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3章、メイドは死にました
70、サモエドが人気ですね
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私が日本人の真凛だった頃。
お父さんはたくさんの物語を語ってくれたものだった。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
助けてくれ、空腹で、喉が渇いている。
そう言って助けを求める旅人の周りを、都会に住んでいる人たちは足早に、視線を合わせることもなく通り過ぎていく。
曲がり角の先で特売がある。有名人のサイン会がある。
彼らは旅人より、華やかで自分たちが得をするイベントに寄っていく。
そんな都会で、旅人を助けようという考えを抱いた者は、3人いた。
2人は、旅人を見下ろして演説した。
日頃からちゃんと生活していれば、こうはならなかった。自分を恥じよ。
これに懲りたら、更生するように。二度と騒いではいけない。人目に触れないところに移動しなさい。
そして、旅人に「わかりました、ごめんなさい」という言葉を言うように求め、謝罪させることに成功すると「よいことをした」と満足して立ち去った。
旅人はいよいよ弱り、助けを求める声もなく、人生を諦めた。
そこにパンと水を持ってきたのは、最後の1人。
マッチ売りの少女だった。
3日間売れなかったマッチが、つい先ほど、マッチが売れたんです。
喜んでいたら、あなたの助けを求める声が聞こえました。
だから、マッチが売れたのは、あなたを助けるためだったんだと思ったんです。
どなたか、救急車を呼んでください。
ここに、急いで治療を受ける必要がある人がいます。
マッチ売りの少女がか細い声で言う。
都会の人は、舌打ちをして少女たちを無視した。
そして、誰かが石を投げた。
理由は簡単で、なんだか汚くて、貧相で、みっともなくて、見ていて嫌な気分になるから。善意を乞食するのが、不快だから。
我々の美しい社会の景観を損ねる汚物だ、と唱える声が響くと、賛同者が石を拾った。
石が飛び、獲物に当たり、獲物が悲鳴を上げると、石を投げたあなたは喜んだ。
綺麗で立派なものだけが、あればいい。
そうでないものは消えるといい。
自力で生きられないものを、他人が助ける必要はない。
それはなんだかおかしな話で、ちょっと怖くて、でも現実味があった。
うっすらと、じわじわと。日本に生きていた子どもの私は、「世の中って、そんな感じ」という実感を肌で感じていたからだ。
だから、その話は、私の心にしこりみたいなものを残した。
――そういうのをトゲという。
お父さんはそう言って、なおも話を続けようとした。
けれど、お母さんに「子どもに変な話ばかりして」と中断を言い渡され、お小遣いを没収されていた。
「人間という生き物は、優しくない。冷たい。残酷だ。助けを求めれば求めるほど、『絶対に助けるものか』と敵意を募らせる。弱っている人やうまくいっていない人を見ると、馬鹿にして見苦しいと蔑み、社会から駆逐しようとする。真凛、その理由を考えてみないか」
お父さんは、変人だった。
でも、真凛も真凛で、そんなお父さんに真剣に向き合っていたものだ。
「助けを求める声を無視することで、自分自身の安全を確保しようとする?」
「感情的なエネルギーを消耗することを避けるため?」
「他人が無視しているから。自分だけが助けようとすると目立ってしまうから、周囲に同調して行動する?」
「誰か他の人が助ければいい、自分じゃなくてもいいと思ってしまう?」
「自業自得だとか努力が足りないといった否定的な見方をするから?」
「他者を説教することで自分が優れていると感じ、自己満足を得るから?」
「助けるのではなく、相手が悪くて、自分が正しくて、悪い相手を説教することで道徳的に優位に立とうとするから?」
これが、日本の真凛の、両親との思い出だ。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
ゲームで登場した『火竜の巣』があるチェラレ火山は、火属性の魔力が強く渦巻く天然の火山だ。
水属性に偏ったこの世界で、火属性のファイアドラゴンたちが安心して暮らせる数少ない場所である。
『火山はかろうじて火属性魔力が濃厚で、生存した個体は火山に集まった』
私を乗せてくれた親ドラゴンは、おっとりとした口調で彼らの歴史を教えてくれた。
上空から見た感じ、山のあちらこちらから煙があがっていて、煙の周りでドラゴンがごろごろと寝そべっていたりする。
ドラゴンというと恐ろしいイメージだけど、仲間と一緒にのんびり過ごしている姿は、あまり怖い感じがしなかった。
私と会話してくれている親ドラゴンも、理性的で優しい雰囲気だ。
『ドラゴン族には、水没期の前の時代――世界がまだ陸地を広範囲に露出させていた頃の伝説がある。タクミと名乗るドラゴンの伝説だ。彼は、前世が異世界に生きる人間だったと主張していた』
