびくと全身が震えた。
 シャワーがとめられた。空いた手が肌を滑り、性器へと絡みついてくる。
「──ッ、…ぁ……」
 大袈裟な程に腰が跳ねた。湯とは違うぬるついた体液を伸ばすように性器を扱かれ、昂った性器の先から滲むものの量も増えていく。
「……凄い。洋佑さんのここ、いつもよりぐちゃぐちゃ」
 聞こえる?なんて耳元で囁かれると、それだけで達してしまいそうになる。扱かれる度に腰が揺れ、声を上げて佑を求めてしまう。
「んんっ……、……ぁ、や、……も、でる……から」
 出して、と言う代わりに性器へと絡めた指の動きが変わる。耳から項へと舌を這わされ、尖った乳首の先端を摘まみ上げられると堪え切れずに熱を吐き出してしまう。
「は、ぁ……、ふ…ぅ……」
 ぺたりと壁に体を預ける。ひんやりとしたタイルの感触が火照った肌に心地よく、うっとりと呆けていると、佑の指が離れていく。
 達した余韻に浸り過ぎて、反応が遅れる間に、佑は膝をついて座り、両手の指で洋佑の尻肉を押し上げていた。
 外気に晒された後孔が、ひくりと蠢く。
「ん──」
「……たすく?」
 一瞬、何をされたのか理解できなかった。ぬるついた感触が襞の一つ一つを丁寧になぞっていく頃、漸く舌を這わされたのだと気づいて軽く眼を見開く。
「ぁ、ァッ、…あ、………」
 一際高く上がる声に佑は一度顔を離した。ちゅ、と音を立てながら、尻肉の合間に繰り返し口付けてくる。
「ん、洋佑さん……もっと、声聞きたい」
 ぬち、と舌が中へと入り込んだ。慣れぬ感覚に逃げ出そうと腰が浮くが、すぐに力が抜けて壁へと体重をかける。
「……ふぅ、…くぅ、あ、……ア……ッ……」
 指とも性器とも違う。中を探るように蠢く舌の動きに翻弄され、声が溢れる。後少し、届きそうで届かない箇所への刺激を求めて腰をくねらせてしまう。
「────、……そんなに動いたら、しづらい」
 困ったような佑の声。ごめん、と謝ろうととしたが、後孔に再び吸い付かれて嬌声が上がった。
「ひぁっ、…んぅ……たす、く……、……」
 欲しい、と懇願する声も喘ぎに紛れる。ふ、と息を吹きかけられた後、尻肉を開いていた手が離れていくのに次の行為を期待して後ろへと視線を向けた。
 思ったよりも近くにあった佑の顔。視線が重なる。
「……洋佑さん、……すごい──いやらしい顔してる」
「たすくだって……」
 急に恥ずかしくなって目を伏せた。気にする様子もなく、佑の手は腰を捉えて熱を押し当ててくる。
「そりゃ、ね……洋佑さんに誘われて、あんな風に舐められたら──僕だって興奮するよ?」
 尻肉の合間。ぬるぬると肌を滑る熱の動き。焦らすようなその動きに洋佑は一度大きく息を吐き出した。
「ん───、……だったら…、……そ、んな……意地悪、しないで……早く」
 佑の動きが止まった。ぐ、と強く尻肉を掴まれて、反射的に身体が跳ねる。
「──優しく出来なかったら、ごめんね」
 問い返す間もなく、一息に奥へと埋め込まれる熱に洋佑は言葉を失った。
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