「たくみ? 確かに、日本人っぽい名前……」
異世界人の記憶を持つドラゴンは、当時ドラゴン族を脅かしていた数々のトラブルを解決し、これから水没期が来ること、水没期を経てもこの火山は健在であり、ファイアドラゴンたちが生き残ることができる場所となる未来を預言した。
彼はドラゴン族の勇者と呼ばれ、仲間たちに協力を募り、ドラゴン族の秘宝を創り出したのだという。
『秘宝は、合言葉を知る者にだけ渡される。タクミはそう言って秘宝を封印していた』
ドラゴンが言うには、水没期の後から人間の魔女が何度も火山を訪れるようになったのだとか。
『魔女は、我らの親世代や祖父世代の頃から火竜の巣に姿を見せていた。人間のくせにドラゴンより長く生き、老いる様子も全くないので、魔女とは不可思議な生き物だとよく話題にのぼっていたものだ』
「その魔女は特別な例外だと思いますが……ええと、魔女に言われて私を迎えにきたんですよね? ちなみに、その魔女って名前はわかりますか?」
『魔女のことは魔女としか知らない』
「あっ、そうですか……」
ドラゴンに聞いてみたけど、名前は知らないようだった。でも、私の勘は魔女がウォテアで、アンナだと告げていた。
全く不可解だ。
水没期時代のマリンの記憶では、魔女ウォテアは優秀な魔女ではあったけど、普通の人間だったと思う。
『ドラゴン族は、魔女とたびたび情報交換していた』
ドラゴンが案内してくれたのは、山頂付近の窪地だった。
温泉に浸された窪地の真ん中に、宝箱が浮かんでいる。
『魔女は、秘宝が世界を救うための道具であると教えてくれた。そして、合言葉を知っている人物が見つかったと教えてくれた。我らの種族は緩慢に衰退してはいるが、新たな命も生まれている。我が子らが生きていけるよう、世界には続いてもらいたいので、協力した』
ドラゴンの声に頷きつつ箱の前に飛んでいくと、仕掛けられていた魔法が発動した。
ゲームみたいに半透明のフォームが空中に表示されて、「合言葉を入力してください」と問われたから、私は日本人の知識で合言葉を入力した。
『サモエドが人気ですね』
これは、制作当初サモエドカフェが人気だったことから「合言葉決めてください」と言われたスタッフが3秒で決めたという逸話がある合言葉だ。
制作会社の特別番組でネタにされていたのだけど、出演していた私のお父さんはそのネタが明かされた時、「理由は謎のままにしといた方がいいって」と不満顔だった。
理由を明かすとすっきりするが、何も引っかからずに右の耳から左の耳に抜けて行って終わり。
それよりはモヤモヤ、トゲトゲを残せというのである。
私は「お父さんらしいな」と思いながら観ていたのだけど、お母さんは「アーティスト気取りで、お客さん商売に向いてないわ」などと毒舌だった。
お父さんとお母さん、どちらが正しいのか――子どもの私は頭を悩ませたものだった。
両親は仲よくしてほしい。
とりあえず、子どもの立場として言いたいのは、そんなことだった。
お父さんはたくさんの物語を語ってくれたものだった。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
助けてくれ、空腹で、喉が渇いている。
そう言って助けを求める旅人の周りを、都会に住んでいる人たちは足早に、視線を合わせることもなく通り過ぎていく。
曲がり角の先で特売がある。有名人のサイン会がある。
彼らは旅人より、華やかで自分たちが得をするイベントに寄っていく。
そんな都会で、旅人を助けようという考えを抱いた者は、3人いた。
2人は、旅人を見下ろして演説した。
日頃からちゃんと生活していれば、こうはならなかった。自分を恥じよ。
これに懲りたら、更生するように。二度と騒いではいけない。人目に触れないところに移動しなさい。
そして、旅人に「わかりました、ごめんなさい」という言葉を言うように求め、謝罪させることに成功すると「よいことをした」と満足して立ち去った。
旅人はいよいよ弱り、助けを求める声もなく、人生を諦めた。
そこにパンと水を持ってきたのは、最後の1人。
マッチ売りの少女だった。
3日間売れなかったマッチが、つい先ほど、マッチが売れたんです。
喜んでいたら、あなたの助けを求める声が聞こえました。
だから、マッチが売れたのは、あなたを助けるためだったんだと思ったんです。
どなたか、救急車を呼んでください。
ここに、急いで治療を受ける必要がある人がいます。
マッチ売りの少女がか細い声で言う。
都会の人は、舌打ちをして少女たちを無視した。
そして、誰かが石を投げた。
理由は簡単で、なんだか汚くて、貧相で、みっともなくて、見ていて嫌な気分になるから。善意を乞食するのが、不快だから。
我々の美しい社会の景観を損ねる汚物だ、と唱える声が響くと、賛同者が石を拾った。
石が飛び、獲物に当たり、獲物が悲鳴を上げると、石を投げたあなたは喜んだ。
綺麗で立派なものだけが、あればいい。
そうでないものは消えるといい。
自力で生きられないものを、他人が助ける必要はない。
それはなんだかおかしな話で、ちょっと怖くて、でも現実味があった。
うっすらと、じわじわと。日本に生きていた子どもの私は、「世の中って、そんな感じ」という実感を肌で感じていたからだ。
だから、その話は、私の心にしこりみたいなものを残した。
――そういうのをトゲという。
お父さんはそう言って、なおも話を続けようとした。
けれど、お母さんに「子どもに変な話ばかりして」と中断を言い渡され、お小遣いを没収されていた。
「人間という生き物は、優しくない。冷たい。残酷だ。助けを求めれば求めるほど、『絶対に助けるものか』と敵意を募らせる。弱っている人やうまくいっていない人を見ると、馬鹿にして見苦しいと蔑み、社会から駆逐しようとする。真凛、その理由を考えてみないか」
お父さんは、変人だった。
でも、真凛も真凛で、そんなお父さんに真剣に向き合っていたものだ。
「助けを求める声を無視することで、自分自身の安全を確保しようとする?」
「感情的なエネルギーを消耗することを避けるため?」
「他人が無視しているから。自分だけが助けようとすると目立ってしまうから、周囲に同調して行動する?」
「誰か他の人が助ければいい、自分じゃなくてもいいと思ってしまう?」
「自業自得だとか努力が足りないといった否定的な見方をするから?」
「他者を説教することで自分が優れていると感じ、自己満足を得るから?」
「助けるのではなく、相手が悪くて、自分が正しくて、悪い相手を説教することで道徳的に優位に立とうとするから?」
これが、日本の真凛の、両親との思い出だ。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
ゲームで登場した『火竜の巣』があるチェラレ火山は、火属性の魔力が強く渦巻く天然の火山だ。
水属性に偏ったこの世界で、火属性のファイアドラゴンたちが安心して暮らせる数少ない場所である。
『火山はかろうじて火属性魔力が濃厚で、生存した個体は火山に集まった』
私を乗せてくれた親ドラゴンは、おっとりとした口調で彼らの歴史を教えてくれた。
上空から見た感じ、山のあちらこちらから煙があがっていて、煙の周りでドラゴンがごろごろと寝そべっていたりする。
ドラゴンというと恐ろしいイメージだけど、仲間と一緒にのんびり過ごしている姿は、あまり怖い感じがしなかった。
私と会話してくれている親ドラゴンも、理性的で優しい雰囲気だ。
『ドラゴン族には、水没期の前の時代――世界がまだ陸地を広範囲に露出させていた頃の伝説がある。タクミと名乗るドラゴンの伝説だ。彼は、前世が異世界に生きる人間だったと主張していた』
「たくみ? 確かに、日本人っぽい名前……」
異世界人の記憶を持つドラゴンは、当時ドラゴン族を脅かしていた数々のトラブルを解決し、これから水没期が来ること、水没期を経てもこの火山は健在であり、ファイアドラゴンたちが生き残ることができる場所となる未来を預言した。
彼はドラゴン族の勇者と呼ばれ、仲間たちに協力を募り、ドラゴン族の秘宝を創り出したのだという。
『秘宝は、合言葉を知る者にだけ渡される。タクミはそう言って秘宝を封印していた』
ドラゴンが言うには、水没期の後から人間の魔女が何度も火山を訪れるようになったのだとか。
『魔女は、我らの親世代や祖父世代の頃から火竜の巣に姿を見せていた。人間のくせにドラゴンより長く生き、老いる様子も全くないので、魔女とは不可思議な生き物だとよく話題にのぼっていたものだ』
「その魔女は特別な例外だと思いますが……ええと、魔女に言われて私を迎えにきたんですよね? ちなみに、その魔女って名前はわかりますか?」
『魔女のことは魔女としか知らない』
「あっ、そうですか……」
ドラゴンに聞いてみたけど、名前は知らないようだった。でも、私の勘は魔女がウォテアで、アンナだと告げていた。
全く不可解だ。
水没期時代のマリンの記憶では、魔女ウォテアは優秀な魔女ではあったけど、普通の人間だったと思う。
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ドラゴンの声に頷きつつ箱の前に飛んでいくと、仕掛けられていた魔法が発動した。
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それよりはモヤモヤ、トゲトゲを残せというのである。
私は「お父さんらしいな」と思いながら観ていたのだけど、お母さんは「アーティスト気取りで、お客さん商売に向いてないわ」などと毒舌だった。
お父さんとお母さん、どちらが正しいのか――子どもの私は頭を悩ませたものだった。
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